あらすじ
「愛した彼は体を売って、生きていた」。
2023年初春、本作品の映画化が決定。出演は鈴木亮平、宮沢氷魚。文庫版には鈴木亮平の特別寄稿を収録。
「母が死んで、『死にたい』と思っていた僕の何かは死んだ」。14歳で母を亡くした浩輔は、同性愛者である本当の自分の姿を押し殺しながら過ごした思春期を経て、しがらみのない東京で開放感に満ちた日々を送っていた。30代半ばにさしかかったある日、癌に冒された母と寄り添って暮らすパーソナルトレーナー、龍太と出会う。彼らとの満たされた日々に、失われた実母への想いを重ねる浩輔。しかし、そこには残酷な運命が待っていた・・・。
龍太と母を救いたいという浩輔の思いは、彼らを傷つけ、追いつめていたのか? 僕たちは、出会わなければよかったのか? 愛とは、自らを救うためのエゴだったのか? 浩輔の心を後悔の津波が襲う。人は誰のために愛するのか。賛否両論渦巻く、愛のカタチ。
※この作品は単行本版『エゴイスト』として配信されていた作品の文庫本版です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
サブスクで映画を観て、これは原作を読まないと本質がわからないと思い手に取りました。
本作のタイトルを『エゴイスト』とした著者のセンス。皮肉とも現実的とも取れる、自分に向ける視線の客観性。すごいを通り越して、脅威的ですらある。
そして、これを演じ切った鈴木亮平さんと宮沢氷雨さんの演技力の高さ。原作を読んでも一切、印象が変わることがなかった再現性の高さに、おふたりの覚悟と原作へのリスペクトを感じました。
浩輔と龍太、そして龍太の母は互いの存在に支えられ、そして互いの中に『母』を見て、過去の自分を癒し癒されて辛い現実とも向き合っていきます。
人は他者との関係性の中でしか癒されないし、その中に占める『母』の役割って想像以上に大きいということを改めて実感しました。
浩輔にとっては、龍太や龍太の母にしたことは『エゴ』だったのかもしれませんが、それは2人にはしっかり『愛』として受け取られていて、そもそも人を愛することは多少のエゴを含むのではとも思ったり。
いやぁ、映画も原作も衝撃的すぎて。
定期的に読み返したい、見返したい好きな作品が増えました。
Posted by ブクログ
(⚠映画の話もちょっと含む)
同性愛について というよりも
"その事情は踏まえておいて"
という軸で、
それよりも際立つ 人間味の生々しさ みたいなものの描き方に
とても気持ちをつかまれた。
本には描かれていなかったけれど
主人公·浩輔を演じる鈴木亮平と、龍太演じる宮沢氷魚が
動画を撮りあったり、
仕事で疲弊して泥のように眠る龍太に ハンドクリームを塗ったりするシーンがある。
このシーンがとても好きだったのだけど
映画オリジナルだったのかなあ…。
普段 インスタントのような、沸いては消えていく範囲にある漫画を読み捨てるように読んでいて(失礼⚠️)、
「そこに愛はあるんか?」
という思いで眺めながら終わることが多い。
インスタントのような出会い
インスタントのような始まり方
インスタントのような関係性の繋がり…
それに慣れていた頃、
小説の空気感をなぞる様に映像化されたシーンを見て
「これが愛じゃなければなんなんだろう…」
と思わされた。
映画始まりで知って読んだ小説だったけれど
小説からでもきっと好きになったと思う。
読み終わったあと、
いろんな気持ちが胸にせまって
少し ほぅ… としてしまうような小説だった。
Posted by ブクログ
実母の喪失を他人の母子で代替する事はエゴなのかというお話
以下、公式のあらすじ
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「愛した彼は体を売って、生きていた」
2023年初春、本作品の映画化が決定。出演は鈴木亮平、宮沢氷魚。文庫版には鈴木亮平の特別寄稿を収録。
「母が死んで、『死にたい』と思っていた僕の何かは死んだ」。14歳で母を亡くした浩輔は、同性愛者である本当の自分の姿を押し殺しながら過ごした思春期を経て、しがらみのない東京で開放感に満ちた日々を送っていた。30代半ばにさしかかったある日、癌に冒された母と寄り添って暮らすパーソナルトレーナー、龍太と出会う。彼らとの満たされた日々に、失われた実母への想いを重ねる浩輔。しかし、そこには残酷な運命が待っていた・・・。
龍太と母を救いたいという浩輔の思いは、彼らを傷つけ、追いつめていたのか? 僕たちは、出会わなければよかったのか? 愛とは、自らを救うためのエゴだったのか? 浩輔の心を後悔の津波が襲う。人は誰のために愛するのか。賛否両論渦巻く、愛のカタチ。
