神野正史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「粛清」というパワーワードに惹かれて読書。
以下、概要と個人的考察まとめ。
【パート1:本書の要約(著者の主張)】
■1. 民族性は時代を超えて不変である(地理的要因)
・民族のメンタリティ(考え方・行動パターン)は、数千年にわたる風土や地理的条件(大陸か、島国か)によって形作られる。
・時代や社会システム(王政、共産主義、民主主義など)が変わっても、根底にある「民族性」は簡単に変わらない。
・だからこそ、「過去の歴史的行動」と「現代の国家の振る舞い」を比較・解析することが可能になる。
■2. 中国・欧米の「勝者総取り」と「粛清」の構造
・中国の構造:王朝交代のたびに行われる徹底的な旧勢力の殲滅。現代の中国共産党体制における権力闘争や排他性、過酷な弾圧(大躍進、文化大革命、収容所問題など)も、古代からの「権力者は総取りする(Winner-takes-all)」という一貫した構造の上にある。
・欧米の構造:人種・肌の色による絶対的な差別、中世の魔女狩り、フランス革命時の「正義」による大量殺戮。「異質なもの」を排除・抹殺することで秩序を保とうとする歴史を持つ。
■3. 最も恐ろしいのは「善人の悪業」である
・単なる「悪人の悪意」による被害には限界がある。しかし、「理想郷を作る」「共産主義を完成させる」「神の正義を果たす」といった大義名分(正義)を掲げた「善人」による粛清は、罪悪感がないため際限なくエスカレートする。
・仏教でいう「無知(無明)」の罪であり、「自分たちは正しいことをしている」という自覚なき暴走こそが、歴史上最も悲惨な大虐殺を引き起こしてきた。
■4. 日本の「和」の形成
・日本は「海」という絶妙な障壁に守られ、外敵の侵略を防ぎつつ適度な交流を保てた。
・この地理的条件により、「和を以て尊しとなす」他者寛容型の民族性が育まれた。
【パート2:読者による考察(本書を踏まえた疑問と発展)】
■1. 日本の「和」が持つ光と影(二面性)の検証
・光(対内的な調和):大陸のように王朝が変わるたびに前王朝の人間を根絶やし(族滅)にするような大量粛清を、自国民同士で繰り返してこなかった点では寛容と言える。
・影(対外的な過激化):一方で、豊臣秀吉の「朝鮮出兵」や「太平洋戦争(大東亜共栄圏)」のように、日本が外部へ侵略・搾取を行った歴史も存在する。
■2. なぜ「和」を重んじる国が外部へ過激化したのか?
(1)国内の「和」を保つための外圧排出:秀吉の朝鮮出兵のように、国内で溢れた武力の関心を外へ向け、国内の分裂(和の崩壊)を防ぐために外征が使われた側面がある。
(2)「空気」という同調圧力:日本の「和」は時に「異論を許さない空気」と化す。一度国家や軍の方向性が決まると、誰も反対できずに暴走する(太平洋戦争期の「アジア解放」という大義名分を信じ込んだ暴走)。
■3. 考察のまとめ
・著者の言う「日本の寛容性」は、大陸国家のような「日常的な大規模粛清の有無」という相対的比較においては納得できる。
・しかし同時に、日本における「和」の同調圧力がひとたび「外」に向けられたとき、自らを正義と信じ込んだ冷酷な過激化を生み出してきた。この点においても、本書が提示する「大義名分による善人の暴走」という構造から日本も例外ではないことが考えられる。
【パート3:全体の総評】
・現代の地政学リスクを解読する鍵:なぜ特定の国々が現代においても排他的・強権的な振る舞いをするのか、その行動原理が「変わらない民族性」という軸からクリアに見えてくる。
・「正義」に対する強い警戒心:現代のSNS社会や国際政治においても、「自分が絶対的な正義であり、相手は悪だ」と信じ込んだ瞬間に、人は最も残酷になれる。
・著者の鋭い歴史分析をベースにしつつ、自分自身の疑問(日本の対外戦争など)と照らし合わせることで、人間の持つ「無知の罪」と「正義の暴走」についてより深く客観視できる、非常に知的な刺激に満ちた一冊である。 -
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ルールの転換点から未来を読み解く
本書は、世界史を単なる出来事の羅列や暗記の対象としてではなく、既存のパワーバランスを根底から覆す「ゲームチェンジ」の連続として捉え直す一冊である。過去の歴史を分析することで、現代という「ゲームチェンジの真っ只中」をどう生き抜くかという示唆を与えてくれる。
■ゲームチェンジを規定する「法則」
著者は、歴史を動かすゲームチェンジには共通のパターンがあると説く。その核心は、単なる「発明」にとどまらず、それが**「普及・活用」**される段階で社会構造が劇的に変化する点にある。 具体的には、以下の要素が複雑に絡み合うことでルールは書き換えられる。
• 技術革新と低コスト化: 優れた技術が一般に普及する価格帯まで下落すること。
• 情報の流通とネットワーク効果: 普及がさらなる普及を呼び、後戻りできない状態(不可逆性)を作ること。
■「発明者」と「普及者」の乖離:活版印刷の教訓
