小川敏子のレビュー一覧
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経済成長するにつれて資源の消費量が増えていき、やがて使い果たしてしまうという言説の間違いを指摘して、明るい未来と何をすべきかを提言する。
「希望の四騎士」として挙げられていた、資本主義、テクノロジー、政府の行動、市民の声によって、消費する資源を減らしつつ経済成長していく、というの理論は面白かった。
例えば、資源量が減るほど価格が上がるので、使用量を削減するインセンティブがはたらくというのは、「後40年で石油が枯渇する」論では抜け落ちてた概念だと思う。
四騎士すべてが噛み合った自動車業界と、すべてが裏目に出たソ連によるクジラの絶滅も腑に落ちた。
「世界は良くなっている」という明るい未来の提示は、ファクトフルネスに近いものを感じ、アクセルを踏み続ける必要性には納得。
遺伝子組み換え、核エネルギーの活用も、証拠と数字に基づけば推し進めてもいいのかもしれない、と思わされた。 -
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ネタバレマルサス 人口論 1798年
マーシャル
人間の欲求と欲望は数限りなくある。
もっと良質、より多くの選択肢、全く新しい要求を満たしてくれるものを求める。
脱物質化 ~より少ないものから、より多くのものを
アメリカでの原材料の消費はピークを過ぎた。経済成長は続いているにも。
リサイクルは経済的だがインプット、アウトプットの脱物質化とは無関係。
大地に帰る生活はエネルギー効率が下がり環境に良くない。
①テクノロジーの進歩
スリム化 アルミ缶軽量化
置換 水圧破砕法による天然ガス汲み上げ
最適化 航空会社の空席削減、列車稼働率向上
消滅 iPhoneに機能統合
コンピュータ活用 目的達成のためにテクノロジーの組合せが可能になった。
②資本主義
利潤追求
自由参入と競争
財産権と契約履行義務
非中央集権的な仕組み
私的所有
自発的交換
✖ 利己的/道徳は通用しない/不平等
希望の四騎士
①テクノロジーの進歩 ②資本主義 ③市民の自覚 ④反応する政府
賢者=皆が希望に満ちているなかでひとり絶望する人
2016年 世界人口よりスマホ契約数のほうが多い 2017年 15億台の販売
世界の公園や保護区:1985年 4% →2015年 15.4%
貧困人口 :1999年 17.6億人 →2015年 7.5億人
安全な飲み水 :1990年 世界人口の75% →2015年 90%
中等教育就学率 :1986年 50%未満 →2015年 75%以上
平均余命 :1800年 28.5歳 →1950年+20年 →2015年+25年
都市にはサービス業が集中
84%が都市住人 欧州委員会 2015年 衛星画像調査
売り上げ利益の集中 勝者総取り グローバル化と新しいテクノロジー
2016年 アメリカの株式市場の富の84%が全世帯上位10%に集中
④社会関係資本 Social Capital の衰退 ・・・答えがない
人として温かいつながりがなくなっている
絶望死 アメリカ 2016年 19.7万人 ≒ 死亡者の8%
多様性の増加=多元主義 ⇔ 権威主義
権威への不信、価値観の衝突、コンセンサス欠如、アイデンティティ崩壊
アメリカの20%の郡は マイナス成長(2010~2017年)
ヨーロッパは工業化より前から町が存在、
アメリカは工業化を支えた文化、構造が消える
エレファントカーブ 2008年
裕福国の先端は伸びているが、中流層はこの20年で所得が伸びていない
③人的資本
アイデアを生み出す力 デジタルツールが増やす 経済活動の再拡散
10年後 地球へのフットプリント(天然資源、温室効果ガス)は縮小する。
ノードハウス 税収中立型炭素税 税収が直接市民へいく
原子力の正当な評価を受けていない
ブランドを守るための協調 炭素クレジットの購入 -
