佐竹アキノリのレビュー一覧
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気づけばもう6巻まで出ていて、あっという間だった。
今回も風見先生の患者さんと向き合う姿勢や、後輩医師を温かく見守りながら育てる姿が印象的だった。医師としてだけでなく、一人の人間として本当に尊敬できる存在だと思う。もし自分が患者なら、ぜひ診てもらいたいと思える先生だった。
朝倉夫妻は一時はギクシャクしていて心配だったけれど、お互いに向き合い、関係を立て直せたようで安心した。
作中で特に心に残ったのは、「治す」という言葉の意味について。「病気を治す」のか、「元の体に戻す」のか――そんな問いが投げかけられていた。もちろん元の体に戻れるのが一番理想だけれど、それが難しい場合でも、その人らしく生活できる状態まで回復し、病気と向き合いながら生きていけることも「治る」の一つなのかもしれないと考えさせられた。医療の奥深さを改めて感じた。 -
Posted by ブクログ
医師作家9人によるアンソロジー作品。
どの作品も50頁程なので、スピード感がある。
研修医 精神科医 救急医療 現場医療 研究者 認知症等 医療1つとってもジャンルが違い、心理描写の加減に手に汗握ってハラハラしたり、淡々と読み進めたり、一冊で何度も美味しい読み応えのある本でした。
医師(著者)が実際に経験しているであろうリアリティがそこにある。
認知症対応を生業としている身としては、何度も見た光景で「あーー大変さの中に、いくつも希望が見いだせるんだよ」「怒ったらダメダメ」と逆の意味でハラハラさせられた。
現代はサービスが揃っているので、抱え込まず使える手段を利用していくのがお互いの心の安定を図るが、未だに長男が!とか、嫁が!とか他人事の様に話す親戚がいるのも事実。
「介護者は生き方を選べないのか?」に胸つまされる。
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Posted by ブクログ
前巻から、少し間が空いてたため
研修医四人の人物像がハッキリと思い出せなかった。
間が空く時は、簡単な登場人物像が書かれてるとすごい助かる。
空知総合病院、一体どこを舞台にしているのだろう。
物語よりも、そっちが気になる。
知ってる地名が出てきて、行ってみたくなった。
研修もいよいよ終わりに続く中、最後の研修先でいろいろ学んで成長していく。
研修医四人の中の二人が交際。
いいことだが、できすぎた話だな…
癌で療養病院に行った方がいい少し横柄な高齢の鞄職人の患者さん
他の患者さんがリハビリしないで転院したいと言う患者に出てけと言う。
でもそれは、最後の注文の鞄を作らなきゃいけないからとリハビリして自分を鼓舞するためとリハビリしたら治る見込みのある患者を羨ましく思う思い。
鞄作りを目標としてたのだが、お客さんに注文取り消され、リハビリもしないで病院を移ると言い出した時に研修医が私がその鞄を注文するし作り方を教えてくれと頼む。
最初で最後となった、鞄職人の弟子となった研修医のエピソードがよかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ新米研修医が気づいた真実、引きこもり患者を救う精神科医、無差別殺人犯への緊急手術、友人の脳腫瘍に向き合う脳外科医、深夜の出産に奔走する医療チームなど、医師作家9名がそれぞれの知識と経験をもとに描く医療小説アンソロジー。
医療小説としてのドラマ性だけでなく、診療の段取り、医師同士の距離感、病院という組織の空気、患者や家族とのすれ違いが自然に描かれている。医療者が読むと「わかる」と思う場面が多い。
使命感、判断力、患者を助けたい気持ち。
一方で、自己正当化、権威性、論文や業績への欲、組織内の空気の悪さ。
医師という職業を美化しすぎず、かといって冷笑しすぎてもいないところが読みやすい。
精神科、外科、脳外科、産婦人科、内科的な視点など、作品ごとに医療の切り口が違う。1冊で“医療小説の総合病院”のように読める。
特に「闇の論文」と「空中テント」がよかった
「闇の論文」は、医療者なら笑えないリアリティがある。論文、名誉、組織、倫理の境界がじわじわ不穏になる感じが印象的。
「空中テント」は、認知症の家族の介護問題を忠実に再現していると思った。診断がくだったときに「当事者としての自覚をもつように」と言われてもピンときていなかった主人公が、その本当の意味に気づくまでの家庭がリアルだった。
「魚類譚」は少しホラーっぽい不穏な感じ
「研修医ヒナノの洞察」「救いたくない命」「春に綻ぶ」「峠を越えてきた命」ドラマになりそうな感じで好き。 -
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定年後勤めだした仕事が少なからず医療に関係しているので、一つ現役医師の小説家が書いた小説を読んでみようと思い、手始めに新潮文庫にある『夜明けのカルテ』という9人の医師小説家の短編を集めたアンソロジーを読んでみた。収録されていたのは下記の作品である。
牛島志季『研修医ヒナノの洞察』
朝比奈秋『魚類譚』
春日武彦『パイナップルのある光景』
中山裕次郎『救いたくない命』
佐竹アキノリ『春に綻ぶ』
久坂部羊『闇の論文』
遠野九重『言葉が消えるまえに』
南杏子『空中テント』
藤ノ木優『峠を超えてきた命』
それぞれ主人公が外科医だったり産婦人科だったり研究職だったり患者を抱える家族だったり。自分に身近な問題が扱われていたり、医療関係者だからこそ書き込める医療用語が出ていたりすると、読む側としても気が引き締まる。研究職を経験したことのある自分にとっては『闇の論文』に興味を持ったが、一番印象に残ったのは救いたくないのに医者と言う立場ですく若くてはならない『救いたくない命』だった。これを機に、医療小説をまとめて読んでみようと思っている。