青木悦子のレビュー一覧

  • 悪人すぎて憎めない

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    1999年、アイルランド。ダブリンでは武装強盗が頻発していた。現金輸送車を襲う鮮やかな手口から、警察本部はカーター一味に目をつける。特捜班に入った刑事バニーと相棒のグリンゴは一味を監視する任務につくが、ジャズシンガーの黒人女性シモーンと出会ったことで、運命が大きく変わり……。『平凡すぎて殺される』につながる衝撃の過去編にして、最高のバディ・ミステリ!

    前作が今一つだったので、やや心配だったが、読んでみたら、ユーモア控えめのノワールでした。お勧めです。

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    2025年04月13日
  • ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密

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    精巧に良く出来ている、淡々と進みながら山場も何度かあり、何度も感心させられる。なんと言っても、主人公のバイオリン職人のジャンニが、思慮分別があり、思いやりもあり、人柄も良いので、安心して読み進められる。それでいて二転三転と事態が変わり読む者を飽きさせない。

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    2020年09月18日
  • ヴァイオリン職人の探求と推理

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    偶然見つけた名前も知らないイギリスの作家。久しぶりに没頭するように読んでしまった珠玉のミステリー。最近北欧のミステリーにはまっていたが、同じ欧州であっても全く異なる深みに満ちている。舞台はイタリア、主人公はバイオリン職人。訳者の後書きにもあるが、欧州らしい長い歴史と現在がつながっていることが主人公を通して感じられる。「過去があって、現在の自分たちがあり、その上でどう生きるか」、日本人に相通じることだけれども、米国には決してない上手く表現できないが、人生、価値観といったものだろうか。様々な意味で豊かな人生を歩んできた人物像が見事に描かれている。音楽、ミステリー、歴史、イタリアが大好きな方々にお勧

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    2020年07月18日
  • ヴァイオリン職人と消えた北欧楽器

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    ヴァイオリン職人シリーズというのを知らずに、本屋で見かけてジャケ買いした本。

    記憶力の薄い私はミステリーが苦手(これはどこの伏線回収???となるから)だし、登場人物がカタカナの名前だと覚えられなくて苦労するわけだけど、ハルダンゲル・フィドルが題材になってるなんて!と思って読みきれた。単純に面白かったし!

    いつかハルダンゲル・フィドルの生演奏を聴きたいなぁ。

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    2019年12月14日
  • ヴァイオリン職人の探求と推理

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    ヴァイオリンのことはよくわからない…などどいう心配はいりません。主人公の年齢を経た人間味、友人刑事の実直さ。楽器の謎にぐいぐいひきこまれました。続編が待ち遠しい。

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    2015年03月03日
  • ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密

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    シリーズ2作目!前作は幻のストラディヴァリの謎でしたが、今回はヴァイオリンそのものではなく、悪魔的ヴァイオリニスト・パガニーニの人生の謎が絡んできます。
    そして、当時のヨーロッパの有名な王族階級の人々の人生も絡まり、歴史ミステリの要素も満載! もちろん名ヴァイオリン、パガニーニ使用のグァルネリ「大砲=イル・カノーネ」も登場します! そして殺人事件も!
    ジャンニとアントニオが殺人事件の謎を追うのと同時に音楽や楽器に関する謎も解けてゆく…という前作のスタイルは変わらないので、安心して楽しめました。
    クラシック音楽好き、ヴァイオリン好き、そして西洋史好きの私にはもうドンピシャ♪な内容です。
    3作目の

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    2014年11月29日
  • ヴァイオリン職人の探求と推理

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    クラシック門外漢として、これでもかと出てくる「聞いたことがある」程度の名ヴァイオリン職人の名前オンパレードに目くるめいてしまう。
    失われた名画・贋作とか好きでも楽しめると思います。

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    2014年08月12日
  • ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密

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    面白かった。続編が面白い説はやっぱり正しい。
    腕の良いヴァイオリン職人のジャンニのもとに、名器「大砲イル・カノーネ」の修理の依頼がくる。最初の冒頭で、「大砲」がまるで大名行列のように持ち込まれるくだりが既に面白い。天才ヴァイオリニスト、エフゲニーとも知り合いになり、母親に徹底的に管理された、彼の孤独な人生が語られる。
    18世紀、「大砲」を愛器としていたパガニーニも、かつて同じような人生を歩んでいた。彼は過保護な父親のもとから飛び出し、ヴァイオリンを片手にヨーロッパ中を駆け巡っていた。そこでナポレオンの妹であったエリーザに出会い、黄金の箱が贈られる。
    そして現代、その黄金の箱を持っていたディーラ

