内田百間のレビュー一覧

  • 御馳走帖

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    すごく面白くて、読み終わるのが惜しいほどだった。百閒先生のお好きなもの、タバコ、酒(いやここは「お酒」と書くべきか)、肉、魚。

    食通気取りな目線とは完全に違って、「好きだから、好き」な食べ物のことが美しい文章でつらつらと綴られている。電車賃にも事欠くくらい金欠の状態で、通りがかりの洋食屋のカレーを我慢しきれず食べて、それが美味しいんだかまずいんだかわからないとか、読んでいてくすりとさせられるお話が満載だ。

    歴史的仮名遣いの美しさにも耽けることができる。決して読みにくくはなく、むしろすんなりと入ってくるのは文章の美しさ故だろうか。

    ところで、おからの酢の物はちょっと試してみたい。どんな味が

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    2013年01月12日
  • 御馳走帖

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    ネタバレ

    内田百間のエッセイ.
    訪問した家で夕方になり,ビールとつまみを出そうとする夫婦と,そうはさせじとする百間先生との攻防,その気持ちわかるわあ.タバコに火をつける云々の話も,根っこは同じだな.
    他にも,親友宮城道雄にシャンパンを飲ませすぎたら,酔いつぶれてゲロを吐いてしまった話,客をいちいち家に上げていると執筆が進まないので,玄関に人に会いたくない旨貼り紙をしてみたものの,相手の顔を見ると調子が狂ってきて,むしろ自分が“構うことはない”と力説する羽目になる話,など,抱腹絶倒である.
    一番気に入ったのは,次の一節である.「一番つまらない物は,正月のお煮しめだと思ってゐたが,・・・・」

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    2012年10月12日
  • 御馳走帖

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    漢字が難しいので読み終わるまでに 非常に時間がかかった。
    あとがきを読み終わったところで、百閒先生の可愛いところとか 憎めない性格が なんとなく伝わってきた。
    そして二回目を読みだすと 漢字がすらすら読めて驚いた。

    酒飲み 食べることが大好きな自分にとっては 楽しい一冊だった。

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    2012年05月29日
  • ノラや

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    ネタバレ

    「ノラや」「クルか」の呼びかけにしんみり。
    猫好きに(犬好きでも可…むしろ身近にこうやって生き物と共にあるならば)は文句無くお勧め。
    ちくわを千切ってあげるシーンにぐっときました。

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    2025年05月28日
  • 御馳走帖

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     百閒先生は明治二十二年に岡山市旭川の川東にある古京町に生まれたらしい。生家は岡山烏城の川向こう、後楽園と同じ町内にある志保屋という造り酒屋らしい。一人っ子で我が儘し放題のお祖母さん子であったようです。しかし旧制岡山県立中学校(後の県立第一岡山中学校、現・県立岡山朝日高校)在学当時に父が死に、実家の造り酒屋が没落するに及んで、それからは生涯金銭的には恵まれなかったようである。高額の月給取りであったようだが、友人や高利貸しから金を借りまくり、酒屋にはツケが相当あったようだ。別号で「百鬼園」を名乗っているが、これは「借金」の語呂合わせとする説もあるほどである。しかし、百閒先生は借金をしてもけっして

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    2011年04月09日
  • ノラや

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    百閒先生が愛おしくてたまらなくなる。ほんとうに感じる力の強い人なのだろうな。猫と暮らしたことのある人は必読。

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    2017年04月09日
  • 御馳走帖

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    大正から昭和初期辺りのおいしいものについて書いてある。
    夜中に料理番組を見てしまったときのように、急にお腹が空いてきてしまいます。
    豆腐屋で安く買ったおからを箸で固めて、それにレモン汁をかけて食べるというのがやってみたいです。
    この本の最後の話に鹿児島名物の軽羹(かるかん)饅頭というのが出てきて、
    御馳走として書かれているんだからおいしいんだろうけど、何だか猫のエサのような名前で
    あんまり食べてみたくはないな~と思っていたのですが、実際食べてみたら、白くてしっとり、でもふわっとした、たいへんおいしいお饅頭でした。また食べたい。さすが百閒先生。

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    2010年06月13日
  • 御馳走帖

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    百鬼園せんせいの随筆は、扱われているものが何であれ、とにかくあの筆致を楽しみ、ウフフ、とかニヤニャしたりするもの。「御馳走」でも「グルメ」もでなく。でも、シュークリームの段などは、いいですね。お肉を食べてはいけません、菜食になさい、と忠告を受けた百鬼園が、「牛は草ばかり食べて大きくなるのだから、牛を食べても草を食べてるのとおんなじだ」と言った、というエピソードは、どの本に出てくるんだったっけ?それだけでも笑えますけどね。百鬼園せんせい、大好きです。「百?」と、この変換ソフトではちゃんと出るけど、普く表示されるのかな。心配だから、別の号をとって「百鬼園」と書いておくことにします。

