一條次郎のレビュー一覧
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ネタバレ残業続き、疲れた往本の目の前に現れたのはシロクマだった。なぜか工場長にそのシロクマを始末するように命令される。シロクマは本物か、レプリカの産業スパイか、個性的な同僚たちを巻き込みつつ、往本はシロクマに再び相まみえられるのか。
やり過ぎるとコントでは!?というギリギリのラインを保った掴みどころのなさ、不可解さ、面白さ。言葉の使い方、漢字とひらがなの分量も絶妙に計算されているのか、読んでいて引っかかると同時に不可解さにぶわぁと包まれて煙に巻かれる。私は好きです、こういう作品(笑)1年に1作品ぐらい読みたくなる。シンプルに面白かった。
著者デビュー作にして第2回新潮ミステリー大賞受賞作。解説には -
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色んな所で評判を聞き、覚悟はしていたのですが、予想を超えて凄まじく
あり得ない事が起きたかと思えば、起きた事件は次章で無かった事になる。最後までストーリーらしきものは無く、ましてや伏線回収なんてとんでも有りません。突然に自我や実存についての哲学的な話題が出てきたりするのだが、それが本筋でもなさそう。しかし、最後に書かれた参考文献のリストの長さは・・・。
困ってしまってGoogleの検索窓に「レプリカたちの夜」と入力したら「レプリカたちの夜 考察」というキーワードが出て来た。確かにこの本については「感想」よりも「考察」が相応しいな。
しかし、何かおかしなユーモアが有って、ハチャメチャストーリーに -
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“murmur”なんて英単語が存在することを知らなかったから、またまた、騙される人が多そうな嘘ついてと笑っていたら、私が無知なだけでした。そんなダジャレみたいな英単語をタイトルに持ってきて「まーまー」と書く、素敵すぎるセンス。
動物たちの“murmur”が聞こえてきそうで、ニヤけながらの読書。音に反応してデカくなっていく猫とか、環境汚染によって異形化した動物とか、見たこともない光景のはずなのになぜか想像できてしまうほど、文章がわかりやすい。かといって薄っぺらさを感じる文章ということはなく、想像の世界がどんどん膨らむのです。そのシュールさを今は笑っていられるけれど、もしかしたらそう遠くない将来 -
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今まで読んだ本の中で一番、訳が分からなかった。
が、面白くないのかと言われたらそうでもなく、すきま時間を使ってすぐ読み終えてしまったから、面白かったという事になるのかも。出てくる名詞は知らないものが多くてさんざん検索したが、表現そのものは分かりやすかった。
私には現代の不条理文学に思えたけど、SFでもあるようだし、きっとミステリーではないんだろうな。世界観全体が異相にある感じで結末は意外でもがっかりでもなく「ああそうなんだ」と素直に受け入れて終わった。途中、うみみずを乗せた台車を乗せて階段を上がるシーンの描写が怖すぎたのと、「ぷりんぷりん音頭」というパワーワードが印象的でした。 -
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表紙の可愛らしさと帯にある江國香織の「なんでチャーミングな一冊。」という言葉に惹かれて買ってしまったけれど、私にはちょっと…でした。いわゆる玄人受けする作品なんだと思う…
飼い主のマフィアが暗殺されたので暮らしていた屋敷を出てゆくヒョウアザラシのヒョー。街は放射能で汚染され海はゴミだらけ、食べ物も飲み物も今とはまるで違ってしまった世界(三葉虫とか食べるのよ!)をヒョーが流離う不条理小説。
あらすじを説明するだけでも訳がわからないんだけど読んでても訳がわからない。世界の汚染具合、暴力や生物の死の軽さ、ふざけているのか真面目なのかわからない筆致など、とにかく何もかもがしっくりこなくて掻痒感があ -
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『レプリカたちの夜』
第二回 新潮ミステリー大賞
一條次郎さん はじめまして♪ です。
とても不思議な読後感。
個人的にはとても好きな作品です。
読もうと思った決め手は
帯の伊坂幸太郎さんのお言葉
『とにかくこの小説を世に出すべきだと思いました。ミステリーかどうか、そんなことはどうでもいいなぁ、と感じるほど僕はこの作品を気に入っています。』って書いてあったの。
あとは表紙。一條次郎さんの4冊出てる文庫本
すべての装丁デザインが木原未沙紀さんの装画
ねっ素敵でしょ❤️
物語は…
動物たちの精巧なレプリカを製造している
「株式会社トーヨー」の品質管理部で働く
往本くんが深夜シロ -
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この著者の名前は知らなかったけど評者の名を見てひさしぶりに書店でジャケ買い。
マフィアのペットとして可愛がられていたヒョウアザラシの〈ヒョー〉は、飼い主であったチェレンコフの亡霊に促されて、外の世界に足を踏み出すことに。オウムガイを屠殺する奴隷労働や、音楽も絵もすべてをカネに換算する資本家たちの手から逃げ出し、マイクロプラスチックのために死体すら海に沈むことのない荒廃しきった世界を彷徨いながら、ヒョーはしだいに、自分こそがすべての死の原因ではないのかという思いに囚われていく。だが剥製にされたチーターの〈ヒョー〉に海の向こうにある故郷に誘われても、動物園で生まれたアザラシの〈ヒョー〉には帰るべき