あらすじ
離婚後、没落した実家に戻っていた白流蘇(パイリウスー)。異母妹の見合いに同行したところ英国育ちの青年実業家に見初められてしまう「傾城の恋」。封鎖中の路面電車のなかでの男女の行きずりの恋を描いた「封鎖」。占領下の香港と上海が舞台の恋物語と自伝的エッセー「戦場の香港」ほかを収録。
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Posted by ブクログ
淡々としつつ雅な文体
アジアの小説にハマっているので、中国文化の端っこに触れることができておもしろかった。
淡々としているけれど雅、というのはご本人の技量やスタイルであるのはもちろんのこと、上海という土地の影響もあるのではないかと思った。
Posted by ブクログ
張愛玲。中国の作品に興味がなかったワタシが梁朝偉を大好きになって世界が広がったタイミングでこの作家を知った。こつんこつんと心のどこかをずーっと叩かれたいるみたいな文章だと思う。好きな気持ちだけじゃ愛は獲られないんだよねーってわかるわかるって思うような。そしてエッセイにしても、家族の重さみたいのがあってそれも考えさせられる。同じアジア圏だから余計にそう感じるのかもしれないし、女の人の気持ちだからかもしれないし。世界って本当に偶然と必然のバランスで出来ていると思う。他の作品も読んでいきたい!!
Posted by ブクログ
ボキお子ちゃまだから……昼ドラやん?という印象がつおい。が、表題作前後のエッセイに痺れ、その順番に感嘆しとるので、オトナモードに切り替えできたタイミングで読み直したいと思います。
Posted by ブクログ
最近ハヤカワ文庫から出た『半生の絆』の内容が少し気になっていたので、その前に本書を手にとってみた。中華圏ではとても有名な作家(魯迅と並ぶとも)だけど、日本ではほぼ知られていないとのこと。舞台は約80年前の戦中の上海や香港。表題作の傾城の恋/封鎖どちらとも戦時下での恋愛結婚の話で、それらに対する価値観も出てくる。そこで交流のあった中華圏の友人の顔が浮かんだ。今現在の中華圏でも女性から男性に求められる結婚の条件として「家はある?車はある?お金はある?」が多いと言っていたのを思い出した。" 西洋式婚姻の愛情は自分で創り出すものだが、中国式婚姻の愛情は身分が創り出すものである。"と 当時の中国知識人が言っていたというのだから(解説より)、根強く残っているなあとぼんやり。
「戦場の香港」という自伝的エッセイでは学校先生とか弁護士助手とかが食べ物売りに転職し、自動車店は食堂に転業したとか、戦時下での市民の右往左往がわかる。