13の個性的な自治区からなる架空の国家「ドーワー王国」で、100年の平和を破るクーデターの噂が。「生来の巻き込まれ型」である主人公ジーンは、己の数奇な運命に翻弄され、れれれ、みたいな話。
そんなようなストーリーそのものもまあ面白かったし、キャラクターたちもそれぞれかっこよかったりかわいかったりでと
...続きを読むても良いんですが、それよりも私が惹かれたのは、いわゆる世界観ていうんですかね、その13の自治区っていうのがみな独自の地形や気候のもとにあり、文化も異なり、住民の肌の色、髪の色、体格、気質、などをとってみてもそれぞれ違った特徴がある、つまりドーワー王国は多民族国家なわけです。そこで人々が自区の文化に誇りを持ちながら、同時に他区の文化をも尊重し、互いに認め合って、国全体の暮らしが良くなっていくことを目指して暮らしている姿、というのになんだかグッとくるのです。
例えばスターウォーズで。
酒場で、人間っぽいのと火星人っぽいのと獣っぽいのとが、普通に商談してたり、一緒にバンド組んでたりする、あの感じ。
例えばサガフロ(昔プレステでやったゲームね)で。
ヒューマン、メカ、モンスター、妖魔、といったそれぞれ戦い方や成長の仕方の異なる種族に属するキャラクターたちが力を合わせて共に戦っていくあの感じ。
あの異種族共生感が私どうも好きみたい、、ということに気付いた読書であった。
もちろんこれらの作品世界にも、差別的なことをしたり言ったりする人たちもいるんだろうけれど、それでも少なくとも建前としては「私とあなたは異なるけれど対等、という意識が善である」という思いがもう土台として共有されている世界であるように見える、そこに「いいなあ」と憧れてしまう。
(それでいうとディズニー映画のズートピアは、そんなユートピアを目指してはいるがなかなか難しい、というところを描いており、より現実的。なので作品としては好きだけどここで述べている私の「いいなあ」琴線には触れない。)
それからまた、この作品は"飯テロ"的な側面もあり、マンガの中のお菓子や食パンが美味しそうで美味しそうで…。
このせいで、最近は焼きたてトーストを食べるのがマイブームでしてね…食べてるのはなんてことないただのトーストなんですが、
「あーあの美味しそうに見えてたまらなかったトーストを食べている…」
ってだけでなんだかすごく満たされる、我ながら安上がりな女。