福澤一吉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
テスト設計コンテストの審査員を4年間実施してきました。
応募作品のレベルは上がり嬉しい限りなのですが、一方で、「テスト要求分析では『テスト観点』をマインドマップを描いてたくさんあげればよい」「テストアーキテクチャ設計では見つけた『テスト観点』を意味的、あるいは、テスト対象のアーキテクチャに沿って階層化し、段取り的に前後関係を整理すればよい」と考えているっポイ作品が増えてきてとても残念に思っています(審査員目線=上から目線ですみません)。
1年前はこの現象を「テスコンを通じてテスト開発方法論が生まれつつあるのでは!?」とむしろ喜んでいたのですが、応募作品を読み込むと、「形式的に真似っこ」しているんじゃないかという疑惑が膨らんでいます。
そもそも、テストの前工程(分析や方式設計)をしっかりしようということの意味には、〝テストの説明責任。テスト説明力の向上〟もあったはずです。
ひらたくいうと「このテストで必要十分である」という説明力の向上がテストの前工程を充実する大きな目的の一つと私は考えています。
そういう目で審査しますと、
・この『テスト観点』で必要十分であること
や
・この『テストアーキテクチャ』で良い理由
がしっかりと書いてあるものはまれです。
これでは、テスト開発方法論の進化が止まってしまいますし、張り出されたテスコンのパネルを見ても「うちでは使えない」という声が出る(実際聞いた)のも当然でしょう。
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で、本書です。
本書では、トゥールミンモデルに基づき、主張と根拠と論拠というフレームワークで〝よい議論に必要なこと〟の解説をしています。
テストで言えば、「これらのテストに合格したらテスト対象の品質は良い」というのが主張に当たります。
よい議論をするには、その主張が正しいことの根拠をしめす必要があります。例えば、「【ISO9126の6つの品質特性に基づいたテストスイートを作り】そのテスト結果(=エビデンス)がすべて○であるから」といったものです。
根拠の前半の【……】部分が論拠(主張とデータを繋ぐ論理)で、後半のエビデンスがその証拠となるデータです。
「説明力」ってテストエンジニアが持つべきスキルだと思うんです。というのは、無限に存在する振る舞いの中から有限な(少数の)テストケースを開発して「これがパスしたらいいんだ」と言い切るのがテストエンジニアの大きな役割の一つと考えるからです。
ですので、テストエンジニアは、まずは、本書のような議論のルールを勉強すると良いと思いました。いや、かくいう私も、目からウロコの内容もあったので、反省なのですが、、、。 -
Posted by ブクログ
見開き左ページに文章、右ページに図解と、わかりやすい構成でした
どうして論理的に説明できないのか
① 考えていることを何も加工せずに、そのまま言葉にしてしまう
② 主張を言いっ放しで終わること
③ 論証において重要な条件や前提などが、暗黙の了解として隠されていること
## 論理とはなにか
- 論理とは、語と語の関係性のこと
-論理的であるには、その語と語の関係性に敏感になっていく、それをていねいにつなぎ、追いかけていくという心構えが何より重要
- 接続詞を強く意識することは、論理的であることの助けになる
## 論証とはなにか
-「なんらかの理由」が示されていて、その理由をもとに「何らかの結論(または主張)」が出されていれば、それは論証と呼べる
- 論証の一般的な形式ー>「根拠、だから、結論」
- より受け入れられやすい主張を根拠にする
- より受け入れられやすい根拠とは、「経験的事実」
- 根拠を経験的事実として提示することが大事
論理的な質疑応答の方法
- 質疑応答に関する6つのスキル
①前置きをせず、質問は簡潔にする
②まず相手の発言の中心に触れ、次にその発言について返答する
③相手への質問と自分の主張を同時にしない、質問は論証形式にしない
④相手に対する自分の質問内容を覚えておき、その質問に相手が答えているかどうかをそのつど確認する
⑤自分は相手の意見に賛成なのか、反対なのか、異論を唱えるのかを明確にする
⑥自分の質問は実態調査タイプか、仮説検証タイプかを知る -
Posted by ブクログ
「13歳から」とあるが、その年齢を読者として想定している雰囲気はあまり感じられない、悪い意味ではなく。
論証について学ぼうとする人にとって、知っておくとよいことを集めた本だと思う。
著者の本は何冊か読んできて、勉強させてもらってきた。
最後に読んだのは『論理的思考 最高の教科書』(SB新書)。
これについては、ちょっとがっかりしたという記憶が残っている。
本書は、その『論理的思考~』を改訂した本とのこと。
ちょっと警戒しながら読み始めた。
第2章の接続詞までは、悪い印象があまりぬぐえなかった。
(石黒圭さんの『文章は接続詞で決まる』光文社新書当たりの方がためになる気がする。)
演繹と帰納の区別を接続詞だから・つまりに絡めてさらった後、帰納法の四種類(枚挙型、プロジェクション、類比、アブダクション)を掘り下げ、「議論平面」という話に進む。
対象そのものについて言語化する対象言語レベルと、それを批評的に言及するメタ言語レベル、さらにそのメタ言語を批評するメタメタ言語レベル…と無限に後退することができる。
レベルを違えたまま議論をするとすれ違うので、どうするかというと、接続語に気をつけることと、理論語(定義や説明が必要な語)と観察語(じかに観察できる対象や性質を示す語)の違いに敏感になることを挙げていた。
ちなみに、あとがきによると、この辺りは前著を加筆した部分なのだそうだ。
そうね、と思いつつ、自分が議論をしている中でそこまで判断できるかと不安に思ったりもする。
仮説演繹法は前著にもあったようだ。
すごく大切な考え方だということは理解できた。
前に読んだときより、頭に入ってきやすく感じたのはなぜだろう?
