【感想・ネタバレ】炒飯狙撃手のレビュー

あらすじ

炒飯(チャーハン)の名手にして一流のスナイパーと、定年退職12日前の刑事。
暗殺事件の裏に隠された陰謀とは――。
世界中で話題沸騰、台湾発の謀略スリラー!

イタリアの小さな炒飯店で腕を振るう台湾の潜伏工作員、小艾はある日命令を受け、ローマで標的の東洋人を射殺する。だが根城に戻ったところを何者かに襲撃され、命を狙われる身に。一方、定年退職を12日後に控えた刑事老伍は、台湾で発生した海軍士官と陸軍士官の連続不審死を追っていた。やがて遺体に彫られた“家”という刺青が二つの事件をつなげ――。背後に蠢く巨大な陰謀とは!?

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Posted by ブクログ

イタリアや台湾で話が交差する。出てくる料理が全部美味しそう。炒飯だけじゃなくて。もちろん素敵な炒飯も出てくるんだけど。
タイトルからはもっと軽い話を予想していたけれど、実際にはスナイパー要素が濃くて、内容も硬め。しっかりしたサスペンスだった。
登場人物達が好きだったなぁ。
表で炒飯屋、裏でスナイパーな人物像も印象的だったし、定年退職を目前にして大きな事件を追うことになってしまった警察官の姿も心に残った。
天涯孤独のスナイパーと家族や仕事の人間関係に囲まれている警察官との対比が鮮やかな物語なんだけど、コントラストが「黒か白か!」みたいなキツい感じじゃなくて人情味が溢れてる。
全体に重めの話だけど読後感が爽やか。続編が気になるなぁ。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

炒飯大好き人間として、ブラリと入った本屋でタイトルのみで衝動買い。
腕のたつ料理人が殺し屋という設定はそれなりにありそうだが、炒飯というのが良い。
ちなみに炒飯に何故卵が入っているかと言うとダンテが卵を塩で食えと言ったとか言わないとか。
そんなわけでダンテ仕込みのピリッと塩味の効いた、それでいてしょっぱさのないノワールミステリーの爆誕です。
イタリアからスタートしてヨーロッパと台湾を駆け巡る展開もまた良い。いやあ、サラミの炒飯食べたいよ。

いやあ、しかし刑事は定年間近に限るね。描写はなかったけど小太りであることを期待しちゃう。そうあってほしい。

既に続編が書かれているとか。翻訳早くっ!!

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2024年04月30日

Posted by ブクログ

張國立『炒飯狙撃手』ハーパーBOOKS。

北欧ミステリー小説のように最近は華文小説が流行っているようだ。評判を耳にして何作か華文小説を読んでみたのだが、その独創性と面白さに驚いた。最近、文庫化された劉慈欣の『三体』は言わずもがなだろう。ミステリー小説では、陳浩基の『13・67 』、蔡駿『忘却の河 』が非常に面白い作品だった。よって本作にも大いに期待するところである。

本作は台湾作家による華文謀略スリラーである。『炒飯狙撃手』という少し滑稽なタイトルとは裏腹に、台湾のスティーヴン・ハンターと言っても過言ではない程の緊迫のスナイパー・アクションと台湾警察の地を這うような捜査の様子が描かれていて、非常に面白い。炒飯はほんの味付けに過ぎず、あくまでも狙撃手の物語なのだ。

そして、何と言ってもラストが良い。長い余韻を残す印象的なラストシーン。頭の中で飛行機が飛んでいくのが見えた。


イタリアで小さな炒飯店を経営しながら、潜伏工作員として来る時を待つ台湾人の小艾は、組織からの命令を受け、イタリアのトレヴィの泉の前で標的の東洋人を射殺する。小艾は何度も変装しながら炒飯店に戻ると何者かにスナイパーライフルで襲撃され、生命を狙われる身になる。

危険を感じた小艾はヨーロッパの避難所を巡りながら、自分の生命を狙うスナイパーとブダペストでドナウ川を挟んでスナイパーライフルで対決して勝利を収めるが、そのスナイパーはかつての同期である大胖だった。そして、小艾は自分が命令により射殺した東洋人が台湾の高官であったことを知る。

一方、台湾では定年退職を12日後に控える刑事の老伍が海軍士官と陸軍士官の連続不審死を追っていた。不審死した士官の腕には甲骨文字の『家』の刺青があった。そんな中、イタリアでの台湾高官の射殺事件を追って老伍の上司・蛋頭がイタリアへと向かう。蛋頭がイタリアに滞在中、台湾人の大胖が射殺されたとの報が入り、大胖の腕にも甲骨文字の『家』の刺青があったことが確認される。

