日本SF作家クラブのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ホラー好き・SF全然読まない私だけどとても面白かった!新しい世界を知った。
話題作のSFたまに手に取るけどよくわからん、結局なんの話?って挫折することが多い...でも今作はいろんな短編集だし、ホラーのエッセンスが良かったのかも。
近いうちに良かった作家さんの中から長編を選んでチャレンジしてみたいな。良いアンソロジーは良い出会いをくれる。
20作品あって、おおまかなテーマごとに分けられている。
作品冒頭に挟まる編集者の一言が、『世にも奇妙な』のタモリみたいで楽しい。
SFといえば宇宙モノのイメージだけどもう古いのか。宇宙人にふれる作品はあるものの、宇宙でどうこうって作品がひとつもないのは少し驚き(表紙的にも)。
物理系のよくわからない理論やAI・プログラミング系がでてくるのはなんとなく予想できたけど、菌の話や身体についての話は新鮮だったなぁ。
あとインスタやゾンビの登場もなるほどそんな視点がと思うし少しポップさが加わり楽しい。本当にバラエティに富んだ作品群で全く飽きることなく夢中で読みました。
そんな中でも特に好きな作品は下記。
でも20作品どれも面白く読んだ!
ーーーーーーネタバレありーーーーーーー
・小田雅久仁『戦場番号七九六三』
最初のミスト×怨霊の描写から、壮大な宇宙戦争への飛躍が好きだった!映像的にも美しく想像がふくらむ。
オチもとびきり怖かった、こちらのイヤ〜な予感と作品内のテンションの差に「わ〜...。」と言いながら一旦本を置く。
・飛鳥部勝則『我ら羆の群れ』
文字ならでは。想像した映像がどんどん書き換えられていく。こんなに畳み掛けてくるとは思わずなんだかある種の快感だった。
・牧野修『初恋』
完全に私が今まで触れてこなかった新しいジャンルだった!なんじゃこりゃ!ページを行ったり来たり。
・イーライ・K・P・ウィリアム『フォトボマー』
一番私が親しんでいる所謂ホラー的な怖さを感じた作品。遡って何百枚も写ってるのが淡々と書かれていくの怖すぎる。
・斜線堂有紀 『『無』公表会議』
一番好きかも!まず議事録書き起こしという形態が軽やかでぐんぐん読めた。最後の展開も不意打ちだったし脳内で音を再生して戦慄。
・新名智『システム・プロンプト』
彼岸の話どれも良かったなぁ。ミーコとカーティス、完全に逆やと思ってたからびっくり!そしてラストが怖すぎて笑うしかなかった。最後を飾る作品にピッタリ。
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Posted by ブクログ
日本SF作家クラブが編んだホラーSF短編集。収録されている作品数は20編。
まえがきや解説が非常に分かりやすく、今まで読んだことの無い作家さんがこの本には沢山いらっしゃったのですが、この本を読むだけでその方達の書いた短編が読めるだけでなく、簡単な来歴や代表作の名前なども知れて、SFホラーの入門編としても良質な一冊だと思いました。
まえがきや解説を執筆した井上雅彦は2024年10月から日本SF作家クラブの第二十二代に就任した作家で、長年「異形コレクション」というホラーアンソロジーを監修されているとのこと。私は恥ずかしながら「異形コレクション」の存在自体を知らなかったのですが、ホラー好きの人たちに大変愛されているアンソロジーとの事でそちらもとても気になりました。でも最新刊が59巻とのことだったので軽く追える感じでは……無い……?(すごいや!)
