内田百間のレビュー一覧

  • 御馳走帖

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    平たく言えばおっさんの日記帳。好きなタバコは。好きな食事は。好きな酒は。といった内容が続く。印税の前借までしてパーティをし、酒の歯止めが利かずにべろんべろんに前後不覚になる「御慶」は印象に残った。蛍の光を差し止めさせるあたりのくだりは吹き出してしまう。概ねこんな感じなので、たぶん得るものはあまりないが、私はこういうのが好きです。

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    2018年12月25日
  • 御馳走帖

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    旧仮名使いであるが、それがまたこの作品の良さを引き出している。シュークリームやらカステラやら麦酒やら食へのこだわりを感じた。当時の人にしてはかなり良いものを堪能していたのではないだろうか。
    また最初から最後まできっちり読まなくても、短い短編としても気軽に楽しめるのもこの作品の良いところ。
    夏目漱石には頭が上がらないんだろうなぁ

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    2018年04月23日
  • ノラや

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    内田百閒が野良猫を飼った時の話。
    猫がかわいくてたまらない様子が伝わってきて、猫好きには是非読んでほしい一冊。
    飼っていた猫が急にいなくなってしまい、筆者が毎日泣くほど辛い気持ちになるのが猫を飼っているとわかる。
    とっても読みやすいし、情けない筆者に共感する。

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    2017年12月03日
  • ノラや

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    内田百間の飼い猫ノラとクルの話。
    野良猫のノラが居なくなって、毎日泣き暮れ何年経っても悲しみつづける狂おしい様が、最初は呆れながら読んでいたものの、そのうち哀れで可笑しくなってくる。ああ、猫ってそうだよね、分かる分かる...と、いつしか百間と気持ちが同期してしまった。

    ノラが居なくなって、暫くしてから住み始めた野良猫のクルも当初はノラと比較され容赦なくノラより劣るとされていたのに、5年も飼えば情が深くなり、病死してからの百間の嘆きようは凄まじく、やはり少し愛らしさと可笑しさがこみあげてくる。

    なんとも、いい本です。

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    2017年03月16日
  • ノラや

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    迷い込んできたノラが、百閒先生の家に住み着き、やがて失踪する。
    その後に、ノラによく似た猫、クルツが内田家に住み着き、数年後に、寿命がくる。
    これだけの顛末を描いた文章なのに、面白い。
    昭和三十年代の東京、麹町あたりの町の雰囲気もよくわかる。
    近所の人が、入院した百閒先生の奥さんの代わりに、入れ代わり立ち代わり、世話にやってくる。
    庭の木賊や、花が咲く木々、雨の様子が、今の東京では考えられないほど、瑞々しい。

    ノラを探す百閒先生の届いた手紙に、阿房宮列車ではあんなに偏屈な百閒先生が、猫のことになると、こんなに情に厚いなんて、といった趣旨のものがあったが、まさに同感。
    最初、百閒先生が泣いてい

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    2016年05月31日
  • ノラや

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    猫好きなら一度は読むべき!と言われる本書。
    百閒先生の家に住みつき可愛がられていた野良猫のノラ。
    ある日突然戻ってこなくなり 四方八方 手をつくしてノラを探すもいっこうに見つからず 百閒先生は嘆き悲しみ 涙にくれる日々… 先生の「ノラや!ノラや!」の声が聞こえてきそうです。

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    2015年06月02日
  • ノラや

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    行方をくらました飼い(半ノラ?)猫を想って、オジサンがひたすらめそめそする本。

    ノラが可愛くて可愛くてしかたなくて、本当に愛していたんだなぁ、という思いがひしひしと伝わってくる本。猫好きは百閒先生と一緒にしんみりしちゃうこと間違いない。
    寺田寅彦の『どんぐり』といい、この本といい、近代文学は真摯にグッとくるのがいい。

    表紙の猫が「トラ柄ブチ」でないのがひたすらガッカリ。

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    2015年05月18日
  • ノラや

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    百閒はふとした縁から野良猫「ノラ」を世話をするようになる。老夫婦を癒し、心の拠りどころにもなっていたノラは、ある日突然姿を見せなくなる。ノラを懸命に探し数年が経った頃、軒先に迷い猫「クルツ」が現れる。

    「ノラやお前はどこへ行ってしまったのか」
    突然姿が見えなくなったノラを案じ、迷い猫探しの広告を作成し、日々の空虚を日記にしたため、外国人が保護しているかもと想像力を膨らませ英字版の広告も用意し…と猫探しに奮闘する日々。「似た猫がいる」という連絡があれば確認に赴き、一喜一憂します。愛猫が帰らない毎日に涙する様子に胸がきゅっとなる…。
    猫が見つからないという事実を前に、ここまで悲哀の想いが吹き出し

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    2015年03月24日
  • 御馳走帖

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    忙しいのとポケモン買ったのと一篇が短いのとで、読むのに1か月くらいかかったが、百閒氏のへんなひとがらが伝わってくる素敵なエッセイだった。ビスケットと牛乳ってちょっといいね。
    ところどころ『作家のおやつ』を引っ張り出してきて交互につなぎ合わせつつ読んだよ。

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    2015年01月16日
  • 御馳走帖

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    百鬼園先生は幼稚園に上がる前から煙草を吸っていたそうな。今なら幼児虐待。しかし大正の文豪はわがままだなぁ。