老伍の捜査と推理は着実にイタリアとハンガリーの射殺事件と台湾で起きた連続不審死の真相に近付いていく。果たして、老伍は定年を迎えるその日までに事件の真相を明らかにすることが出来るのか。炒飯作りの名人にして、天才スナイパーの小艾の運命や如何に。

定価1,390円
★★★★★

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2024年03月27日

Posted by ブクログ

タイトルから食欲をそそられ、読み終える頃には台湾・イタリアグルメを堪能している、とっつきやすいスリラー。
主人公は炒飯屋を営むスナイパーの小艾。日々中華鍋を振って腕力を鍛えている。雪の降る銃撃シーンは美しくて、いつか映像化してほしい。
そして、彼を追うのが、定年間近の刑事・老伍。ダメ親父ぶりが良い。上司とのリモート捜査会議も面白い。
黒幕の推理劇も読み応え抜群で、続編がフランスで先行発売されたのも頷ける。
今年台湾で発売予定の続編の邦訳を待ちたい。

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2025年07月16日

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華文ハードボイルド。
イタリアの炒飯専門店のスナイパーと台湾での不審死を捜査する老刑事。2つの話が交互に展開されていくのだけど、まぁまぁ苦戦しながらも2人が同じ関係へと終盤へ。混乱しながら読みすすめるなかに炒飯を作るシーンで頭を冷やす。面白かった。

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2025年07月08日

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中華(台湾)ミステリーは初。名前がなかなか覚えられず(同じ人物なのに呼ばれ方が違ったり、名前の前後に愛称?敬称的なものがついたり)ちょっと読みづらいところはあったけど、キャラクター、ストーリーとも、とても良かった。
続編、続けて読むか悩むところ。

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2025年06月20日

Posted by ブクログ

台湾出身の策略ミステリー。
炒飯と狙撃手という異質な組み合わせで
意表を突かれますが
骨太のハードボイルドミステリーに仕上がっています!

2人の主人公
狙撃手側の話と引退間際の刑事との対比で進むストーリーに惹き込まれ。だんだん明かされていく過去の話。そしてある黒幕に辿りついたクライマックス。面白かったです!

ただ一つ難問というか
やはり翻訳ものは名前が複雑で覚えづらかったです。そこはまだまだ沢山本を読んで修行していくしかないですね笑

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2025年03月30日

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ネタバレ

華文が初めてなわけですが(三体は読んだとカウントしません笑)…。やっぱりちょっと文体に違和感はあって、ん??ってなることは多かったかな、と。
ただ、お話としては面白かった!そろそろ続編が出るらしいので、楽しみ!

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2025年03月20日

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ヒデミス2024年にノミネートされていたので気になって購入。

登場人物の名前が読み進めても中々頭に入って来ずページ戻りを繰り返しながら読んでいたのでかなり時間かかった、三体は割とすんなり覚えられたんだけどな...

そこまで大きなどんでん返しみたいな展開はなかったが、炒飯をはじめとした食欲をそそる食事シーンや登場人物の会話、物語の終わり方が非常に印象に残ったので満足。

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2025年03月12日

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イタリアに住む台湾人のスナイパーは、ローマでの暗殺を命じられるが、狙撃した後に命を狙われる。台湾では軍人が死ぬ事件2件発生。この二つの事件が重なると。

事件の謎解きそのものはめちゃくちゃ面白いというほどでもないのだけど、ディテールはめちゃくちゃ面白い。スナイパーの機材とかヨーロッパの移動とか台湾の行政とか。原題はTHE SNIPERで炒飯は関係ない。スナイパーが炒飯作りが上手ではあるけれど、本筋とは関係ないのに、手にとってしまうタイトル。付け方が巧い。

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2024年07月19日

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高野さんが面白いとつぶやいていて、タイトルにも惹かれて。
ストーリーにのめり込むほどではなかったけど、ずんずん読み進む。
続編が最後に匂わされていて、楽しみだ。

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2024年07月15日

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辺境作家 高野秀行氏がX(旧Twitter)で「面白い」と仰っていた。
随分前からこれが選書基準になっていて、そこから読んだ本はほぼ外れがない。近頃小説離れが酷かったが、彼の言葉を信じてページを開くや、薬が効いていくように時間を忘れた。本書の肝となる銃器や軍事関連の用語に蹴躓くことはあれど、それ以上に続きが気になり歩を進めていたのだ。

とはいえ帯に書いてある「謀略スリラー」(しかもメイドイン台湾!)なるジャンルとは、あまり面識がない。面白かったけど、内実は筋書きを追うのに必死で、もう一度確かめたい箇所が幾つもあった。

