ドン・ウィンズロウのレビュー一覧

  • ザ・ボーダー 下

    Posted by ブクログ

    犬の力から始まり「息子たち」世代の話になる麻薬戦争、三部作最後。
    このシリーズを読むとメキシコについて、麻薬戦争の現状について詳しく調べたくなる。
    少し調べただけでもこの小説に書かれていることは決して物語の中だけのことではないとわかる。
    ラストの見解についてはびっくり。

    0
    2020年01月11日
  • ザ・ボーダー 上

    Posted by ブクログ

    シリーズ3作目。読み応えがあり前作より読みやすく感じるが面白さは相変わらず。
    カランが出てきたあたりで三部作を最初からまた読み返したくなった。
    上巻最後に出てきたニコが今後どう関わっていくのか気になる。

    0
    2020年01月04日
  • ザ・ボーダー 下

    Posted by ブクログ

     小説に圧倒されるというのはどういうことを言うのだろう。かつてドストエフスキーやトルストイの大長編作品群にぼくは確実に圧倒された。加賀乙彦の『宣告』に圧倒された。五味川純平の『戦争と人間』全9巻に圧倒された。船戸与一の『猛き箱舟』に、高村薫の『マークスの山』に、ジェイムズ・エルロイのLA三部作『ブラックダリア』『LAコンフィデンシャル』『ホワイトジャズ』に圧倒された。劇画でいえば白戸三平の『カムイ伝』に圧倒された。手塚治虫の『火の鳥』に圧倒された。そういう圧倒的なパワーに打ち倒されるような感覚を失って久しい。敢えて言えばアンデシュ・ルースルンドの『熊と踊れ』二部作がその類いだったろうか。

     

    0
    2019年08月08日
  • ザ・ボーダー 上

    Posted by ブクログ

     小説に圧倒されるというのはどういうことを言うのだろう。かつてドストエフスキーやトルストイの大長編作品群にぼくは確実に圧倒された。加賀乙彦の『宣告』に圧倒された。五味川純平の『戦争と人間』全9巻に圧倒された。船戸与一の『猛き箱舟』に、高村薫の『マークスの山』に、ジェイムズ・エルロイのLA三部作『ブラックダリア』『LAコンフィデンシャル』『ホワイトジャズ』に圧倒された。劇画でいえば白戸三平の『カムイ伝』に圧倒された。手塚治虫の『火の鳥』に圧倒された。そういう圧倒的なパワーに打ち倒されるような感覚を失って久しい。敢えて言えばアンデシュ・ルースルンドの『熊と踊れ』二部作がその類いだったろうか。

     

    0
    2019年08月08日
  • ザ・ボーダー 下

    Posted by ブクログ

    『犬の力』、『ザ・カルテル』の続編。前2作と比べて激しい戦闘シーンが少なめの上巻。それでも駆け引きや計画を練るところなんかは緊張感がある。麻薬戦争の終わりが見えないアート・ケラーの日々。現場に戻りカルテルを潰そうとする計画。今作も群像劇でたくさんの人たちのことが語られる。それぞれの思惑、欲がよりわかる。静かななかにも張り詰めたものがあり徐々に膨れ上がっていく。そして下巻に入り物語は加速していく。麻薬を通してアメリカの暗部がこれでもかと描かれ権力のために麻薬を利用し金を得ようとする。ケラー対アメリカのような構図。一人の人間が麻薬に溺れていくさま、悪に染まっていくさまには絶望を感じる。ラスト近くに

    0
    2019年08月01日
  • ザ・ボーダー 下

    Posted by ブクログ

    ドン・ウィンズロウ『ザ・ボーダー 下』ハーパーBOOKS。

    『犬の力』『ザ・カルテル』に続くシリーズ第3弾。完結編に相応しく、上下巻で1,500ページを超える超大作。読み応えが充分過ぎるほどある。

    壮絶、凄惨極まるメキシコの麻薬戦争はアメリカ国内へも連鎖する。このメキシコ麻薬戦争三部作を読むと、メキシコに対するイメージが大きく変わってしまう。また、アメリカがメキシコとの国境に壁を作ったのは麻薬の流入防止が理由の一つであろうとも考えたりする。

    腐敗したアメリカ政財界とメキシコの麻薬カルテルとが結び付き、アート・ケラーの命を賭けた麻薬カルテル撲滅の闘いは無駄となる。アメリカからの麻薬資金の流

    0
    2019年07月24日
  • ザ・ボーダー 上

    Posted by ブクログ

    ドン・ウィンズロウ『ザ・ボーダー 上』ハーパーBOOKS。

    『犬の力』『ザ・カルテル』に続くシリーズ第3弾。完結編。 上下巻で1,500ページを超える超大作。

    まるでノンフィクションのような麻薬戦争の実態。面白い。冒頭から麻薬の利権を巡る血煙と硝煙が漂う暴力と殺戮の世界が描かれる。人間の欲望は果てしなく、留まるところを知らない快楽への欲求が愚かな人間たちを麻薬の世界へと向かわせるのだろう。