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    2012年12月14日
  • 御馳走帖

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    御馳走といいながら特においしいもののことを書くではなく、食べ物にまつわるいろいろを、ぐだぐだだらだらと書いてある。でも、それが百けん先生独特の文字と文字の間のせいで、読んでいてかなりいい気分になるからすごい。なんてことないことや無益極まりないことが御馳走になってしまう技術に感服でした。

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    2011年02月16日
  • 御馳走帖

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    馬鹿鍋を以て饗応し、一合のお酒を得るために東奔西走、船中で飲むシャンパンに悪酔いし、幼少時より嗜む煙草を語る。偏屈だが、お茶目な百?先生を堪能できる一冊。愛酒家、愛煙家は特に共感出来る。

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    2009年10月04日
  • 東京焼盡

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    百?先生の日記の中に東京の焼け跡を見て、
    『敵が憎いよりも、見方が意気地がないと嘆ずるよりも、馬鹿気た話だと思ふ事切なり。』とありました。まったくもってその通りだと思います。
    毎夜毎夜襲ってくる空襲の恐怖と日々の食べ物に困る毎日。戦争なんてしちゃあいけないな、とつくづく思うのです

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    2009年10月07日
  • 御馳走帖

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    百?先生の食にまつわる随筆を選んで編まれた随筆集です。
    なんというのか百?先生の文章は本当にお酒が好きなんだなあ、ということが文章からにじみ出ている感じです。本当においしそう、なんですよね。お酒も、食べ物も細かい料理法を書くのではなく、あくまで食べる人の観点から描かれているのですが何となく味が連想できるような気がするのです。こんな味かなあ、おいしそうだなあ、と。そしてそのご馳走を前にお酒を飲む。これがまたおいしそうで。
    …ビールが飲みたくなるし、お酒の美味しい燗が飲みたくなるのです。

    そんな先生だから戦時中はきっと苦労をなさったんだろうなあ、と。文章の端々からその苦労はうかがい知れます(が、

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    2009年10月07日
  • 東京焼盡

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    東京大空襲と先生。

    焼けた東京に関する先生の考えはとても心に染みる。「まあだかい」あたりを読んでからの方がお勧めかも。勿論これからでも問題なく読めるのだが、先生と周りの人々に関する知識があった方がよりいい。関係ないが、旧仮名の全集(古本)、揃してはいるけど全然見つからないので、旧仮名で出してくれる中公はほんとありがたい。

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    2009年10月04日
  • 御馳走帖

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    グルメなんだか、ただの大食漢なんだか。
    ちょっぴり偏食気味のわがまま
    百ケン先生の綴る
    食べ物に関するエッセイ集。

    お酒が大好きで
    度を超してはいかんと思いつつも
    やっぱり失敗してしまったこと。
    子供の頃に岡山で食べたものが
    東京では手に入らないことに関する不満。
    食べ過ぎに関する医者との攻防(笑)

    座敷で酒を追加注文したのに来ないから
    厨房をのぞきにいったら
    「あそこの客にこれ以上飲ますな」と
    仲居さんが叱られてるのを見てしまった
    …というネタは
    よっぽど腹立たしかったのか
    2回も出てきますƪ(˘⌣˘)ʃ

    どこを拾い読みしても、なんとなく愉しい。
    やっぱり好き。

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    2022年09月10日
  • 御馳走帖

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    百けん先生の食べものエッセイ。贅沢なものを食べるのではなく、戦前・戦中・戦後を通して食べる娯しみ、食べさせる愉しみを綴った一冊。現代日本では失われて久しいお膳の風情と滋味を満喫。

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    2020年11月12日
  • 御馳走帖

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    アイスクリームを「食べる」とするか「飲む」とするか、百閒さんが表現迷ってるところがあって、ああ新しい食べ物に対しては連なる動詞も最初は決まってへんのか、とおもった。あとソップがスープのこととか、へーそんな風に言うてたん。そんな習慣があったん。みたいなのが多くて面白かった。

    でも、百閒先生自身がものすごーく食い意地がはってるかというと、どうだろって思うのね。だって戦争云々抜きにして、空腹を我慢して生活してるとこたくさん出てくるでしょう?あと詳しい調理法にもいうほど興味が無いようで(おからにレモンを絞るとかその程度である)、昨今のグルメエッセイを読み慣れてると、どうも物足りない感じの主観者なのよ

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    2019年03月28日
  • 御馳走帖

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    20170304 時間がかかったがようやく読み終わった。作者の食べ物に対するこだわりは付いていけないくらいすごいとおもう。あの時代だという事が余計にすごい。何かこだわるならそこまでやれないといけないのかな?

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    2017年03月04日
  • 阿呆の鳥飼

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    おや、百閒先生のアンソロだと手に取って買って帰ったら家にもう一冊あった…。そうか、後で読もうと買ってあったのか…

    それにしても百閒先生は精神年齢が幼い気がする。物凄い素直で嘘のない人だけれども物事に対する接し方というか生き物に対する接し方があまりにも幼い。欲しいと思うとどうしようもなくなってしまう衝動のようなものを大人になっても抱えている人ってのは大変だろうなぁ。だからこそ彼の文章は今も読まれているのかもしれないけれども。

    私はノラやを読む前に他の随筆を読んでいたので元々は猫キライの小鳥飼いな先生の方が印象に残っていたのでそうか、百閒先生というと猫好きってイメージを持っている人も居るのかぁ

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    2016年10月25日