ドン・ウィンズロウのレビュー一覧

  • ダ・フォース 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ”ネズミ”となり追い込まれて行く、主人公。
    ここから冒頭の牢屋のシーンに辿り着くのかと思いきや、話はドンドン加速していく。
    ”汚れた”代償として次々に命を狙われ、利用される主人公が周り全てを巻き込みながら疾走する熱いドラマは圧巻で、下巻は一気に読み終わる迫力だった。

    が、やはりいくら主人公の論理では正義であっても、既に一線を何歩も超えた正義は肯定できず、それが読後感に響いている。

    しかし、ドン・ウィンズロウの筆力は衰えるどころかますます熱くなってくる。「カルテル」以降、「報復」「失踪」と少し軽めだったがここに来て本領発揮。
    しかも「カルテル」の続編もあるらしい!

    何より、リドリー・スコッ

    0
    2018年11月17日
  • ダ・フォース 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    待ちに待ったドン・ウィンズロウの新作。
    しかも上下2巻の厚さ。

    今回は汚職刑事が主人公で、汚職故に留置されているところから物語が始まる。

    ・・・という事で、ここからいつもの作品と違う。
    正義を実行するための手段として”汚職”という世界に足を踏み入れた、という訳だけでもないし、ひたすら主人公の言い訳めいたモノローグが多く、今一つキャラに共感できない。

    しかも、まるでニューヨーク賛歌でもあるがごとく、街の裏表を含めた様々なエピソード紹介が多い。確かに興味深く読めるエピソードは多いし、作者の博識ぶりはよくわかるが、その分、物語のリズムがそがれ、名作「犬の力」や「カルテル」のような物語のダークな

    0
    2018年11月14日
  • ダ・フォース 下

    Posted by ブクログ

    なんとか現状から抜け出そうと、もがき続けるマローンに、更なる圧力をかける連邦検事とFBI。
    本来なら保護されなければならないマローンの供述調書が、何者かによってギャングに流され、四方八方から追い詰められる。

    上巻から続く緊張感に読んでいて脳が酸欠になりそう。
    行きつく先は見えているのだから、いっそひと思いにやってくれー!とマローンの代わり叫びたくなる。

    ベストな終わり方だったと思う。
    願わくば最後の会合に出席したすべてのメンバーが彼以上の苦しみを味わいますように・・・。
    そしてナスティ・アスが安らかに眠れますように。

    0
    2018年10月18日
  • ダ・フォース 上

    Posted by ブクログ

    麻薬に汚染された街、マンハッタン。
    ギャングと警察がイタチごっこを繰り返す。
    デニー・マローンは悪辣な刑事だと思う。
    でも悪辣な中にも彼なりの正義があると私は思っていた。
    その彼が仲間を売る『ネズミ』へと落ちていく。

    一つ階段を踏み外すと、そこから這い上がることは出来なくなってしまうのだろうか。
    正義を語るFBIも、連邦検事も、誰もかれもがマンハッタンの街のように汚染されている。

    読んでいて息苦しい。
    でも読むのをやめられない。
    これがドン・ウィンズロウなのか!

    0
    2018年10月18日
  • ダ・フォース 下

    Posted by ブクログ

    作者は警察関係者に綿密に取材しているようなので、本書の内容は相当程度現実を反映していると思われるが、正義というか治安維持を実現するために悪徳に手を染めなければならないというのが現実だとすれば、かなり絶望的状況ということになるが、多分にウィンズロウ的世界ということなのか。

    とはいえ人は絶望的な現実から目を背けつつ、一方で現実と折り合いを付けながら生きていくしかないのだが。

    0
    2018年09月18日
  • ダ・フォース 上

    Posted by ブクログ

    腐敗した敏腕刑事。

    そう言う主人公は数多あるが、これもその一つ。ちょっとしたことで歯車が狂い、敏腕刑事と言う立場から転落していく様が描かれていく。

    下巻では、どんな展開が待ち受けているのか。

    0
    2018年08月02日
  • 報復

    Posted by ブクログ

    いやもうすさまじい。「ストリートキッズ」のリリカルな世界から遠く離れて、これは「犬の力」をしのぐ血と暴力にまみれた物語だ。

    元デルタフォース隊員の主人公デイブは、飛行機事故で妻子を失う。それはイスラム過激派によるテロだったのだが、政府により隠蔽され「事故」とされる。そのことを知ったデイブは「世界最強の傭兵チーム」とともに、自らの手で報復する決意をする。

