伊藤氏貴のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
伊藤氏貴 著『読む技法 詩から法律まで』のレビューです。
久々に、書店で出会ってそのまま購入した本です。
冒頭に、「太郎はクマと同じくらいハチミツが好きだ。」という例文が登場します。
これを見て、「はいはい、クマもハチミツが好き、とも読めるし、クマとハチミツを並列しているとも読める、曖昧な文である、みたいな話ね」と思ったのですが、全く違いました。
著者は、クマと同じくらい、と書いた筆者の意図まで読むことで、この文の意味は一つに定まる、と言います。
このように、書かれている文章の意味を一つに定めるために、どのような読み方をすればよいかが詳しく解説されています。
読解手法の羅列や単なる解説ではなく、ネットに公開されている(青空文庫などの)文章や容易に手に入る小説を参照しながら、一緒に読み進めるものです。
少し哲学的な思想も入ってきて難しいですが、興味深く読めました。
情報処理としての読む行為の意義が薄れてきたいま、本好きの方におすすめします。
各章の概要としては下記のとおりです。
・<比較断章法>同一の著作に根拠を追い求める徹底的な読み方。
・<地平の融合>読むことの意義に示唆を与える。
・<法的解釈>法律ですら行間の解釈が必要であることを示した。
・<精読・注釈>意味を一つに定める前に可能性を最大限まで広げる技術。
・<テクストの横断>複数の文章にまたがって読むことによる効果と注意点を述べている。
・<構造主義>作者や歴史を超える=捨て去ると同時に、差異に注目できるようになる。
・<ナラトロジー>その部分は誰が誰に向けて語っているのか、それによって筆者の意図を探れる。
・<解釈学的循環>部分の理解と全体の理解が相互に依存していることが、繰り返し読むことの意味を示唆する。
なお、筆者は一貫して、「殺伐としたインターネット」に警鐘を鳴らしており、その原因の一つが「読む力の欠如」だと主張しています。 -
Posted by ブクログ
この本は読書論や速読法の伝授本ではなく、文章をいかに理解するか(行間の読み方、背景など)という「技法」を講座形式でまとめたもの。
よって、「どうやったら文章を早く読めるか」、「どうやったら頭に残るか」と即効薬のように手に取ると期待外れかもしれない。ここに書かれた技法を活かしつつ、さまざまな文章を読み進めていく事で次第に得られていくのだと思う。
この本の内容自体は具体的なテキストを用いて、話が進むので読みやすく分かりやすい。
ただ、個人的に最終節の「歴史」についての文章は全く理解できなかったので再読して技法を確認する必要があると感じている。 -
Posted by ブクログ
面白かった。
「論理的に正しく理解する」とあったので、難解な公式が持ち出されるんじゃないかと構えていたのだけど、じっくり一講ずつ読めた。
ただ、ざっくりまとめることが難しい(笑)
少なくともオビにある「読めたつもりが危ない!」は、この本の持つ、じっくり感を浅くしているのではないか?と思う。
最終章の、東大の問題(反歴史論)も面白かった。
問われていることを、答えるのは難しい。
それまで読んだことを繋ぎ合わせながら、時には補いながら、言葉にしてまとめる作業って、簡単ではないなぁと今更ながらに思う。
解釈と言葉が一致するとも限らない。
言葉を読んだ時に、また違う地平が拓けたりする。
それでも、「読む」ことは、他者の思考に触れる一つの手段で、もっと大きな構造を描く一つの方法なのだと感じた。まぁ、言いながら、何を言っているのか掴み切れていないから、ダメなのだけど。 -
Posted by ブクログ
はいどうも、どうもどうも
岩波ブックレットがどんなテーマでもあまりに分かりやすく書かれているために読み終わった途端に私最初から同じ意見でしたよって顔するひまわりめろんですどうもどうも
岩波ブックレット1092は国語教育について!