    メキシコの麻薬戦争はアート・ケラーが望む結果とはならず、アメリカへのヘロインの流入は止まらない。麻薬の利権を巡り、次々と新たな麻薬カルテルの支配者が生まれていく。麻薬取締局の局長に就任したアート・ケラ

    0
    2019年07月22日
  • ダ・フォース 上

    Posted by ブクログ

    圧倒的な迫力の警察小説だ。あくまで現場にこだわり、汚辱にまみれながらも理想を目指す主人公デニー・マローンの生きざまは強烈だ。

    0
    2019年05月12日
  • ダ・フォース 下

    Posted by ブクログ

    重厚が半端ない上巻に比べ下巻は、マローンの進退がきになってほぼ一気読み。
    ニュヨークを愛し警官という仕事を愛し、一緒に働く仲間を家族を愛している、悪徳ヒーロー警官マローン。
    綺麗事では済まさせない腐敗しきった現実を生き抜く汚職警官マローン。巷には正義など何処にも無く、誰もが権力や富を欲しがり、そして悪に落ち犯罪に手を染める。それでも…人種差別、ドラック、銃、ドアの向こうには死が待っているかもしれない町で、身体を張り住民を守る警察官一人一人への敬意が感じられる。

    0
    2019年01月02日
  • ダ・フォース 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    汚職警官の自滅していく過程かと思いきや……最後まで目が離せなくなりました。
    汚れながらも街を守る警察官への敬意が、この作品を単なるクライムノヴェルでない、奥の深いものにしています。
    もう、圧巻と言うしかない警察小説です。

    0
    2018年12月08日
  • ダ・フォース 下

    Posted by ブクログ

    汚れた刑事の落ち着く先は、一つですね。

    汚れきったとは言えども、どこかに刑事と言う意識はあるし、かといって、以前の様な汚れていない刑事でもなく見方も居ない。結果については、因果応報と言う言葉だけで語るのも、面白くない気がします。

    いやぁ、それでも、汚れた警官って、西部劇の話かと思っていましたが、今でも小説になるほど居るのか・・・。って言うか、日本でもいるかもしれないので、あまり他人の事は言えないか。

    0
    2018年08月05日
  • ダ・フォース 下

    Posted by ブクログ

    仲間を売ったネズミにまで堕ちたニューヨーク市警特捜部「ダ・フォース」のマローン刑事部長。ダーティなお巡りがどこまで堕ちていくのか、人は自分のためにどこまで他人を犠牲にできるのかが問われているかのようだ。

    最初はマローンの意志だったかもしれない、それがいつの間にか自分では制御できなくなるまで深刻になる。悪いことはできないなあと思う反面、現場では綺麗事だけですまないことも事実。それは自分達の身の回りで起こっていることからも分かるだろう。マーロンは最終的に正義を貫いたと思う。彼なりの正義だけれども。

    クライマックスは、そのまま映画の脚本になりそうで、カット割りやBGMまで聞こえそうなくらい芸術的

    0
    2018年07月18日
  • ダ・フォース 上

    Posted by ブクログ

    ニューヨーク市警特捜部のマローン部長刑事。NYの治安を守るために日々の仕事に邁進する。全体的には正義のヒーローなのだが、その裏では事件現場の麻薬や現金を盗んだり、マフィアとつながっていたり、悪いこともしている。それが当然であるかのように...。

    そんなマローンが罠に嵌められる。上巻は罠に嵌まったマローンが、ダークサイドの入口まで堕ちていくところまで。大きな犯罪を取り締まるための小さな犯罪は見逃してもいいのかといった倫理的なものを読者にも考えさせられる。単純に主人公のマローンに共感してよいのか迷いながら下巻に続く。

    0
    2018年07月17日
  • ダ・フォース 下

    Posted by ブクログ

    ドン・ウィンズロウ『ダ・フォース 下』ハーパーBOOKS。

    これは非常に面白い作品。

    下巻。窮地に陥ったデニー・マローンの運命や如何に…破滅の結末は上巻の冒頭で既に見えているのだが、FBIのネズミに成り下がり、少しずつ泥濘に嵌まっていくデニー・マローンの物語から目を反らすことが出来ない。

