松本礼二のレビュー一覧
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『マキァヴェッリの独創性』『ロシアインテリゲンツィアの誕生』と連を為すバーリンの著書。
表題作の他、フランス革命期の思想家ジョセフ・ド・メストルについて、及び19世紀〜20世紀初頭のフランスの思想家ジョルジュ・ソレルについて書かれている。
本著では全編に渡り、デカルトとヴィーコの時代に端を発し今日に至るまでのヨーロッパ思想史において、ほぼすべてを語ると言っても過言ではない、「啓蒙と反啓蒙」の対比について述べている。
伝統的な宗教指導者による統治に対して、人間の価値を説き市民の権利確保を目指したはずの民主主義は、議会制民主主義という形式に至ることで、「人間の尊厳に対する我慢のならない侮辱」と -
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全4巻の最終巻である本巻では、自由と平等についてのトクヴィルの省察が理論的に深められるが、その核心的なエッセンスを列挙すれば以下の如くである。
★平等な社会は人々の境遇を不安定にし、虚栄心を蔓延させる。
「デモクラシーにおいては、境遇の変化が大きいので、人々の特典はほとんど常に獲得して間もないものである。・・・そのような特典はいつ何時失われるかも知れないので、彼らは警戒を怠らず、特典をまだ有していることを見せびらかそうとする。・・・民主的国民の執拗であくなき虚栄心はこのように境遇が平等で壊れやすいことに由来する」(p114)
★平等が進展すればするほど、些細な不平等に人は敏感になる。
「人 -
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『アメリカのデモクラシー』は1500頁に及ぶ大著であり、時間のない人のために全四分冊のうち一冊選ぶとすれば、躊躇なくこの第2巻上を奨める。第1巻で提起された自由と平等のパラドックスが文明論的に掘り下げられ、トクヴィルの最も独創的な思考が凝縮されている。平等の進展がいかにして多数者の専制あるいは自発的な隷従に結びつくかが多面的に考察されている。
各人の諸条件が平等になれば、社会の固定的な障壁は取り払われ、人間関係は流動的になる。人々は孤独に耐えられず、自分を導いてくれるものを探し求める。そこで拠り所となり易いのは「世論」であり、新聞が有力な社会的勢力となる。また人々の紐帯が弱まることが専制政治 -
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第1巻下では本書の中心テーマである「自由」と「平等」のパラドクスが本格的に論じられる。トクヴィルは民主主義の基本的な価値観を「平等」とみる。これはフランス革命が掲げた三大理念の一つだが、「平等」の進展が社会における「自由」の基盤を侵食することへの危機感がトクヴィルに本書を書かせたと言ってよい。革命は「平等」を希求して王権を打倒したが、実は王権こそが「平等」の推進者であった。王権は中央集権化をはかる過程で、大方の貴族階級と彼らが構成する中間団体の特権を剥奪し、王権という頂点を除いて、かなり「平等」な社会を革命以前に既に実現していた。このことを看破したのがトクヴィルの今一つの名著『旧体制と大革命』
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一度に全て理解するのは難しいので数回読もうと思う.
特に最後の章には国民としてどうやって政治に関わっていけばいいかということに関して参考になるものが多かった.
政治は「可能性の束」. ありうる可能性について一通り考えてみるのが大事.
国民が政治不信に陥り政治に不参加でいるということが政治にも影響を与えている. それによってさらに統治者側の思い通りになり政治が腐敗するのを促しますます政治不信が蔓延ってしまうという悪循環.