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映画を視聴済み
なので、物語の内容は知っていた
原作との相違点はいくつかあったけど、概ね原作通り
故郷に帰る際に、ブランド物の服で武装するというのはある意味で虚しいなぁ
ま、それを虚しいと思えるくらいに私は幸せなのだろうけど
浩輔は龍太を好きになったように見えて
その実、龍太と母親の関係に自身と亡くなった母親を重ね合わせている
悪く言うと龍太を使っているというエゴ
龍太を過労死?に追いやったのは自分という認識もしている
浩輔は、母のために犠牲になりたかったという思いもあるのではなかろうか
ただ、龍太の親子を傷つけていたようには思えない
むしろ本当に感謝しているし、龍太の母にしても息子の喪失を浩輔を分かち合っているようにも思える
最後のところで、息子かどうかを訂正しなかったあたり
本当の親子とまではいかないまでも、それに近しい関係性を結べたのだろうなぁ
鈴木亮平の解説によると、著者の体験を元にしているようだ
この小説や映画に嫌悪感を抱いている人もいるようだけど
その要因は同性愛というところなのだろうか?
だとしたら、その人は中々に偏見のある人なのかもしれない
この物語、同性愛の要素がなくとも成立するメッセージがあると思うのだが?
Posted by ブクログ
他人の生き方を尊重するためには何が必要だろうか?
他人を知ること?生活を知ること?それとも他人のすべてを肯定すること?
私は、一定間隔の距離感だと思う。
そのためには、他人のことを視野に入れられる余裕とほんの少しの無関心が必要なのかもしれない。
Posted by ブクログ
映画もみたい。
愛が何だかわからない。
なんて言葉をかけてあげたら良いのかわからない。
わからないけれど、確かに浩輔は母のことを、龍のことを愛していたと思う。思い出を、時間をお金で買うことはエゴかもしれないけど、愛でもある。
Posted by ブクログ
自分はまだ本気で他人を愛し愛されたことは無いと思う
だからこの本の浩輔さんの行動を愛と呼べるのかそれともエゴと呼ぶのかは分からない。
だけど、浩輔さんが龍太さんや龍太さんのお母さんに与えてきたものは愛してたがゆえ起きた母性本能的なものでは無いかと思った。たとえ浩輔さんが自分の行動をエゴでは無いのかと感じても、受け取った側が愛だと感じたのならばそれが1番だと思う。
Posted by ブクログ
映画は鑑賞済。
龍太くんのお母様が相当できた人。
後半からラストに向かって涙が止まらなかったです。
所謂同性愛の話ではあるけど、直接的な表現はほぼないに等しく読みやすい。また映画が観たくなりました。
Posted by ブクログ
これが自伝的私小説だとしたら、
本人がこの愛の形をエゴイストと読んでいるのが悲しい。
お金を渡していたけれど
確かにそこは愛はあったし、
龍太も救われていただろうし
お母さんも愛を感じていただろうから。
映画だけではなく、本で読めてよかった。
映画では、何でそこまでお金を渡しているのだろうか、
と思ったけど、
愛を感じたから。
Posted by ブクログ
エゴな愛し方って相手にとっても自分にとっで不幸か幸せか。本作は肯定的な希望を持っている作品だと思う。
しかし、少しドラマチックに描かれすぎなのではという印象も受けた。もちろん、創作物なのであるからリアルに則する必要はないのであるが、ここまで綺麗な関係を紡げるものだろうか。自分が歪んだ見方をしていまっているのだろうとも思うが。
情景描写の目の付け所が際立って魅力的。文章表現も淀みなく読み進められる筆運びで読者を惹きつける。テーマが作者個人の経験とどうしても紐づけて考えてしまうが、小説としての作品完成度がとても高い。
Posted by ブクログ
男性同士の恋を、家族を、そして愛についてこれだけ
深く伝えてくれる小説は他にないと思います。
久しぶりに読み終わったあと「あ、もう終わりか…」と余韻とともに寂しさのようなものを感じることができました。
これを読んだからといって同性愛者の方の気持ちや、
これまでの境遇なんかが分かる訳でもない。
その人たちをとりまく家族や友人の気持ちがわかる訳でもない。
ただこれまで知らなかった形の愛があるということを知ることはできます。
知識や経験もそうだけど、すぐに役立つとは限らないしすぐに血肉になるとも限らない。でも、生きていればどこかでその「知ったこと」は活きてきます。
「理解」とはそういう知と体験の積み重ねの中で体得
できる刹那的なものなのかなと、改めて感じました。
教科書にして全国民に読んで欲しい1冊。ぜひ!
