藤井省三のレビュー一覧

  • 酒楼にて/非攻

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    魯迅はポップである。中国近代文学を代表する作家だから、日本の近代文学者もそうだけど、古くさいイメージがあったのだけど、むしろ村上春樹とかの現代文学の空気の元祖として考える方が、正しいのかも知れないと思った。

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    2012年10月27日
  • 故郷/阿Q正伝

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    中学(高校かも?)の国語の授業で登場した魯迅の「故郷」。
    まさかこうしてここでめぐり合うなんて・・・。

    新訳とあって、こうも変化するとは思わなかった。イイ意味で。
    読んだことのない小説を読む如く、みずみずしさが残る。

    本書はその「故郷」を含んだ魯迅の短篇集。
    有名ところの阿Q正伝、狂人日記なども収録されており、当時の中国の背景、日本との関係も踏まえて、小説を通して垣間見ることができる。

    革命だのなんのと時代が揺れうごめく中に、筆者が感じた痛烈な批判的な要素も含んでおり、救いがないような作品の中にも、今後の「良い未来」として変えていかなければいけないといった思いも託された作品が多い気がした

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    2012年01月26日
  • 故郷/阿Q正伝

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    内田百閒の随筆のような印象を受けた

    どうしようもない人、出来事を淡々と描写していく。いつでも、どこでも、こんな人達はいるんだろうなーって思わされる
    日本の事も書かれていて、微妙な距離感を感じた

    魯迅は人中心で描くが、内田百閒は人も出来事も描く

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    2012年01月01日
  • 魯迅 東アジアを生きる文学

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    本書の後半は、中国、日本、韓国での魯迅受容について紹介されており、それがやはり貴重で、面白かった。
    中国では魯迅は革命の精神を体現する作家として神格化されている。
    これは個人的には既に聞いたことがあること。
    「故郷」は、「こんなに人民を考えてくれた作家がいたとは」と、感動的な作品として読まれている、と。
    本書から知ったのは、そういう中国では、特に若い女性の魯迅離れが進んでいるということ。
    思想教育的な要素が敬遠されているとの由。
    中国の表の顔と裏の顔を見た気分である。
    現在では「個性的読み」の試みが始まっているという話も紹介されていて、今後、中国でのスタンダードな読みはどう変わっていくか、興味

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    2011年11月16日
  • 故郷/阿Q正伝

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    ネタバレ

    魯迅がここまで面白いとは!
    でもあとがき曰く、翻訳者の友人の高校教師は「この訳だったら教科書には載らない」と言ったとあったので、この面白さは新訳のおかげかもしれない。
    阿Q正伝が短編だったことも知らなかった。
    読まずに人生を損していた!

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    2011年11月13日
  • 中国見聞一五〇年 生活人新書セレクション

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    [ 内容 ]
    高杉晋作から大江健三郎まで、中国に深い関心を抱いて現地を訪れた日本人は少なくない。
    幕末からの一五〇年間、日本人は中国とどうつき合ってきたか―。
    今、ビジネスパートナーとして注目を集める中国の近代史を、現地に足跡を残した日本人約二〇人の見聞を通して読み解く、まったく新しい中国理解のための入門書。

    [ 目次 ]
    高杉晋作―「租界都市」上海の繁栄と外夷の影
    血脇守之助―天津、有力者の胸襟を開かせた歯科治療
    後藤新平―「生物学の原理」にもとづいた植民地台湾経営
    夏目漱石―列強に追随する日本への疑心
    清水安三―北京、魯迅との交友
    吉田茂―張作霖との会談、満州特殊権益を拡大せん
    川喜多長

