【感想・ネタバレ】愛は毒か 毒が愛かのレビュー

あらすじ

映画『エゴイスト』の原作者でもある高山真氏が2007年に書かれたエッセイを電子書籍として配信します。
高山氏は2020年に逝去されましたが、本書はLGBTの先駆的エッセイとして今なお輝きを失っていません。

「“女の幸せ”があなたを苦しめるものだったら……どうするの?」と本音で問いかける、革命的「恋愛論」です。
「結局女は、若くて・可愛くて・従順で・愛されることに価値がある」という“おためごかし”が蔓延する「恋愛エッセイ業界」に戦うオカマが殴り込み! ……といっても、そこは芸達者なゲイ。体を張ってマイノリティ差別と戦ってきた“体験談”はシビアで過激ですが、それをウィットに富んだ、極上のエンターテイメントに昇華しています。

※原本に掲載されていたマツコ・デラックスさんとの対談は
本電子書籍版には収録されていません。

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Posted by ブクログ

映画化もされた「エゴイスト」の著者によるエッセイ集。「エゴイスト」が自伝小説と言われるだけあり、本書にも「エゴイスト」の内容を彷彿とさせる恋愛エッセイが含まれ「おー」っと興奮した。

本書で最も印象的であったのは、「マウンティング」という言葉が広まっていなかったと思われる2000年代に、優越感(マウンティング)についての著者の考察。鋭く本質的で感銘を受けた。

そもそも、なぜ「マウンティング」をしてしまうのか。人生で選択した「人としての幸福」を手に入れても心から満足できず、自分の足元を固めようとする余りに、他人の人生の選択を下に置く、というモラルを無くした行為をしてしまう。そこには「人としての幸福」の定義自体が脆弱なものであることが原因であるかもしれない、としていた。

「マウンティング」をする側を単に批判して終わることのない、本質的で優しい着地点に、目から鱗であった。

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2025年04月27日

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