教育改革により定められた新たな学習指導要領により「実用的な文章」の読解力の向上を求められるようになった「国語」の授業
ただ全体の時間は決まっているので、その分「古典」や「小説」などの物語を読む時間が削られることに
えー「国語」ってそっちがメインじゃん
言葉を学ぶってのはさーってのが主旨のよう
『檸檬』『蜜柑』の読み比べとかあって面白かったです
たださ〜「国語」の授業で読んだ物語ってあんまりよく覚えてないんよな
そもそも読書にハマったのも「国語」の授業きっかけじゃなかった気がするし
んでもやっぱり物語に触れる機会が減ってくってのは良くない気がすーる
だって物語が人を育てるんよ -
Posted by ブクログ
赤貧日記とあり、貧乏という視点から見た樋口一葉というテーマはあるものの、実質的には樋口一葉の評伝に近い。日付単位で年表を付記するほどなので、かなり細やかな作業である。
一葉はとても賢い子どもだったらしく、父親もその才気を伸ばそうと学校に通わせる。当時、女子の小学校進学率は五割にも満たなかったらしいが、一葉は母親によって退学させられる。当然だが、一葉の幸福を願ってのことである。女子にとっての教養は幸福の邪魔である、というのが当時の常識であり、先進的であった父も渋々納得する。それは、無教養でも一心不乱に樋口家の幸福を支えた母への優しさでもあった。
ともあれ、一葉の幼少期は裕福であり、教養も身につけ、本も身近にあった。しかし、それは暗転する。兄の病死や父の事業失敗からの死、樋口家を背負うことになった一葉は、貧乏のなかに身をやつすことになりながら金を稼ぐことに躍起とならざるをえなくなる。
一葉の特殊性は、浮き沈みの激しい人生から芽生えたものであるのは疑いの余地がない。当時でも文章を書く女性はいたが、それは当然のことながら恵まれた富裕層として、庇護された人生を送っている女性たちである。
しかし、一葉は教養を身につけた女子として過ごしながらも、貧しさに襲われ一家を背負うことになるという、両極端な人生を歩む。これこそが一葉の強みであったという。
文章としては、著者のめりはりがついた筆致と、一葉本人の性格や人生が一致していて、おもしろく読めた。 -
Posted by ブクログ
無理やり覚えさせられるのではなく、生徒自身の興味を引き出すことができるのは、教師やテキストではなく生徒自身が主役になれるからなんじゃないか、と思った。
感性はもって生まれたものではなく、育てることができるものであると証明している。中~高校生の授業がテーマの話なので、感性のやわらかい子どものうちに、と書いてあったが、大人でも感性を育てることは出来ると思う。自身が興味があることを徹底して調べること、その内容を議論すること、というのは、大人になったからこそやりたいと思った。
有識者が語り手の役割と随時の解説を担っていたが、どちらかというと解説はまた別枠でやって、地の文は語り手は出てこない方がまとまりがよかったかな、と個人的には思う。本というより、コラムをまとめた雑誌のような印象。気軽に読みやすいので、スロウリーディングの概念を広める役割になっている。 -
Posted by ブクログ
まぁ、「東大合格率日本一」っていうのがあって、そこから導かれて、ものすごく外側から書かれた本だから、こんな感じなんだろうなぁ。
失敗には理由があるけど、成功にはたいした理由はないというのは、この手の本を読むときに、いつも心にとめておかなければならないことです。
もちろん、そこからなにも学ぶなという意味ではないけれど。
この物語の中での1番の奇跡は、エチ先生に、自由に精一杯やれる環境があり続けたということですよねぇ。学校では、昔から、「教科書教えろ問題」っていうのがありますから。
確か、裁判にもなったような気がします。
その環境をつくって維持していくことも、もちろん、その人の徳であったりするのですが……。でも、その維持や、理解してもらうことにあまりにもエネルギーを使ってしまうと、肝心の所にエネルギーを費やせなかったりします。
目先のことしか見えないのは悲しい。
それは、自分にも戒めておこう。