本書で分かりやすく示されているのが、活版印刷の例だ。 活版印刷の技術自体は中国で発明されたが、文字数が膨大な漢字文化圏では普及に限界があった。一方で、文字数が少ないアルファベットを用いる欧米は、この技術を爆発的に普及させる土壌があった。 この「普及」が、当時知識を独占していたカトリック教会の権威を失墜させ、平民に知識を解放した。結果としてルネサンスや宗教改革へと繋がり、中世の暗黒時代を終わらせるゲームチェンジとなった。歴史の勝者は必ずしも「発明者」ではなく、その技術を「活用・普及」させた者であるという事実は重い。
■現代のゲームチェンジ:生成AIとグローバリズムの行方
現代において、この法則を当てはめるべき対象は「生成AI」と「グローバリズム」だろう。 生成AIは米国で発明され、現在はGAFAを中心とした覇権争いとともに世界的な「普及」のフェーズにある。この変化が社会をどう変え、どの時点で「後戻りできない」一線を越えるのか、私たちはその過程を目撃している。
また、著者は「歴史の流れに逆らう者は、例外なく滅ぼされる。」と断言している。 例えば、個人が情報発信力を持つ現代の潮流に反し、情報統制を強める体制は、長期的には歴史の必然に敗北するという見立てだ。 ここで考えさせられるのがグローバリズムである。これまで市場拡大と成長をもたらしてきたこの潮流も、一部の恩恵を受ける層と、取り残された層(米国の製造業従事者など)の乖離を生んだ。結果としてトランプ政権に象徴される「孤立主義・内向きの姿勢」が台頭しているが、もしグローバリズムが不可逆なゲームチェンジであるならば、現在の米国の動きは自国の首を絞める「逆行」になりかねない。
■総評
私たちは今、新しいルールの「発明」段階にいるのか、それとも「活用・普及」の段階にいるのか。それを正しく認識できなければ、知らぬ間に古いルールとともに退場させられることになる。 歴史の転換点を冷静に分析することで、現代の複雑な情勢を「自分で考える」ための視座を与えてくれる、非常に実利的な一冊である。 -
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おもしろかったー
表現がおもしろいね
032
西漸運動とモンロー主義
西漸運動というのは
「インディアンに対して、虐殺、殺戮、駆逐、の限りを尽くして、彼らの土地を奪いながら、国政として植民をすすめたもの」
036
キューバのハバナ湾に停泊していた米艦メイン号が、爆沈し、米兵266名が死亡
ホワイトハウスは証拠もなく「スペインの機雷攻撃」と決めつけ、マスコミを使って煽りまくる
リメンバー・メイン!
リメンバー・メイン!
「短い言葉繰り返し連呼させる」のは、無知な大衆を扇動するのに最も簡単で効果のある手段
扇動政治屋デマーゴスの常套手段
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「短い言葉繰り返し連呼させる」
リメンバー・パールハーバー!
リメンバー・パールハーバー!
Make America Great Again!
Make America Great Again!
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050
セオドア・ルーズベルトは、帝国主義外交の基本方針について「棍棒を担いで穏やかに語る」とヤクザ丸出しの発言を繰り返し
196
トランプの一貫した政策の根本は
アメリカ・ファースト
大型減税をかけたのも
パリ協定から離脱したのも
コロナ対策を軽視したのも
オバマ政権の「世界の警察をやめる」を継承したのも
すべては
Make America Great Againのため
好戦的な外交は、多くの敵を作り
金正恩との会談は結局なんの成果も生まず
大型減税は一時的な景気回復の効果はあったものの弊害として財政赤字を過去最大にまで膨らませて経済を傾かせ
コロナ対策軽視がコロナ蔓延を深刻化させて経済の冷え込みに拍車をかけた
公約「メキシコの壁」も中途半端に作っただけで完成させられず、費用をメキシコに出させることなど実現できるわけもなく
選挙中の数々の公約は何一つ大きな成果を生むことなく
失策、陰謀を指摘されれば「フェイクニュースだ」と喚き散らすだけ
215
衆愚政治の末路
トランプのしでかした議事堂襲撃事件を
ムッソリーニ、ヒトラーの政変になぞえましたが
彼らもまた国民からの熱烈な支持でのし上がってきた者たちです
1932年、ヒトラーに票を入れたドイツ人と同じ
しかし、4年の時を与えて何物もなし得なかった事実をもってしても、彼が単なるデマゴーゴスだということが見抜けず、さらに4年の時が経過しても、依然としてトランプ候補への支持は熱い
紀元前5世紀に、絶頂期を迎えたアテネにも酷似してる
50年期ペンテコンタエティアと呼ばれるアテネの繁栄は、扇動政治屋たちによって引っ掻き回されて衰亡の一途を辿ることになった
衰亡の只中にあっても、アテネ市民たちは、自分たちが熱烈に支持してるデマゴーゴスが、デマゴーゴスであることを気づかず、
アテネ滅亡のその日まで、熱烈に支持し続けた
これぞ、衆愚政治オクロクラティアの末路!
