【感想・ネタバレ】樋口一葉赤貧日記のレビュー

あらすじ

貧乏なのに、紙幣の顔。生まれは裕福、晩年は借金三昧。いくら稼ぎ、いくら借り、何を買い、何を思ったのか?金銭事情で読み解く、日本初の女性職業作家の新しい姿。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

作家の川上未映子さんが面白いとおすすめしていたので読んでみました。

樋口一葉は「たけくらべ」しか読んだことありませんでしたし、古文!教科書!みたいなイメージでした。

樋口一葉の伝記ではあるのですが、タイトルすごいですよね。赤貧って。借金記録だらけです。

女性が働くことが当たり前ではなかった時代の男不在家庭の貧困、現代ではあり得ないぐらいの多くの知人への借金、没落士族の矜持、慕っている師匠への恋と文学性の違い、奇跡の14ヶ月…短い生涯の中に名作が生み出されていくまでの過程がぎゅっと詰まっていました。明治に作家として食べていくのがいかに大変だったかよくわかります。

貧困にあっても芯のある気高さが決して失われないところが素敵でした。

0
2025年12月13日

Posted by ブクログ

樋口一葉の経済状態が克明に明らかにされている。借金や質入れ、原稿料収入など、時系列でたどられて、非常によくわかった。独自の視点から作られた一年譜は一葉研究の貴重な資料になる。よくここまで調べ上げたなあとおもったら、著者は『樋口一葉詳細年表』の編者でもあると後書きを読んで知り、なるほど、それだけの膨大かつ緻密な調査、研究があればこそと、頷けた。
樋口一葉の作品に深く感動した者として、一葉がこのような素晴らしい作品を世に残すことができたのは何故なのか、是非とも知りたかった。その期待に十二分に応えてくれた著作だった。
樋口一葉研究をさらに一歩二歩と前進させた価値ある研究成果、力作だと感動した。

0
2024年11月21日

Posted by ブクログ

最後の章を残して返却。買いかな。
詳細年表(勉誠出版)もあり。
新刊書店で購入(2023/04/16)

0
2023年04月16日

Posted by ブクログ

貧乏日記といえど、物語ではなく樋口一葉の日記から彼女の生活をたどる解説書。説明文に留まらず、ストーリー風な文章を挟み読みやすい。明治維新では武士を含め生活は以前より苦しくなった人々が多いことが苦しい。たけくらべを読みたくなった。

0
2023年12月31日

Posted by ブクログ

赤貧日記とあり、貧乏という視点から見た樋口一葉というテーマはあるものの、実質的には樋口一葉の評伝に近い。日付単位で年表を付記するほどなので、かなり細やかな作業である。

一葉はとても賢い子どもだったらしく、父親もその才気を伸ばそうと学校に通わせる。当時、女子の小学校進学率は五割にも満たなかったらしいが、一葉は母親によって退学させられる。当然だが、一葉の幸福を願ってのことである。女子にとっての教養は幸福の邪魔である、というのが当時の常識であり、先進的であった父も渋々納得する。それは、無教養でも一心不乱に樋口家の幸福を支えた母への優しさでもあった。

ともあれ、一葉の幼少期は裕福であり、教養も身につけ、本も身近にあった。しかし、それは暗転する。兄の病死や父の事業失敗からの死、樋口家を背負うことになった一葉は、貧乏のなかに身をやつすことになりながら金を稼ぐことに躍起とならざるをえなくなる。

一葉の特殊性は、浮き沈みの激しい人生から芽生えたものであるのは疑いの余地がない。当時でも文章を書く女性はいたが、それは当然のことながら恵まれた富裕層として、庇護された人生を送っている女性たちである。
しかし、一葉は教養を身につけた女子として過ごしながらも、貧しさに襲われ一家を背負うことになるという、両極端な人生を歩む。これこそが一葉の強みであったという。

文章としては、著者のめりはりがついた筆致と、一葉本人の性格や人生が一致していて、おもしろく読めた。

0
2023年09月17日

Posted by ブクログ

本人は人生の半分を「びんぼう」で過ごしたというのに、ちょっと前まではそこそこ高額な五千円札の顔だった一葉は、確かに、おかしな存在だな……。

「こんなに借金を重ねて大丈夫なの?」と、読んでいる間ずっとハラハラしていた。

0
2025年06月29日

Posted by ブクログ

初の女性職業作家 樋口一葉。
本作を読むまで、どのように生きたのか知らなかった。
というか、知ろうと思わなかった。

親類縁者への借金が、どうして成り立つのか
不思議に思いながら読んでいると
P217 〈母はまだ『縁』の中で生きていた〉
質屋より知人から借りた方が恥ずかしくないという考え。
そして、女性は職業の選択肢のない厳しい時代。
改めて、大変なときを生きたと思う。
それでも、こころは貧しさに侵されていなかったのだろう。
ただただ、24歳で亡くなってしまったことは残念でならない。

0
2023年05月05日

「雑学・エンタメ」ランキング