    と、こういう紹介を読んで、これって政治的な陰謀がどうとか利権がどうとか、そういう話なのか(あんまり好きじゃない)とちょっと思っていたのだけど、いやそっち方面にはまったく行かない。ほぼ全篇、デイブと仲間たちが、テロリストを追い標的を追い詰めて

    0
    2016年02月27日
  • 報復

    Posted by ブクログ

    久しぶりのドン・ウィンズロウの邦訳。珍しいミリタリー・サスペンス。2014年の作品らしい。ストーリーは極めて単純であり、タイトルと冒頭を読んだだけで結末が予想出来る。ウィンズロウの過去の作品のレベルからすると、中の上くらいの評価だろうか。

    元デルタフォース隊員のデイヴ・コリンズは航空機テロで妻子を失う。絶望の淵から蘇ったデイヴは憎きテロリストを葬るため、元兵士らを集め、自ら闘いの中に身を投じる。

    0
    2015年12月29日
  • 終の市

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ダニーの人生は終わった。
    もっと過酷な運命が待ち受けていると思ったが、最後は以外にも平穏な日々が待っていた。

    ロードアイランドで生まれ、逃亡し、西海岸で一旗上げて、ラスヴェガスで成功する。
    しかし、欲望と憶測とちょっとした偶然で抗争が始まる。
    最後、ダニーはラスヴェガスの利権を手放し、命をかけて復讐する。

    ダニーの物語は何だったんだろうか。
    アメリカの暗部をさらけ出し、移民、人種に通じた血を血で争う抗争を描きたかったのか。

    今までの作者の犯罪小説に比べたら、ライトでカジュアルだ。
    映画を見るようなスタイリッシュでクールな感じもする。

    作家として最後の最後まで、作品ごとのスタイルを模索し

    0
    2025年08月29日
  • 業火の市

    Posted by ブクログ

    登場人物が多すぎて訳が分からなくなりました、当然イタリア系かアイルランド系かもわかりませんでした。
    ただストーリーは分かりやすく一気に読み終わりました。

    0
    2025年03月21日
  • 報復

    Posted by ブクログ

    「悪の勝利に必要なのはただ……善人が何もしないことだ」(トルストイ『戦争と平和』)

    9.11とアル・カイーダ殲滅作戦のあとのアメリカに、旅客機が落ちる。
    テロであることをひたすら隠そうとする政府に対し、家族を失った元特殊戦闘員がプロの傭兵集団を使って独自にテロ組織を追い詰める。

    ウィンズロウには珍しく、王道の冒険小説だ。
    『ナヴァロンの要塞』など、個性的なメンバーを率いた戦闘物は、既にたくさんの作者に書かれている。

    それでも、
    「貪るように」、ドン・ウィンズロウの本を読む感覚は変わらない。
    やはり、「アベンジャーズ的」なものは考えて読んではいけない。

    これまでも、この後も、さまざまな小

    0
    2024年09月22日
  • 陽炎の市

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ロードアイランドから逃げてきたライアンたちが、カリフォルニアで人生を立て直す。
    しかし、簡単にはいかない。
    そこでスーパーウーマンであるダニーのママが一発逆転のお膳立てをする。

    原題は “City of dreams” 。ハリウッド進出まで果たしてしまうダニーたちに、いささか出来すぎた感は否めないが、そこは一作目とは対象的なダニーを描くことによってファミリーのリーダーとしての成長を描く。

    3作目はまた抗争劇に戻るのだろうか。
    今作でもダニーは人を殺さない。仲間から非難を浴びようが殺さない。なるべく。
    そして母は強い。ダニーの安全弁にもなっている。
    この2点が崩れることによってダニーに本当の