Posted by ブクログ
ブリアンさんが宣伝しているのを見て、読み始めました。
同性愛の話かなと思っていましたが、母親への懺悔の話でした。
自身のセクシャリティに対する苦悩や親の気持ちなどが繊細に表現されています。
愛について考えさせられるストーリーでした。
Posted by ブクログ
先に映画を観た。凄まじい衝撃で、わたしの人生に大きく食い込む作品だと思った。これは原作も読まなきゃと手に取って、あっという間に読んでしまった。ぜひ映画とセットでみてほしい。胸がぎゅうっと締めつけられて何も言えなくなる。いろんな愛が詰まっていて、それはすべてエゴかもしれないし、ほんとの愛なのかもしれない。そんなことは誰にもわからない。愛は目に見えない。形もない。受け手によって如何様にも変わってしまう。もしかしたら窮屈で重い鎖のようなものだったのかもしれない。何度も躊躇って、祈るように反芻して、ああすればこうすればよかった、とか、そういうものばっかり溢れてくる。いなくなってから聞くことはできない。でもわたしはこれを純粋な愛だと思わずにはいられなかった。エゴじゃないよ届いてるよって言ってあげたい。恋人の愛、親子の愛、まったくの他人同士の愛、いろんな愛が垣間見える。ふたりがどうか、安らかな光の中にいてほしいと思う。
Posted by ブクログ
「エゴイスト」は映画化され、評判が良かったのでずっと気になっていた。
同性愛の切ない内容だと思って読み進めたが違っていた。いや、違ってはいないが家族愛がテーマの作品だと思う。
大切な人の為にしてきた事は愛なのかエゴなのか…自問自答する主人公。浩輔(高山真さん)に言いたい。エゴではなく愛です。と
Posted by ブクログ
純粋な幸せ、悲しみ、怒り、苦しみに溢れた作品でした。不器用で優しい登場人物の皆さんが…とても愛おしく、素晴らしい存在に思えてやみません。心がカサカサした時に再読すると思います。
Posted by ブクログ
「あなたのためを思って」というのは間違い。実は自分が安心したいから、自分がそうしたいからというエゴなのだ、ということは前から百も承知であった。しかしこの本を読んで、相手に何かを与えるのと同時に、相手から何がしかを奪ってしまうこともあるのだと初めて知った。奪ったものとは?それはこの物語の場合「プライド」だったのかと思う。浩輔が与えれば与えるほど、龍太たちはお礼を言いながらも苦しそう。浩輔は善意でやっているので余計タチが悪い。浩輔がそれに対し、龍太たちへ「見返り」を求めていなかったことはまだマシだった。
どこかに書いてあったと思うけど、愛は時として「毒」にもなってしまう。自分自身、最も大切な人たちに惜しみなく「愛」を与え続けたいと思い、それが生き甲斐でもある。しかし、自分がその「愛」とやらを与える時、それは相手からたとえば「プライド」とか「自信」「自立心」「思考力」のような大切で失ってはいけないものを奪うことのないように、一旦考えてみようと思った。
また、本書にもあるとおり、今や「同性愛か異性愛かは、服の好みほどの差」であると思っているが、まだ田舎の方は?偏見が根強いのだろうか?だとしたら、田舎に限らずどんな場面でも、性的マイノリティの方々が堂々と、いろんな選択肢を獲得し、自由に生きていける世の中になるよう、全ての人々から偏見がなくなるように願う。
「自分たちとは違うなにか」を警戒するのは生物の本能と言ってしまえばそれまでだが、人間はせっかく「知性」を獲得したのだもの。やってやれないはずはない。
10年ぶり
数十年ぶりに本を読みました。読みたいものがなかったから読んでいなかったが正しいですが、この本は読んでみたいと思いました。知ったのは映画化されたことをきっかけですが
気づいたときには公開してから1ヶ月経った後で、上映されている映画館を調べることすら億劫に感じ原作であるこの本を読みました。