謀略もスリラーも、様々な事件や思惑が絡まり合って複雑怪奇に仕上がっていた。しかしその鍋の中には、老悟刑事らによる温情豊かなヒューマンドラマも含まれていて、スリラーとの良い塩梅を醸し出していた。
そうした人々の営みを羨むかのように、身寄りのない犯行サイドたち(あ、ネタバレ)が「家」という繋がりでお互いを結びつけているところも、スリラーでは片付けられない所以である。

「ブラザー・ガイ。自分の運命に対して好奇心を抱くのはいいことだ。疑わないことだね」

定年退職を12日後に控えた老悟刑事は、2件の死亡事件に携わることとなる。同時期にローマにて台湾人の射殺事件が発生するが、それらの事件には思わぬ関わりがあり…。
本書の主人公 小艾(がい)はローマの事件の犯人だが、ある人物からの指令で暗殺を企て逃亡を図る。逃亡劇から炙り出される小艾の過去と、残りの刑事人生にかけて調査をする老悟。二人の視点を交互にしながら、物語は真相に向け突き進んでいく。

小艾のサバイバル能力(だいぶひとまとめに表現しています…)や刑事たちの頭の回転の速さには只々脱帽する。脱帽するだけならまだしも、その場で飲み込めずにまた一から読み直す有様だった。(どちらの側にいても間違いなく生き残れない…笑)
終盤直前まで広がりっぱなしの伏線。本当に解決するのか、それとも解決したかどうかは読者の判断に託されるのか。
読み慣れないジャンルに踏み込んだ自分は歩を進めながらも不安でいたが、それらは終盤急速に回収されていった。その回収を運ぶ文章がまた秀逸で、特に老悟刑事が犯人を追い詰めた時のあの「解釈」には唸らされたなー…!

それともう一つ。
「登場人物はみんな、食べることが大好き」と高野氏が書かれている通り、本書には台湾(時々イタリアン)グルメが多数挟まれている。
料理人でもある小艾がこさえる炒飯(今思えば彼にとって唯一の安らぎなのかも)や、事件の話をしているのにいちいち料理を見せびらかしてくる老悟の上司 蛋頭(たんとう)etc… それに軽く乗っかってくる老悟と、緊張感を格段に和らげる役割を料理は果たしている。

さすが食文化が豊かな台湾。ヒューマンドラマを感じた要因はこれなのかも…。
昼食の台湾風焼きそば(炒飯やないんかい)をすすりながらそんなことを考える。その間にも張り詰めていた脳はほぐれ、目の前の焼きそばは遺憾なく役割を発揮していた。

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2024年07月03日

Posted by ブクログ

書店でタイトルに魅かれて購入。炒飯の名手であり、且つ、スナイパー/スパイという設定が面白そう(楽しそう)と思い手に取ったのですが、本格的な謀略・スパイ小説でした。イタリア、台湾、ハンガリー、チェコ...台湾と場面も移り、狙撃シーンは臨場感あり。過去に秘密を持つスナイパーと定年目前の老刑事が次第にストーリーが進むにつれて近づいていく。ラストは炒飯の継承とスパイ小説としての余韻を残す名シーンです。

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2024年06月15日

Posted by ブクログ

小島秀夫さんが面白いとXで呟いていたので気になっていたところ、この本の話を後輩にしたら私より先に購入し貸してくれました。



前・中盤はあまり盛り上がらなかったが後半100ページ辺りからの盛り上がりに夢中になりました。

ミステリーの核心に向かうクライマックスは、本の中に引き摺り込まれるほどでした。後日章もほんわかした余韻が良かったです。

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2024年06月18日

Posted by ブクログ

始めはのめり込めなかった。が、中盤から俄然面白く展開する。少し調子良い場面も多々あるが最後まで読んでよかった。

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2024年05月13日

Posted by ブクログ

 イタリアで中華飯店を営む男は、指令を受ければ狙撃の名手。

 潜伏工作員として台湾政府要人を狙撃した後から、わが身をも狙われる展開だ。台湾国内で発生した殺人事件も関連し、イタリア、台湾と舞台は目まぐるしく入れ替わる。章立ては地名の連記で、混乱してしまう。

 定年退職を1週間後に控えた台湾警察の刑事が解決に向けて精力的に動く。台湾国軍の諜報部門と警察庁の思惑の衝突も見られ、ノンストップで展開する。

 狙撃の描写が詳細で、マニア心を満足させる内容だ。台湾の政治体制に詳しいわけではないが、細部のリアリティが全体像を際立たせ、理解を助けている。

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2024年05月12日

Posted by ブクログ

イタリアの小さな炒飯店で腕を振るう台湾の潜伏工作員、小艾はある日命令を受け、ローマで標的の東洋人を射殺する。だが根城に戻ったところを何者かに襲撃され、命を狙われる身に。一方、定年退職を12日後に控えた刑事老伍は、台湾で発生した海軍士官と陸軍士官の連続不審死を追っていた。やがて遺体に彫られた“家”という刺青が二つの事件をつなげ――。背後に蠢く巨大な陰謀とは!?