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著者は、マサチューセッツ工科大学のスローン経営大学院主席リサーチサイエンティスト。デジタル技術が世界をどう変えるかを研究している。
資本主義への信頼が揺らいでいる中で、資本主義とテクノロジーの発展が世界を豊かにしている事実と理由を解き明かしてくれる。ただし市場だけでは対処できない問題も多く、市民の意識と反応する政府が必要であると説明する。一方でテクノロジー企業の寡占と、中流の没落、社会の分断といった、現代社会が抱える問題も浮き彫りにしている。
<要約>
これまでの常識を覆すMore from Lessというパターンが出てきた。少量の物質や材料、エネルギーで、より多くの製品や食料を生み出すことができるようになったのだ。つまり脱物質化が起きている。
米国ではGDPは右肩上がりに成長している反面、金属などの材料の消費量は1970年代でピークを迎え、その後は減少している。農作物の収穫量も年々増加しているが、肥料、灌漑の水、作付面積はピークを過ぎて減少している。経済成長に比べてエネルギー消費量も鈍化している。
このMore from Lessのパターンは「テクノロジーの発展」と「資本主義」がもたらした。近年のコンピューターを中心とした技術発展により、より少ない物質から多くの製品を生み出すことが可能になった。また企業にとって原材料費はコストであるため、利益追求のためにそれらを削減する努力を惜しまない。
イノベーターにより技術が生みだされ、起業家と投資家により革新的な企業へと成長を遂げる。既存の技術は特許により守られるため、他の企業は新たな技術を開発しなければならない。資本主義の中で企業や製品は常に競争に晒されるため、テクノロジーは絶え間なく発展していく。資本主義とテクノロジーがMore from Lessを加速させるのである。
ただし資本主義とテクノロジーだけでは解決できない問題がある。それは公害と動植物の絶滅など環境問題への対応だ。市場は多くの重要な事柄について対処できるが、負の外部性については適切に対処できない。
市場では売り手と買い手、取引に直接関係するものに便益を提供する。しかし第三者への負の影響にはうまく対処できない。例えばある商品を生産する工場の周辺で重大な汚染が発生しているとする。売り手と買い手には直接の被害は発生しないが、近隣住民といった外部には被害が発生している。このように公害や動植物の絶滅など環境破壊へ対処するためには、テクノロジーの発展と資本主義だけでは不十分で、これら2つを適切にコントロールするための「市民の意識」とそれに「対応する政府」が必要である。
「テクノロジーの発展」「資本主義」「市民の意識」「反応する政府」。これらの4つを「希望の四銃士」と呼び、これらがバランスよく適切に機能することが、豊かな未来を創る。More from Lessのような脱物質化と同時に世界の貧困も減っており、世界は豊かになっている。
しかし、ここ二十年で貧困層と富裕層が実質所得を大幅に伸ばしている中で、先進国の中流層だけは所得があまり伸びていない。中流層が没落しているのである。
これは産業が工業からサービス業へシフトする中で、多くの工場労働者や未熟練労働者が職を失ったためである。一方で破壊的なテクノロジーを持つ企業は、勝者総獲りの寡占状態で、勝者と敗者の二極化が起きている。また、工場や企業、職場を失った地域は衰退し、経済活動を通して生まれていた人と人のつながり(社会関係資本)も希薄化している。
「テクノロジーの発展」と「資本主義」は、中流層の没落、市場の寡占、社会の分断といった新たな問題を引き起こした。「市民の意識」と「反応する政府」は、これらの問題にも対処していかなければならない。 -
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ネタバレ読み終わってから知ったけど、「銃・病原菌・鉄」の著者なんだ!!
