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2016年1月に刊行された同名書の文庫化。
○都市の夜景を彩るライト、地平線まで広がる穀物畑……空から眺めれば、人類の活動の痕跡は至るところにみられる。人間は生息数を何倍にも増やし、生息分布を拡大したという意味において、生物界における極端な成功例である。何十億人もの人々のための食料生産と住宅供給は、地球を変える巨大な力になっている。
数万年前までは他の動物と同様に野生動植物の狩猟と採取にだけ頼っていた人類が、なぜ食料生産に成功し、爆発的に生息数を増やすことができたのか? 本書は、コロンビア大学教授でマッカーサー・フェローでもある著者が、人類が自然をコントロールし、食料生産を増やしていった過程を歴史的観点から描くもの。
○これまで人類は、大河の恵み、焼畑、鶏糞や屎尿など肥料の工夫、そして近代以降は種や品種の改良と化学肥料、農薬の発明によって、食料危機を何度となく乗り越えてきた。一方でこの100年の急激な食料増産は記録的なペースだった。その結果、人口急増、肉食の横行、土壌の疲弊、水不足、食料供給の不平等といった数々の問題が起きている。私たちはこうした難問をどう解決していくのか? 本書はSDGsの半分以上の項目に関係する内容であり、人類史レベルで持続可能な未来を考えていくうえで必須の本といえる。
Posted by ブクログ 2022年06月18日
人口増加と食糧増産のイタチごっこ。その歴史をまとめた傑作。
本書の著者は終始、人類は上手く自然環境の変化に対応し課題を解決してきたと前向きな姿勢だが、しかし未解決問題が残っていることも同時に指摘している。窒素・リンの湖沼・海洋への流出による水質汚染、リンの自然循環の切断、農業・牧畜による温室効果ガス...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年01月19日
農業が余剰食糧を生み出すことで、全員が農業に従事する必要がなくなり、文字や青銅器、耕作など近代科学が発展した。なるほど今まであまり考えたこと無かったが、そりゃそうだと思い、引き込まれていきました。
そして定住生活に移行して人口が増加し、食糧の確保が必要となり、人類の叡智でそれに対応してきた経緯を詳...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年10月10日
【まとめ】
0 大増産の進化と転換点
食料増産の進化プロセスは次のように進む。まずは、空腹を満たすためにもっとも手っとり早く、かんたんな方法で食料を手に入れようとする。やがてあるとき、食べられる植物を栽培したり、作物に必要な養分を補給したりするなど、自然界に手を加える方法が編みだされる。より多くの食...続きを読む
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