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    2011年07月19日
  • 御馳走帖

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    お金がなくなって、師匠である夏目漱石の旅行先にまでお金の無心に行った内田百?さん。
    持っているのは片道の電車賃だけ。
    怒られるのではとビクビクしながらも、相部屋に泊まらせてもらったうえに
    ビールも飲んで、そのまま寝ちゃったり。
    とにかく空気読まない天才。
    そんな、空気読まない百鬼園先生の暮らしっぷりが詰まった1冊。
    レイモンド・ブリッグズの『さむがりやのサンタ』などのシリーズで、
    サンタのおじいの、ふつうなのにやけにまぶしい生活ぶりと、輝きが似ています。
    好きなお茶、好きなごはん、好きな酒…。私もおばあになったらあんなまぶしく生活できるのだろうか。

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    2009年10月04日
  • 御馳走帖

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    万年金欠の私にとってはなかなか腹が減って読むのに難儀した本。「東京日記」なども大好きだが、百鬼園先生はやはり随筆ではないだろうか。

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    2009年10月04日
  • 御馳走帖

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    「向田邦子が選んだくいしん坊に贈る100冊」に選ばれていたので読み始めた。内田百閒の食の解釈記。
    先生の食べ物に対する偏愛、偏屈さが詰まった一冊。面白い人だなと。現代と違う当時の食事情を知れて興味深かった。

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    2025年02月25日
  • ノラや

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    いい大人の百閒先生が、ノラがいなくなって何か月も泣いてるの。時にわあわあと。ずっとそんな調子。クルが病死しても同じ。それなのに特に猫好きにはあたらないと強がる。

    最後の段落が思い返すたびに涙を誘う。泣けて仕方ない。ここを読むために今まで読んできたんだな。

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    2025年01月19日
  • 御馳走帖

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    美食ではない。しかし悪食でもない。懐は寂しくとも食べたいものを食べるという先生のいじましさが伝わってくる。

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    2025年01月14日
  • ノラや

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    内田百閒先生の猫溺愛ぶりが父と重なって仕方がない。しかし、父は死後の猫に対しては案外冷静なのに対して、先生の未練には驚いた。風呂には入りましょう。

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    2024年04月09日
  • ノラや

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    いつも散々変なこと言って変なじいさんだと思って面白がっていたが、家族の一員を立て続けにな(失・亡)くして泣いてばかりいるじいさんを文を通して時代をこえても、哀しくて仕方がない。
    でも風呂には入って。
    平山君の解説を読んでも当時の周りのサポートも推して測るものがある。
    また、百閒を心配して手紙を寄せる人達の温かさというものも感じた。ノラも百閒もクルツも、みんなから愛されていたんだと思う。

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    2023年04月08日
  • ノラや

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    多分1956年あたりが初出かと。
    内田百閒先生ですから、エッセイというか、文章というか、雑文というか。

    ノラという猫を飼っていた内田百閒先生。
    もう老齢です。
    ノラが迷子になってしまって狂乱して探す百閒先生。
    見つからずに泣きくれる百閒先生。

    そのうちに迷いネコをなし崩しで飼い始める百閒先生(と奥さん)。
    クルツというその猫を飼いながら、ノラを思って泣いたりする百閒先生。
    だがそのクルツも病に倒れ、また泣き崩れる百閒先生。

    今から65年くらい前の東京、今と比べると猫や犬の死は多かったことでしょうが。

    なんとも取り留めもない中に、そこはかとなく格調と人間性が諧謔の風味の中に匂い立つ、唯

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    2022年07月25日
  • ノラや

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    ネタバレ

    ・動物が苦手な人も、ひょんな事から飼い始め、自分の手からご飯を食べる姿や成長する姿を見ると、可愛いと思えてくるのがおそらく一般で、母性なんだなぁと思う。

    ・可愛い子が他所で叱られないように、皆んなから可愛がられる様に躾ける父性もとても大事。

    ・虐待のニュースとか観ると、ふと思い出す『ノラや』。

    ・最後までノラが帰ってくると信じて読み進めていたけど、ついに帰ってこず、読み終わってからも気掛かりで仕方ない。

    ・クルがノラなのか。。とかも思ったけど、クルはクルで可愛いし、ノラの代わりはいないし、クルの代わりもいない。

    ・兎に角切ない。

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    2021年03月09日
  • 大貧帳

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    百閒先生の本は面白いけれど、これはちょっと読むのがつらかった。どう受け取るか。泰然自若たる姿勢か、開き直りか。たしかに百閒先生ならではの世界観ではある。

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    2019年07月29日
  • 御馳走帖

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    百閒食べる食べる飲む呑む喫むが、ギッチリ詰まった百閒好きのための百閒本。ひい!
    おいしそうな物がたくさん登場しますが、油揚げを焼いて生姜醤油をかけたのを友人に出して、後世まであれは美味いねと(優しさと勘違いを含め)云われ続けた一品がやたら美味そうだったので、週末の肴に決定。

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    2019年04月18日
  • ノラや

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    「うちの可愛すぎる猫が行方不明で俺がどうにかなってしまいそうな件」

    猫を飼った事がある人、又その猫が行方不明になった事がある人、またその猫を看取った事がある人は到底他人事としては読めない一冊でした…電車内で読んで居て、変な声出しそうになりました。以上。

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    2019年03月27日