エドガー・アラン・ポーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
エドガー・アラン・ポーの代表作。
15年前ぐらいに読んだ記憶はあるんだけど、それでも怖かった……。
我が家で黒猫(しかも襟毛が白!)を飼っていることもあり、序盤はあまりにも酷い動物虐待をする館の主人に対して腸が煮えくり返りそうだった。
古来、その見た目から魔女ともいわれてきた黒猫ちゃんの振る舞いは、私にとってはただただずっと可愛い。
まくらくらまさんのイラストが、物語の雰囲気と抜群にあっていて最高です。読んでいるうちにすっかりこの世界観に引き込まれる。すりすりする猫ちゃん可愛い……。
このストーリーは大きく美しい黒猫・プルートの呪いによる復讐劇といってもよいのだろう、ラストにかけては怒濤の恐ろしさが畳みかけてくる。
塗りこめてしまった壁から聞こえてくるのは、苦痛の中にいる呪われし者たちの喉から発せられる声と、彼らを地獄に墜とし歓喜する悪魔たちから発せられる声とが混ざり合ったような金切り声。
最後の見開きはとんでもない禍々しさです。 -
Posted by ブクログ
これの感想時間が無くてかけてなかった。
読書垢をはじめてついに100冊目ということで、せっかくだから記念的ななにかを読みたいなと思い手に取ったのがモルグ街の殺人。
いまからおよそ200年前にかかれたというこの作品、今までまったく知識もないまま、名前だけりを知っている状態だったので、どんなものかお手並み拝見という気持ちで読み始めたものの、これだけの質のストーリーがこの時代にあったのかと、度肝を抜かれた。
ちょっと真相には笑ってしまったけれど、予想外の結末という本格ミステリさながらの締め方で個人的には好印象。
そしてこちらも史上初の暗号小説ということで黄金虫。
所謂シーザー暗号的なものだったけれど、ぎりぎり素人にもわかる暗号を、宝探しのための暗号として作ってあるから、これは当時子供たちにも人気だったのかなと思ったり。
この方の翻訳は三部作になってるようなので、1と2もいずれまた。 -
Posted by ブクログ
今までゴシック色を意識して本を読んだことが無かったので、なるほど、これがゴシックなのかとなんとなくの実感を得ることができた。
かっちり整然とした(いわゆる格式高い)文章のせいか、読んでいて常に緊張感があったし、分厚い鉄のドアのような冷たさや重さがホラー要素と絶妙にマッチしてるなぁ、不吉だなぁと感じさせられた。
ライジーアが個人的な好みで、彼女の特徴をこの文体で表せる限りの美しい言葉をふんだんに使用して描いていたところが印象的だった。そのため、いかに彼女が美しいかが手に取るように想像できた。
他の作品と比べて、この作品には熱量(彼女への激しい思い)があり温かさを感じる気がするが、それ以上に積乱雲のような暗くて厚い雲が全体を覆っているような不穏さを強く感じた。このなんとも言えない読後感はなかなか味わえないものだなと思う。
詩を登場させる作品がいくつかあり、解説でもその部分が非常に高く評価されていたが、私自身あまり実感できなかった(西洋的な考え方に乏しいのもあって)ために何度も読み返しては…うーん、となることも多かった。ただ、詩で表現される淡々とした狂気の描写は格式高い文章と相まって作品に一層の暗さと深さを醸し出していることは感じ取れた。
今の自分ではこの本の魅力を引き出すことができなかったので、また時間をおいてから読んでみようと思う。 -
Posted by ブクログ
世界初の推理小説『モルグ街の殺人』
小学生のころの児童書で初めて読んだときは、意外な真相におおいに驚いたのを覚えています。今回改めて読んで、推理小説というもののかたちはこの時点ですでに完成していたのだと感じました。
狂気的な殺人現場、バラバラの証言、消え失せた犯人……。それを解くのは理屈っぽい名探偵とその相棒。
不気味で不可思議な事件に、キャラのたった名探偵が相棒とともに挑む。今なお続く探偵小説のフォーマット。それがこの時点で完成していたことがそう思った理由ではありません。奇怪な真相に至るまでのロジックの組み立てが、しっかりと本格ミステリらしく作り込まれているからです。
不可能なものを排除していって、残ったものがどんなに信じられないものでもそれが真実である。
これはホームズの言葉だけど、推理小説の元祖である『モルグ街の殺人』から今に至るまで、この言葉がミステリの歴史に脈々と受け継がれているのだと今回改めて感じました。そう考えると感動もひとしおです。
『モルグ街の殺人』以外のポー作品は初読。『モルグ街』以外での有名どころは暗号小説である「黄金虫」や、モルグ街の殺人で活躍した名探偵デュパンが再登場する「盗まれた手紙」あたりかな。
「黄金虫」も暗号解読のロジックが素晴らしかった。こういう小説の形式や楽しみを初めて生み出したポーの偉大さを改めて感じます。「盗まれた手紙」は今読むとさすがに使い古されたパターンではあるのだけれど、最初にこの観点に気づいたのは、やはりすごいと感じます。
観点で言うと『詐欺――精密科学としての考察』という短編も面白い。いろいろな詐欺や騙しの手口が次々と出てきて、これ一編で短編集一冊分のアイディアが出て来たんじゃないかと思える。
他にも描写の不気味な怪奇小説系の作品や詩も収録されていて、ミステリ作家だけではないポーの側面を楽しめる短編集になっています。
解説も面白かった。ポーはアルコールが原因で亡くなった、みたいな話はなんとなく聞いた覚えがあったのだけど、今回の新訳を担当した河合祥一郎さんは別の仮説をたて、デュパンよろしく推理をしていきます。当時の証言や様々な文献から約170年の時代を超えた繰り広げられる謎解きは、ジョセフィン・テイの名作歴史ミステリ「時の娘」を思い起こさせます。
小説でも解説でも謎解きの楽しめる一冊です。