玉田誠のレビュー一覧

  • 炒飯狙撃手 弐 第3の銃弾

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    半分くらいまで読んでも炒飯作らないし、スナイパーしないし……と思っていたら後半は狙撃手同士のバトル描写が濃厚に展開されて一気読み。おもしろかった。
    物語は、2004年に台湾で実際に起きた選挙中の総統狙撃事件をオマージュしている。事件そのものが「真相は藪の中」なので闇深いのだが、小説のほうも黒幕の存在こそ示されるものの、決着はどこかもやもやが残る。うう……既得権益め!(精一杯の悪口)
    前作を読んだ私の家族が「炒飯……狙撃手……っていうか銃マニア?」とつぶやいていたけど今作を読んで「前作はまだ抑え気味だったんだな」と思った。
    物語の中で銃の名前が10種類くらい登場し、それぞれに対応する弾や薬莢の蘊

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    2025年10月12日
  • 炒飯狙撃手

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    イタリアや台湾で話が交差する。出てくる料理が全部美味しそう。炒飯だけじゃなくて。もちろん素敵な炒飯も出てくるんだけど。
    タイトルからはもっと軽い話を予想していたけれど、実際にはスナイパー要素が濃くて、内容も硬め。しっかりしたサスペンスだった。
    登場人物達が好きだったなぁ。
    表で炒飯屋、裏でスナイパーな人物像も印象的だったし、定年退職を目前にして大きな事件を追うことになってしまった警察官の姿も心に残った。
    天涯孤独のスナイパーと家族や仕事の人間関係に囲まれている警察官との対比が鮮やかな物語なんだけど、コントラストが「黒か白か!」みたいなキツい感じじゃなくて人情味が溢れてる。
    全体に重めの話だけ

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    2025年10月12日
  • おはしさま 連鎖する怪談

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    日本、香港、台湾の作家によるホラーアンソロジー……だと思ってたら、なんとリレー小説。4話目で全ての糸がつながり始めた時はドキドキした。
    めちゃ面白かったので、香港台湾の作家さんにも手を出してみようかな。

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    2025年05月05日
  • 炒飯狙撃手 弐 第3の銃弾

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    張國立『炒飯狙撃手 第3の銃弾』ハーパーBOOKS。

    華文スナイパー小説『炒飯狙撃手』の続編。

    前作と同様、スナイパーの小艾と元刑事の老伍が活躍するのだが、今回は何と小艾はある事件の容疑者と会うために日本へと渡る。

    今回も台湾のスティーヴン・ハンターと言っても過言ではない程の緊迫のスナイパー・アクションと台湾政界の腐敗を描いた面白い作品に仕上がっている。

    台湾総統選挙の投票日の7日前、演説中の現総統が何者かにより狙撃される。幸い、弾丸は腹を掠っただけで大事には至らなかった。直ちに捜査を開始した警察は、近くのホテルの一室からライフルの薬莢2つと総統を襲った銃弾ともう1種類の銃弾を発見する

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    2025年03月31日
  • 炒飯狙撃手

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    炒飯大好き人間として、ブラリと入った本屋でタイトルのみで衝動買い。
    腕のたつ料理人が殺し屋という設定はそれなりにありそうだが、炒飯というのが良い。
    ちなみに炒飯に何故卵が入っているかと言うとダンテが卵を塩で食えと言ったとか言わないとか。
    そんなわけでダンテ仕込みのピリッと塩味の効いた、それでいてしょっぱさのないノワールミステリーの爆誕です。
    イタリアからスタートしてヨーロッパと台湾を駆け巡る展開もまた良い。いやあ、サラミの炒飯食べたいよ。

    いやあ、しかし刑事は定年間近に限るね。描写はなかったけど小太りであることを期待しちゃう。そうあってほしい。

    既に続編が書かれているとか。翻訳早くっ!!