    通称『ダ・フォース』、麻薬や銃犯罪を取り締まるマンハッタン・ノース特捜部を率いるデニー・マローンだったが、FBIの汚職警官捜査の渦に巻き込まれ、踏み出すべきではない一歩を踏み出したことから破滅への道程が始まる…

    正義の側にあるはずの警察の腐敗はギャングやマフィア以上に進んでいたという皮肉。金と権力が進

    0
    2018年04月21日
  • ダ・フォース 上

    Posted by ブクログ

    ドン・ウィンズロウ『ダ・フォース 上』ハーパーBOOKS。

    珍しくハーパーBOOKSから刊行されたドン・ウィンズロウ作品。まだ上巻の物語のほんの入口だと言うのに非常に面白い。

    通称『ダ・フォース』、麻薬や銃犯罪を取り締まるマンハッタン・ノース特捜部を率いるデニー・マローンを主人公にした驚愕の警察小説。マローンら『ダ・フォース』の面々は賄賂に収賄、麻薬の横取りと警察にあるまじき悪行の限りを尽くすが…

    流石、ウィンズロウというべき大興奮の圧倒的傑作!

    0
    2018年04月18日
  • ダ・フォース 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    自業自得と言ってしまえばそうなのだけれど、それだけではない物語がここにはある。ニューヨークという街を守るために現場に出て活動する刑事たちの危険で命がけの毎日。失望、裏切り、怒り。その全てが降りかかった時のマローンの感情には圧倒され、自業自得とは思いつつ悲しくなり胸が詰まる。司法の腐敗への怒り。そして仲間、家族との別れ。命がけで街を市民を守ってきた男の誇り。何もかも失った男の叫び。圧巻の物語。

    0
    2018年04月12日
  • ダ・フォース 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ニューヨーク市警のなかで選び抜かれたチーム。そのなかで最も優秀な男デニー・マローン。ニューヨークを愛しニューヨークを守るためなら汚いことをやってでも守る。そんなヒーローがその座から転落していく。その終わりの始まりが描かれていく。マローンになにがあったのか。なぜ落ちていくはめになったのか。まだ物語は半分終わったところだけれど圧倒され傑作と言い切っていいほど。すごいすごい。

    0
    2018年04月09日
  • 報復

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「カルテル」を先に読んだけど、こちらの方が先に執筆されていたらしい。・・・なるほど。
    妻子をテロで失った男性の復讐劇、と言えば凡庸に聞こえるがそこはドン・ウィンズロウ、あまたある同様の作品レベルを遥かに超えている。
    傭兵部隊を組織しテロリストたちと戦う、という設定はアリステア・マクレーン(よりフレデリック・フォーサイス?)、ウェットな主人公の心情描写はジャック・ヒギンズを思わせる部分もある。
    しかし、歯切れよく展開される物語はまさしくウィンズロウ節炸裂。特にアクションシーン(冒頭の飛行機テロの描写の恐ろしさ!)はスローを交えたような演出が目に浮かぶようにリアルだし、何より現代の近接戦闘戦のリア

    0
    2016年09月16日
  • 報復

    Posted by ブクログ

     ドン・ウィンズロウの作品は久しぶりだ。ブーン・ダニエルズのシリーズとベンとチョンとOのトリオのシリーズ、トレヴェニアンの『シブミ』続編『サトリ』と、あちこちのヒーロー、ヒロインを追いかけたかと思うと、どうやらそこに落ち着く様子もなく、『フランキー・マシーンの冬』以来となる単発作品の本書を、ここで『失踪』とともに同時二作発売という鮮度で、しかも母国USでは未発表のまま、ドイツに続いて日本での翻訳先行で出版という奇抜さで、この作家の奇行とも取れる創作行動は世界を驚かせている。

     そして単発ながら、どちらもこれまでにない類いの内容を伴い、ウィンズロウという作家の彷徨の途上にあるらしい彼なりの才気

    0
    2016年03月03日
  • 業火の市

    Posted by ブクログ

    とある美女の登場で、イタリア系マフィアとアイルランド系マフィアの間に亀裂が入り、抗争に発展していく話。
    三部作の一作目。

    最初の方は進みが遅く感じられたりもしたけど、抗争がはじまってからは、誰が次に殺されるのか誰が裏切るのかなどの緊張感があり、先が気になって一気に読めた。
    登場人物もみんな個性的でよかった。
    解説によると、ギリシア神話のトロイア戦争をなぞっているらしい。
    ギリシア神話についてはあまり知らないので、そちらも読んでみたくなった。

    最後に二作目の『虚飾の市』の一部抜粋が載っているため、余計に先が気になる感じで終わっている。
    続きも読みたいなぁ。

    0
    2025年12月03日