ドン・ウィンズロウのレビュー一覧

  • 陽炎の市

    Posted by ブクログ

    ドン・ウィンズロウ『陽炎の市』ハーパーBOOKS。

    『業火の市』に続く、ダニー・ライアン三部作の第2弾。

    確か『業火の市』の巻末にはこの第2弾の冒頭が『虚飾の市』というタイトルで収録されていたが、『陽炎の市』というタイトルに変更されたようだ。

    ドン・ウィンズロウらしいハードでストレートなギャング小説。圧倒的な面白さ。

    一人の女性を巡るマフィア同士の抗争に巻き込まれたダニー・ライアンが仲間と共に自由を求め、逃亡し、家族のために全うな人生を送ろうともがき苦しむ。やっと掴んだと思った幸せな時は砂漠の陽炎の如く消えていくが、それでもダニーは諦めずに安息の時を追い求める。


    プロローグ。199

    0
    2023年07月05日
  • 壊れた世界の者たちよ

    Posted by ブクログ

    昨年の7月から、ドンウィンズロウの作品を、デビュー作の「ストリートキッズ」から執筆順に読み始めて、この作品までたどり着きました。これまでの作品の後日談(だけじゃ無いけど)がちりばめられていて、こういう読み方をして来て良かったとしみじみ思いました。ニールとブーンが、同じ作品で活躍するなんて、最高!その他のエピソードも、作者のアメリカの現状に対する憤りと国に対する愛情が溢れる名品ばかりでした。あと、3部作となる1シリーズで執筆は最後にするらしいですが、この中編集は一つの作者のけじめかな、と感想です。

    0
    2023年02月28日
  • ダ・フォース 下

    Posted by ブクログ

     夏休みは伊吹山2合目にある、ロッジ山へ。

     天気が悪く、外には出歩けなかったが、眼前に拡がる琵琶湖をテラスから眺め、終日本書を読んでいた。コーヒーを飲むこと、本を読むこと以外が無い、良い休日でした。

    0
    2022年08月21日
  • ダ・フォース 上

    Posted by ブクログ

     生産・流通を担っている麻薬カルテルを描いてきた著者が、一大市場であるニューヨークの麻薬市場を書いた作品が本書だ。麻薬を取り締まる警察官の活躍が描かれるが、蛇の道は蛇で、警察官の守る正義は一筋縄ではない。

     知らず知らずに正義を踏み外していく刑事たちは、なぜ踏みとどまれなかったのか。それは一歩一歩、少しづつ踏み外していったからだ。ただ、彼らの胸の内にあふれる正義感は熱くあふれている。

     冒頭で留置されている刑事が書かれ、過去にさかのぼり正義から逸脱していく様が語られる。終盤、伏線を回収するように逸脱の背景が書かれ、刑事たちの哀愁が立ち昇るように感じられる。

     市警察、市行政、連邦捜査局、

    0
    2022年08月21日
  • 業火の市

    Posted by ブクログ

     読後の興奮冷めやらず、すぐにレビューが書けないほど、この本のカオスにやられた。そしていつもながら、ウィンズロウの文章にやられた。ともかくキックの強い作品なのだ。いつも。キャラクターたちの運命が神の視点で書かれてゆく悲喜こもごもの人間絵図。愚かで、強欲で、弱くて、それでも必死に生きてゆき、時に美しく、明るく、悲しく、それぞれの生を楽しんでいながら、運命の残酷に翻弄されざるを得ない男たち、女たち。

     この初夏、この本の出る少し前の頃、大画面TVに新調した我が家で、ぼくはコーエン兄弟のTVドラマ『ファーゴ/FARGO』シリーズ4作に、遅まきながらはまっていた。ユーモアと残酷を取り混ぜながらの人間