政治不信・無関心であることが政治に参加しない理由にはならない. 個人的にはまだまだ政治について無知ではあるが無知であるなりに政治に向き合い続けるようにしたいと思った. -
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1947年の日本政治学宣言とも言うべき巻頭「科学としての政治学」から、50年代の政治学関連諸論考を集めたもので、かなり読み応えがあった。
丸山さんの主張に対してはいろいろ反論もあるようだけれども、歴史上日本において、国の主権そのものを論じる余地がなかったのは確かだろう。明治になって少しその可能性が出てきたと思ったら、見る見る絶対主義国家化して自由な言論は封じられた。
ようやく「政治に関する自由な議論」が可能になったのはようやく敗戦後のことだ。そもそも「国家」という概念が、明治より前には、一般庶民には縁遠かったのではないか。
しかしいかに無関心であろうとも、現代人のあらゆる生活状況はすべて「政治 -
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最終巻。
デモクラシーと中央集権、専制についての警告が現代にも通じるところがあるように思えた。
地域共同体などの中間団体がなくなることの危険性やそれらをどんどん無くそうとしてしまう民主的人民の傾向についての分析はいまも変わらないのではないかと思った。
政治活動というと選挙と投票くらいのものしか思い浮かばなくなっている私なんかはトクヴィルからみたらナンセンスなんだろうと思う。
またデモクラシーの時代こそ、仕事や生活は忙しくなるが精神的な変化は停滞するという分析もハッとさせられた。
確かに世論が強くなるにつれて、一度抱いた誤った信念などは中々変化しないように思える。
1巻と2巻長かっ -
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デモクラシーの時代に訪れる恵みや危険について色々と分析しており面白かった。
一般観念という概念自体を問うことに衝撃があった。
境遇の平等が進んで私たち人間という意識が生まれなければ人間一般とかの概念で語ることはなかったという分析。
さらに平等という概念を擬人化して語ることも許されるようになったと言ってる。
貴族制の時代では個別具体的な話を細かくすることはあっても人間存在一般という観念が語られることはなかったという分析で面白かった。
トクヴィルはデモクラシーの時代において宗教が重要であると何度も説いているのが印象的だった。
これは平等の時代における個人主義化の加速や何でも自分の理性で考える -
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私の読解力が低いので、下巻のアメリカの国民を分析している章を読んでようやく、本全体はアメリカに根付いたデモクラシーを分析していたことに気づいた。
それはともかく、第10章の当時のアメリカ自体の分析は面白かった。
ネイティブアメリカンやアフリカ系アメリカ人に対するイギリス系アメリカ人の扱いを外国人の視点だからか容赦なく冷静に分析していた。
もちろん当時なりの差別意識や文明人が優越しているみたいな意識はあるので無批判に受け入れられないこともある。
ただ、奴隷制度などの問題に対する分析は鋭いと思う。
法制度の問題ではなく習俗の問題になっているから、奴隷を解放しても問題は無くならないという分析には驚 -
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難しかった。
アメリカにおける民主主義の制度や人々の特徴についてさまざまに書かれている本。
意外だったのは著者が人々の同質性をなんどもとりあげていた点。
資産状況のみならず、知識などにおいても同質な人々が集まっていたからデモクラシーが成立していると分析しているようだった。
また、地方自治の重要性やそれを支える制度と地域共同体の強さについても強調されていたことは勉強になった。
民主主義というと一人一票とか選挙にいくことの重要性ばかり重要視されるが、そもそもの人々が平等でなければならず、自主的に地域の事柄に取り組む精神がなければならないのだということを考えさせられた。 -
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まとまり。弱肉強食の国際情勢。生まれたばかりの中堅国アメリカ。各州ばらばらだと、足並みの乱れを突かれて、列強の餌食になる。連邦政府の強化と、州の主権の廃棄が必要だ。アメリカ人は同じ祖先・言語・宗教・統治原則を持っている。よく似た習俗と慣習を持っている。ただし連邦政府を強化しても個人の自由は守られるべきだ▼多数派による専制を防ぎたい。直接民主政は多数派による少数派への圧政につながる。個人の生命や財産が守れない。そこで代議制を採用し、優れた人間に統治を任せる▼立法部(議会)の暴走を防ぎたい。大統領に拒否権を与えて、議会に対抗する力を持たせる。裁判所に違憲審査権を与えて、議会の暴走を防止。互いに権力