この本はいくつかの国の危機(日本も開国と敗戦の時で取り上げられている)について、12の視点で分析したもの。
歴史、心理、政治、経済、気候などなどを複合的に学べる一冊。
そして、国や組織、個人が危機に陥った時に頭を落ち着かせて、状況を把握し、危機の原因を分析し、対応法を考えられるようになる助けにもなるかもしれない。
そして、日本への厳しい指摘はできるだけ多くの日本人に読んでほしいし、受け止めなきゃと思う。
因みに、分析軸は下記。
1.危機に陥っていることを認める
2.責任を受け入れる。被害者意識や自己憐憫、他者を責めることを避ける
3.囲いをつくる/選択的変化
4.他国からの支援
5.他国を手本として利用する
6.ナショナル・アイデンティティ
7.公正な自己評価
8.過去の国家的危機の経験
9.国家的失敗に対する忍耐
10.状況に応じた国としての柔軟性
11.国家の基本的価値
12.地政学的制約がないこと -
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ネタバレ注)感想は上巻と同じです
ジャレドさん、銃病原菌鉄に続いて2冊目。
この本では、いつくかの国に訪れた危機と、その危機にどのようにして対応したのかが描かれている。
まず、はじめに思ったのは、知らないってことは恐ろしいな、と。この本に書いてあることが、真実なのかどうか、私には確認する術がないけど、それでも、歴史について知ることは自分の考え方に幅をもたらしてくれるような気がする。
例えば、フィンランドの話し。ソ連との関係性について、その内情を知らない人から見たら、なんでそこまでソ連の機嫌を伺うような振る舞いをするのか、理解ができないことだろう。でも、それまでのソ連との関係からフィンランドの人々がどのように考えるに至ったのかを知れば、理解できるようになる。
日本についても、明治維新後の日本については、危機への対応が良かったことが書かれているが、第二次世界大戦や昨今の日本には対応の不味い点が指摘されている。特に戦後のドイツとの比較で、戦争時の過ちに対して正確な自己評価が不足している、と指摘する。ドイツは過ちを詫び、自国内でその過ちについて、きちんと教育しているが、日本ではいまだに戦時の教育ではそうした負の部分が正確に伝えられていない。わたし自身、どちらかというとこの作者の指摘通り、日本がそこまでひどいことをしていないのではないか、という幻想を抱くことがあったように思う。
歴史に学ぶことの重要性を考えさせられる本でした。 -
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ネタバレジャレドさん、銃病原菌鉄に続いて2冊目。
この本では、いつくかの国に訪れた危機と、その危機にどのようにして対応したのかが描かれている。
まず、はじめに思ったのは、知らないってことは恐ろしいな、と。この本に書いてあることが、真実なのかどうか、私には確認する術がないけど、それでも、歴史について知ることは自分の考え方に幅をもたらしてくれるような気がする。
例えば、フィンランドの話し。ソ連との関係性について、その内情を知らない人から見たら、なんでそこまでソ連の機嫌を伺うような振る舞いをするのか、理解ができないことだろう。でも、それまでのソ連との関係からフィンランドの人々がどのように考えるに至ったのかを知れば、理解できるようになる。
日本についても、明治維新後の日本については、危機への対応が良かったことが書かれているが、第二次世界大戦や昨今の日本には対応の不味い点が指摘されている。特に戦後のドイツとの比較で、戦争時の過ちに対して正確な自己評価が不足している、と指摘する。ドイツは過ちを詫び、自国内でその過ちについて、きちんと教育しているが、日本ではいまだに戦時の教育ではそうした負の部分が正確に伝えられていない。わたし自身、どちらかというとこの作者の指摘通り、日本がそこまでひどいことをしていないのではないか、という幻想を抱くことがあったように思う。
歴史に学ぶことの重要性を考えさせられる本でした。 -
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日本を含む7つの国家について、そのターニングポイントとなる歴史と特徴を、個人の危機とそれへの対応に照らし合わせて理解する。
読み始めは、なぜ個人と照らし合わせる必要があるのかやや理解不能だった。
だけど、読み進む内に理解できる。個人に生い立ち・経験等に裏打ちされた人格があるように、国家にも性格があるのだ。
それはブラックジョークやヘイトスピーチに見られるような国籍ステレオタイプ、みたいな単純なことではなくて、その国の立脚する環境(例えばどこと国境が隣接しているか)や、その国が誇らしく・或いは苦々しく思い出し、しかも広く国民が共有する歴史(特に、危機についての)によって、否応なしに刻み込まれてきたもの。
そして、これこそが本書の存在意義だと思うが、渦中にいると置かれた危機環境には気付きにくい!
