宇野維正のレビュー一覧
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『1998年の宇多田ヒカル』
宇野維正
『1998年の宇多田ヒカル』、これは音楽ジャーナリスト・宇野維正が書いた、J-POPの転換点を描いた渾身の一冊。
1998年――それは、日本で史上最もCDが売れた年。
この年にデビューしたのが、宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみという4人の女性アーティスト。
本書では、彼女たちの登場がどれほど音楽シーンを揺るがしたかを、「革新・逆襲・天才・孤独」というキーワードで読み解いていくの。
- 宇多田ヒカルは、編曲・プロデュースまで自分でこなす“スタジオの音楽家”として登場。
- 椎名林檎は、職業作曲家としての志向を持ち、SMAPや石 -
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映画はアートだけど、エンターテインメントだしビジネスでもある。特にビジネスの目処が立たないと成立しない。そんなことはわかっていたつもりでいた。
でも、本書を読むとその理解がまだまだ浅いということがわかる。特に、マーヴェルを中心としたヒーローものの映画がこの5年くらいで大きく変化していることは感じていても、それが米中関係やMeToo運動にここまで大きな影響を受けているとは思っていなかった。たしかにマーヴェルはディズニーだもの。ディズニー映画のポリコレの流れとも関連した動きとして腑に落ちた。
私のようにサブスクで観るよりも映画館で観たい人間であっても、これだけオリジナル映画やドラマが増えるとネット -
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まずは、自分があまりにも2010年代のポップカルチャーについていっていなかったということにショックを受け、読みながら「くそー、わかんねー」と辛くなり。。
でも、調べながら、聴きながら(アップルミュージックに感謝)読み進める楽しさに、熱心なスヌーザー読者だった頃を思い出す。お二人が純粋に、この楽しかったディケイド(横文字多かった)を共有したい!というのが伝わってくる。
と共に、アートの話だけしていたいけれどそれでは現状の「ハイコンテクスト」なポップカルチャーへの理解は深まらないのだとも。
ポリコレ、ブラックライブスマター、METOO、トランプ政権、そして気候変動など、ありとあらゆる文脈が、スピー -
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ネタバレ覚え書き
・宇多田ヒカルは1人でパソコンを使って作曲できる音楽家であり、編曲やプロデューサーとしても自分でこなす。歌の中のハモリも自分の声を多重録音。知名度の割にライブは少ない(ライブは苦手なのでないか?)。
・椎名林檎はソロのイメージが強いけれど、もともとはバンド活動をしていたため、今もバンド愛が強い。日本の音楽について、自分が守らなければというような信念がある。
・aikoはかたくな。自分の音楽についてまっすぐインタビューされるような仕事は受けない(媒体を通してではなくライブなどでファンに直接語りかけている)。フェスにも出ない。他のアーティストにカバー音源化の許可をしてことも無い。 -
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私の敬愛する椎名林檎とaikoについて書かれたほんとあらば読まぬわけがないでしょう。これに宇多田ヒカルと浜崎あゆみを加えて(ただ、あゆは本当にオマケ)、彼女たちが生まれた背景から生きてきた時代と音楽業界の変遷を生き生きと、そして鬼気迫るトーンで書いている名著。
以下は勉強になった考察。
- ある種のアイドルであった3人。
- アーティストとアイドルの違いは同性からの支持の有無
- 女性が同性のアイドルグループを支持するという行動様式が市民権を得たのはSPEED以降
- そういう地盤の上にaiko、宇多田ヒカル、椎名林檎はいたから「男子!女子!そうじゃない人!」が入った
- 地盤は小室哲哉の疲 -
Posted by ブクログ
その頃生まれたばかりだった私は、ファッション感覚でCDを買う当時の文化を肌で感じることができないが、よく聴く宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、それぞれの才能や特徴は理解していた気でいた。自分の思っていたものと大きな違いはないが、改めて言語化されることで新たな気づきがあった。
幼少期から特に宇多田ヒカルを追ってきたが、2022年に配信されたNetflixオリジナルドラマ「First Love 初恋」からまた新たな若い世代が宇多田ヒカルの音楽を聴くようになったと感じている。私はそれを第3のデビューのように考えていて、是非筆者の考察を読んでみたいと思った。 -
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9月27日にこの夏ずっと続いた全米脚本家協会のストライキが終了しました。配信とAIという映画が今、直面している問題について脚本家たちは納得のいく譲歩を勝ち取ったと思われます。ただ全米俳優組合のストは年末まで続くと言われているようです。ただ脚本家と俳優の同時のストが行われたのは63年振りらしく、いまいかにハリウッド映画が大きな変局点を迎えているか、ということだと思います。今年久しぶりに読んだ「マスターズ・オブ・ライト」でインタビューされている撮影監督の巨匠たちが1970年代以降、台頭してきたのはユニオンのストライキで属していない若手にチャンスが巡ってきたから、という理由があると思われます。彼らが
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