吉田恭教のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ評価は5.
内容(BOOKデーターベース)
環状八号線で偽装外交官ナンバーのSUV車が事故に巻き込まれた。乗っていたのは医師二人と麻酔薬で眠らされた男女で、拉致事件の疑いがかかり、捜査一課で祖父も警察官だった南雲、娘が心臓移植待ちをしている茂木らが捜査にあたる。調べが進むうち、厚生労働省の向井俊介が調査中の年金詐取事件とこの拉致事件のかかわりが見えてくる。その背後には複雑な問題をはらんだ哀しき組織的犯罪があった―本格トリックを織り込みながらも、真の正義とはなにかを問う力作ミステリー。
必要悪は有るのかも知れないと思わせる作品だった。 -
Posted by ブクログ
タイトルからしておどろおどろしいオカルトミステリ。正直言うと、事件の真相はすべて論理と科学で解明されるのだけれど。それでもおぞましく恐ろしい物語でした。ホラーめいた雰囲気は十分すぎるほどにあります。
凄まじい刺青を纏った謎の女性。年齢に合わないその容姿と、そして新興宗教団体に関わる犯罪の気配。とてもスリリングで、読む手が止まりません。途中からのあまりに恐ろしい展開にも絶句。これなら超常現象オカルトのほうがまだましだったかも……? 「美魔女」の真相もまさかそんなことだっただなんてっ!
そして事件が解決したかに思えても、最後の最後まで気の抜けない展開。案外早く読めてしまったのだけれど、読みごたえは -
Posted by ブクログ
「可視る」に続くシリーズ二作目。盲目の女性から持ち込まれた依頼を調査するうちに浮かび上がる、さまざまな事件の繋がり。殺人事件と、不可解な自殺。そこに潜む驚愕のトリックが読みどころの本格ミステリ。
……なんだけど。個人的には前作「可視る」のホラーな感じがとても好きだったので、今回タイトルの割にはそういう要素少ないじゃないか、ってちょっと不満でした。ミステリとしては充分に面白いんだけどね。
……と思ったら。最後の最後でやられました。うわああ、その齟齬には何かがあるのかと思ったはずなのに。すっかり忘れてた! ていうかまさかそんな真相があっただなんて! ううう、やっぱりこの世には不思議なこともあってい -
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元警官の探偵・槙野康平が出会った不気味な幽霊画.作者の調査依頼があり,槙野は活動を開始し,程なく秋田秀次朗を探し出す.若い女性の連続殺人事件が起こるが,被害者の遺体は酷く損傷していた.東條有紀らが捜査を開始するが,秋田も事故で死亡する.死亡した女性たちの調査で,榎本拓哉と下平優一が浮上し,有名な日本画家・白石圭子の弟子で橋爪沙耶香が榎本の婚約者であることが判明する.多くの登場人物が出てくるので,それぞれの関係を把握しながら読んだが,意外な人物が犯人だった.犯人に捕らえられた榎本が傷を負いながら,顛末を語らせる最後の場面が秀逸だ.それにしても,女の執念は侮れませんな.槙野の家に潜り込んできた麻子
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ネタバレそれほど想像力が逞しくなくてもこの幽霊画は怖い。それにも増して「殺されるときの目」をしている肖像画が怖い。
性同一性障害を周囲には隠している凄腕の女刑事。借金で首が回らなくなり、警察を裏切って結局クビになった元刑事の探偵。双方が同じ事件をそれぞれ調べる途中で出会い、お互い相手を信頼できないまま情報を出し合うことにします。
こんなにむごい殺し方ができるものだろうかと思うほど凄惨な描写なので、深く考えなくて済むように飲酒しながら読みました。そうしたら、登場人物が多くて関係も入り組んでいるせいで混乱。頁を行きつ戻りつしないためには素面で読むことを推奨します。
シリーズ化できそうですねと書こうと -
Posted by ブクログ
槙野・東條シリーズ。
前々作で突然事務所を辞めた早瀬未央が行方不明になり、槙野と弁護士の高坂が捜索を始める。
早瀬は19年前に両親と兄を殺された未解決事件の生き残りだった。
当時の事件と今回の失踪。
槙野は東條の力を借りながら、19年前の事件の真相に迫っていくが、その最中に新たな殺人事件も起こり・・・と言う、これまでの作風とちょっと変わったハラハラドキドキな展開で、ラストまで一気読み。
槙野に対する警察の協力姿勢も読んでいて、ストレスを感じず、いつもそこまで活躍していなかった高坂が今回は大活躍。
これまでのオカルト要素も若干はあるが、そこまででもなく、プロットに無理もなかったように思う。
徐々 -
Posted by ブクログ
シリーズ6作目。
毎回オカルトの要素を取り入れながらも、推理を展開する本格的な作品だが、今作はこれまでとは一味違う出来栄えと言った印象。
これまでは心霊的なものが多かったが、今作のテーマは「生まれ変わり」。
9年前、所長である鏡が受けた不思議な依頼が9年の時を経て、再び動き出す。
かつて奥多摩の留浦と言う地区に存在したと言う酒蔵。しかし、そこの主は鏡が調査した時には、自殺しており、土地は他人の手に渡っていた。
9年後、同じ依頼人から、いなくなった息子を探して欲しいとの依頼が入る。息子は大学生でありながら、オカルトの作家もしていると言う。調査を引き受けた槙野だったが、この息子の失踪にもやはり奥多 -
Posted by ブクログ
奇妙な依頼から9年後。同じ依頼者から、また新たな依頼が。次々と起きる殺人事件や作家の失踪などテンポよく展開が変わってい期、本格ミステリーとして大いに楽しめました。
元刑事の探偵と女刑事が事件解決していくシリーズで、この作品は6作目です。個人的には、初めての作品でしたが、途中からでも全然楽しめました。また、初めての作家さんでしたが、独特な世界観があって、好きでした。有名なミステリー作家監修ということもあり、なんとなく○○イズムのような表現がされているように感じましたが、きちんと独自の世界観を持っていて、他の作品も読んでみたくなりました。
特徴としては、探偵ならではのハードバイルドさは薄く、警察