「恐怖とSF」は20編の作品が8つのグループに分類されています。目次は以下の通り。
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・まえがき
井上雅彦
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●幽霊のゆくえ
・#
梨
・タタリ・エクスペリメント
柴田勝家
・始まりと終わりのない生き物
カリベユウキ
●身体のゆらぎ
・幻孔
池澤春菜
・あなたも痛みを
菅 浩江
●侵食する獣
・ロトカ=ヴォルテラの獣
坂永雄一
・戦場番号七九六三(ななきゅうろくさん)
小田雅久仁
・我ら羆(ヒグマ)の群れ
飛鳥部勝則
●進化する人怖(ひとこわ)
・フォトボマー
イーライ・K・P・ウィリアム
・幸せのはきだめ(bissPit://moth)
平山夢明
●物語の魔
・現代の遭遇者 The Modern Encouter
小中千昭
・牛の首.vue
空木春宵
・初恋
牧野 修
●異貌の歴史
・ヘルン先生の粉
溝渕久美子
・漏斗花(じょうごばな)
篠たまき
●地獄にて
・愛に落ちる
久永実木彦
・まなざし地獄のフォトグラム
長谷川京
●彼岸の果て
・『無』公表会議
斜線堂有紀
・開廟
飛 浩隆
・システム・プロンプト
新名 智
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・解説
井上雅彦
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短編ゆえに内容に触れるとすぐ核心に届いてしまうので、私が個人的に好きだった作品を3つだけちょろっと触れさせてもらいます。
・柴田勝家「タタリ・エクスペリメント」
じっとりしたジャパニーズホラーの雰囲気からぐわっと周囲を巻き込むあの感じ……ぞっとするお話だった。
・菅浩江「あなたも痛みを」
AIに「痛み」を研究者が教えるという話。「痛み」と「暴力」の嫌なところが出ている描写が本当に……本当に嫌だった。
・飛 浩隆「開廟」
これが一番好きだった。怖さと嫌さがてんこ盛り。でも、あの主人公が陥る地獄の様子は読者へのカタルシスでもあった!(スカッとした)
ここで上げたのはたったの3編だけれど他の作品もどれも面白かったです。ネットでこの本の他の方が書いた感想を探ってみると、やはり、人によって好きな作品にかなりバラつきがあるように思いました。好みの差が出るなぁ。
ホラーというジャンルに携わって長い井上雅彦のあとがきもとても面白かったです。世代じゃないので1~2作品しか見ていない「ウルトラQ」が気になってしまいました。解説によると日本SF作家クラブがドラマの企画段階から参画してたらしくって。そんな歴史があるんですね。
本を通して読んだ後、これらの20作品をどうして8つのグループに分けたのかをもう一回反芻すると味わい深くなるのも好きでした。作品順についてはかなり気を配られたのだろうなぁ。
色々な作家さんの作品が並んでいるアンソロジーは、ものによって、読み進めるうちに何だか散漫とした印象になるものがあるのですが、このアンソロジーは一つ作品を読むごとに段を降りていくような、そんな読みごこちがありました。
とくに最初が梨「#」で、終わりに新名 智「システム・プロンプト」を持ってきている、というのが良かったです。この二作品はまったく異なる作風と内容の作品なのに、通ずるモチーフを扱っているように思えて……。一冊の本として、構造の美しさを感じました。
「ホラーSF」というテーマだけ共有してそれぞれの作家が書き始めたのか、作家同士で「こんな話を書くよ」と、互いに調整を取りながら、創作を進めたのかは分からないけれど、一冊の本として、味わい深いアンソロジーでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ22人それぞれの地球のSFを堪能することが出来て良かった。
特に好きだったのが、「一万年後のお楽しみ」、「竜は災いに棲みつく」、「砂を渡る男」、「バルトアンデルスの音楽」だった。
柴田勝家先生の「一万年後のお楽しみ」はシムフューチャーというゲームを巡って起こった様々な事象を追っていくお話で、最初はゲーム内の男性を発見し観察していただけだったが、男性に言語を教えようと現実の世界に変化を与えゲーム内の物語を展開させていく。それが徐々にエスカレートしていく所が人間の恐ろしさを顕す。
春暮康一先生の「竜は災いに棲みつく」は題名のとおり災いに関わる竜が登場するのだが、その設定自体がとてもおもしろいものであるのに加えて、竜の描写が抜群で引き込まれた。
矢野アロウ先生の「砂を渡る男」は最初は難しいのかなと思いつつ読み進めると、すごいかっこいい設定と短編にもかかわらず驚きの展開と、語彙力が喪失してしまうほど純粋に面白かった。