    0
    2024年05月11日
  • 報復

    Posted by ブクログ

    テロによって、妻子を失った男の復讐劇。

    その男が、元デルタフォース隊員というところと、一緒に戦う男たちが世界の各種特殊部隊出身の者たちというところがこの作品のみそ。

    とはいえね、細かいところの設定が、ご都合主義と言ってよいかな。もし仮にこれが映画になっていたら、ドンドンパチパチだけが目立つ、B級映画かもね。

    0
    2024年03月05日
  • 業火の市

    Posted by ブクログ

    ときどきやってくる「翻訳も読んでみよう」という気分から。
    初めての作家さんでした。
    なんと続くんですね。
    たくさん人物がでてくるので巻頭の人物一覧と相関図はありがたかったです。
    主人公が嫌いではなかったので次巻も読んでみたいと思います。

    0
    2022年12月18日
  • ダ・フォース 下

    Posted by ブクログ

    現在も深刻な麻薬問題を抱える米国の実態を凄まじい暴力の中に描いた一大叙事詩「犬の力」(2005)/「ザ・カルテル」(2015)/「ザ・ボーダー」(2019)。作家人生の集大成ともいうべき、この渾身の三部作によって、ウィンズロウは紛れもなく頂点に達した。アクチュアルでラディカル。麻薬に関わる者は全て死する運命にあるという暗鬱なる黙示録。現在進行形の鋭利な文体を駆使して生々しい諸悪を抉り出した現代ノワールの境地。どの作品もページを捲る手が白い粉と紅い血に染まっていくような錯覚に陥ったほどだ。現時点での最終作「ザ・ボーダー」に取り掛かる前に構想した本作は、馴染みの〝ウインズロウ節〟が炸裂する犯罪小説

    0
    2022年03月28日
  • 報復

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    簡単に言ってしまうと、テロ行為によって最愛の妻子を殺された男の復讐劇。目には眼を。
    その報復作戦を実行するために集められたプロの傭兵たち。さながら「特攻野郎Aチーム」か「オーシャンズ11」か。そこにはユーモアの欠片もないが。
    報復は正義なのか。
    どうしても、やはりこういった、やられたらやり返すという行為には、終わりのない不毛な戦いであるとしか思えない。

    0
    2022年01月26日
  • ザ・ボーダー 上

    Posted by ブクログ

    ドラマのグッドファイトなどで見られたような現トランプ政権へ直接的な中傷が多く時事的な政治色の強さが合わなかった。トランプ政権が終わった後だと楽しめたかもしれない。

    0
    2020年03月05日
  • ダ・フォース 下

    Posted by ブクログ

    ダーティーな刑事が、裏切者の枠の中でもがき踏み止まろうとするストーリー。ミステリ要素はほとんどない。彼らは汚職で手にした金で贅沢するのではなく、子供たちをいい大学に通わせるための資金にしようとするなど、あくまで目的は現実的。少し前に見た海外ドラマ『シェイズ・オブ・ブルー』を連想してしまう。下巻に入った辺りから徐々に歯車が動き出す。

    そこで描かれるのは、腐敗の底なし沼と圧倒的なリアリズム。マローンが目指すところは、ニューヨークの犯罪組織を根こそぎ撲滅することではなく、犯罪組織を管理し現状を維持すること。このスタンスに現場の警察官のハードさがよく表れているように、作者の刑事に対する共感や敬意が本

    0
    2018年05月13日
  • ダ・フォース 下

    Posted by ブクログ

    こういうのを力業って言うんだろうなあ。主人公は、賄賂を贈り受け取り、押収薬物をかすめ取り、私刑をためらわずに殺人まで犯す悪徳警官。おまけにこいつは街の「キング」を自認する、ヒーロー気取りが鼻について仕方がないヤツなのだ。まあウインズロウなので、お話は面白く、上巻は我慢してつきあってやるかという気持ちだったのだが、あーら不思議、下巻の途中からはいつのまにか、このマローンに肩入れしてハラハラしながら読んでいるではないか。

    およそ共感を呼ぶタイプとは言えないこういう主人公を造型し、最終的には感動的なラストへ持って行くというこの離れ業。ウインズロウの凄さをあらためて見せつけられた気がした。むせかえる

    0
    2018年05月12日
  • 報復

    Posted by ブクログ

    凄いよ。凄いけど…『ストリート・キッズ』『ボビーZ』『犬の力』ときてこれか!ドン・ウィンズロウ、一体どこへ向かってるんだろう…!?

    0
    2017年09月21日