僕自身セクシャルについて悩んでおりまだ見つけれていません。
歳も今27歳で、若い時には同じく売り専をしたこともあります。
お金が欲しいとか、SEXが好きとかではなく
自傷行為に近いものだったと思います。
ただ現実問題借金などの返済のために
寝る間も惜しんで働いていました。
その時は死にたいとか、楽になりたいとか考える余裕もなくて、ただがむしゃらに過ごしていました。
そんな生活も長くは続かず、体調を崩したあとは手に職をつけてすこしづつ返済していきました。
昨今問題になるLGBTQやセクシャルについて
僕はカミングアウトをしていないですが
している人たちは暮らしやすそうな
どこか不安そうな感じがしています。
ただ、僕は社会に紛れ擬態して生きている
苦しい、辛い時もありますが
住みやすい改革などと声を大にしては言わない
そっと
そっとしておいて欲しいです。
中にはそう言う人もいるよってことを
全員が全員そうじゃないよって。
生きてるし
幸せがある。
その小さなもので人は満足できる。
本を通していろんな人に
知ってもらえるのはとてもいいと思いました。
自分と重ねてしまうところもあったり
ページ数も読みやすく
一日半で読み終わりました。
もし悩みを抱えている人がいればこの本を読んでみて
もしかしたら解決するかもしれないししないかもしれない。
でも、一つの案として方法として形として
そう言うものがあるってわかるだけでも違うと僕は思います。
おもしろかった
正直もっとどくどくとした作品なのではないかと思っていたがすごく美しい作品だった。わたしは男が好きか女が好きかよりも人間的な魅力がある人なら愛してしまうのはしょうがない。逆にそちらの方が人間の本能なのではないかと思っているので、この作品は多くの人に読んでもらいたいなと思う。
エゴってなに。
映画を観てから小説を読みました。
どちらかでも見れば鈴木亮平さんがインタビューで同性婚を法制化してほしい。と言った意味がわかると思います。
異性であれば自然な事も同性ならただのエゴ、もしくは無かった事にされるのは不自然です。
人の根底は変わらないかもしれないけど、もっと広い目で世界を見てほしい。
映画でも涙が止まらなかった
浩輔が龍太を「買う」ところまで、想像はついていた。
しかし物語は、浩輔と龍太、龍太の母、三人の物語になっていく。
映画化により、セクシャリティを表現することへの注目が集まる本作だが、本質はそこではないと思う。
現に、浩輔も龍太も自分のセクシャリティに強く悩むシーンは少ない。そう見せているだけかもしれないが、「そう思う」のも違う気がする。
浩輔に関して言えば、子どもの頃に偏見を受け、生きることを手放そうとした時期がある。
そこから、彼がブランドファッションやステイタスで心身を固めるに至るまでは、社会のありかたが問われるだろう。
しかし浩輔の苦悩は、セクシャリティに限らず、他人が形成した「こうあるべき」のフレームに当てはまることができない人たち、共有のものである。
そして、この他人が作った苦悩を和らげていくのも、ちがう他人との関わりなのだ。ここに、ひとはひとりでは生きていけないという真実と、ジレンマを感じる。
いっぽうで、仮に母と二人の息子の関係が、
母と娘二人、父と娘二人だったら、今回と同じ感想を持ったかはわからない。
それは、私自身にバイアスがあるためであり、
つまりはセクシャリティや立場に「こうあるべき」の
価値観があるからなのだろうな、と思う。
良い作品に出会えて良かった
「龍太が亡くなり浩輔が沢山泣く」この場面で号泣してしまいました。特に龍太のお母さんが龍太と浩輔の関係に気づいていたと明かしている辺り、、、涙が止まりませんでした。
最後の終わり方、先が気になりました。
P.S.みんなが、家族が、出会えていますように。
Posted by ブクログ
