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変化する社会の中で生きていくのに必要な力を付けるための教育改革は,国語教育に何をもたらしたのか? 「PISA型学力」にも合致した基本方針である新たな学習指導要領が「文学観が狭い」「実用性の偏重」と批判されてから数年が経ち,現場はどうなったのか.中学,高校,大学で幅広い実地経験をもつ教育者二人が問題提起.
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Posted by ブクログ
私の友人はこう言う-「国語は好きだった。でも国語のテストは嫌いだった」と。 なぜならテストでは、例えば文中での主人公の気持ちを表している答えを選択肢から選ばせたり、短文で書かせたりするが、自分がそうだと思っていた答えと正答とが必ずしも一致しない、あるいは疑問が残るということが多かったかららしい。 ...続きを読む私も国語教育のこの部分に前から疑問を感じていた。なぜ1つだけ正答を求めさせようとするのかと。私はこう考える-国語とは1つの正答を導き出すというより、そこに至る思考や論理を肉付けし、人間としての思考力を高めていく教科だと。よく使われる例えだが、授業で先生が「雪が溶けると何になりますか?」と子どもに質問したとき、理科だと「水になります」が正解だが、国語では「春になります」も正解になりうる。国語はそういう教科では? だが、いくら答えが1つに絞れないとしても、勝手に解釈して好き放題にすればよいものではない。レビューのように私たちが「感想」をもつのは自由だ。だがそこからさらに進んで「読解」へと踏み込むことで、私たちは言葉のもつポテンシャルをより広くより深く活用する力がつく。その力をつけるための教科が「国語」だと思う。 ところが新学習指導要領の導入や大学入試改革の実施等によって、国語に関しても学校で教える内容に変化が生じた。その変化のなかでも、本書の著者2人は主なものとして「実用重視」の傾向を読み取る。百歩譲ってそれはいいとして、それが「読解力」の育成という国語教育の本来の趣旨を侵食する結果につながっているのでは、という論調だ。 この本の文脈で私が一番関心を引いたのは、実用文を読む力を養うのは大切だが、それを国語の授業だけで行う必要があるのか? ましてや文学作品などを読む時間を削ることで国語が本来目指すべき子どもたちの国語力の向上につなげられるのか、という部分。 私の子どもに今年度に改革された中学国語の教科書を見せてもらうと、確かに私たちの時代の教科書とは違うものを感じる。その一番大きな要素は、評論や物語の章のあいだに、例えば複数の中学生がディベートで「Aさんはこう言うけれど、私はこう思う」とか各自が意見を言い合い、異なる意見をどう取り入れるかとか、全体でどう結論づけを行うかということを考えていく章、つまりオリジナル文が比較的多いことだ。それらも大事だとは思うが、欠陥も私は感じた。本書の冒頭では、ニンジンのいちょう切りの説明文を誤解して短冊切りをしてしまった人に対して、説明文をどう工夫すれば分ってもらえるかを考える授業が紹介されている。だがそんな授業や文章は見ても読んでも“つまらない”のだ。 話を少し横道にそらすが、中学生が書いた「夏休みに取り組んだこと」についての自由作文を読む機会が最近あった。テーマから文章を多角的に展開させる手法をはじめ、無駄な言い回しがなく、最後までしっかり読ませる大人並みの文章力で、中学生の文章でよく見る稚拙さはほぼ見られなかった。しかし私は最後の1行を読んで唖然とした。その文章は中学生が生成AIで作ったものだと“種明かし”されていたのだ。 つまり、実用的な文章は、作るのも読むのも、将来は人間よりもAIなどの次世代のツールが担う領域となる可能性が大きいのではないか。もし将来そうなったとき、国語の授業で取扱説明書の読み方や履歴書の書き方を教えられても、自分たちが学校で学んだスキルや能力を実際に生かす状況は消滅しているかもしれない。 私はこう思う。実用的な文章を読んだり書いたりする力は確かに社会に出るうえで大事。自己流で学ぶ無駄を省き、系統立てて教えてもらえることは、個人レベルはもちろん、将来の日本社会というマクロの視点で見ても大切だろう。 しかし私は「言葉の力」を育てることはAIの領域外だと思っている。なぜならそれは人間同士のコミュニケーションに関するものだから。時たま人が潤滑油的に使う言葉の裏の意味をAIは理解しえないのだ。例えばダチョウ俱楽部の(故)上島竜兵さんが熱湯風呂の縁にしゃがんで「押すなよ」と言うとき、言葉通りに誰も上島さんの体を押さなければ番組は白けてしまう。上島さんは「押すなよ」と言いながら、熱湯にはまってリアクションで爆笑させたいので言葉とは裏腹に押してほしいのだ。(このエピソードは言語学者・川添愛さんの文章を参考にしています。) そのように国語とは、人間の心理の奥にまで入り込む“深遠な”教科であり、AIに託すことが最後までできない教科だろうし、間違っても国語を学ぶことに関しての「取扱説明書」は作りえないのだ。 だから、たとえ世間や国の政策が目先にとらわれて方向をふらつかせようとも、この本の2人の著者のように「国語」を子どもに教える意義という、一本の動かざる光の筋を見失わずに教壇に立ち続ける先生がいてほしい。
はいどうも、どうもどうも 岩波ブックレットがどんなテーマでもあまりに分かりやすく書かれているために読み終わった途端に私最初から同じ意見でしたよって顔するひまわりめろんですどうもどうも 岩波ブックレット1092は国語教育について! 教育改革により定められた新たな学習指導要領により「実用的な文章」の...続きを読む読解力の向上を求められるようになった「国語」の授業 ただ全体の時間は決まっているので、その分「古典」や「小説」などの物語を読む時間が削られることに えー「国語」ってそっちがメインじゃん 言葉を学ぶってのはさーってのが主旨のよう 『檸檬』『蜜柑』の読み比べとかあって面白かったです たださ〜「国語」の授業で読んだ物語ってあんまりよく覚えてないんよな そもそも読書にハマったのも「国語」の授業きっかけじゃなかった気がするし んでもやっぱり物語に触れる機会が減ってくってのは良くない気がすーる だって物語が人を育てるんよ
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現場から考える 国語教育が危ない! 「実用重視」と「読解力」
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