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    2010年07月01日
  • 故郷/阿Q正伝

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    ネタバレ

    ☆つけるのは烏滸がましい気がするから3にしておく。
    故郷が好き。故郷で貧困にあえぎつまらない大人になってしまった閏土と、故郷を離れ役人となった自身の対比。かつて友人だった彼らは彼らを取り巻く問題によってもはや友人ではなくなってしまった。閏土は私に対して畏れともとれるような感情を抱くようになってしまった。私は役人の地位に慣れてしまったのか親しく付き合うことの許可を出しもしない。当時の中国の片田舎ではそれが当たり前なのかもしれないが、私の立場に立たされたとしたら自分だったらそうすると感じた。私は閏土の現在の姿をみてあきらめてしまったのだろうか。それでも息子たちはかつての閏土と私のように親友となった

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    2025年09月18日
  • 傾城(けいじょう)の恋/封鎖

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    最近ハヤカワ文庫から出た『半生の絆』の内容が少し気になっていたので、その前に本書を手にとってみた。中華圏ではとても有名な作家(魯迅と並ぶとも)だけど、日本ではほぼ知られていないとのこと。舞台は約80年前の戦中の上海や香港。表題作の傾城の恋/封鎖どちらとも戦時下での恋愛結婚の話で、それらに対する価値観も出てくる。そこで交流のあった中華圏の友人の顔が浮かんだ。今現在の中華圏でも女性から男性に求められる結婚の条件として「家はある?車はある?お金はある?」が多いと言っていたのを思い出した。" 西洋式婚姻の愛情は自分で創り出すものだが、中国式婚姻の愛情は身分が創り出すものである。"と

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    2025年05月06日
  • 眠れる美男

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    過日、川端康成が描いた『眠れる美女』のオマージュとして、高齢女性の性を描く意欲作と書かれれば、それは読みたい気もしてしまう。ただ、2020年の作品とはいえ、どことなくストーリーの古臭さや、手垢のついたテーマだと感じてしまうのは、慣れない翻訳文体だからなのか、台湾というお国柄の違いなのか、または時代の移り変わりの目まぐるしさからなのか。

    作中ヒロインの殷殷夫人が思い悩むあれこれというのは、現代日本では(個人的な差はもちろんあるが)もっと能動的に、あるいはもっとあっけらかんと、乗り越えられている現状があるのではないか、なんてことを思ったりもした。

    (もしや、文学だけがこの分野から取り残されてき

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    2025年01月19日
  • 故郷/阿Q正伝

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    「故郷」「阿Q正伝」「狂人日記」あたりは読んだように思うが、初めてのような感覚。「故郷」幼なじみに抱いていた印象は、年を経て再会すると、そのギャップに愕然とする。子が今の自分と同世代になった時に違った社会になっているだろうかと懸念しつつ。。「阿Q正伝」お人好しの阿Qが誤解により処刑されるに及び思うことは。見物人の群衆心理。恐ろしくも悲しい。2024.11.30

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    2024年11月30日
  • 故郷/阿Q正伝

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    漫画版で概ね流れを把握した上で読みました。
    ある程度予備知識を持った上で読みたい本です。
    なぜなら、魯迅が何の意図を持って作品を構築し、伝えたい事考えながら読まないと最後は「?」で突然終わりを迎える話が多いと感じたからです。
    阿Q正伝では「精神的勝利」に囚われた阿Qを通じてあらゆる事象を受け入れる精神状態の異常さ。
    周囲の人間たちが首切りを見に来たが銃殺だった際の反応の方向性の異常さ。が印象に残りました。

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    2024年03月30日
  • 故郷/阿Q正伝

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    「故郷」からは自らのエッセイ風としての瑞々しさ,「阿Q正伝」は自らとは違う者の悲劇的展開の技術が見出せる。なお,Bokklubben World Libraryには,本短編集の変わり種である「狂人日記」が選出されていた。

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    2024年02月28日
  • 故郷/阿Q正伝

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    学生の頃教科書で読んだ時はあまりおもしろいと思わなかった魯迅
    中国史や中国語を勉強し始め、中国の時代や文化に少しイメージがついてから読むと、心にぐっときました。