スリラーとしての面白さ以上に、出てくる食べ物の描写で読ませる。昨日の夕飯は炒飯でした。

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2024年04月20日

Posted by ブクログ

炒飯の名手というスナイパーと定年退職目前の刑事が対峙するようになっていく話なのだけど、とにかくお腹が空く小説。炒飯から始まりサンドイッチから餃子からとにかくお腹いっぱいになりそうになる。そう書くと何やらユーモア小説風なのだけど、手に汗握る攻防戦である。スナイパー訓練時代の話なかなか興味深く、サイドストーリー的に進んでいくのかと思いきや後の話に繋がっていく。何故台湾のスナイパーがヨーロッパで潜伏しながら活動するのか、刑事は定年前に事件を解決できるのか最後まで目が離せない。続編が既に(台湾より先に)フランスで刊行されているとのことで、今後も楽しみ。

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2024年04月13日

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本文中に時折り出てくる、小艾がつくる炒飯やその他の飲食物が物語の中でいいアクセントになってる。アクション物でありながら、不思議な余韻が感じられる作品。

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2024年03月31日

Posted by ブクログ

イタリアで美味しい炒飯を作る凄腕スナイパーの小艾。
彼は命を受けてローマに行き、一人の男性を仕留めた。しかし、その後自分の命を狙う誰かに追われる身となる。
台湾で起きた士官の不審死を捜査する二週間後には定年になる刑事、老伍。
ローマと台湾で起きた事件が別々に進行しつつ、やがて一つに交わり始める。

炒飯狙撃手というタイトルだがら、もっと炒飯を作るシーンが出てくるかと思いきや、意外に少ない。
真剣なストーリーではあるが、設定にギャグ要素が多いのだからもっとふざけてもいいと思うらしい。

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2025年10月13日

Posted by ブクログ

台湾のミステリ、初めて。
軽やかで、登場人物も魅力的でいい感じ。
ときどき主語や、発言者がわかりにくいのと、
見た目の描写があんまりないので、イメージが湧きにくいときがある。
ときどき風景描写がかっこいいところがあった。

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2025年08月26日

Posted by ブクログ

イタリアの炒飯店店主、実は台湾の工作員である小艾と、台湾で定年退職間近の刑事老伍が主人公。暗殺を成功させた後に命を狙われる小艾と、老伍が追う事件がリンクして…
奇妙なタイトル(邦題)に惹かれて読んでみた。情報を聞き出そうと侵入した家で炒飯を作ってしまう小艾がとぼけた味を出しているが、内容はシリアスな謀略スリラーである。軍事的な知識がないので最初はイマイチ入り込めなかったが、中盤以降はどんどん話が展開して一気読みだった。
相変わらず中国の名前はなかなか覚えられず、最初の登場人物紹介があって助かった。

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2025年08月15日

Posted by ブクログ

台湾とヨーロッパを行き来しつつ、テンポよく進んでいきます。台湾の地名や名前に馴染みがなかったけど、それでもとてもおもしろかったです。

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2025年08月07日

Posted by ブクログ

炒飯の名手にして一流のスナイパーと引退間近の刑事のお話・・・と聞いて興味を持って読んだんですが。
いうほど炒飯要素は多くない。もっとがっつり物語に絡んでくるくらい炒飯炒飯してるのを期待していたんですが。自分で言っててどんな話なんだよとは思いますが。で、原題は「THE SNIPER」なんですね。

まらないというほどでもないけど、ミステリというには謎の所在や手がかりがだんだんと見つかっていく感じが今一つわくわくする感じしないし。アクション的な面白さとしてもちらほら・・くらいで。刑事老伍のハードボイルド小説というわけでもなく、息子とのハートフルな・・というのでもなく。いろんな要素がちょっとずつって感じ。悪く言えば中途半端かなあ。
主人公である小艾と老伍はなかなかにいいキャラクターではあると思うので、次回作があるらしいのでそちらには期待。

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2025年01月23日

Posted by ブクログ

日本はもちろん、今まで読んだ米国、英国、仏、香港の各国の警察小説でも、上位組織と現場の確執は不変でした。

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2024年07月28日

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