深谷忠記のレビュー一覧
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元暴力団員畑村順次を刺殺したとして逮捕された矢代昌宣は、一旦は犯行を自供しますが、裁判では一転して犯行を否認、無罪を主張します。堀内利勝警部が発見した物証、血のついたシャツには決定的証拠とするには疑わしい点がありましたが、結局、滝川実を裁判長とする裁判官らは、矢代に有罪判決を下します。矢代は服役中も無罪を訴え続けますが、結局獄中で病死します。菊山事件と呼ばれるこの事件は、近しい関係者以外には忘れられていきますが、この事件を決して忘れない、矢代が犯人でないことを知っている人間がいました。それは真犯人です。
何年も後、遠く離れた場所でひき逃げ死亡事件が発生します。被害者は、菊山事件を裁いた元裁 -
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病院内で筋弛緩剤が盗まれた直後、入院患者が殺された。
死因は筋弛緩剤の投与。
殺された入院患者は、妻に対するDV、看護師に対するわいせつ行為、他の患者や医師に対して暴言を吐く問題の多い人物で、誰にも殺害の動機があった。
事件に潜む“毒”とは・・・。
以前テレビ番組『超再現!ミステリー』で取り上げられたものなので、ご存知の方も多いかも?
番組を見る前に本を買っていて、よりによって読む前に番組を見てしまったのですが。
原作は、再現ドラマよりも深く濃いものでした。
ドラマには出て来なかった人物やエピソードが多かったので、またちょっと違う話のようにも見えました。
犯人がわかっ -
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良くできた話です。面白かった。
話は女児誘拐殺人の裁判結審のシーンから始まります。
被告人・柏木は懲役15年の刑が言い渡される。
刑期を終え出所した柏木は自らのホームページの中で冤罪だったと主張。
そして自白に追い込んだ元刑事・村上の周辺に頻繁に現れる。
柏木は本当に無実なのか?真相は何処にあるのか?柏木の目的は何?
よく練られたストーリーで安直には展開が読めません。
割と重いテーマですが軽快に読ませます。
最後も割とどんでん返しなのですが「そう来るのならこの人の言動は???」と思う展開が・・・
決して辻褄が合わない分けでは無く、作者はしっかり説明していますが、私は別の展開にした方 -
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夫を殺害したとして有罪判決を受けた妻。しかし、本人は殺していないと主張しつづけている。控訴をしようと奔走する女弁護士。一方、暗い過去を持った小説家が、ある1通の手紙から、事件と関わるようになります。果たして、事件の真相は?
この作品、なんといっても約630ページという読み応えのある内容でした。いかにして、妻を無罪にさせるのか。有罪をひっくり返させるような事実をどう掴んでいくのかが楽しめます。詳細に丁寧にその過程が描かれているので、現実にあったんじゃないかと思うくらい、リアリティがありました。
さらにこの事件だけでなく、小説家の暗い過去の事件にもフューチャーされています。事件と似ている部分も -
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上下巻読み通しての感想。
登場する人物達がみんな複雑に絡み合っている。
相関図にすればひと言で済んでしまうような関係だけれど、そこに至るまでは互いの関係がはっきりとしないまま物語は進んでいく。
主人公である平岡道義は3歳で両親を放火殺人で殺されていた。
父か母か、どちらかの手によって炎の中から外へ放り出された彼は、大変なやけどを負ったものの命は助かる。
燃えさかる炎への恐怖、成人してからもときにパニックに襲われてしまう心に刻まれた大きな傷跡。
幼い道義が経験した過酷な過去である。
やがて道義は警察官となり、その後代議士・大河原の私設秘書を経て、現在は調査事務所を開いていた。
秘書を辞しても大河 -
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本分よりの引用
「私も、これまでは世にある冤罪はひと事だと思っていた。
今は、条件さえそろえば、いつでも無実の罪が着せられるものだということが生身でわかる」
群馬県梅ヶ原市郊外で、轢き逃げ事件が発生した。
被害者は滝川という老人で、間もなく元刑事・堀内が逮捕される。
堀内は無実を主張し、弁護を牧に依頼してくる。
実は牧と堀内、そして滝川の間には、16年来の因縁があったのだ。
上記引用部分は、1994年に起きた松本サリン事件で重要参考人として取調べを受けた河野善行さんの言葉で、作品の中にも登場する一文である。
冤罪事件のニュースが流れても、所詮は他人事だ。
話題になっているときはそれなりに情報 -
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ネタバレひとに薦められて。
初めて読む作家さん、ふかやただきさん。
読み始めて知る…これ、シリーズだ。
『信州・奥多摩殺人ライン』(’92講談社文庫)という作品から、数学科教授助手・黒江壮&編集者・笹谷美緒のコンビがスタートしているよう。
2人の人となりを知らないのは、ちょっと残念だけれど、そのあたりは特に戸惑わずに楽しめた。
真面目なミステリ、という印象。
好奇心旺盛で事件にしゃしゃりでるタイプの探偵ではない。
今までにも事件を解決してきたのは、壮の“趣味”、“習性”らしいのだけれど、被害者のひとりが自分の都合のためだけに美緒たちの事情を構わずに事件解決を依頼してくると、ぴしゃりと「そんなことをして -
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ネタバレ少し前に読んだ、『横浜・修善寺0の交差』と同じ、壮&美緒コンビによるシリーズのうちの1作。
前回と同じく、薦められて読んだ本。
そのため、またもやシリーズ1作目をさしおいて、途中を読んでいる。
読みきりになっているから違和感はないんだけれど。
今回は被害者であるはずの画家・杉原にあまり同情できず、別の意味で被害者となってしまった登場人物への同情を抱かずにはいられない。
アリバイトリック、面白かった。
ひとりの行動だけではなく、色んなひとの行動がアリバイを作り上げた。
ヒントを与えてくれたのはそのうちのひとりの行動で。
今回は刑事の勝部長も同級生が事件に関わっているのではないかという不安も手伝