ドン・ウィンズロウのレビュー一覧
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仲間を売ったネズミにまで堕ちたニューヨーク市警特捜部「ダ・フォース」のマローン刑事部長。ダーティなお巡りがどこまで堕ちていくのか、人は自分のためにどこまで他人を犠牲にできるのかが問われているかのようだ。
最初はマローンの意志だったかもしれない、それがいつの間にか自分では制御できなくなるまで深刻になる。悪いことはできないなあと思う反面、現場では綺麗事だけですまないことも事実。それは自分達の身の回りで起こっていることからも分かるだろう。マーロンは最終的に正義を貫いたと思う。彼なりの正義だけれども。
クライマックスは、そのまま映画の脚本になりそうで、カット割りやBGMまで聞こえそうなくらい芸術的 -
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ドン・ウィンズロウ『ダ・フォース 下』ハーパーBOOKS。
これは非常に面白い作品。
下巻。窮地に陥ったデニー・マローンの運命や如何に…破滅の結末は上巻の冒頭で既に見えているのだが、FBIのネズミに成り下がり、少しずつ泥濘に嵌まっていくデニー・マローンの物語から目を反らすことが出来ない。
通称『ダ・フォース』、麻薬や銃犯罪を取り締まるマンハッタン・ノース特捜部を率いるデニー・マローンだったが、FBIの汚職警官捜査の渦に巻き込まれ、踏み出すべきではない一歩を踏み出したことから破滅への道程が始まる…
正義の側にあるはずの警察の腐敗はギャングやマフィア以上に進んでいたという皮肉。金と権力が進 -
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ネタバレ「カルテル」を先に読んだけど、こちらの方が先に執筆されていたらしい。・・・なるほど。
妻子をテロで失った男性の復讐劇、と言えば凡庸に聞こえるがそこはドン・ウィンズロウ、あまたある同様の作品レベルを遥かに超えている。
傭兵部隊を組織しテロリストたちと戦う、という設定はアリステア・マクレーン(よりフレデリック・フォーサイス?)、ウェットな主人公の心情描写はジャック・ヒギンズを思わせる部分もある。
しかし、歯切れよく展開される物語はまさしくウィンズロウ節炸裂。特にアクションシーン(冒頭の飛行機テロの描写の恐ろしさ!)はスローを交えたような演出が目に浮かぶようにリアルだし、何より現代の近接戦闘戦のリア -
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ドン・ウィンズロウの作品は久しぶりだ。ブーン・ダニエルズのシリーズとベンとチョンとOのトリオのシリーズ、トレヴェニアンの『シブミ』続編『サトリ』と、あちこちのヒーロー、ヒロインを追いかけたかと思うと、どうやらそこに落ち着く様子もなく、『フランキー・マシーンの冬』以来となる単発作品の本書を、ここで『失踪』とともに同時二作発売という鮮度で、しかも母国USでは未発表のまま、ドイツに続いて日本での翻訳先行で出版という奇抜さで、この作家の奇行とも取れる創作行動は世界を驚かせている。
そして単発ながら、どちらもこれまでにない類いの内容を伴い、ウィンズロウという作家の彷徨の途上にあるらしい彼なりの才気 -
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とある美女の登場で、イタリア系マフィアとアイルランド系マフィアの間に亀裂が入り、抗争に発展していく話。
三部作の一作目。
最初の方は進みが遅く感じられたりもしたけど、抗争がはじまってからは、誰が次に殺されるのか誰が裏切るのかなどの緊張感があり、先が気になって一気に読めた。
登場人物もみんな個性的でよかった。
解説によると、ギリシア神話のトロイア戦争をなぞっているらしい。
ギリシア神話についてはあまり知らないので、そちらも読んでみたくなった。
最後に二作目の『虚飾の市』の一部抜粋が載っているため、余計に先が気になる感じで終わっている。
続きも読みたいなぁ。 -
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「ゴッドファーザー」をジャンル分けしにくいように、この作品もジャンル分けしにくい。
NYの外れ、狭いエリアで共存していたアイルランド系ギャングとイタリア系ギャングの友情と反目、抗争を描いている。
そのきっかけが一人の女性から、というところが話のポイント。麻薬でも金でもない。そこが話のサイズを象徴しており、従来の「犬の力」などとは大きく違う。
長く共存していたことから、2代目達は小さい頃から一緒に育った仲間・知人で会ったにもかかわらず、やがてそれぞれのコミュニティに属するギャング(と言っても日本の小さな任侠ヤクザという感じ)になって、互いに望むことなく闘いに身を投じていくさまがリアルで、切な -
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「一本の通りを歩いているだけで五つの言語が聞こえ、六つの文化のにおいが漂い、七つの音楽が聞こえ、百もの人種とすれちがい、千もの物語が存在する。そのすべてがニューヨークだ。」
「そうしておまえは略奪者になった。純然たる犯罪者に。それでも自分は犯罪者じゃないと自分に言い聞かせた。奪う相手は銀行ではなく、ヤクの売人なんだから。ヤクを奪うのに人を殺したことはないんだから、と。」
上巻はニューヨーク、マンハッタン、その街、“City”の話。街の名所やそこにあるカルチャー、エピソード、ヒーロー刑事、あるいは貧富の差や人種差別、ドラッグ、そして警察、市政の汚職。綺麗な部分も汚れてみえる部分もどちらも詳細 -
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主人公ダニー・ライアンがラスヴェガスで実業家として成功した姿から最終章は始まる。
ラスヴェガスでカジノ事業を展開する実業家にマフィアの影は禁忌だが、ダニーがマフィア出身であることが色々なほころびから見えてくる。また、ライバルのホテル王ワインガードのマフィアとの関係も露になる。ライバル関係は抗争を呼び、ダニーの古くからの仲間や、ビジネスパートナーも犠牲になる。第2部の陽炎の市では、なりを潜めていた暴力要素が爆発だ。
最終章ではダニーの子供イアンが事業を引継ぎ、発展させている様子が描かれる。世代交代がマフィアとの関係をロンダリングしたかのようだ。
ラスヴェガスでのカジノビジネスの、公 -
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アメリカ東海岸の港湾都市を仕切るアイルランド系マフィアとイタリア系マフィアの対立を描いた小説で、3部作の第1作にあたる。作者のドン・ウインズロウが本シリーズをもって筆を絶つ宣言をしているので、心して読まねばと意気込むが、巻頭の登場人物一覧表と、人物相関図を見ると、憶えきれるかどうか不安が沸き起こる。
不安は杞憂に終わり、読み始めこそ相関図を確認するが、キャラクターが立っているので自然に全体が把握できる。アイルランド系マフィアの一人が主人公となり、悪徳FBI捜査官と組んだイタリア系マフィアに追われる形で、彼らのシマである東海岸の港湾都市を追われることになる顛末が魅力的に描かれている。いろい