映画を鑑賞後、原作も気になって読んでみました。
著者がもう亡くなっていることに驚き。
映画も面白かったけど小説の方がこの場面で浩輔はこう感じていたというのが知ることができて興味深い。
浩輔の愛がわからないという言葉に対して龍太の母が私たちが愛だと受け取ったからそれは愛なのよ。と返していて、受け取り側の気持ちの問題なんだと気付かされた。
Posted by ブクログ
悲しいけれど、心温まる、愛のある小説でした。白血病で亡くなった父を思い出し、泣きながら読みました。エッセイも読んでみたいと思います。
素敵な作品をありがとうございました。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ読みやすい。オススメ。
自分が純度百パーセントだと信じてやまない愛が、押し付けにならないよう気を付けたいと思った。
愛とエゴイストは紙一重
Posted by ブクログ
同性愛者の付き合った後どのように生きていくのかとかに焦点を当てた話だと思って読んだので、途中で恋人が呆気なく亡くなってしまいびっくり。
後半は恋人の母親と主人公の物語だった。
過去回想で主人公の父が妻に言った、お互いまだ大事に思ってるのだからしょうがないじゃないか。しょうがないからやっていくしかない。という言葉が胸を強く打った。辛くて現実から逃げ出したくなる状況だけど、それでもお互い大切に思っていてやりきれない気持ちをしょうがないという言葉でまとめた表現がすごいと思った。
Posted by ブクログ
泣いたああああ。よかった。
短くて読みやすい。ストーリーの展開はままありそうな感じではあるが、泣ける。
ゲイの男性の物語かと思ってたら違った。恋人2人の世界ではなく、そこに母親も混じってきて、また、主人公の浩輔がエゴかもしれないと思いながら龍太と龍太の母親を大切にしようと、愛そうとしていてよかった。
最後の浩輔と龍太の母親の病院でのシーンは涙腺崩壊した。
匿名
エゴイスト
今映画化で注目されていたので活字で読みたかったので購入しました。親子愛の物語だったと思います。全ての人々が生きやすい社会、環境が大切です。楽しい=楽なのです。
匿名
あとがきまでよんでほしい
映画を見る前に読んでみました。
今流行りのBLとかではなく、主人公はゲイですけど母子の愛を軸にいろんな愛=エゴのお話だと思います。誰でも最初、愛はエゴから始まってるのかもしれないけど最後にはエゴだけじゃ無いんじゃないかと思えるよい本です。
あとがきを読んでとても考えさせられました。セクシャリティのことで思い悩む人がなくなり、誰もが生きやすい社会にしていくことが必要ではないかと。多くの若い人に読んで考えてもらいたい。と思いました。
Posted by ブクログ
知らない世界を垣間見る事ができるのは小説のいいところ。こんな恋愛のスタートもあるのかと少し驚いた。
恋愛対象が異性か同性かという違いだけかと思っていたが、どうやらリアルはそうではないらしい。
直線的な始まりに戸惑ったし、何故そんなにも破壊的な恋愛になってしまうのか。真剣だからこその、そのエネルギーに圧倒された。
後半の親子ごっこがやはり一番切なく思う。
もう少しお金があったら、全く違う関係性になったのだろう。私も本当にお金の無い日々を過ごした事があるので、気持ちは分かる。
読みやすさに反して心に爪痕を残す作品でした。
Posted by ブクログ
登場人物がストーリーの中で死を迎える話はつい警戒してしまう。本作では、同性の恋人である龍太と、その母が亡くなる。どうしたってドラマチックになりやすいので、安易なのでは?と思ってしまう。
ただこれは現実に起こったことを小説にしたものということなので、となれば事実はこれより奇なるストーリーなのかもしれない。
この小説を読む時同性愛者の恋愛という視点を忘れてはいけないと思う。
