あらすじ
1998年。史上最もCDが売れた年。宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみがデビューした年。偉大な才能がそろって出現した奇跡の年と、四人それぞれの歩みや関係性を、「革新・逆襲・天才・孤独」をキーワードに読み解く。はたして彼女たちは何を願い、歌い続けてきたのか? なぜ今もなお特別な存在であり続けているのか? 苦境の音楽シーンに奮起を促す、注目の音楽ジャーナリスト、渾身のデビュー作!
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『1998年の宇多田ヒカル』
宇野維正
『1998年の宇多田ヒカル』、これは音楽ジャーナリスト・宇野維正が書いた、J-POPの転換点を描いた渾身の一冊。
1998年――それは、日本で史上最もCDが売れた年。
この年にデビューしたのが、宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみという4人の女性アーティスト。
本書では、彼女たちの登場がどれほど音楽シーンを揺るがしたかを、「革新・逆襲・天才・孤独」というキーワードで読み解いていくの。
- 宇多田ヒカルは、編曲・プロデュースまで自分でこなす“スタジオの音楽家”として登場。
- 椎名林檎は、職業作曲家としての志向を持ち、SMAPや石川さゆりへの楽曲提供なども紹介。
- aikoは、ライブ中心の活動でファンと直接つながることを重視。
- 浜崎あゆみは、セルフプロデュースとビジュアル戦略で時代を象徴する存在に。
この4人が互いに刺激し合いながら、“アイドル”から“アーティスト”への流れを加速させたことが、音楽史的にも重要な意味を持つと語られている。
さらに、1998年という年が持つ文化的背景――
CDバブルの最盛期、タイアップ万能時代の終焉、音楽メディアの変化なども丁寧に描かれていて、音楽業界の“狂乱の時代”のレクイエムとも言える内容になっている。
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覚え書き
・宇多田ヒカルは1人でパソコンを使って作曲できる音楽家であり、編曲やプロデューサーとしても自分でこなす。歌の中のハモリも自分の声を多重録音。知名度の割にライブは少ない(ライブは苦手なのでないか?)。
・椎名林檎はソロのイメージが強いけれど、もともとはバンド活動をしていたため、今もバンド愛が強い。日本の音楽について、自分が守らなければというような信念がある。
・aikoはかたくな。自分の音楽についてまっすぐインタビューされるような仕事は受けない(媒体を通してではなくライブなどでファンに直接語りかけている)。フェスにも出ない。他のアーティストにカバー音源化の許可をしてことも無い。
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私の敬愛する椎名林檎とaikoについて書かれたほんとあらば読まぬわけがないでしょう。これに宇多田ヒカルと浜崎あゆみを加えて(ただ、あゆは本当にオマケ)、彼女たちが生まれた背景から生きてきた時代と音楽業界の変遷を生き生きと、そして鬼気迫るトーンで書いている名著。
以下は勉強になった考察。
- ある種のアイドルであった3人。
- アーティストとアイドルの違いは同性からの支持の有無
- 女性が同性のアイドルグループを支持するという行動様式が市民権を得たのはSPEED以降
- そういう地盤の上にaiko、宇多田ヒカル、椎名林檎はいたから「男子!女子!そうじゃない人!」が入った
- 地盤は小室哲哉の疲弊が貢献するところも大きい
- CDの普及による時代を問わない音楽ラインアップが1998年の爆発の土壌を作った
- 夜空ノムコウがメインストリート側からサブカルチャーへの風穴を開けた
- B級アイドルを歌姫として再生させる小室システム
- 編曲まで自分でやった宇多田ヒカル
- 初めてブログを書いたアーティストである宇多田ヒカル
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夏前に買って読んでいなかった本。1998年を思い出しながら読みました。宇多田ヒカルだけでなく椎名林檎やaiko、浜崎あゆみにも触れています。宇多田ヒカルと椎名林檎の関係や最後の浜崎あゆみの章が特に読みごたえがありました。彼女たち4人はこれからまたどう進化していくんだろう
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宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko…日本の音楽シーンを支えていく女性たちが、1998年に確立していたことを知ることができた。小学6年生のときに、「女性ボーカルの曲だけあればいいな」と思っていたのをすごく覚えているけど、その正体はこういうことだったのか。
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その頃生まれたばかりだった私は、ファッション感覚でCDを買う当時の文化を肌で感じることができないが、よく聴く宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、それぞれの才能や特徴は理解していた気でいた。自分の思っていたものと大きな違いはないが、改めて言語化されることで新たな気づきがあった。
幼少期から特に宇多田ヒカルを追ってきたが、2022年に配信されたNetflixオリジナルドラマ「First Love 初恋」からまた新たな若い世代が宇多田ヒカルの音楽を聴くようになったと感じている。私はそれを第3のデビューのように考えていて、是非筆者の考察を読んでみたいと思った。