歴史は繰り返す
今の合衆国も、典型的な衆愚政治に落ちぶれて、いよいよ、衰退期に入ったようです。 -
Posted by ブクログ
・世界の歴史または人間の歴史における、いくつかの重要な発火の話し。
・何かが起きた時に、何が「新」で何が「旧」か、その仕分けを必ずする。ヒントは、ゲームチェンジは辺境から起きる。
・一神教は、アメンホテプ4世の神官との権力闘争から生まれた世俗的な人工物。それが、今日の異教徒への対立を生んでいる。
・冊子は欧州言語が横書きだからできた。中国のように縦書きだったら、ページの概念が生まれず、全ての書物は巻物だったかもしれない。そうするとパラパラマンガは生まれなかった。
・絶対王政は、封建制度から国民国家への移行の過渡期の形態。
・覇道から王道になるにはあとどれくらいの年数を待てばいいのか。ロシア、北朝鮮、中国、アメリカ。まだまだ時間はかかりそう。 -
Posted by ブクログ
本書を通じて最も出てきた人物は韓信だったが、その才を見抜く簫何。 1人だけの成功なんてありえない。誰かメンター、支える人、才能を見出す人など他の手の協力を得て開花するものである。
目的のための手段のはずが、時に目の前のことに追われたり夢中になるうちに長期的目線を失い、手段の遂行が目的にすり替わってることが多い。冷血な宰相ビスマルクは、ザ・頭のキレる、先見の明がある人という感じ。
日本でホトトギスの句がよく詠まれ、資料集や教科書の雰囲気も加味して豊臣秀吉がよいと思っていたが、かっこよくなかったんだ‥とプチ衝撃。
劉備の項で心に残ったのが、(継続は天才に勝る。なりふり構うな手段は選べ。逆境と飛躍は表裏一体。強固に見える壁も意外に脆いので、心のリミッターを外し、開き直るということ。)
賈詡は妬みや嫉妬は諸刃の剣であると理解し、才をひけらかさなかったが、戦の時代にも存在していたのが不思議。
劉邦の「与えよ、さらば与えられん。」功に基づいて惜しみなく与えることで集まる。種を蒔くことで人望も得ることができる。
学びで思わざれ場即ちくらし。知識を得たことで満足するものは多いが、実践の裏打ちなき知識など無意味である。「論語読みの論語知らず」読書ももちろん読んだほうがいいが、特に自己啓発本などは実生活をの中で如何に活用していくか。
読んだ後をスタートラインとして、「歴史を糧として成功法則を会得する」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ私大文系に特化するカリキュラムが用意された高校に通い、楽をしたばっかりに世界史を勉強しないまま高校を卒業し、これまで相当後悔してきました。この本の購入もそうしたことが起因しています。
その観点から言うと、この本は世界史を概観する上で非常に有用な本であると感じました。
というのも、先ずもって分かりやすい。微に入り細を穿つようなテキストではなく、覇権の流れを端緒から終焉まで見届け、そこに見出されるパターンを確認する形を各章とっているため。その意味では、世界史の初学者のみならず、既修者が頭の整理のために読んでも役に立つのではと感じました。
また、最終章の米国についての記述も非常に印象的でした。モンロー主義を打ち捨てた後の数々の「挑発」「因縁」「誘導」「捏造」は他に多くの書籍で語られているところではありますが、つくづく米国とは恐ろしい国だと感じずにはいられません。それでも米国ファンが消えないのはマスコミの力でしょうか。
こうした覇権争いとその栄枯盛衰を横目に、日本はどう対処すればよいのかという疑問は容易に思いつくところです。
筆者の意見は非常に明快で「けっして頂点に立たない」(P.350)こと、としています。
栄えるから衰えるとすれば、程ほどの成功で我慢しておけば下落もそもまで急にならない、という事なのでしょう。いみじくもかつて某政治家が官庁の事業仕分けの時に「2番じゃいけないんですか?2番じゃ?」と怪気炎をあげていましたが、まさに2番でいいんだ、という答えになります。この結論は個人的には非常に感銘を受けました。