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    2025年10月30日
  • 悪人すぎて憎めない

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    ネタバレ

    2025年の18冊目は、クイーム・マクドネルの「悪人すぎて憎めない」です。「平凡すぎて殺される」に始まるシリーズの前日譚、主人公は若き日のバニー・マガリー刑事になります。個人的にもアノラックは大好きです。結論から言うと、これが一番好きです。いつもの良さに加えて、ハードボイルド的要素(解説ではノワールと言及されています)も加わり、ネオ・ハードボイルド、ネオ・ノワールの良作に仕上がっていると思います。強いて言うならば、最後、全てが読者が想像する方へと収斂して行く様子が、予定調和的と捉えられる事かもしれません。決して、嫌いな訳では有りません。驚きが欲しいだけです。
    舞台は、1999年のアイルランド、

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    2025年05月11日
  • 真夏の夜の悲劇 イヴ&ローク59

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    これまでに多く描かれてきたように関係者の中に犯人がいる状況ではなく、なかなか犯人の正体が見えてこなかったことで、久しぶりにハラハラしながら展開を追うことができました。

    犯行の動機そのものはこのシリーズではある程度パターン化している「頭でっかちな少年のエゴ」でしたが、本作はそれによるマンネリ化をあまり感じさせない読後感だったように思います。

    メイヴィスとピーボディの「豪邸プロジェクト」もゴールが見えてきたようですし、ナディーンの恋人もしっかりと登場して彼らの関係性ももう少し発展しそうです。
    過去の事件で登場したキャラクターが「チーム」の仲間として活躍する場面も増えてきたことも本作の魅力の一つ

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    2025年04月16日
  • ヴァイオリン職人の探求と推理

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    英国人作家によるイタリア人ヴァイオリン職人が主人公ジャンニの作品。
    日本で翻訳版が出版されていた頃結構話題になっていた記憶。私は個人的にクラシック音楽の蘊蓄、特にヴァイオリンに関する話はノーサンキューなのだ。ヴァイオリン、いやヴァイオリニストについてちょっとしたトラウマがある(それも読み終わるまで忘れていたが)。したがって蘊蓄系語りはすっ飛ばし気味に読んだ。それでもすぐに夢中になった。
    イタリア人の皮をかぶった英国人の語り口の魅力だろうか。63歳のジャンニは、ヴェネツィアで会った女性に次々と親切を施した(ここまでは英国人紳士もやることだ)。別れてから、電話番号を教えるか聞くかすればよかったかと

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    2024年09月14日
  • ヴァイオリン職人と消えた北欧楽器

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    ネタバレ

    1作目に比べて動機や伏線、レッドヘリングが濃密になった印象

    ノルウェーの雄大な自然の描写や白夜に近い夜の光の描写がよかった
    過去の複雑な恋愛は最小限の表現で、進行中の恋愛は綺麗な感じで進行していて読みやすい

    3作目にしてようやくグァスタフェステのこと気に入ってたんだなと自覚してめちゃくちゃ応援した

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    2024年03月04日
  • 平凡すぎて殺される

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    この小説のリズムに慣れるまで時間がかかった。
    ちょっとしたジョークの応酬やクセのある登場人物の振る舞い、それと名前多すぎ問題で途中で誰が誰やら、中盤まではそんな感じで戻って読み直すことも多々ありましたが、慣れてからは一気に読みました。
    アイルランド小説の王道を知らないだけに急展開も楽しめたし、登場人物のクセも楽しめた。

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    2023年05月26日
  • 平凡すぎて殺される

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    主人公は世を拗ね訳あってケチケチ生活をしている青年ポール、そのポールに見舞客の無い老人の話し相手を依頼した看護師のブリジット。その老人は…(ネタバレになるから言えないが)で、ポールは命を狙われることになり、ブリジットと2人逃げながら解決策を探っていく。
    ユーモラスでシニカルなストーリー展開、しつこいくらいウィットに富んだ会話、ジョーク、例え。文章に慣れるまで時間がかかった。全体はミステリーなのに、一つ一つの場面ではコメディ的で、悲壮感が無 く慣れてしまえば読みやすい。登場人物がみんなそれぞれキャラクターが立っていて個性的で面白い。

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    2022年11月30日
  • 平凡すぎて殺される

