つづ井さんは、推しの身長を壁にマステで印を付けて想像してはもだえたり、部活系の漫画のキャラたちに手作りのマネージャーの気持ちでお守りを作ったり、いつも推しのことを考えて全力でオタクライフを満喫している。
そして常にあらゆることに感謝している。電車の中で本(同人誌)を買い込みすぎて重くなったリュックを背負いながら、〝幸せの重み〟を感じ始めてから頭の中で、本から次第に「木に一手間加わって本になる…」と木を尊敬し、最後は「自然に生かされてる…」で終わる。宇宙にも感謝している。
こんなふうにつづ井さんを見てると、推しがいると人生がこんなにすばらしくなるのか…とすごく羨ましくなる。
特に羨ましいと思うのは、友人との関係。妄想の中でできたマネージャーのお守りも、友人のオカザキさんと一緒に作ってる。なんなら誘ったつづ井さんよりもオカザキさんのほうが、フェルトの色探しに店を3軒回るほどの本気度。そしてマネージャーの先輩後輩の設定で、受け取ってもらえるか心配したりしながら同じ次元に生きてる感を感じながら5時間かけて完成させる。
そんなオカザキさんとのエピソードで好きなやり取りをもう一つ。
並んで2人で漫画を読んでいる途中、「将来のことを考えなければこんなに楽しいことはない」というつづ井さんが以前発言した言葉をオカザキさんが思い出す。でもつづ井さんはオカザキさんが言ったような気がして、結局どっちが言った言葉なのか分からなくなってきて、正座して向かい合い直して考える。それでつづ井さんが立てた仮説が、2人は日頃からあまりにも言動や思考が重なり過ぎて、お互いどっちの言動だったか曖昧になることも多い。それは「アイクラウドみたいなもので脳内共有してるからではないか」と。たしかに、普段からものすごく互いの思考理解が早い。そして分かり合えることに互いに感謝しあっている。そこまでの理解者を得られた人生はさぞ豊かだろうと、良かったねえとしみじみする。
クリスマスに友人4人が集まって、それぞれの架空の彼氏がくれた本格的なプレゼントを自分で準備してくるという、かなり高度な妄想力やプレゼン力を要するイベントなどを開催しているが、この偉業をともに成せる仲間がいるという奇跡。心から羨ましい。
推しがいない人でも読みやすいし、オチがおもしろくてたまに声がもれてしまう。