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    2024年04月30日
  • 炒飯狙撃手

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    張國立『炒飯狙撃手』ハーパーBOOKS。

    北欧ミステリー小説のように最近は華文小説が流行っているようだ。評判を耳にして何作か華文小説を読んでみたのだが、その独創性と面白さに驚いた。最近、文庫化された劉慈欣の『三体』は言わずもがなだろう。ミステリー小説では、陳浩基の『13・67 』、蔡駿『忘却の河 』が非常に面白い作品だった。よって本作にも大いに期待するところである。

    本作は台湾作家による華文謀略スリラーである。『炒飯狙撃手』という少し滑稽なタイトルとは裏腹に、台湾のスティーヴン・ハンターと言っても過言ではない程の緊迫のスナイパー・アクションと台湾警察の地を這うような捜査の様子が描かれていて

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    2024年03月27日
  • おはしさま 連鎖する怪談

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    日本・香港・台湾の作家によるホラーミステリのリレー小説。箸を使ったおまじないの「おはしさま」。それはただの都市伝説なのか、それとも呪いなのか。なんともおぞましく恐ろしい作品、と思って戦々恐々の心地で読み始めましたが。
    まず「おはしさま」。これは文句なく怖いです。嫌です。いや、好きなんだけど。一番短いのに一番恐ろしさは強烈。さすが三津田さんです。
    続く「珊瑚の骨」は、切ない青春小説のような読み心地だし。「呪網の魚」は都市伝説を用いたミステリ。「鰐の夢」では今までのあれやこれやが繋がってきた感があって、たしかにこれで完結してもよい気がしました。ならば続く最終章でこれはいったいどのように着地するのだ

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    2022年01月29日
  • おはしさま 連鎖する怪談

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    日本・台湾・香港のリレー小説がいい感じにカオスです。共通するテーマを盛り込みながら各国の作家さんが趣向を凝らし、驚愕のラストへ・・・

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    2021年12月29日
  • おはしさま 連鎖する怪談

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    三津田信三さんの不穏なホラー短編『おはしさま』を皮切りに、四名の台湾・香港作家が共演するリレー小説(競作っぽい)。独立した複数の物語が、後半の作品では繋がりが整理され謎が解け、そして、ミステリ、ホラー、SFまで含んだエンタメに発展する。怖さという意味では、最初の三津田信三さんの『おはしさま』がピークになってしまっていますが、一つの怪談から発想して発展させる各作者の手腕は見事。
    自分的には2021年に読んだ中で一番のヒット。内容も面白いし、アジア作家のホラーや幻想小説をもっと読みたいという欲求を引き出してくれて、世界が広がった感覚がありました。
    リレー小説としても面白いし、五作ともそれぞれ独立

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    2021年12月19日
  • 網内人

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    新聞で紹介されてたこの本。
    香港を舞台にしたミステリーで、普段あまり手を出さない翻訳ものだけれど、香港に少し縁があったので読み始めた。
    地名や街道名や交通の仕組みなど懐かしく…最初は人の名前から頭に浮かぶインパクトがなさすぎて、毎回こいつは誰だ!?となったのも束の間、アイのしつこい質問に答えるアニエがもはや自分の相棒にも思えてきた、面白かった。
    二段組を制覇した満足感にも○

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    2021年04月16日
  • 網内人

    H

    購入済み

    陳浩基の2冊目!

    香港に住んだことはありませんが、30年以上前から香港を行き来していることから、返還前・返還後・近時と時代の流れを感じます。その意味では、13・67はリアリティを感じ、圧倒され、陳浩基の2冊目として「網内人」を読みました。
    13・67は、香港の時代の流れを追うような面がありましたが、現在の香港です。
    ただ、そこには単にミステリーの側面に加えて、香港の状況を織り交ぜており非常に面白く読めます。かなりの長編ですが、一気に読みました。続編に期待です。
    追記
    香港に関する知識がなくても、大丈夫です。

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    2021年04月07日
  • 網内人

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    ハッカーをまるで魔法使いのように描いてしまう作品もありますが、本作品はネットに疎い主人公を通してどうしてこんな事が出来るのかをしっかり描いており、それでいて冗長になり過ぎない絶妙さが凄く良かった。

    13.67で見せた社会性を織り交ぜた作風は今作でも健在。今回のテーマである「インターネット」は日本にも通ずるテーマでとても身近に感じられた。一方で「香港」という特殊な歴史を持った都市の風合いは13.67と比べるとかなり抑え目。

    2段組500ページと決して短くない作品で、厚さに尻込みして長く積ん読にしていましたが、読み始めたらあっという間でした。作者の次回作も早く読みたい!そして違和感なくスラスラ

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    2021年03月15日
  • 網内人

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    はじめの数ページは読むのを躊躇ってしまうくらい暗い描写だが、それ以降はどんどん引き込まれていった。

    ネットに潜む悪意だけではない、『人間の物語』としてとても読みごたえがあった。

    ぜひシリーズとしての次作を読みたい!

