玉田誠のレビュー一覧
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炒飯の名手にして一流のスナイパーと引退間近の刑事のお話・・・と聞いて興味を持って読んだんですが。
いうほど炒飯要素は多くない。もっとがっつり物語に絡んでくるくらい炒飯炒飯してるのを期待していたんですが。自分で言っててどんな話なんだよとは思いますが。で、原題は「THE SNIPER」なんですね。
つまらないというほどでもないけど、ミステリというには謎の所在や手がかりがだんだんと見つかっていく感じが今一つわくわくする感じしないし。アクション的な面白さとしてもちらほら・・くらいで。刑事老伍のハードボイルド小説というわけでもなく、息子とのハートフルな・・というのでもなく。いろんな要素がちょっとずつって感じ。悪く言えば中途半端かなあ。
主人公である小艾と老伍はなかなかにいいキャラクターではあると思うので、次回作があるらしいのでそちらには期待。 -
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最愛の妻を亡くし引退したベストセラー作家が、ある日目を覚ますと、そこは見知らぬ孤島だった。やがてやって来たのは「デジタル·デトックス」ツアーの参加者たち。メンバー相互の会話や、視線を合わせること、読書や音楽を聴くこと、メモを取ることまで禁じられ、殺生も厳禁という環境の中でひたすら己と向き合うのだという。しかしそこで殺人事件が発生した。作家はすべてを目撃するが、何故かメンバーの目には彼の姿は映らない…。
島田荘司推理小説賞受賞作とのことで、推薦文にも《21世紀の十角館!》と書いてあり期待大で読んだ作品でした。
設定は面白かったのですが、これはSFなのでは?期待していただけに残念でした…。 -
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第六回金車・島田荘司推理小説賞受賞作。台湾を中心としたグローバルなミステリー賞に日本人の作家の名を冠した賞があることに驚き。日本でこのジャンルの黎明期は、エドガー・アラン・ポーをもじった江戸川乱歩がパイオニアとして切り開き、戦後はエラリークインズミステリーマガジンという舞台で揺籃されてきたイメージがあり、常に米英の作家を仰ぎ見て育ってきたカルチャーだと思い込んでいましたが、東アジアでは日本の作家がポーやクイーンみたいな存在になっている?みたいな感じで、なんだかうれしくなりました。本作の著者は相当、松本清張を読み込まれていると思いました。松本清張が単なる謎解きではなく時代に翻弄される庶民の人生がテーマであるように本作も謎解きの面白さだけではなく。実は台湾と日本の歴史の谷間の底知れぬ闇が主人公なのであります。たまたまなのですが、ちょっと前に呼んだ中公新書「帝国日本のプロパガンダ」で台湾の霧社事件を知っていたことがこのミステリーの面白さを深めてくれたような気がします。日本の歴史からは零れ落ちていて、しかし日本の政策によって起こる事件を取り上げている本作が日本語で読めるのは島田荘司賞という賞のおかげですし、松本清張や島田荘司がグローバルなコンテンツメーカーであったことを知れたのはよかったです。島田荘司が選評に書いている推理小説の4段階(科学→アート→社会→新しい2期)の変化が資本主義社会の変化とシンクロしていることが、いま日本の作家が国境を超えることが出来ている理由なのではないか?と思いました。
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「自己犠牲を理由とした自殺(自死)」がもたらすものは……。
「私はみんなには不要なんだ…」「私が死んだ方がみんなのためになる…」
湊かなえや辻村深月の“本”によく出てくるタイプで、他人から見て自分はどう見えるかばかり意識していること、これは究極のジコチュウ、「他人を思いやる」ことの勘違い。
この物語では、バットマンのようなダークヒーローが香港の社会問題とITの闇を闇の中で成敗していく。珍しくはないが、描かれた謎解きや登場人物の心理解説、伏線の構成には驚くばかりで、作者がただものではないことはよく分かる。