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    寝たきり状態の老人に人違いで襲撃されたがために、命を狙われるハメになった主人公の逃亡と真実の追求への顛末を描いた物語。だんだん「こういう文章か」というクセに慣れたら、個性あるキャラクタにも愛着がわいてそれなりに楽しめました。

    ただ万人向けかというとどうでしょう…。(アイルランド)ローカルネタ多めなユーモア、映像畑出身だからか目で見て想像できるように比喩や装飾性を多めに描いたキャラクタの外見や行動など、結構な独特のクセがあり、それがそのまま文章量の多さにつながってもいるので、「逃亡劇」のわりにはさほどのスピード感を感じられなかったように思えました。

    ただ主人公と看護師の、厳しい現実と立ち向か

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    2022年07月26日
  • 平凡すぎて殺される

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     翻訳までされる海外のユーモア・ミステリーは、たいてい外れがない。しかも本書は翻訳者が原書で読んで、いたく気に入ったための持ち込み企画作品だそうだ。さればこそと読者側からの期待値も込めてしまう。無論ただものではないはずだ、と。

     しかし出だしを読んでゆくにつれ、少し後悔の念が。ぼくの場合、食べ合わせがよくなかったのかもしれない。ルースルンドの『三日間の隔絶』、ウィンズロウの『業火の市』といった超ド級のシリアス・アクション大作ニ作の読後だったので、この本を読み始めた途端、思わず膝が砕けそうになった。そこら辺にいる人たち皆にこの本を読ませたら、吉本興業の公演のお笑い芸人たちみたいにどどどっと、倒

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    2022年07月16日
  • ヴァイオリン職人の探求と推理

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    ダビンチコードを彷彿とさせる展開。割とあっけない結末ですが、楽しめました。ヴェネツィアやクレモナの雰囲気が感じ取れ、行ってみたくなりました。バイオリンでなければ成立しない事件ですね。独特の世界です。愛好家は狂信的と紙一重、恐ろしいほどです。

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    2022年02月03日
  • ヴァイオリン職人の探求と推理

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    ネタバレ

    初ポール・アダム作品。

    ヴァイオリン職人が、殺人事件と幻のヴァイオリンを探すミステリ。随所に語られるヴァイオリンに関する伝説・逸話が時代を超えたロマンを感じる。と同時に、ヴァイオリンの職人、ディーラー、コレクターとその価値(鑑定や贋作など)について、不可解な(何とも言えない魑魅魍魎の)世界観を垣間見せる。
    最後、主人公の語る「自分の良心を開放するためです」の真意(良心)には、己の贋作に対する後悔だけに向けられているのでしょうか?親方の贋作の売却や発見した幻のヴァイオリンを猫糞して姪にあげてしまうことは含まれないのでしょうか?あるいは、これは、次回作の伏線?すこし、違和感が残る結末でした。ただ

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    2021年04月13日
  • ヴァイオリン職人と消えた北欧楽器

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    ネタバレ

    シリーズ第3作。2作目から5年経って読者のリクエストに応える形で翻訳になったとのこと。今回の舞台は北欧、そして独特の音色のするヴァイオリン、ハルダンゲル・フィドル。ノルウェーの劇作家の戯曲がバックボーンに。3作を通じて感じるが、土地毎の風景や気候、人々の生活の描写が素晴らしい。ストーリーは悲しい結末、人を愛する事の悲しさが心に残る。一方で、主人公のジョヴァンニの恋は進展し、新しくアントニオの恋が始まる。作者はストーリの結末を悲しいものにするのに対して、登場人物の人生を幸福にすることにより、コントラストとしているような気がする。

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    2020年10月17日
  • ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密

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    ネタバレ

    シリーズ第2作目。今回は18〜19Cにかけて、現代においても有数のヴァイオリニストであり、作曲家と知られるバガニーニと彼の愛したグァルネリ・デル・ジェスが製作した「イル・カノーネ」(大砲)という名器にまつわる話。ヴァイオリンは殺人の動機となりうるのか?Yes。ストラデイヴァリと同様にグァルネリの作品もとても高価であり、殺人を犯しても自らのものにしたいと思うような名器。しかし、高価であるという事だけでなく、全ての価値ある(誰にもでもというわけではないが)モノにはそういう魔力が潜んでいるのであろう。バガニーニは天才にありがちな、奇人であり、そして恋多き一生経る。彼はエリーゼの愛人であった過去を持ち

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    2020年08月28日