途中、龍太のただの仕事相手として葬儀に出なければならない場面などはその際たるもので、関係性が親族に歓迎されていれば身内に近い扱いをされる交際相手も、カミングアウトをしていない場合必要以上に悲しむことすらできない。厳密には、できる、できないを事前に双方確認しておければよいのだけれど、死んでしまったらそうもいかない。怪しまれることを亡き人が望まない可能性があるなら、押し殺すしかない。あと、ここには「よほどのことでない限り男が涙を流して悲しむなんて」という規範も関係する。
今回は、龍太の母に理解があったからよかったけれど、たいていは怪しまれる。友人には友人の、仕事相手には仕事相手にふさわしい悲しみ方がある。そんなのも本来自由なはずだが、知らず知らずのうちにそういった「様式」に縛られて生きている。
こういった同性愛をテーマにした本で、これは同性愛なんて関係ないただただ愛だとか言われたりすることがあるけれど、とんでもない話で、多様性はその昔からずっとあるのに、それにまつわる社会のまなざしは全然多様じゃないことがよくわかるエピソードだと思う。文庫の初版が2022年と思えば、当人たちがよければそれでよし、の社会ではまだまだない。
Posted by ブクログ
去年、鈴木亮平さんと宮沢氷魚さんの出演で映画化されたときにすごく気になって、映画を観るか本を読むか悩み、結局中古で買って積んでました。
14歳で母を亡くし、田舎町でゲイである自分を隠しながらも思春期を過ごした浩輔は、大学進学を機に上京し、開放感に満ちた日々を送っていた。30代半ばに差し掛かったある日、パーソナルトレーナーの龍太と出会う。龍太は、シングルマザーでがんを患う母を懸命に支えながら生活をしていた…。
2020年に亡くなったエッセイスト・高山真さんの自伝的小説なんだそうです。
「エゴイスト」とは、自己中心的な人、利己主義者のこと。浩輔は「愛がわからない」と言い、彼らを救いたいと思う自分の行為はただの自己満足、エゴなのではないかと自問する…。本当の愛ってなんだろう?少なくとも、浩輔の思いは愛だったと伝えたい。
とても重くて切なくて、でも温かい涙がこぼれるお話でした。映画もかなり評判が良いのでぜひ観たいです。
Posted by ブクログ
感想
筆者自身の体験に基づくもの?であると思われる。映画化もされたとのことだが、筆者自身は病気で亡くなってしまったようだ。
セクシャリティに悩む人の気持ちや大事な人との別れが克明に書かれている。最後まで恋人がナゼ亡くなったのかは気になった。
あらすじ
浩輔は、中学の頃あたりから自分の性別や嗜好に疑問を持ち始める。周りはそのことを察知し、イジメをする。浩輔の母親は中学の頃に病気で亡くなり、イジメられていた自分のことしか考えられなかった浩輔は後悔する。
田舎から抜け出すため、必死に勉強して東京に出て、就職し、龍太という年下の男性と出会う。二人は一気に惹かれあい、付き合うことに。しかし、病弱の母親を支えるために龍太はウリをやっており、それに耐えられなくなって、浩輔に別れを切り出す。
浩輔は連絡がつかなくなった龍太を探し出し、金銭援助するので普通の仕事につくように提案する。順調に見えた二人だったが、龍太が忙しくしている中で突然亡くなる。浩輔はひどくショックを受ける。龍太の母親に普通の仕事で酷使させたことを謝るも、母親は二人が付き合っていることを全て分かっていたのだ。そこから病弱の母親と浩輔の交流が続き、龍太の母親が亡くなるところまで書かれている。
Posted by ブクログ
オーディブルで聴きました。
ゲイの浩輔が癌の母を支えるトレーナーの龍太と付き合う。龍太はトレーナーの傍ら売春もしている。龍太の死後、浩輔は龍太の母と実の家族のような絆を築く。恋愛モノと思いきや、母との愛情物語な流れになってなんかいまいち。
龍太はなぜ売春なんかしてんのか。。健康な若者ならもっと仕事あるだろうに。