高田明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
他の経営者と違って、自慢話だとかこうするべきだ等の記述がなく、とても読みやすくすっと入ってきた。
私はこうしたから成功したと言われても、「本人の思考」と「周りの環境」がうまく噛み合った結果、成功して、今語れる話なので、素直にそうですかとは受け取れない。経営は運(周りの環境)の要素も多少なりともあるだろうし。「自分の信じた道を謙虚にしかし大胆に思考錯誤しながら本気で推し進めていく」ことが「周りの環境」を「本人の意思」に少しでも近づける方法だと思うし、自分の可能性を探るための唯一の方法だとも思う。経営はその一手段に過ぎないだろう。他人の言う失敗もあるだろう。
このような謙虚な方だからメディアに取り上げられることもなく、なんとか塾などの勘違い教育機関を作ったりしないのだと思う。
こんな経営者を目指したい。 -
Posted by ブクログ
「伝えることから始めよう」に引き続き、高田明氏の著書。
高田氏の考え方を世阿弥に照らし合わせているので、とても面白く勉強になる。
メモ
1.積み重ねる
■現状を受け入れるほか道はない
「平戸じゃなきゃ商売できない」「あのお客様がいなければ利益が出ない」といった特定の考えに固執していたら、環境が変わった時に身動きが取れなくなる。
外部環境に変化が起きたら、「自分でどうにかできること」に集中する。
■昨日の自分より、今日の自分
自分自身の中に課題を見つけ、修正する。
自分でやり続ければいいだけなので、誰かと比較する必要がなく、優越感や劣等感を持つ必要がない。
2.伝える
■相手の心を解きほぐす間
言いたいことを熱弁するだけでは、相手の心までは届かないもの。
■あなたの常識は、誰かの非常識
お客様の気持ちを理解できなかったら、ビジネスは決して成功しない。
仕事、家庭、どんな世界でも離見の見の視点を持ち、独りよがりにならない努力を続けていくことが成長の条件。
■やみくもにオリジナリティーを追求すると空回りする
熟練者がどういう意図で行っているか理解する。
そこで初めて自分なりのアイデアが湧いてくるが、この過程を踏まずにやみくもにオリジナリティーを追求しても大抵は空回り。
先人から、歴史から学ぶ。
ビジネスの世界も同じ。
■自己評価が高くても低くても駄目
傲慢でも謙虚すぎても駄目。
自己評価を正当にできない人は成長できないから。
自分の姿が正しく分かっていると、自分に足りない点を理解し、それを補うための努力ができる。
3.変える
■あなたは誰にそれを伝えたいの?
どこの放送局で流れるのか
流れる時間帯はいつか
見ている視聴者は年配の人か若い人か、男性か女性か
社会情勢
当日の天候
といった前提条件によって効果的な紹介方法は変わる
■相手の期待を越えていく
明かしてしまえば何でもないようなことでも、秘密にしておくことで価値が上がり、効果も格段に増す。
4.つなぐ
■分かる人だけが分かればいいのか
どこで演じようと常に観客を満足させてこそ名人。
幅広い人気がないようでは本物とは言い難い。
■永続に求められるのは、不易流行の実践
不安と期待をはかりにかけて、期待が少しでも不安を上回るならやらせてみる。
新しいことにチャレンジするときに不安は付き物。
やるかやらないか躊躇してしまうことがあったらこの言葉を思い出してみる。 -
Posted by ブクログ
長崎県の平戸島から年商1500億円企業のジャパネットたかたをつくった著者の自伝。前半は家業であったカメラ屋からテレビショッピングで全国区みなるまでの歩み。後半は本書のタイトルとなっている「伝える」ことに関して著者がこれまでに培ってきたノウハウや考え方について書かれている。書中にテレビ通販で電気自動車を1度に99台売った事が書かれていた。驚愕の数字であるが、これも彼の類まれなる伝える能力があってこその事だろう。
本書の冒頭で「伝える」ことと「伝わる」ことの違いについて熱く語られている。伝えたつもりで終わっていたら、モノは売れないということだ。
著者は当初、父親が経営する地元のカメラ店の手伝いをしながら仕事を学んだという。平戸がかつて幕末の貿易港として栄えたことから観光名所となっていたので、押し寄せる団体の観光客相手に集合写真を撮ったり、宴会の写真を撮って、翌日の朝、ホテルで販売したという。しかし、それだけでは終わらず、観光客が帰るフェリー乗り場や、フェリーの中、さらには電車で大阪まで追っかけて販売をしたという類まれな行動力で業績を伸ばしたという。その後、暖簾分けで佐世保に出店し、ラジオCMを開始し、そこでの縁からラジオショッピングをやり5分間話して100万円を売ったという。さらにテレビショッピングに進出して今があるという。節目節目でカメラから、ビデオカメラ、そしてそれを映すためのテレビ、さらにカラオケなど日本が豊かになる過程で次々と生まれていった家電の新製品が彼の事業の成長を大きく助けた事が書かれている。一方、長崎という地方の一販売店が全国区になるにはその程度の幸運だけではそこにはたどり着くことは出来ない。やはり、出来ない理由よりも出来る理由を探す著者の前向きな姿勢と、どうすれば顧客に喜んでもらえるかというマーケティングの視点を学ばずとも持ち合わせていた事が最大の成功要因だといえる。
そして、彼の真骨頂とも言える後半の「伝える」についての話は面白い。分かりやすく言う事を心がけているという話は、特段新鮮味はないが、実際にそれを実践してみるのはむづかしい。例えば、「カメラのピントを合わせて」ではなく「距離をあわせて」、ズームという言葉を使わずに「遠くのもの「も近づかなくても大きく撮影できる」と説明するといった具合である。ジャパネットの中心顧客は田舎暮らしの高齢者である。そうした人たちにわかりやすい言葉で語りかけるように話す、これを心がけていたという。実際にはどういう言葉使うかということは常日頃から考えていたのであろう。そこを突き詰めてやれるかどうかが一流とその他の違いなのであろう。
例えば、今では良く知られたレイコップの布団掃除機もジャパネットがヒットさせたという。2016年時点で日本での累計販売数が400万台であり、200万台をジャパネットが販売したという。PM2.5などで布団が干せなくなった現代の日本で、これを使えばその悩みが解消されてゆっくりと睡眠できると伝えたという。
電動歯ブラシを売るとき「80歳で自分の歯を20本維持することを目標にしましょう」と言ってシニア層に大ヒットしたという。
そして「最初の一分こそが勝負」だという。シニア向けのタブレットを紹介するとき「皆さん、いいですか。これ、音声だけで簡単にインターネットができるんです。ご年配の方にも簡単にできるんですよ。しかも100円。でも、まだ電話しないでください、これから詳しい話を始めましょう」と。市場ではタブレットの購入者は若い人だが、ジャパネットでは7割が60歳以上のシニアだったという。
そして著者は、かつて社員からすすめられて読んだ世阿弥の「花鏡」と「風姿花伝」を愛読しているという。室町時代に書かれた能の真髄について書かれた本が、現代のテレビショッピングでのノウハウに通じるものがあるという。間を取ること。そして、「我見」「離見」「離見の見」の3つの視点。自分の視点、客の視点、そして最後が肝要となる自分自身の姿を離たところから幽体離脱の如く見るということである。お客様の視点で物事を見る、これもよく聞く話であるが、やはり言うは易しの類だろいう。これを日々追求しているのが著者の凄さである。