一條次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
文庫になるのを待っていました!冒頭から広がる一條次郎ワールド。相変わらず一條氏のセンスは面白いです。
馴染みやすいポップな切り口でユーモラスに軽快に終末世界を描き、強烈な皮肉とチクチクと刺してくる何かがある一條氏の文章の中に今回は喪失に対する哀愁が濃く見えた。利便性と引き換えに消滅、淘汰される文化は勿論あり、それは大きな時間の中で見れば当たり前に存在してきた流れなのだろうが、その文化に愛着や良さを感じていた人の寂しさみたいなものをヒョーを通して感じていた。発売日を楽しみにしていたCDをわざわざ買いに行き、歌詞カードを眺めながらCDプレイヤーで聴いていた頃を思い出す。今やもっと利便性の高いものに -
Posted by ブクログ
【2024年160冊目】
あるスパイに下ったのは、市長暗殺の命令だった――コードネーム・ルーキー、年齢は73歳。スパイの本部でずっと清掃員として働いてきた彼に初めて下った重要任務、必ず成功させなければと思っていたのだが、本部からの決行指令が来ないうちに、さまざまなことが起こり始めて……。
もうね、一行目から心を鷲掴みにされました。設定が面白すぎる、ユーモアが詰め込まれすぎ。前半結構突っ走ってる感がありましたが、世界観と文体に私が慣れていっただけかもしれません。ところどころに散りばめられた表現が秀逸過ぎて、声を出して笑いながら読みました。いやー、これ書いてて楽しかったんじゃないかなぁ。
巻末 -
Posted by ブクログ
文庫本の裏表紙にあるあらすじを読んで「よくわからん」と思ったが、本編はもっとよくわからなかった。「選考会を騒然とさせた」「選考委員絶賛」とあるが、その選考委員が伊坂幸太郎、貴志祐介、道尾秀介と豪華すぎる。
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伊坂幸太郎「とにかくこの小説を世に出すべきだと思いました。ミステリーかどうか、そんなことはどうでもいいなあ、と感じるほど僕はこの作品を気に入っています」
選考委員絶賛の驚異の新人、第2回新潮ミステリー大賞受賞作!!
動物レプリカ工場に勤める往本がシロクマを目撃したのは、夜中の十二時すぎだった。絶滅したはずの本物か、産業スパイか。「シロクマを殺せ」と工場 -
Posted by ブクログ
ネタバレなにひとつわからないが、なにひとつわからないまま物語が進んでゆく。
書店に並んでいた装丁とタイトルの感性に惹かれて手にとった。冒頭からすでにわけがわからないが、ぱらぱらと捲って読んでみてもわけがわからない。そして最後まで読み終えても、未だわたしはなにもわかっていない。
ただひたすらに混沌の世界がそこにあって、読書体験としてあまりにも強烈だった。
これまで多くの物語を見てきて、ある程度その展開が読めるようになってしまったなと感じていたが、そんなものは跡形もなく吹き飛ばしてくれた。
途中、あきらかに作者のこころの声がまろび出ていてまたそれもおもしろかった。
わからないものをわからないまま -
Posted by ブクログ
新潮社の夏の100冊かなにかで買った本。特に前提知識なく読み始めたので、てっきり昭和~平成ころのナンセンス小説の1つかと思ったら、かなり新しい本だった。
この手の本は世界観やSFっぽい部分に合う合わないがはっきり分かれると思う。例えば、キョリスの姿を何でもいいからイメージできる人は強い。
残念なスパイが市長を狙うはずが、その市長と仲良くなった、という導入はまあありそうな話ではある。そこから、この話にどうやってオチをつけるのかが気になったので、そこまでダレることなく最後まで読めた。とはいえ、じゃあ一條さんの本を追いかけたいかというと、そこまではまらなかったのも事実。年を重ねて自分がこういう本を