    清朝末期から中華民国へ。
    いつの世も時代の転換期は厳しいです

    「故郷」にでてくる、コンパス!
    中高生の頃?に読んで印象的だったのを数十年の時を経て思い出しました

    訳者あとがきの翻訳に関する文章がとても興味深く、私もいつか中国語で読めるようになりたいなと思いました

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    2024年02月26日
  • 魯迅 東アジアを生きる文学

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    ネタバレ

     中学校の国語教科書で『故郷』を読まれた方も多いだろう。日本で広く親しまれている魯迅であるが、中国はもちろんのこと、東アジア各国において様々な「読み」がなされてきた。本書では、前半で豊富な資料に基づいて魯迅の生涯を語り、後半で彼の作品が東アジア共通の「モダンクラシック」として受容されてきた歴史を明らかにする。

     1章から7章は、正直なところ、『故郷/阿Q正伝』(藤井省三訳、光文社古典新訳文庫)の解説を少し詳しく書き改めたバージョンという感じがする(尤も、これは寧ろ古典新訳文庫の解説が、そのような印象を抱かせるぐらい充実しているのだと評価するべきだろう)。とはいえ、多くの資料・文献を引きながら

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    2023年08月25日
  • 故郷/阿Q正伝

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    ネタバレ


    魯迅 故郷

    中学生の時に教科書に載っていた小説で、
    大人になってからもう一度読みたくなり購入。

    短編集なのにこれしか読まないからずっと積読。


    子供の頃と大人になってからでは

    見える景色がまるで変わってしまう。


    わびしい気持ちに浸かってしまう、でもそれたまらなくが良い。

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    2022年11月19日
  • 故郷/阿Q正伝

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    中国を代表する作家って、どんな感じなんだろうと思って購読。代表作である「狂人日記」「阿Q正伝」のほか、短編が収められている一冊。どの本も、一般大衆の愚鈍さ、未開さ、卑屈さなどがこれでもかというほど描かれている。それを、都会を経験したものが冷ややかな目で見たり、狂人扱いされている男が警戒しながら描いたりしているが、その本人も、その性質を持っている。自己矛盾や葛藤に加え、日本人にもありがちな自虐性が垣間見え、何やら共感めいたものを感じる。魯迅の作品は、日本の含む東アジアでよく読まれているようだが、この精神性を理解しやすいからなのかも。

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    2021年11月09日
  • 酒楼にて/非攻

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    悪くないが、期待したほどでない。当時の魯迅が置かれていた状況をよく理解していないと、十分には楽しめないのかも。

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    2021年08月16日
  • 故郷/阿Q正伝

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    なんかねー、こう、蟹工船的な、もしくはレミゼ的な匂いがね、するよね…貧乏ってつらい。
    ただこちらは革命が理想も信念もなく、美しくもないところがリアルで好感が持てる、私には。
    かろうじて共感できるのは『藤野先生』、面白かったのは『吶喊 』の自序と『狂人日記』。

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    2021年03月28日
  • 傾城(けいじょう)の恋/封鎖

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    中国出身の友人に勧められて読みました。
    当時の中国の社会背景などが分からないので、堪能しきれないところもあったかもしれません。とはいえ、不安定な国の状況や戦争などの影響でラブストーリーも直球とはいかず、今あるこの状況はいつ壊れてもおかしくない、甘くない現実も目を逸らさず見ないと生きてはいけないという登場人物=作者の心情がひしひしと伝わってきたように思います。

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    2019年02月06日
  • 故郷/阿Q正伝

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    最近この光文社の古典新訳が気に入っていまして。
    今回は魯迅。昔いつかの教科書で読んだ気がしますが
    正確にはおぼえていませんでした。
    有名なところでは、
    「阿Q正伝」「故郷」「狂人日記」・・
    「故郷」は内容を少しだけ覚えていて、どこかで読んだと
    思います。たぶん、何かの教科書だったような・・・

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    2016年10月28日