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まとめますと、非常にわかりやすい世界史読み物だと思います。私のような世界史初学者にはもちろんのこと、政治や外交を学びたい方にとっても世界のパワーバランスのうねりを理解する上で有用な書籍だと感じました。 -
Posted by ブクログ
監修の神野正史(1965年~)氏は、立命館大文学部卒、河合塾(名古屋地区)の世界史講師。インターネット予備校の『世界史ドットコム』を主宰するほか、様々な予備校、メディア等で講師・顧問を務めている。著書も多数。
本書は、題名の通り、世界で、歴史の一時期に隆盛を極めた都市或いは現在の大都市30について、栄えた年代順に、それぞれの辿った歴史を10ページ程度でまとめたものである。
取り上げられている都市は、(地域別にすると)以下の通り。
<東・中央アジア> 長安、京都、サマルカンド、北京、上海
<東南・南アジア> アンコール、マラッカ、デリー、シンガポール
<中東・アフリカ> バビロン、エルサレム、アレクサンドリア、バグダード、チュニス、イスファハーン、ドバイ
<ヨーロッパ> アテネ、ローマ、コンスタンティノープル、モスクワ、ヴェネツィア、サンクトペテルブルク、パリ、アムステルダム、ロンドン、ウィーン
<南北アメリカ> テオティワカン、ニューヨーク、リオデジャネイロ
<オセアニア> シドニー
私は公私含めて世界の各地を訪れる機会が比較的多く、それぞれの都市の見所に留まらず、その歴史も知っておきたいと思い本書を手に取ったのだが、これまでに訪問・駐在したことのある14の都市については新たな発見があったし(訪問前に読めていれば、また違った角度で滞在を味わえたと思う)、今後、そのほかの都市を訪問する機会があれば、事前に本書を読み返すことによって、多様な視点でその街を見ることができると思う。
読み物としてだけではなく、観光ガイドブックを補うという観点からも有用な一冊である。
(2020年12月了) -
Posted by ブクログ
「30の歴史シリーズ」4冊目です。
このシリーズで初めて世界史を読んでみましたが、これもまた面白い。現代まで大都市として繁栄している都市もあれば、そうでない都市もある。世界史という舞台になると、様々な民族や宗教などが関連し合い、より複雑になってきています。その分、日本史と比較すると、歴史の流れや地理的な感覚が分からなくなってきます。この本を理解するためには、世界地図と世界史の図表を隣に置きながら、世界史を振り返るつもりで読むことをおすすめします。
<目次>
バビロン 聖書にも名を残した古代の要衝
エルサレム 苦難の歴史が刻まれた聖地
アテネ 民主政が花開いた文化と学問の都市
アレクサンドリア ヘレニズム文化が生んだ学術の都
テオティワカン 今も多くの謎を残す「神々の集う場所」
ローマ 何度もよみがえった「永遠の都」
コンスタンティノープル 海峡に面したヨーロッパとアジアの結節点
長安 数多の王朝が興亡した永遠の都
バグダード イスラム帝国の最盛期を築いた「平安の都」
京都 日本の中心だった「1000年の都」
サマルカンド 東洋と西洋を結んだシルクロードの要衝
アンコール 壮麗な寺院が並ぶ密林に埋もれた都市群
チュニス 約3000年の歴史を持つ地中海の十字路
北京 地方都市から変貌した中華の中心地
マラッカ 世界遺産と生活が混在する古き港市
モスクワ 大森林に築かれた「第三のローマ」
イスファハーン 「世界の半分」と呼ばれた高原の古都
ヴェネツィア 貿易で地中海を席巻した「水の都」
デリー 多文化が混在する複雑な顔を持つ街
サンクトペテルブルク ロシア皇帝が西方に開いた窓口
パリ 世界に開かれたフランス文化の発信地
アムステルダム プロテスタント商人が形づくった貿易都市
ロンドン 19世紀に「世界の中心」となった都
ニューヨーク 超大国アメリカを象徴するメガシティ
ウィーン ハプスブルク家が築いた「音楽の都」
リオデジャネイロ 熱帯の美港に築かれたニュータウン
シドニー リアス式海岸に築かれた港湾都市
シンガポール アジア有数の経済力を誇る都市国家
上海 経済発展の旗印として急成長した港湾都市
ドバイ 砂漠地帯に出現した近未来都市