小川敏子のレビュー一覧
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この本は近年台頭してきているポピュリストが何故大きな影響力を持ち始めたのか民主主義と資本主義が危機に見舞われていることについて書かれている。近年トランプなどのポピュリストが指示を伸ばしているが、それは経済の不安定化により、貧富の差が広がり低・中所得者が既存の政党、政治体制、政治を行なうエリート層に対して懐疑的な目を向けているからだ。貧困に陥っている、陥ろうとしているそれは近年増加している移民や女性などの少数弱者のせいであるとする論調が広まり、右寄りで地主などのお金持ちや保守的な政治指導者とこの主張は受け入れやすく、これらの人々は右寄りは資本家などに有利な政策をとることが多いのに、低・中所得者 -
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つぎの一〇年において、これらの問題は日本にどのような結果をもたらすだろうか? 現実的にみて、日本が現在直面している問題は、一八五三年の唐突な鎖国政策の廃止や、一九四五年八月の敗戦による打撃に比べれば大したものではない。これらのトラウマから日本がみごとに回復したことを思えば、今日、もう一度日本が時代に合わなくなった価値観を捨て、意味のあるものだけを維持し、新しい時代状況に合わせて新しい価値観を取り入れること、つまり基本的価値観を選択的に再評価することは可能だという希望を私は持っている。
――本書の出版が2019年。さて10年後、本書で取り上げられた、日本、アメリカ、世界の問題はどうなっている -
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表題ほど明るいわけでは無いけど、希望を感じることができるお話しだった。
日本が太平洋戦争で世相が暗くなる一方の中、太平洋の向こうの「敵国」で生きる、貧しき市井の人が、どういう生き方をしていたのかを感じることができた。
民主主義に対する絶大な信頼とか、健気に生きるホーマー少年に対する電報局長の優しさとか、兵士が敵兵を恨まない姿勢とか、アメリカ人のアメリカ人たる所以とも言えるような美点を感じることができたのは良かった。
P276
「名前は両親にではなく施設でつけられ、両親がどんな人物なのかも知らず、どこの国の人かも知らず、自分が何人の血を引くのかも知らないのだからね。(中略)」
「きみはアメ -
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本書は「機械との競争」「セカンド・マシン・エイジ」などの著者として有名なMITのアンドリュー・マカフィー氏による最新の本です。一貫して読みやすく、データも豊富に提示されているのであっと言う間に読めました。本書の主張したいことは明白です。資本主義とテクノロジー進化は、(少なくともアメリカにおいては)脱物質化を進めている。ここでの脱物質化とは、資源消費量を少なくしながら経済成長をしているという意味です。しかし資本主義とテクノロジー進化だけでは、公害などの外部不経済に対処できない。そこで必要になるのが「反応する政府」「市民の自覚」。これによって公害がいろいろな意味で高くつきますので、企業は外部不経済
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「数字は嘘をつかない」のではなく「嘘つきは数字を使う」ことを見にしみて理解できる本でした。よくある宣伝広告に書かれた数字の嘘から話は始まりますが、そこまではまあわかる話です。でも本書がすごいのは、そこから機械学習などの最新テクノロジーや、科学論文という「さすがに信じてよいのでは?」と思えるものにまで話が進むことです。普段、専門家の見せる研究結果や「学術論文によると・・」などといった言葉を見てある程度盲目的に数字を信じてしまうことがありましたが、実はその科学というものがいかに怪しいかを教えられました。
論文を読んで内容をまとめる系のYouTuberがよく「科学的に正しい」なんてことをサムネイル -
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農業が余剰食糧を生み出すことで、全員が農業に従事する必要がなくなり、文字や青銅器、耕作など近代科学が発展した。なるほど今まであまり考えたこと無かったが、そりゃそうだと思い、引き込まれていきました。
そして定住生活に移行して人口が増加し、食糧の確保が必要となり、人類の叡智でそれに対応してきた経緯を詳しく学べる本。
解決したら新たな問題が出て、それを解決したらまた新たな問題が出て、まさにイタチごっこを辿ったが、上手く人口の増加、豊かな社会を実現してきた。
しかし今後これが続くかはわからない。
この本を読んで改めて、地球の歴史の中で絶滅した動物は無限とあり、人間も自然には逆らえず今の落ち着いた -
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上巻に比べると、読み易さは変わらないと言えども、現在進行形という事もあり、非常に呻吟しつつ読んだ感じ。
二度目に取り上げる米、豪州、独逸が俎上に。
自国だけってアメリカへの切り口は鋭く、内容もつぶさ。方策論も多岐にわたる。
豪の現代史、特に英国コンプレックスを切り抜け、日本の侵略までが知らない事ばかりだった。
第3部の現代の危機は、今さらなる一触即発問題が絡むだけに読みつつ動悸すら覚えた。
日本では今年に入って一段とSDGs問題がマスコミを絡めて姦しくなっているけれど、実際のところお祭り騒ぎというレベルにも思える。我々の大半が生きている間に先進諸国の国民一人当たりの消費率が今より低くなるこ -
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経済成長するにつれて資源の消費量が増えていき、やがて使い果たしてしまうという言説の間違いを指摘して、明るい未来と何をすべきかを提言する。
「希望の四騎士」として挙げられていた、資本主義、テクノロジー、政府の行動、市民の声によって、消費する資源を減らしつつ経済成長していく、というの理論は面白かった。
例えば、資源量が減るほど価格が上がるので、使用量を削減するインセンティブがはたらくというのは、「後40年で石油が枯渇する」論では抜け落ちてた概念だと思う。
四騎士すべてが噛み合った自動車業界と、すべてが裏目に出たソ連によるクジラの絶滅も腑に落ちた。
「世界は良くなっている」という明るい未来の提示 -
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ネタバレマルサス 人口論 1798年
マーシャル
人間の欲求と欲望は数限りなくある。
もっと良質、より多くの選択肢、全く新しい要求を満たしてくれるものを求める。
脱物質化 ~より少ないものから、より多くのものを
アメリカでの原材料の消費はピークを過ぎた。経済成長は続いているにも。
リサイクルは経済的だがインプット、アウトプットの脱物質化とは無関係。
大地に帰る生活はエネルギー効率が下がり環境に良くない。
①テクノロジーの進歩
スリム化 アルミ缶軽量化
置換 水圧破砕法による天然ガス汲み上げ
最適化 航空会社の空席削減、列車稼働率向上
消滅 iPhoneに -
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著者は、マサチューセッツ工科大学のスローン経営大学院主席リサーチサイエンティスト。デジタル技術が世界をどう変えるかを研究している。
資本主義への信頼が揺らいでいる中で、資本主義とテクノロジーの発展が世界を豊かにしている事実と理由を解き明かしてくれる。ただし市場だけでは対処できない問題も多く、市民の意識と反応する政府が必要であると説明する。一方でテクノロジー企業の寡占と、中流の没落、社会の分断といった、現代社会が抱える問題も浮き彫りにしている。
<要約>
これまでの常識を覆すMore from Lessというパターンが出てきた。少量の物質や材料、エネルギーで、より多くの製品や食料を生み出すこと