深谷忠記のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ少し前に読んだ、『横浜・修善寺0の交差』と同じ、壮&美緒コンビによるシリーズのうちの1作。
前回と同じく、薦められて読んだ本。
そのため、またもやシリーズ1作目をさしおいて、途中を読んでいる。
読みきりになっているから違和感はないんだけれど。
今回は被害者であるはずの画家・杉原にあまり同情できず、別の意味で被害者となってしまった登場人物への同情を抱かずにはいられない。
アリバイトリック、面白かった。
ひとりの行動だけではなく、色んなひとの行動がアリバイを作り上げた。
ヒントを与えてくれたのはそのうちのひとりの行動で。
今回は刑事の勝部長も同級生が事件に関わっているのではないかという不安も手伝って、活発に動き回っている。
最初から最後まで彼の強い想いが描かれていたように思えた。
刑事である前に、同級生の一人として。
勿論、探偵も考えを徐々に固めてゆき、ラスト、ばしっとキメてくれる。
前回読んだものより、壮のキャラクタ性も強くなっているように感じた。
急に立ち止まり、「考える人」になってしまう。
“突然、何かに思い当たり、それについて考えているような目――。”
“何も見えず聞こえずの「考える人」になると、醒めるのが五分後なのか一時間後なのか予測がつかないので厄介だが、この状態なら、たいてい四、五分で元に戻る。そして、こういうときの対応の仕方は、「宇宙人の調教師」を任じている美緒は心得ている。
相手が口を開くまで、こちらは何も言わずに待つことである。”
色んなひとにじろじろ見られながらも、じっと壮を待つ、美緒の姿はちょっと面白いのと同時に、いいなぁ、このコンビ、と思わずにはいられない。
なかなかこんな理解者はいないぞ。
物語はじめの方でのインターホン越しのやり取りも二人の関係をほほえましく表していて、お気に入り。
物語の中に出てくる島崎藤村の歌、初めて知りました。
さらに、切なくなってしまった。 -
Posted by ブクログ
主人公の小説家は39年前の事件目撃者であり、両親が当事者。
一方、4年前の事件にかかわることになり、その重要な証拠が目撃者という二重の目撃に焦点を当てた話である。
4年前の事件の犯人とされる女性は無実を訴えていたが、目撃者の証人もおり一審で有罪、そして上告した。その弁護士を務めるのが主人公の大学時代の同級生。その弁護士からの依頼も有り、アドバイスをしていくうちに人間の記憶の曖昧さがわかってくる。実は39年前の自分の目撃証言によって母親を死にいたらしめたと思っており、ずっと心に秘めていた。
4年前の事件の真相がはっきりしていくうちに、自分が目撃した39年前の出来事にも疑問をもつようになり、真相を探り解明される。
深谷忠記の法廷物はじつに面白い。2重、3重の罠があり読者はだまされること請け合い^^僕もまた、だまされました(笑)
人間の記憶とはいかに曖昧なのかがわかる本だった。見てないことでも見たと言ったり、時間がたてばたつほど自分の都合の良いようになっていったりと・・・
「思い出は美化される」う~ん、納得!(笑) -
Posted by ブクログ
ほんの数分の隙をついて誘拐された三歳の女児・美菜。
犯人からの要求もなく、美菜の安否も確認できないまま時間だけが過ぎていく。
なかなか進展しない捜査が続くなか、ひとつの目撃情報が犯人とおぼしき男の容疑をより色濃くしていく。
男は18年前に起きた連続幼女誘拐殺人事件の容疑をかけられ、アリバイ成立でリストから外された男だった。
裁判で有罪が確定しなくても、たとえ不起訴となっても、世間は有罪の烙印を押す。
本当のことなどわからなくても、マスコミや噂に踊らされていく。
犯人かもしれない人は、いつしか犯人だという断定へと変わっていく。
そして、一度有罪の烙印を押されたら、真犯人が逮捕されるまでけっして消えることはない。
現実にも似たような状況に追い込まれた人たちが何人もいる。
真実は当事者である犯人しかわからないものかもしれない。
だからこそ、法的機関への信頼を揺るがすようなことがあってはならない。
「共犯」というタイトルに込められたいくつもの意味が心に刺さる物語だった。