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    2021年02月13日
  • 網内人

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    面白かった!2015年の香港。ネットでの悪意により妹を自殺で失ったアイがネット専門の探偵と共に書き込み主を追う。正直、またネットの誹謗中傷?と思ったが、この探偵に妙な魅力はあるし、ITに無知なアイに逐一説明することで彼のしていることが手に取るようにわかるし、香港の生活も興味深いし、で、あっという間に夢中になった。謎を追う経緯も大変面白かったが、二人の距離感が変わっていくのも、並行して語られていた話が一本にまとまるのも、章末に現れるLINEのやりとりも、そして鮮やかなラストも…!2段組のこのページ数を堪能。

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    2021年01月20日
  • 網内人

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    ネットでのイジメにより妹のシウマンを自殺に追いやった犯人を見つけ出すため立ち上がるアイ。天才的ハッカーで復讐請負人のアニエがとても良かった!ミレニアムのリスベットに匹敵するキャラ立ちで、罠を仕掛けたり潜入捜査したりと大活躍。シリーズ化検討中ということで楽しみであります!
    個人的にはネット社会になる前に学生時代を終えていて心底ホッとしてる。現代の10代は大変だな… あと香港も…

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    2020年12月08日
  • 世界を売った男

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    香港の作家なので、とっつきにくいところがあるかなと思いきや 全くそんなことないばかりか、好みのタイプの小説だった。香港の街の情景が目に浮かぶ。これ読んだ勢いで、即「13•67」を入手。
    初 陳浩基。 

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    2020年07月11日
  • 世界を売った男

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    「13・67」を書いた陳浩基のデビュー作。
    香港を舞台にした刑事物ミステリー。
    主人公が6年間の記憶をなくした状況で物語がスタートする。いきなり話に引き込まれる。

    いろんな伏線を回収すべく物語が展開していき、最後は無事にハッピーエンド?に落ち着く。
    主人公の記憶喪失、アイデンティティの喪失など今までにないミステリーの設定(少なくとも自分にとっては初めてだった)や心理学的なPTSDの科学的根拠を踏まえた行動理由など、いろいろ詰め込んであって面白かった。
    いろいろ無理筋な感じもあるけど、概ね納得できる内容で読後感も爽やか。
    ただ、ヒロインである女性雑誌記者の魅力がちょっと足りないかなと思った。

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    2019年06月30日
  • 世界を売った男

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    ネタバレ

    以前読んだ傑作ミステリー「13・67」を書いた陳浩基氏のデビュー作ということで読んでみた。

    この方の作品は香港を舞台にしたものが多いが、本作も例に違わず香港が舞台。

    朝車の中で頭痛と共に目覚めると6年間の記憶を失っていた警察官が主人公。
    先週に起きた殺人事件は解決済みだし、町並みは変わってしまっているしで混乱した状態から物語が始まる。
    6年前の殺人事件の取材をしたいという雑誌記者の女性と取材を共にしていくなかで、事件の真相に気づいていく
    というストーリー。

    主人公が6年間の記憶喪失という設定も珍しく、調査を続けていく中で、主人公自信のアイデンティティーが明らかになっていくくだりは読んでて

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    2019年06月30日
  • 世界を売った男

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    6年分の記憶を失った主人公の刑事が当時追っていた、現在ではすでに解決済みの事件の真相を再び追う。展開はわかりやすく、しかし山あり謎ありでグイグイと読み進めされられた。ラストはまんまとやられた。最初は主人公が真犯人の閻…と思っていたけど、読んでいくうちに閻は別にいるな…と騙され…、結局閻なんだけど、犯人ではなく、と。 まるで映画を見ているような展開でとても良かった。 最後の、映画の公開で「おつかれさま」という女性…そういうこと、と最初から繋がる最後、綺麗だった。 別の作品も読んでみたい。

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    2022年01月16日
  • 世界を売った男

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    五章あたりでなんとなくという予感があったもののその通りだった場合、ついついしたり顔をしてしまう。だがこの作品はその上に別の伏線が張ってあり騙された! と素直に感心してしまう。
    映像化でさらに化ける作品でしょうね。
    タイトルの謎も作中で解答はあるものの、作品の内容とあまり関係ないような、でも由来を読めばなるほどと思うがやっぱりサブタイトルでも良いんじゃないの? と首を傾げたことだけは伝えたい。

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    2019年02月28日