ちなみに、第6章の推論の誤りのところも今回加筆されたところであるとのこと。
前件否定、高件肯定などの誤りについての説明はとても分かりやすかった。
「誤った二分法」は、そういう名前こそ知らなかったけれど、まあ実生活でも見聞きする誤謬。
でも、「滑りやすい坂論法」と4個概念の誤りは今回初めて知った。
最後はバイアスの話と、因果関係と相関関係の話。
バイアス=悪という考えもまたバイアス、というところが面白かった。
ここは他の著者の本でもよく取り上げられる内容なので、わりとすんなりと読み進めた。
筆者独自の「羹懲りバイアス」に囚われず、『論理的思考 最高の教科書』で懲りなくてよかった。
ただ、編集者さんが気づいてほしい明らかな誤りが。
p84④の解説文は、⑤の内容になっている。
練習問題の解答に誤りがあると読者としては不安に駆られる。
あとは、p241「ストレスからの開放」とある。
一般的には「解放」だと思うのだが、心理学ではそのような言い方があるのだろうか? -
Posted by ブクログ
ネタバレ▪️序章
1)日常のやりとりからよりフォーマルな議論へ
・裁判官の会話と今日のお昼決めの会話。論証の形式は一緒だけれど、根拠から主張への飛躍の大きさ、隠された根拠の推定が困難という2つの違いがある。
・フォーマルな議論とは、根拠の適切性、根拠から主張への飛躍が大きくないこと、隠れた根拠の明示が必要に応じて要求されるもの。
▪️入門編
1) ルールとは何か
・自分の発言が論証の形をとっていることが基本ルール。主張があり、それを導くための根拠があり、さらに隠れている根拠が提示されれば最高。
また、根拠の適切性、根拠からどのようにしてある特定の主張が導かれたのかの導出の妥当性についても吟味することもルール。
2) トゥールミンの議論モデル
・隠れた根拠のことを、論拠と呼んでいる
▪️初級編
1)主張・根拠・論拠をもう少し考えてみよう
・誰かからの反論を十分に許すだけの論証構造をあらかじめ用意してから主張することが重要。以下のような下準備が必要。
1. 自分の主張は根拠とともに提示されているか
2.根拠は主張を支持するに適切か、信頼性はあるか、すなわち実証可能か
3.根拠から主張への飛躍は適切か
4.論拠は明示されているか
5.必要に応じて論拠を提示できるか
・飛躍を伴わない意見は主張ではない
前提から結論へのジャンプの幅が小さいと、その論証は生産力を失う。他方、あまりに大きいと、説得力を失う。そのバランスをとりながら、小さなジャンプを重ねて距離をかせがなくてはならない。それが、論証である。
・主張は正当か?
子供を育てるのに甘やかしてはいけない。
育てるとは?甘やかすとは?主張に含まれる言葉の定義からスタートする必要がある。
・単純論証、結合論証、合流論証
複数の論証間の関係を検討することも大切
2) 前提/根拠としての事実、考えを使い分ける
・経験的事実…ロンドンはよくあめがふる
・考え…推測はおそらく事実と思われるが確実ではない、実証されれば事実へ昇格する。意見は、裏付けのない態度表明。
3) 演繹と帰納
・前提が正しい場合でも、そこから導かれる結論が必ずしも正しいとは言い切れない論証を帰納的論証と言う
・前提が正しければ導かれる結論が必ず正しくなる論証を演繹的論証と言う
4) 裏付け、限定後、反証
・論拠についてはそれを支持する裏付けを明記する…英国席で生まれた人の国籍に関する法律によぬねそのように定められているから
・論拠のたしからしさの程度を示す限定語(たぶん、おそらく※日本語だと差はないが英語にはある)をつける
・論拠の効力に対する保留条件としての反証を提示する…彼の両親がともに外国人だったり、彼自身がアメリカに帰化したのではない限りは
▪️中級編
1)論拠がわかれば議論がわかる
・論拠が明示されない理由は3つ
論拠が必要であることを知らない場合、論拠について知っていても内省的に意識できない場合、意図的に表に出さない場合
2) 論拠が経験的事実に意味づけをする
・本人が罪を自白したという経験的事実。論拠1 本人が話す内容は信ぴょう性あり→主張1 彼は犯罪人である。論拠2 本人が話す内容は強制されたもの→主張2 彼は無実である
▪️実践編
▪️終章
1) 議論のレベル
・レベル1日常の議論。論拠を提示する必要がない議論。
・レベル2公の場での議論。根拠および隠れた根拠としての論拠の中身を明示する必要がある。社内会議、取引先との会議プレゼン、国会議員の質疑応答など。
・レベル3科学的議論。論拠をはじめに提示する必要がある。