宇野維正のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
コロナ禍の影響で(ただし本書を読めば加速装置ではあれど起爆装置ではないと分かる)凄まじい勢いで変容が進んだ映画産業。2020年以降の16作品をガイドに何が起きているかを紐解いていく一冊。作家のキャリアという縦軸と同時代の作品との比較という横軸を通して映画の中身以上に外側の産業的側面が浮かび上がってくるのが面白い。もちろん「ポリコレ」とだけ言って分析した気になっている凡庸な論調とは一線を画している。逆に言えば映画は好きでもそういった外側の話題に馴染みのない人が読むと面食らうかも。自分は今でも毎週末映画館(生活圏内にある某シネコン)に通っているが、やっぱりIMAXフォーマットみたいな映像体験として
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Posted by ブクログ
#2010s 90年代後半から、「buzz」、00年代は「snoozer(どちらかというとタナソウより、加藤亮太くんが好きだったんだけど)」に心酔してた人間としては、まさに自分のためのギフトかと勝手に思ってしまうほど、ど真ん中。タナソウの社会状況のアナロジーの紐解きや、新書の著者らしい宇野さんの業界解説とサウスやガソリン車への溢れるエモーション。個人的にはまさに2人の影響から2016年以降トラップやGoT、MCUにどっぷりハマってたので、大項目的には過去の言及を反芻するものではあったけど、それでもこれだけのボリューム、トピックがこの判型、装丁でまとまってるのは大満足。
それにしても、二人称でブ -
Posted by ブクログ
本気で語れる彼らの関係が羨ましい。親友とはこういう関係ではないか。
田中宗一郎はエリート主義とポピュリズムの間を揺れ動くのが魅力的なのだが、あとがきで赤裸々に記しているとおり、それを解決できないとして結局自分語りに似たリベラル的アジテーションに逃げることが多いのは残念(その強引さがが良いのだが)。宇野維正はこれも対談のラストにある通りアメリカという筋を通して、それに流されず、矛盾を見逃さない。ポリコレについての両者の立場の違いでそれが顕著だが、ここは田中宗一郎が自身が嫌悪しているポピュリズムに堕ちていると思う。まあエリート主義のポピュリズムだからある意味筋が通っているともいえるか。また、新自由 -
Posted by ブクログ
賛否両論、炎上上等!な語り口の上手さは流石「ロッキングオン」社出身、煽るのが上手い、と感心。
売名と言われようと、ネットで騒がれれば宣伝になるもんね。aikoと浜崎あゆみには少ししか触れてないのに、4人のファンが買わざるを得ないような書き方は上手いけどズルい。編集者が辣腕なのかも。
アイドル花の82年組の方が思い入れあるので、そちらの方やモーニング娘。についても読みたい。今の音楽シーンを語るのにAKBやエグザイルやジャニタレは無視って、それだけでカッコいいかも(笑)。
宇多田ヒカルについて語るなら母の藤圭子について(自死には触れてあるが)もっと語って欲しかったが、ばっさり切ってるのは聴き -
Posted by ブクログ
1998年は日本の音楽市場最高のCDセールスを記録した年。そして、宇多田ヒカル・椎名林檎・aiko・浜崎あゆみがデビューした年でもある。そう、1998年は我が国の大衆音楽業界にとってはメルクマールな年であったんだ!と、この本で知る。
この2つの金字塔的トピックについて、著者は該博な知識と分析力をもって、熱く深く斬り込む。その切っ先には躊躇いがなく、次から次へと納得の波が押し寄せてくる。そうそう名言にも出会った。
「原稿を書く際、絶対に使わないと心した言葉に『独自の』と『世界観』がある。何が『独自』なのかを書くのが仕事。『世界観』は何かを言っているようで何も言っていない言葉の筆頭である」。確