映画を先に観てから原作を読みました。
若干内容が異なりますが(映画には友人夫婦が登場しなかったり、浩輔が金銭的に悩む様子は描かれない)おおよそ原作通りでした。
個人的には映画が先で良かったと思っています。あまりにも突然の展開があるので。
この作品を撮った松永監督は、作中で浩輔が言った「愛がなんなの
...続きを読むか、よくわからないですもん」に対して、多惠子(龍太の母)が「あなたがわからなくてもいいの。私はね、私たちが受け取ったものが愛だと思ってる。それでいいじゃない?」と言うシーンを読んで映画を撮ることを決めたらしい(試写会のティーチインの際にそう発言されていた)。
本当にこのセリフとタイトルがこの作品の全てだったと思う。同性愛というテーマが目立つかもしれないけれど、人間の愛とエゴが一体なんなのか、正解のない問いをじっと考える1冊です。
原作者の自伝的小説と聞いていても、映画を観ているときはどこかフィクションというか物語を眺めている気持ちだったけれど、この本を読んでいるときは高山さんの想いそのままが激しくぶつけられているような気がして、ずっと苦しかった。
文庫本の巻末、映画主演の鈴木亮平さんの解説もこれまたグッと来る内容だった。彼が浩輔を演じてくれて本当に良かったです。