安達眞弓のレビュー一覧
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1958年朝鮮王朝・英祖の時代
18歳の医女ペクチョンは、恵民署で4人の女性殺害の容疑者となった恩師を助けるため、事件を独自に調べ始める
そして同じように事件を追う捕盗庁で働く青年オジンに出会う
二人は協力し合い犯人を追うのだが…
『イ・サン』『赤い袖先』『トンイ』
英祖王が実の息子の世子を米櫃に閉じ込め餓死させたというエピソードは有名ですが、
やはりこの時代はドラマになりますね~
王である父と世子である子との確執…
やがて世子は壊れていく
そんな世子のある史実がこの作品の事件に深く関わっていき、物語のキモとなる!
誰が悲惨な事件の犯人なのか?
という推理を楽しむのは勿論
医女ペクチョンの -
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ネタバレタイトルからは全くなんの小説か想像もつかず。読んでみてびっくり、これはオモロい!
いわゆる勝ち組な人生の成功を得つつも、心に空虚さを覚え、ウツ的に空虚になった挙句、妻に逃げられ、交通事故で下肢を麻痺する大けがを負った主人公。
彼の人生を取り返す再生の物語と、ニュージーランド最南端の小さな町リヴァトンに隠された秘密を暴く物語、さらにはそこにどんでん返しのミステリーまで伴い、やや詰め込みすぎかとも思いきや、最後見事な着地を決める巧みさ。
小説の構成も見事で、現在パートと過去パートを交互に織りなすパターンは良くあるが、マンネリ臭は一切なく、王道のパターンの利点を存分に生かして楽しませてくれる。 -
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ネタバレ下は海、崖の途中で宙吊りって、『その女アレックス』の宙吊りの檻とどっちが恐ろしいやろかと震える。そんな絶体絶命の状況から始まります。
町の中心から外れた最果ての地で、明らかに怪しい三人兄弟の隣家に住むことになった主人公は車椅子、バツ1、元アル中。ひたすら暗いサスペンス劇になりそうなところ、彼の周囲に集まるのがユーモアに溢れた善人ばかりで救われます。
謎解きではなくて三人兄弟が罪を犯した理由を追求する物語だと思ったら、あらら、やっぱりそれだけじゃなかったのか。自費出版の翻訳とは驚き。ついでに、双子の出生率はベナンが世界でトップクラスという豆知識も(笑)。
映像化するとしたら、ちょっと年齢が -
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七月の目玉となった作品。個性がいくつもある。一つにはニュージーランド発ミステリー。作者は、法心理学者としての本業の傍ら、小説は電子書籍でしか契約しないという欲のない姿勢を貫いているが、この通り、内容が素晴らしいため、作者の意に反して紙のメディアでも世界中に翻訳され、売れっ子となりつつある。
ページを開いた途端、絶体絶命の窮地にある主人公の現在が描写される。いきなりの海岸の崖に車いすごと足が岩に引っかかって宙ぶらりん。ぼくはこの作品の前に、クレア・マッキントッシュの『その手を離すのは、私』という本を読んでいて、その最終シーンが海辺の崖の上での意味深なシーンだった。まるでその続きみたいに始ま -
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作家は韓国生まれアメリカ育ちで、元は英語で書かれたものである。ディアスポラ文学というらしい。
18世紀の李氏朝鮮 第21代国王・英祖の時代。韓国の歴史ドラマでいえば、トンイとイサンのちょうど間にあたり、トンイの息子が英祖で、英祖はイサンの祖父になる。
母の大好きな韓国ドラマを、斜めに見ていたおかげで、すんなりと情景がイメージできた。
念願の内医女になったペクヒョン。かつて医術を学んだ恵民署で4人が殺害され、恩師が捕らえられた。恩師の無実を証明しようと、捕盗庁のオジンと共に真犯人を探す。
韓国らしい深い情と愛と恨が詰まった物語である。庶子であるペクヒョンの、これまでに受けた試練が原動力となり、彼 -
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ネタバレ2025年の35冊目は、ジューン・ハーの「宮廷医女の推理譚」です。2023年のアメリカ探偵作家クラブ賞YA部門受賞作です。読書の舞台は、1944年のサンフランシスコから1785年の朝鮮国、英祖王の時代に飛びます。この身軽さが読書の魅力の1つだと思います。
韓国を舞台とした歴史小説を初めて読みましたが、テレビドラマで馴染みが有るせいか、割りとすんなりと物語に入り込めました。朝鮮国特有の固有名詞に関しても用語集が巻頭に付いていますので、見返しながら読み進める事が出来ます。
テイスト的には、ホリー・ジャクソンの作品に近いと思います。主人公も18才の内医女ベクヒョンと同い年の捕盗庁の従事官ソ・オジンと -
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物語はその昔、ゴールドラッシュに湧いたニュージーランド南島の小さな町の人質事件から始まる
皆がなぜ?と思う善良な市民の家族をギャングたちが人質にとる
そして主犯格のギャングと家の主人が姿を消す…
一体なぜ?どこに消えたのか?
二人を追うのはニックとトーブの歳の離れた警察官
とにかくこのバディがいい!
ニックの一人称で語られる章、逃走している二人を描く章、嵐を描く章…
この3つのパートの繰り返しで物語が進む
ニュージーランドの気候やゴールドラッシュなどの歴史、土着のマオリとヨーロッパ系・中国系移民との確執…
それらに絡んだミステリーという設定が大変興味深く、おもしろい
嵐のなか、ニックとト -
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妻と離婚し、酒に溺れ飲酒運転で下半身の自由を失ったフィン(作者と同じ名前)が心機一転向かったのがニュージーランド最南端の町
フィンはその町のさらに南の人里離れたコテージを購入
しかしフィンが購入する以前にコテージに住んでいたコッター家の娘アリスが26年前に失踪していた
それを知ったフィンは事件に関わっていると思われるゾイル家を調べ始めるが…
冒頭、いきなりフィンは絶体絶命…
車椅子に乗ったフィンは崖で車椅子ごと巨石にはさまれ宙ぶらりん…
どうした?
なぜ?
助かるのか?
そんなことを気にかけながら、フィンがそれに至った出来事の道筋をたどっていくようにページを捲っていく
そして明かされた事実 -
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車椅子生活の主人公の、ニュージーランドの南端での緊迫したシーンから物語がスタートする。
筆者はカウンセリング専門職が前職ということで、犯罪者の言動や行動に反映されている内面が細やかに描写されていて、怖かった。
地名や人物名に慣れず読むのが大変だったが、サスペンスとしての出来も高く暇なシーンはない。
それでいて、終盤の終盤にどんでん返しもある。
また、自分に絶望していたり、この先どうしていいかわからない、そんな状態の時に読むと、希望が見えるような一面も持ち合わせている作品でもありました。
学びとは苦痛であるという言葉は、しっくりきました。