    0
    2022年07月16日
  • ザ・ボーダー 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    主人公のケラー(麻薬取締局局長)がメキシコの麻薬撲滅のためにあらゆる手段を尽くす。ケラー自身がアダン・バレーラ(最大の麻薬カルテルの首領)殺害を告白したことで、最愛の妻マリーは離れていった。孤立無援の男は孤独を噛み締めながら、40年にも及んだ苦闘を振り返り、自問する。自分の周りでは何人も死んでいった。カルテルに関与することで殺害され、一般住民は薬物パンデミックで死亡する。これまでの麻薬対策によって何が変わったか?何も変わっていない。世界中の人々を苦しめる麻薬問題に大いなる一石を投じた本書の価値は高い。⑤↑

    0
    2022年07月05日
  • ザ・ボーダー 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    米国、メキシコ、グアテマラ、3か国を中心とした麻薬カルテル、密売、殺人。タイトルのボーダー(境界線)には色んな意味がある。麻薬の国境越え、人間が正常に保てるか、刑務所の外と内、生と死。メキシコの麻薬王アダン・バレーラの死によって麻薬戦争の終結をもたらすどころか、内部抗争が起こり混とんとする。それに巻き込まれる一般住民。壮絶な社会派ミステリーです。疲労感とともに人間の闇、麻薬の闇への疼痛を感じる。カルテルのボス・カーロ、麻薬取締官・ケラー、貧困少年・ニコ、どう関わってくるのか!後半の800ページが楽しみ。⑤

    0
    2022年06月30日
  • 業火の市

    Posted by ブクログ

    ドン・ウィンズロウ、これで絶筆って聞いて残念がってたけど本屋に行ってみればまさかの三部作!!
    これはどんどん分厚くなる予感!!
    一年おきくらいで出るのかな。
    待ち遠しいよ!!

    相変わらず主要な登場人物がバンバン死ぬのが非常にしびれますね!!
    パムは何かしら隠してるのかなと思ったけど単に美女なだけだったな笑

    さて続きはどうなるのやら。
    一気にイアンの話になったりして!!?

    0
    2022年06月12日
  • 業火の市

    Posted by ブクログ

    80年代のアメリカが舞台のギャング小説。アイルランド系マフィアの一員のダニー。冒頭はあまり不穏な空気もなくイタリア系マフィアともうまくやっているような日常が描かれているのだけれど、じわじわと緊張感が増していく。その感じが堪らない。そこから一線を越え報復がありまた復讐がありと止まらない。組織同士の抗争とその裏で起こるダニーの家族のこと。終盤は読んでいるのが苦しくなるほどの感情に襲われる。これが三部作の一作目ということでこの先が本当に楽しみなんだけど次作発売が一年後。

    0
    2022年06月05日
  • 業火の市

    Posted by ブクログ

    ドン・ウィンズロウ『業火の市』ハーパーBOOKS。

    新しい3部作の第1弾。

    ドン・ウィンズロウらしいハードでストレートなギャング小説という感じだ。角川文庫の『犬の力』とか『フランキー・マシーンの冬』に雰囲気は近いだろうか。まだ第1弾なので壮大な物語の発端に過ぎないのだろうが、大いに期待出来そうだ。

    1986年のアメリカ東海岸の通称ドッグタウンを仕切るアイルランド系マフィアのファミリーの中で、ダニーは昔からの仲間と共に平穏に暮らしていた。ダニーに不満があるとすれば、ファミリーのドンの娘と結婚しながら地位が上がらないことだった。

    ある日、ダニーが所属するファミリーの一員がイタリア系マフィア

    0
    2022年05月29日
  • ザ・ボーダー 下

    Posted by ブクログ

    15年かけてこの3部作を読み終えた。
    終盤の公聴会での長い証言は40年以上に及ぶ麻薬戦争の歴史だ。
    最高傑作と言っていい。
    連続ドラマになったら必ず見たい。