ただ…
法律や公序など無視して次々IT技術や最新機器を駆使して謎を暴き、復讐する姿に、なぜか爽快感はなく、嫌な気持が続いてしまうこと(作者の狙いかも)。
「社長と秘書の怪しい関係」が語られたり、「汚い部屋に住む偏屈なオタク」「スマートでおしゃれなIT起業家」「デブでチビで唇が分厚く醜い人物」がそのままの役割で登場したり、ちょっと「ステレオタイプ」であることが興ざめすること。
…少し残念。
「SNSが絡むいじめ問題」「匿名・その他大勢による他者攻撃」
これらが「現代社会特有の問題」とされるのは、本質的に人間の持つ醜い“毒”の出方がITによって強化されて“猛毒”となったため。
無言でスマホを見ている人たちには、今まさに“猛毒”を仕掛けている、または浴びているひとがいる……これは「ホラー」かも。 -
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ネタバレ2年程前にYahoo!ニュースで紹介されており、気になって購入しました。再読して改めて感じましたが、一言で言うと、いやあすごいミステリ小説だ、と思います。特に後半の展開には驚きっぱなしでした。まるで映画を見ているかのよう。
刑事の許友一は朝起きるて、気づくとなぜか記憶がない。署に戻ると丁度自分に来客で、6年前にすでに解決したはずの事件について記者の盧沁宜が取材したいという。。。なぜ記憶がないのか、そしてそもそもその事件の真相とは・・・!?あとはご自身でご確認ください笑
今回の小説のテーマの一つが記憶、です。記憶というのはかなり重要なアイデンティティだと思います。名前や所属団体にアイデンティティを感じることも多いと思いますが、記憶は中でも最も重要なアイデンティティの一つだと思います。そのアイデンティティを失ったとしたらそのインパクトはどのようなものでしょうか。
また、思い込みとか勘違いというは我々の日常にままあることですが、事実と異なる記憶を本物として思いこんだとすると人はどうなるのか。
これだけで大分ネタを明かしてしまったようで申し訳ないのですが、この記憶の妙を上手に使ったのは本作の面白さだと感じました。
また本作は筆者が日本文化に結構通じていることを思わせる部分(古畑任三郎や青島刑事等)が散見され、日本人としては筆者にちょっと親近感がわいてしまうところです。また、筆者が香港人ということであり、香港の様子が細々と記述されています。香港に行ったことのあるかた、住まわれたことのある方は懐かしみと共に楽しめると思います。
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まとめますと、非常に面白い推理小説でした。展開も良し、記憶など人間のアイデンティティにかかわる深いテーマも仕掛けられており物語に深みを与えています。香港という土地柄の描写も旅情を誘います。そして最後に大事なこと。アジアの推理小説という新しい世界に出会うことができます。題名が世界を売った男ですが、私には新しい世界がひらけました、おかげで笑 -
Posted by ブクログ
ヴァーチャルと云うものが、それほど実際に全く縁遠いものでもなくなりつつある昨今。
そしてSFのガジェットとしてはもう、全然目新しいものではなくなっている昨今。
ただその仕掛けをどのようにして利用するか、その利用の仕方にアイディアが要求され得る訳ですが、解説によるとこの物語ではそれが斬新であった、とのことです。
私はミステリもSFも両方ともに詳しくないし、何が「新し」く、「本格」かとかよく判らないので、プロがそう云うならそうなのでしょうが、何となく割り切れないと云うか。
何となく、どうしようもなく、「物語の為の殺人」と思えてしまいました。
ミステリとしての仕掛けが凝っていればいるほどそう思えてしまうジレンマがあるのかもしれませんが。
しかも、ある一つの謎が解かれずに残っていると云うのは、「本格」としてはありなのか、と思うのですが、どうなのでしょうか。
SFとしては、ヴァーチャルやAIなどもう少しで実現出来そうなガジェットを使いつつも、全体的に80年代っぽい雰囲気を醸しているのは、面白かったです。