日々わたしたちは、あまりに頻繁に危機感を煽られ続けている。
常に日本は変革が急務だし、深刻な問題に囲まれてて、でも他の国家も同様にいくつもの大きな問題を抱え変革を迫られているように見える。コロナ前は全人類共通の危機への実感が希薄だったし、それじゃわたしたち日本人の状況はどの程度ヤバいのかなんて認識する機会もなかったと思う。
本書の客観的事実や比較によって、日本がまさに危機、ヤバい状況らしいことが認識できる。対応すべき方向性も示唆される。
良薬口に苦い、グローバル版『シン・ニホン』といった印象。 -
Posted by ブクログ
下巻は、過去のドイツとオーストラリア、現在の日本、米国、世界について書かれている。
ドイツと日本の第二次世界大戦の反省の仕方について比較されているが、なぜドイツが反省できたかについて書かれていない。第一次世界大戦ではドイツは反省できなかったので、そこが重要だと思うのに。
第二次世界大戦ではユダヤ人虐殺という明らかに悪者にできる対象がいたこと(悪いのは国としてはドイツだが、ナチスが悪で自分はそうではない、ナチスのやったことを明示して後世に活かす、と考えることができる)、フリッツ・バウアー(ドイツ系ユダヤ人の法律家)「ドイツ人はみずからを裁くべし」で「ごくふつうのドイツ人も追求の対象」にし、国民にふつうのドイツ人も自分の信条で犯罪を犯したことを白日のもとに晒したことが大きかったと思う。
一方の日本は、宣戦布告をしなかったのは非常によろしくないが、ほかは他国もやっていることをやったという認識であったろうと思う。一般国民からしたら、戦争に負けたから裁かれた、もしくは軍部に従っただけというところに落ち着いてしまう。
また、軍部から差別・虐殺された大集団はなく、戦後にバウアーのように軍部や末端まで裁こうとするものがなかった。
中国、韓国への謝罪として、田中角栄や昭和天皇、村山富市、橋本龍太郎など繰り返し行ってきたが、「反省していない」といわれると、なにをしたらいいのかと思う。著者がいうように、ひざまづいて許しを請えば納得してもらえるのか。草の根での対話をしていかないとわからないと感じた。
教育・展示については、被害者側としての教育・展示だけでなく、加害者としての教育・展示をしていく必要はあると思った。
オーストラリアについては、想像以上の白人至上主義から、思わぬ理由で路線変更されていったことをしり、とても興味深かった。
米国については、トランプ政権や2020年の大統領選挙で感じたことが書かれていた。
教師の待遇と教育水準については、他国ながら危機感を覚えた。
世界をまちうけるものとしては、背筋が凍るようなシナリオが提示されていて、見た目の穏やかさを真に受けてはいけないと感じた。だからといって、なにかできるかというと難しいが。
歴史書を書くことについて、「今日ほど字の読める人が多い時代はない」というのは確かにそう。「歴史から学びやすい時代である」ことを活かさなくていはいけない。 -
Posted by ブクログ
「国家的危機の帰結にかかわる要因」の12項目を、第1次世界大戦や第2次世界大戦当時のフィンランド、明治維新の日本などに当てはめて、どう対処していったかを検証している。
フィンランドの例を読んでいてとても辛かった。他国の支援がない中で、多大な犠牲を発生させながらも、よく生き残ったと思う。
危機を世論が認識して合意するということが大事であるが、とても難しい。
現在の日本が、まだ直面はしていない国家存亡の危機に際したとき、あるいはその気配を感じたときに、どうなるかは心配でいっぱい。
世論が自分ごととして考え、行動できるか、政府や首長が世論をまとめられるか。少なくともそのとき、対立を煽って人気だけ得ようとしているリーダーがいないようにしておかないといけない。 -
Posted by ブクログ
危機に対してどう対処したのか?を上巻では個人、国としてはフィンランド、日本、チリ、インドネシアを挙げて物語としている。
気になったのは、やはり「日本」で、鎖国からペリー来航による危機に当時の日本人たちがどう対処したのか。そして、そこから領土拡大に向けてとった舵取り…
脅威に対して、各国に優秀な人材を送り込まれて学んだリーダーたちだったか、そう言う経験をしなかったリーダーたちだったか。
「公正な自国評価を行うための知識や能力に違い」とな。
外圧に対しての対処は良かったが、たかだか20年くらいで領土拡大の流れになって、第二次世界大戦の敗戦まで…
歴史物は、書いた人の主観が強く出るから読後感は色々有りそうだけど、近代日本史に興味がなかった自分としてはなかなか面白く読めた。
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原題は「Turning Points for Nations in Crisis」。大きな転換点としての「危機」(危ないことによるきっかけ、機会)に対して、近代国家がどのような決断をし対処してきたか、著者が長期に渡って住んだり現地語による直接的な体験を通ずるなりして理解の深い世界の七か国(フィンランド、日本、チリ、インドネシア、ドイツ、オーストラリア、アメリカ)での事例をあげて比較論的に叙述している。
上巻は個人的な危機を叙述した第1章から始まり、国家的危機としては第2章から順にフィンランド、明治日本、チリ、インドネシアの例を挙げる。危機の要因としてもいくつかあり、他国からの圧力(フィンランド、明治日本)、国内政治の激変(チリ、インドネシア)、ゆっくり進行した変化による危機(ドイツ、オーストラリア)などのタイプがある。