空木春宵先生の「バルトアンデルスの音楽」、音楽と地球という題材で描かれており、その設定で深く引き込まれたが、文章もバイブスがすごく伝わり、一気に読めてしまった。
様々な種類のSF小説を一気に摂取することができてとてもいい刺激になった。 -
Posted by ブクログ
名著。マジでよい。今すぐよむべし。短い作品ばかりなのに、めちゃくちゃ筆が乗ってて、方向性もさまざまで、とにかく楽しい。
日本SF作家クラブ編の直近2冊の本は、コロナ禍というのもあって暗い方向でまとまってしまって感じがあったが、それがない。
個人的によかったもの。全部。だけど、印象的だったものを一言感想を付して述べる。最高なのは円城塔の地下ダンジョン魔法ファンタジーものである。マジだから。読んで。なろう系好きな人もきっと気にいるから。
高山羽根子『没友』は、仮想現実が行き渡った世界での日常を描き取るのがうますぎる。品田遊『ゴッドブレスユー』は、エンタメ小説として楽しめる。福田和代『預言者の微笑』は、ハリウッド映画的スピード感があって楽しい。斧田小夜『オルフェウスの子どもたち』は、未来のホラーっぽくて良い。野崎まど『智慧練糸』はゲラゲラ笑うネタSF。十三不塔『チェインギャング』は、手塚治虫のどろろみたいな雰囲気の作品なのにAIでSFだし。
あと、円城塔『土人形と動死体』は、マジ最高。久々のエンタメ寄りの円城さんですよ、わかりやすくてめちゃくちゃ楽しい。地下ダンジョン潜ったりゴーレム出てきて魔法がある世界なんですよ。なろう系とか好きな人も気にいるんじゃないかなこれ。 -
Posted by ブクログ
日本SF作家クラブのこの定例的な企画はとても気に入っている。今回の企画は星新一生誕100周年記念ということで「ショートショート」と「SF」との2つの縛りで50人の作家の競作となる。クラブから委嘱された作家も含まれるようなので、その点は期待している。50人もいると非常に素晴らしい作品からなんじゃこれは?という作品までバラエティに富んでいるのはしょうがないが、本書は概ね期待通り、いや期待以上のアンソロジーとなっている。素晴らしいのは、やはり星新一ショートショートコンテスト受賞の皆さんの作品。さすが、アイディアが秀逸だけでなく、とても読みやすく判りやすい文体で、無名だけど今後の作家活動に期待が持たれる。逆に、大御所の中には、いつもどおり判りにくい作品が見られた。ショートショートSFなので、単に短いSF作品を言われるがまま作った作品にはがっかりした。その責任は会長の説明の中にもある。4,000文字の作品限定だけに視点が集まり、ショートショートという星新一が残した小説形態、その方向性を少しでも良いから制約項目に加えたら、もっと素晴らしいアンソロジーになったかもしれない。「ショートショート【な】SF」と、この【な】を拡大解釈することで、自分が書きやすくなる、自分のスタイルを崩さず書けるのかもしれないが、ショートショートは短篇小説の類ではないことは繰り返し強調したい。神様は天国でこの本を読んで、どの様な感想を持っているか是非知りたい。あっ!高井信の解説ともろ被りしてしまった。
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Posted by ブクログ
SFと梨さんが好きなので手に取りました。初っ端梨さん著作なので良いね〜と思いながら読み進めるも、中盤は文体が合わないものもありやや中弛み。早く読み切ってしまおうと頁を捲っていたところ、最後の短篇「システム・プロンプト/新名 智」から不意打ちを喰らいました。自分がホラーに求めているものって、「なんでそんなことするの?」と言いたくなる悪意なんですが、それが見事に現れつつ、自分の人生にでかい一石を投じてくる読後感がまさに好みです。また、最初の「#/梨」とどこか対比構造になってるのもあらためて読み返すと美しい。
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きみたちは人間か?
もし人間なのだとしたら、それは善いことか?
もし人間じゃないのだとしたら、それは悲しむべきことか? -
Posted by ブクログ
ネタバレハヤカワのSFアンソロジーなら間違いない、と読んだ本。
面白かったです!
SFももはやジャンルレス、とされながらも、バラエティ豊かな作品群でした。
SFの世界はどこまでも拡がっていくなぁ…
特に、柴田勝家「タタリ・エクスペリメント」、小田雅久仁「戦闘番号七九六三」、篠たまき「漏斗花」、飛浩隆「開廟」が好きでした。
■幽霊のゆくえ
・梨「#」:幽霊を見る機械「レトロス」に観測された幽霊のデータのアーカイブ
…このお話の世界で“幽霊”とはなんなのかがわかると切なくなりました
、柴田勝家「タタリ・エクスペリメント」:祟りの研究と実験
…“タタリ細菌”の発見というSF要素から、祟りの仕組みや概念が丁寧に解かれていて見事でした。細菌なら祟りを世界にばらまけます!