    0
    2021年11月05日
  • 壊れた世界の者たちよ

    Posted by ブクログ

    ドン・ウィンズロウ初の中編小説集は、読み応えがあった。中編になるとなおさら、
    巧妙なプロットとしゃれたセリフが目立つ。過去の長編の登場人物たちが顔を見せ、後日談が語られるのもうれしい。

    0
    2021年02月04日
  • 壊れた世界の者たちよ

    Posted by ブクログ

    6篇の珠玉の中篇。まさかこれだけの年月が経た後でニール・ケアリーに会えるなんて。ボビーZと再会できるとは。感涙の極み。生きていて良かった。本読みを続けていて良かった。至福の時間だった。
    どの作品もウィンズロウの世界。2020年のベストでありオールタイムベストです。

    0
    2021年01月07日
  • 壊れた世界の者たちよ

    Posted by ブクログ

    中編小説が6篇。
    どの話もそれぞれに面白く、ラストがどれも粋だ。
    そして常に自分の内なる善悪や正義を問われている気がする。

    0
    2020年12月27日
  • 壊れた世界の者たちよ

    Posted by ブクログ

    どれも面白かった。
    これがリアルなアメリカなのか。しみるなー。
    個人的にはサンディエゴ動物園が好きかな。

    0
    2020年11月12日
  • 壊れた世界の者たちよ

    Posted by ブクログ

    生を受けてから波に乗ってきた。そのことから学んだのは波はどこにも連れてってくれず、必ず本当の自分のところに戻ってくるということだ。

    0
    2020年09月21日
  • 壊れた世界の者たちよ

    Posted by ブクログ

    6編収録されている中編集。アメリカの問題、世界の問題を描いて怒りや悲しみとかたくさんの感情がある。なかなかどれが正しいとか決められないことも多くて、でも正しいことをやろうとした、やった人たちの想いが伝わってくる。これまでの作品に登場した人物たちも何人か出てくる作品があってそれも嬉しい。最近は大長編のような物が多かったけれど今回のような中編集も魅力的。6編それぞれ違った面白さがあってどの作品も読み応えは抜群。

    0
    2020年08月16日
  • 壊れた世界の者たちよ

    Posted by ブクログ

     分厚い熱気の塊のような長編小説を書き続ける日々の合間に、作家の中から零れ落ちそうになった別の物語たちを、この機会にきちんとした形で作品化させ、出版させるということになり、本書は登場したという。どこかで零れ落ちそうになっていたこれらの物語を今、6つの中編小説というかたちで読める幸せをぼくは感じる。

     それとともに本書はウィンズロウのこれまでの作品の総括であり集大成ででもあるように見受けられる。かつてのシリーズや単発作品の懐かしくも印象深い人物たちがそこかしこで、しかも今の年齢なりに成長したり歳を重ねたりして登場してくれるからだ。読者は作者の創造した魅力的なキャラクターたちにこの一冊を通じて再

    0
    2020年07月29日
  • 壊れた世界の者たちよ

    Posted by ブクログ

    ドン・ウィンズロウ『壊れた世界の者たちよ』ハーパーBOOKS。

    ドン・ウィンズロウの新作は、なんと700ページにも及ぶ大ボリュームの6編収録の中編集。

    ドン・ウィンズロウ作品の集大成とも言える、いずれも過去の傑作を彷彿とさせるような重厚で読み応えのある作品ばかりが収録されており、ウィンズロウのファンならば非常に大きな満足感が得られる。ファンでなくとも読んで損は無い。いや、絶対に読むべき作品だ。恐らく年末恒例の『このミス』の上位にランクインするのは間違いないだろう。

    『壊れた世界の者たちよ』。『ダ・フォース』のような血で血を洗う復讐劇を描いた重厚な暴力小説。ニューオリンズ市警のジミー・マク

    0
    2020年07月21日
  • ザ・ボーダー 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白い。最後の一章は本当に身につまされた。この闘いに終わりがあるのだろうか。
    ハーパーコリンズさん出来れば3巻にして紙質を少し良くして欲しかった。

    0
    2020年03月06日