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タイトルからは想像できなかった内容でクソ面白かったわ。シスターフッドの物語。宇多田ヒカルと椎名林檎とaiko、それから浜崎あゆみを含めた4人の誰もが気づかなかった連帯。とくにaikoは唯我独尊的なイメージがなかっただけに、そういった側面もあるというところも知れて良かった。
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宇多田ヒカルさんだけでなく、aikoさん、浜崎あゆみさん、そして椎名林檎さん。
青春時代に聞いた音楽の裏に色々あった嬉しさ。音楽が私の人生を豊かにしてくれました。感謝。
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宇多田ヒカル、椎名林檎、aikoという3人の天才と浜崎あゆみがデビューした1998年。それぞれの音楽性や希少性を生い立ちやその時代のバックグラウンドを踏まえながら解説している。
CD全盛の当時と比べてこれからの音楽シーンがどう変わって行くのか、考えさせられる。
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80年代のアイドル全盛期と対比しても明らかなように、人気で足の長い人は、やはり同性の支持が強い。それに加えて宇多田ヒカルが時代にもたらしたもの=セルフプロデュース。そして彼女を支持した背景には、その魅力を誰もが自然と認識していたからに違いない。その意味では個人的に「倉木麻衣」の偉大さも強く訴えたい。
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スポーツの世界での『黄金世代』(野球の松坂世代やサッカーの小野・中村・稲本ら、将棋の羽生世代など)が音楽界においても存在するという、長期間業界内に身を置いて取材を行ってきた筆者の主張は傾聴に値する。
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賛否両論、炎上上等!な語り口の上手さは流石「ロッキングオン」社出身、煽るのが上手い、と感心。
売名と言われようと、ネットで騒がれれば宣伝になるもんね。aikoと浜崎あゆみには少ししか触れてないのに、4人のファンが買わざるを得ないような書き方は上手いけどズルい。編集者が辣腕なのかも。
アイドル花の82年組の方が思い入れあるので、そちらの方やモーニング娘。についても読みたい。今の音楽シーンを語るのにAKBやエグザイルやジャニタレは無視って、それだけでカッコいいかも(笑)。
宇多田ヒカルについて語るなら母の藤圭子について(自死には触れてあるが)もっと語って欲しかったが、ばっさり切ってるのは聴き込んでないから?
今年(平成28年)の宇多田ヒカルのカムバックを煽りまくって終わるのは変だが、2020年の東京五輪セレモニーがAKBやエグザイルやジャニタレで埋め尽くされるのに椎名林檎が危惧しているってそれだけで慧眼。あ、リオ五輪やパラリンピックで椎名さんが出て来たのはそういう…。
日本には提灯持ちの「音楽ライター」とそうでない「音楽ジャーナリズム」が2種類いるってはっきり書いてあり、渋谷陽一は(評論家のようでいて)「誘導尋問的インタビュー」「今やRO社は雑誌よりフェス運営がメイン業務(収入源)」、「渋谷系は過大評価」と、大雑把に言ってこの3つを明記しただけで定価以上の100億点の価値がある。ロッキングオン社辞めた人はこの人に限らずこれまで言えなかったこと言うねえ。楽しめた一冊でした。
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1998年は、宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみ。
多くの今もなお第一線で活躍し続けているアーティストがデビューした年。
また、この年が一番CDが売れた年。
彼女たちの交友や、今も売れ続けているアーティストとしてのそれぞれの特長などを説明してくれている。
1998年がとても奇跡的な年であること、彼女たちのカリスマ性を認識できる本。
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椎名林檎への思い入れが特に強い気がする。僕もだからかな…
リオの閉会式を見るにやはりこの人のビジョンは外から内を見ることができる人なのだなと思った。
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1998年は日本の音楽市場最高のCDセールスを記録した年。そして、宇多田ヒカル・椎名林檎・aiko・浜崎あゆみがデビューした年でもある。そう、1998年は我が国の大衆音楽業界にとってはメルクマールな年であったんだ!と、この本で知る。
この2つの金字塔的トピックについて、著者は該博な知識と分析力をもって、熱く深く斬り込む。その切っ先には躊躇いがなく、次から次へと納得の波が押し寄せてくる。そうそう名言にも出会った。
「原稿を書く際、絶対に使わないと心した言葉に『独自の』と『世界観』がある。何が『独自』なのかを書くのが仕事。『世界観』は何かを言っているようで何も言っていない言葉の筆頭である」。確かに『独自の世界観』となんて、目も当てられない最悪の言葉である。
歴史は年号という点だけで押さえても、何も見えてこない。「通史」という視点で俯瞰する。続いて、ひとつの出来事にフォーカス。鳥の眼と虫の眼の合わせ技をもって、事象の成り立ちを考察する。そこには必ず何らかの兆しがあり、背景が存在し、必然が浮かび上がる。
1998年は「CDがネットに浸食され始め」、「アイドルの使命である「予定調和」を認めない歌手がアーティストという“なんでもあり”の広義なカテゴリーに包含された」分水嶺な年でもあったとも読めた。4人のアーティストがなぜ今もなお特別な存在であり続けているのか?を革新・逆襲・天才・孤独をキーワードに読み解く分析は読み応えあり。彼女たちの楽曲が、流行歌であった女性には、自身の“その当時”に照らしながら読めます。保証します!
