高山真のレビュー一覧
-
ネタバレ 購入済み
映画でも涙が止まらなかった
浩輔が龍太を「買う」ところまで、想像はついていた。
しかし物語は、浩輔と龍太、龍太の母、三人の物語になっていく。
映画化により、セクシャリティを表現することへの注目が集まる本作だが、本質はそこではないと思う。
現に、浩輔も龍太も自分のセクシャリティに強く悩むシーンは少ない。そう見せているだけかもしれないが、「そう思う」のも違う気がする。
浩輔に関して言えば、子どもの頃に偏見を受け、生きることを手放そうとした時期がある。
そこから、彼がブランドファッションやステイタスで心身を固めるに至るまでは、社会のありかたが問われるだろう。
しかし浩輔の苦悩は、セクシャリティに -
ネタバレ 購入済み
良い作品に出会えて良かった
「龍太が亡くなり浩輔が沢山泣く」この場面で号泣してしまいました。特に龍太のお母さんが龍太と浩輔の関係に気づいていたと明かしている辺り、、、涙が止まりませんでした。
最後の終わり方、先が気になりました。
P.S.みんなが、家族が、出会えていますように。
-
- カート
-
試し読み
-
Posted by ブクログ
ネタバレフィギュアスケートファンの中で、雑誌などではなく新書なのに、めちゃくちゃ評判が高いのをしりつつ読んでいなかった一冊。
素晴らしかった。
この方ほど、こんなにも、精緻に大胆に愛を込めてフィギュアスケートを日本語にしてくださる人はいないだろうと思った。
お亡くなりになっていたのも知っているだけに残念な気持ちが強い。もっと、鋭く語り続けて欲しかった。
スケーティングを解剖している。
文章から、ステップの足捌きが見える。ページの余白に羽生選手が踊っている。
不思議な感慨だった。
それこそ、羽生選手のステップの組み合わせは目にも止まらぬほどなのに、この方は、どんな風に滑っているのか知りたくて、
夜中 -
Posted by ブクログ
高山さん、ありがとうございました。
最後のエッセイを引用します。
特設エッセイ 羽生結弦は捧げていく 第24回
高山真さんからのご挨拶 2020.10.5
拙著「羽生結弦は助走をしない」を発表してから、自分では予想もしなかった数の読者の皆様にお読み頂き、物書きとしてこれ以上ない幸せを味わわせて頂きました。
2015年に肝臓にがんが見つかり、2018年に大きな手術をして、2020年の春には、こちらの想定を越えるスピードで骨や肺、リンパに転移していました。
自分なりに戦ってきたつもりですが、そろそろ幕を引くタイミングかな、と。
今までお読み頂き本当にありがとうござ -
Posted by ブクログ
映画化もされた「エゴイスト」の著者によるエッセイ集。「エゴイスト」が自伝小説と言われるだけあり、本書にも「エゴイスト」の内容を彷彿とさせる恋愛エッセイが含まれ「おー」っと興奮した。
本書で最も印象的であったのは、「マウンティング」という言葉が広まっていなかったと思われる2000年代に、優越感(マウンティング)についての著者の考察。鋭く本質的で感銘を受けた。
そもそも、なぜ「マウンティング」をしてしまうのか。人生で選択した「人としての幸福」を手に入れても心から満足できず、自分の足元を固めようとする余りに、他人の人生の選択を下に置く、というモラルを無くした行為をしてしまう。そこには「人としての -
Posted by ブクログ
ネタバレ男性同士の恋愛を通した愛をテーマにした作品。
感想を文字にするのは難しい作品
愛を与える・受け取る側で描かれており、どちらも極端だと心に負担を感じてしまうのだなと思い、個人的に少し共感する部分もありました。
恋愛以外にも家族愛にも触れていて、主要な人物は肉親を早くに亡くしており、関係性は複雑ですが、故人に対して違うように見えて、皆同じ後悔や感謝や責任などの複合した感情を思いやっているのが印象的でした。
与える・受け取るを昇華させ共有できるようになると、お互いの負担が少ないのではないかと気が付くきっかけになりました。
言葉の奥にある、愛情や優しさ感謝や後悔などの気持ちがたくさん感じられじーん -
Posted by ブクログ
ネタバレ登場人物がストーリーの中で死を迎える話はつい警戒してしまう。本作では、同性の恋人である龍太と、その母が亡くなる。どうしたってドラマチックになりやすいので、安易なのでは?と思ってしまう。
ただこれは現実に起こったことを小説にしたものということなので、となれば事実はこれより奇なるストーリーなのかもしれない。
この小説を読む時同性愛者の恋愛という視点を忘れてはいけないと思う。
途中、龍太のただの仕事相手として葬儀に出なければならない場面などはその際たるもので、関係性が親族に歓迎されていれば身内に近い扱いをされる交際相手も、カミングアウトをしていない場合必要以上に悲しむことすらできない。厳密には、で -
Posted by ブクログ
去年、鈴木亮平さんと宮沢氷魚さんの出演で映画化されたときにすごく気になって、映画を観るか本を読むか悩み、結局中古で買って積んでました。
14歳で母を亡くし、田舎町でゲイである自分を隠しながらも思春期を過ごした浩輔は、大学進学を機に上京し、開放感に満ちた日々を送っていた。30代半ばに差し掛かったある日、パーソナルトレーナーの龍太と出会う。龍太は、シングルマザーでがんを患う母を懸命に支えながら生活をしていた…。
2020年に亡くなったエッセイスト・高山真さんの自伝的小説なんだそうです。
「エゴイスト」とは、自己中心的な人、利己主義者のこと。浩輔は「愛がわからない」と言い、彼らを救いたいと思う