伊藤氏貴のレビュー一覧
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『銀の匙』という小説を中学の3年間かけてじっくりと読むという授業で、全ての学びの背骨である国語をしっかりと教えた灘校の教師橋本武さんという方をご存知だろうか?私は、サトマイさんのYouTubeで知り、本書を手にしました。最近の世相では効率的に、早いということに価値があるような趣ですが、学びに関してはそれが当てはまらないことが、よくわかります。
こんな授業を受ける機会があったら、受けてみたいと心の底から思います。
関連する書籍は他にもあるので、興味のある方は橋本武さんの書籍をぜひお読みください。そして、教材となった『銀の匙』も恥ずかしながら、未読なので私も読みたいと思っています。 -
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樋口一葉の経済状態が克明に明らかにされている。借金や質入れ、原稿料収入など、時系列でたどられて、非常によくわかった。独自の視点から作られた一年譜は一葉研究の貴重な資料になる。よくここまで調べ上げたなあとおもったら、著者は『樋口一葉詳細年表』の編者でもあると後書きを読んで知り、なるほど、それだけの膨大かつ緻密な調査、研究があればこそと、頷けた。
樋口一葉の作品に深く感動した者として、一葉がこのような素晴らしい作品を世に残すことができたのは何故なのか、是非とも知りたかった。その期待に十二分に応えてくれた著作だった。
樋口一葉研究をさらに一歩二歩と前進させた価値ある研究成果、力作だと感動した。 -
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これ、今のところ、2020年No.1です。
灘高の国語教師がいかにして、教材研究をして、生徒と対話をしてきたか。
一冊の文庫本を中学校の3年かけて読みます。単語ひとつへの手間ひまのかけ方、結果が出なかった時の覚悟-。
著者の筆力も高く、久しぶりに本でこころか震えました。
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「私立初の東大合格者日本一」を出した、
矜持と美学。
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“なんとなくわかった”では済まさないし、勉強は受験のためのテクニック攻略じゃないし、すぐ役立つことはすぐに使えなくなるということを、多感な時期に感じてもらえる授業力が素晴らしかったです。素晴らしいという言葉じゃ、足りないくらい。
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今、テレビで頻繁にお見かけ -
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ネタバレ公立中学の滑り止めだった私立中学で、「1冊の文庫本を3年間かけて読む」という異例の授業を行った教師がいた。
その教師の名前は橋本武。
橋本は「銀の匙」という文庫本を興味がある部分で横道にそれながら、主人公の少年時代を追体験していく授業を展開する。
駄菓子屋のシーンで実際に駄菓子を食べながら朗読、凧揚げのシーンで1から凧を作って揚げる。
生徒たちは体験を通じてスローペースで物語に没入し、楽しみながら学んでいく。
そんな異例の授業は、カリキュラムや効率重視の現在の国語教育へのアンチテーゼにも見えて非常に面白い。
教え子たちは皆、学ぶ力の背骨となっているのが橋本の授業だと語る。
様々な事象に興味 -
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はいどうも、どうもどうも
岩波ブックレットがどんなテーマでもあまりに分かりやすく書かれているために読み終わった途端に私最初から同じ意見でしたよって顔するひまわりめろんですどうもどうも
岩波ブックレット1092は国語教育について!
教育改革により定められた新たな学習指導要領により「実用的な文章」の読解力の向上を求められるようになった「国語」の授業
ただ全体の時間は決まっているので、その分「古典」や「小説」などの物語を読む時間が削られることに
えー「国語」ってそっちがメインじゃん
言葉を学ぶってのはさーってのが主旨のよう
『檸檬』『蜜柑』の読み比べとかあって面白かったです
たださ〜「国語 -
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赤貧日記とあり、貧乏という視点から見た樋口一葉というテーマはあるものの、実質的には樋口一葉の評伝に近い。日付単位で年表を付記するほどなので、かなり細やかな作業である。
一葉はとても賢い子どもだったらしく、父親もその才気を伸ばそうと学校に通わせる。当時、女子の小学校進学率は五割にも満たなかったらしいが、一葉は母親によって退学させられる。当然だが、一葉の幸福を願ってのことである。女子にとっての教養は幸福の邪魔である、というのが当時の常識であり、先進的であった父も渋々納得する。それは、無教養でも一心不乱に樋口家の幸福を支えた母への優しさでもあった。
ともあれ、一葉の幼少期は裕福であり、教養も身に -
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無理やり覚えさせられるのではなく、生徒自身の興味を引き出すことができるのは、教師やテキストではなく生徒自身が主役になれるからなんじゃないか、と思った。
感性はもって生まれたものではなく、育てることができるものであると証明している。中~高校生の授業がテーマの話なので、感性のやわらかい子どものうちに、と書いてあったが、大人でも感性を育てることは出来ると思う。自身が興味があることを徹底して調べること、その内容を議論すること、というのは、大人になったからこそやりたいと思った。
有識者が語り手の役割と随時の解説を担っていたが、どちらかというと解説はまた別枠でやって、地の文は語り手は出てこない方がまと