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「史上最もCDが売れた年」に奇跡のように揃って登場した、宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみ。その栄光と苦悩に「革新・逆襲・天才・孤独」をキーワードに迫る。
ちょっと聴きたくなった。
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自分がずっと感じていたものを分かりやすく文章にしてくれた。そんな感じだ。宇多田ヒカルや椎名林檎、そしてあの1998年と今について。先頃、宇多田ヒカルはシングルを配信した。おかえり、ヒッキー。
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1998年当時、18歳だった私は一気にあの頃の空気を思い出しました。CDが最も売れた当時、音楽業界はバブルを迎え、ものすごい才能が集まってました。そこで思春期を迎えた私は、音楽は世界を変える力があると信じていました。私や私の友人たちは、今も信じています。
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題名が気になって。
あまり音楽の流行には疎かったけれども、色々と動きのある年だなーとは感じていました。そっかー、一番CDの売れた年だったのか、と。
そういや、我が家にもラジカセが来て、初めて買ったアルバム大のCDが、FirstLoveだったもんなぁ、と懐かしく思い出しました。
そして翌年、中学校の音楽室のラジカセで、凄い歌手がいる、と聴いた覚えのある歌舞伎町の女王。でもごめんあんちゃん、あの時の私には高度すぎて理解できなかったんだ、16年近くかかってやっと椎名林檎のよさを理解できるまでになりました。(報告)
あと宇多田ヒカルのすごさも理解できました。firstloveとエヴァしか聞いたことなかったもんで、他のもきいてみよ、と思えました。あ、でも自分、もともと宇多田のジャンル分かってないかも。知っている曲が実は少ないので、いつもぼんやりしてよくわからないのです。
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なるほど〜と思える内容だった。
宇多田ヒカルは作詞作曲アレンジまでを一人でやるようになっている
椎名林檎は同期や同郷同年代などとの仕事を好む
aikoは実はこだわりが半端ない天才
カバーの許可を一度も出していない
ブルーノートスケールが一番上手らしい、双璧は久保田利伸
浜崎あゆみはこの中では一番コンサート動員数が多い
宇多田ヒカルのカバーは好評だった
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CDの時代は終わっても、彼女たちの時代は続く。1998年の音楽バブルを振り返る1冊。アイドルからアーティスト。メモ。
(1)ビルボードを始めとする我々が目にして来た海外の楽曲単位のヒットチャートの殆どはセールス以上にラジオでのオンエア回数に比重が置かれていた。アルバムをプロモーションする為のツールがシングルだった。
(2)宇多田ヒカルの作品からは宇多田ヒカルの声しか聞こえてこない。音楽にある密室感と親密さはスタジオこそが自分の部屋という感覚。スタジオの音楽家。
(3)Message from Hikki、直接webを使って対話することが音楽メディアの終わりに繋がった。宇多田ヒカル以前と以降で日本の音楽のルールは変わった。
(4)シンガー、作詞家、作曲家、編曲。自己完結型、デスクトップ・ミュージシャン、宇多田ヒカル。セッション型ミュージシャン、椎名林檎。
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タイトルにある宇多田ヒカルほか、同年にデビューした女性アーティストについての考察です。なるほどとうなずく点も多く、面白く読みました。手に取ったきっかけは、渋谷系のことが書いてあるという感想を目にしたからなのですが、その件については正直、そこまでくささなくても、と感じました。「渋谷系」の本では、渋谷以外からも同様の動きが出てきてほしかった(けれどそうはならなかった)という趣旨のことが書かれていて、それを信じるならば、渋谷が注目されたのは渋谷のせいではなく渋谷以外のせいです。同じように地元発の音楽を売り込もうと考えるのではなく、渋谷系という勝ち馬に乗ろうと考えた、その結果だということです。おそらく著者が言いたかったのは、1998年並みにCDが売れることはもうないし、あだ花だった渋谷系はもう花を咲かせないということ。多くの人がそこを勘違いしていると言いたかったのでしょうが…。ここに取り上げられた女性アーティストのうち、個人的には宇多田ヒカルの活動再開に大いに期待しています。