・カリベユウキ「始まりと終わりのない生き物」:インターネットの最深部にて見付かった仮想空間に、出現する幽霊
…現実世界からの逃避が、その先へつながるとは…でした。
■身体のゆらぎ
・池澤春菜「幻孔」:ある日、自分に細かい孔が無数に開いてることに気付く
…ゾワゾワしました。
・菅浩江「あなたも痛みを」:痛みを機械に教え込ませる話
…この方面で人間に近付けるのはマズいんじゃ?と危険性を感じました
■浸食する獣
・坂永雄一「ロトカ=ヴォルテラの獣」:人外となった少女と、同級生の死闘
…南総里見八犬伝!
・小田雅久仁「戦場番号七九六三」:何千年もの間、憑依して戦闘してきた異星人たちが今回選んだのは地球だった
…ほのぼの始まったかと思いきやフルスロットルで地獄絵図へ。でも関西弁が呑気でいいです
・飛鳥部勝則「我ら羆の群れ」:羆に復讐したい人と、依頼されたマタギ
…SFホラーでミステリもしてました。羆がなんなのかわかるとゾッとします
■進化する人怖
・イーライ・K・P・ウィリアム「フォトボマー」:短期間で意気投合したビジネスの相手が実は…
…画面の向こうだけじゃなく、現実でも会える存在なのに!怖!!
・平山夢明「幸せのはきだめ」:連続殺人鬼も、誰かと親しくやり取りしてる
…相手はそうだろうな、と思いつつ、ゴア描写がさすがでした。
■物語の魔
・小中千昭「現代の遭遇者 The Modern Encounter」:都市伝説系動画配信者が、「UFOを見た」とする人と出会う話の顛末
…好奇心と顕示欲は身を滅ぼしますが、それでもやってみたい、という人は尽きなさそうです
・空木春宵「牛の首.vue」:牛の首の被害報告
…語れないけれど語ることをやめない怪談はそれ自身が恐怖となる、と。
・牧野修「初恋」:大好きな相手がフィクションでした
…牧野さんのお話の登場人物たちが、「自分は本当はこうなんだ」と知ったら恐怖だろうな、と思いました
■異貌の歴史
・溝渕久美子「ヘルン先生の粉」:日本占領下の台湾で、労働力としてゾンビを使役し始める話
…ヘルン先生=ラフカディオ・ハーン。ゾンビィとキョンシーの違い
・篠たまき「漏斗花」:敗戦の満州から親子3代を行き来しながら紡がれる、神々の直系の話
…むせ返るような花の香り。短編でこの広がりを描く篠たまき先生の世界に酔い痴れます。
■地獄にて
・久永実木彦「愛に落ちる」:無限の暗闇を落下する2人の話
…強い嫉妬心は、それだけ執着してるということなのかも。愛の反対は無関心だから。
・長谷川京「まなざし地獄のフォトグラム」:地獄の光景が、ルールに沿って目に見えるようになった世界で、地獄判定システムが構築され…
…“今週の地獄”、デジタルタトゥーとして最上級の厭さ。
■彼岸の果て
・斜線堂有紀「『無』公表会議」:死後の世界が『無』であることを公表するか否か決める会議
…死後に「無」であることを認識し続けるとしたら怖いけど、ぷつんと断ち切られるなら怖くはないかも。
・飛浩隆「開廟」:突然現れた異界の生物と共存している世界で、排外的な主張をし続ける作家の話
…移住種を攻撃するために人間の憎悪を煽る、SF設定だけれどリアルタイム味が一番強かったです。潤さん。。。
・新名智「システム・プロンプト」:ペルソナや能力、制限、情報・資料、そしてタスクを与えられる話
…「読みもの」だからこそ描ける恐怖。 -
Posted by ブクログ
ネタバレAIを軸に、現代日本のSF作家が新たな奇想天外な話を創作する。
記号設置問題が解決すると、AIの意識は電脳空間に目覚め、人類の意識と融合するのかなあ・・・
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