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所要時間:2.5
印象的な文章:なし
オススメ度:
身内 3
身内以外 3
過去の自分(20歳) 3
未来の自分(60歳) 3
子供が【25】歳のときに読んで欲しい
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タイトルは宇多田ヒカルだが、彼女ひとりのことではなく、3人の天才(宇多田、椎名、aiko)プラス浜崎あゆみの話。1998年は日本人がもっともCDを購入した年だそうだ。それ以降は右肩下がり。今やCDセールスといえばAKB、ジャニーズ、EXILEが中心であり、単独アーティストが100万枚売ることはないようだ。
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1998年にデビューした、宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみの4人を取り上げ、彼女たちの音楽とそれが熱狂的に受け入れられた時代について論じた本です。
「花の82年組」と呼ばれた女性アイドルたちの時代から、「アイドル再生工場」としての小室哲哉が君臨した時代を経て、本書が対象とする4人がデビューするまでのプロセスを、「アイドル」から「アーティスト」への変遷という基軸で整理しているところは、興味深く読みました。その一方で、本書の主題であるはずの4人の女性アーティストの魅力について、十分に言葉を尽くした説明がなされているかという点には、少し不満が残りました。
確かに、宇多田ヒカルが「スタジオの音楽家」であるのに対して、椎名林檎が「セッション型の音楽家」だと指摘しているところなどには、著者の音楽ジャーナリスト・批評家らしい視点から音楽業界の大きな流れの見通しが示されていますが、何が彼女たちの音楽をそれほど特別なものにしているのか、いま一つ明瞭に見えてきませんでした。
それはそれとして、関西住まいの私としては、aikoがパーソナリティを務めていた「COUNTDOWN KANSAI TOP 40」という「ド深夜」に放送されていたラジオ番組を夜更かしして聞いていた頃を懐かしく思い出しました。
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日本の音楽史上、最もCDが売れた1998年。宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみの四人が揃ってこの年にデビューしていた。彼女たちの活動を追っていくことで、音楽業界の現状を浮かびあげる。
「アーティスト」っていう言葉が誰が使いだしたのかも面白く読めた。
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1998年にデビューした宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみの4人に焦点を当ててJ-POPの変遷を描いた一冊。
宇多田ヒカル、椎名林檎あたりがJ-POPの革命児だということを、その理由がよくわかった。
また、aikoや浜崎あゆみについても知見を得ることができた。
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1998年にデビューした宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみを音楽業界の変遷とともに描いている。音楽雑誌のレビューをされていた方が書かれているので、業界に詳しい内容であるが、当時の誰それとつながりがあったとか、誰彼といった方とバンド組んでいたというような人脈重視の書き方多い気がした。いまいちそれぞれのアーティストの違いが伝わりにくかった気がする。宇多田ヒカルがすごいのはわかるけどね。
Posted by ブクログ
1998年が日本の音楽界では特別な年。CD販売枚数が過去最高を記録し、今後破られることはないであろうとのこと。そしてこの年にデビューした宇多田と椎名林檎、aiko、浜崎あゆみという4名のスーパースター・アーティストたちを取り上げる。4名の違い、距離感が面白い。その16年前(1982年)のアイドル(松田聖子、中森明菜、小泉今日子たち)全盛期、16年後(2014年)のカタカナ名グループ全盛の3つの時代比較が面白い。小室哲哉、小沢健二、つんくら音楽プロデューサーの変遷も重なり、Jポップ史そのものである。宇多田の特別性は実は「音楽家としての権利をレコード会社から守り抜いたこと」にあるという!これが嚆矢としてアイドルからアーティストへの転換路線が引かれたとは目から鱗。4名のアーティストたちの今後の成長を期待して見守りたいと思った。