ドン・ウィンズロウのレビュー一覧

  • ダ・フォース 下
    ダーティヒーローを書かせたら、
    この人の筆力に勝るものはないなぁ。

    裏切り者として追い込まれていく主人公。
    市警本部長、警部、判事、弁護士、そして市長。
    誰もが、金と保身のために他人を蹴落とす。
    ニューヨーク市警はカルテルだ、と言い切るマローン刑事部長。
    正義と悪は、人を裁く剣の表裏。
  • ザ・ボーダー 下
    ケラーの戦争が終わった。

    最後は合衆国大統領まで敵に回し、孤独になり、そして独白して終わる。

    良い小説を読むと、読後も予熱みたいなものが続くが、読み終わって一週間以上経つというのに、その熱が冷めない。

    正義とは何か?
    常にその問いを突きつけられているような気がしてならない。

    ケラーのように自...続きを読む
  • ザ・ボーダー 下
    麻薬戦争に絡む群像劇がくりひろげられ、これはあとこれくらいで収集するのだろうか?とおもいますが、見事に終わっています。
    ドラマ化の話しかあるようなので、楽しみです、
  • ザ・ボーダー 下
    まぁ、一応、“正義は勝った”感じにはなりますが、スカッとスッキリという感じでも無いですねぇ。最終的に、アート・ケラーは、自爆したわけでもありますから。

    劇中に出てくる、大統領がなんとも・・・。かの大統領にも、様々な疑惑があるので、この作品で描かれている事も、途中まで「マジか・・・」と思っていました...続きを読む
  • ザ・ボーダー 上
    多数の登場人物があり、それぞれの立場での視点で各種シーンが次々と描かれるので、シーンの切替わりが早く、最初は取っつき難い印象です。

    ですが、物語が進むにつれ、画が返れている内容は、徐々に重みを増やしていき、読み手のこちらは話に引き込まれていきます。

    某第45代アメリカ合衆国大統領みたいな登場人物...続きを読む
  • ダ・フォース 上
    ウインズロウらしい。まさに清濁併せ吞む?リアルティのある正義とはこういうものか。
    マローンが最後までカッコ良くいて欲しいけど・・
  • ザ・ボーダー 下
    『犬の力』は麻薬カルテルが第一世代から第二世代に引き継がれるまで。『ザ・カルテル』はその後日談で、前作のような二項対立ではなく、闘争劇を掘り下げる。そして完結編となる本作品は、第三世代が主役となる話ではあるが、領土の奪い合いに終始するわけではなく、第一世代と第三世代の対立の構図が重要な意味を持つ。そ...続きを読む
  • ダ・フォース 下
    等身大の登場人物たちが、正義の境界線を徐々に超え、戻れなくなる。

    俺たちはやってる。平和に貢献している。
    毎日命を張り、悪いやつらを刑務所に送り込んでいる。
    だから、多少のことは、少しぐらいの小遣い稼ぎぐらいはいいだろう。
    家族のためだから。

    一線を超えると次は正義ではなく家族のためになる。
    ...続きを読む
  • ダ・フォース 下
    ”ネズミ”となり追い込まれて行く、主人公。
    ここから冒頭の牢屋のシーンに辿り着くのかと思いきや、話はドンドン加速していく。
    ”汚れた”代償として次々に命を狙われ、利用される主人公が周り全てを巻き込みながら疾走する熱いドラマは圧巻で、下巻は一気に読み終わる迫力だった。

    が、やはりいくら主人公の論理で...続きを読む
  • ダ・フォース 上
    待ちに待ったドン・ウィンズロウの新作。
    しかも上下2巻の厚さ。

    今回は汚職刑事が主人公で、汚職故に留置されているところから物語が始まる。

    ・・・という事で、ここからいつもの作品と違う。
    正義を実行するための手段として”汚職”という世界に足を踏み入れた、という訳だけでもないし、ひたすら主人公の言い...続きを読む
  • ダ・フォース 下
    なんとか現状から抜け出そうと、もがき続けるマローンに、更なる圧力をかける連邦検事とFBI。
    本来なら保護されなければならないマローンの供述調書が、何者かによってギャングに流され、四方八方から追い詰められる。

    上巻から続く緊張感に読んでいて脳が酸欠になりそう。
    行きつく先は見えているのだから、いっそ...続きを読む
  • ダ・フォース 上
    麻薬に汚染された街、マンハッタン。
    ギャングと警察がイタチごっこを繰り返す。
    デニー・マローンは悪辣な刑事だと思う。
    でも悪辣な中にも彼なりの正義があると私は思っていた。
    その彼が仲間を売る『ネズミ』へと落ちていく。

    一つ階段を踏み外すと、そこから這い上がることは出来なくなってしまうのだろうか。
    ...続きを読む
  • ダ・フォース 下
    作者は警察関係者に綿密に取材しているようなので、本書の内容は相当程度現実を反映していると思われるが、正義というか治安維持を実現するために悪徳に手を染めなければならないというのが現実だとすれば、かなり絶望的状況ということになるが、多分にウィンズロウ的世界ということなのか。

    とはいえ人は絶望的な現実か...続きを読む
  • ダ・フォース 上
    腐敗した敏腕刑事。

    そう言う主人公は数多あるが、これもその一つ。ちょっとしたことで歯車が狂い、敏腕刑事と言う立場から転落していく様が描かれていく。

    下巻では、どんな展開が待ち受けているのか。
  • 報復
    いやもうすさまじい。「ストリートキッズ」のリリカルな世界から遠く離れて、これは「犬の力」をしのぐ血と暴力にまみれた物語だ。

    元デルタフォース隊員の主人公デイブは、飛行機事故で妻子を失う。それはイスラム過激派によるテロだったのだが、政府により隠蔽され「事故」とされる。そのことを知ったデイブは「世界最...続きを読む
  • 陽炎の市
    ロードアイランドから逃げてきたライアンたちが、カリフォルニアで人生を立て直す。
    しかし、簡単にはいかない。
    そこでスーパーウーマンであるダニーのママが一発逆転のお膳立てをする。

    原題は “City of dreams” 。ハリウッド進出まで果たしてしまうダニーたちに、いささか出来すぎた感は否めない...続きを読む
  • 報復
    テロによって、妻子を失った男の復讐劇。

    その男が、元デルタフォース隊員というところと、一緒に戦う男たちが世界の各種特殊部隊出身の者たちというところがこの作品のみそ。

    とはいえね、細かいところの設定が、ご都合主義と言ってよいかな。もし仮にこれが映画になっていたら、ドンドンパチパチだけが目立つ、B級...続きを読む
  • 業火の市
    ときどきやってくる「翻訳も読んでみよう」という気分から。
    初めての作家さんでした。
    なんと続くんですね。
    たくさん人物がでてくるので巻頭の人物一覧と相関図はありがたかったです。
    主人公が嫌いではなかったので次巻も読んでみたいと思います。
  • ダ・フォース 下
    現在も深刻な麻薬問題を抱える米国の実態を凄まじい暴力の中に描いた一大叙事詩「犬の力」(2005)/「ザ・カルテル」(2015)/「ザ・ボーダー」(2019)。作家人生の集大成ともいうべき、この渾身の三部作によって、ウィンズロウは紛れもなく頂点に達した。アクチュアルでラディカル。麻薬に関わる者は全て死...続きを読む
  • 報復
    簡単に言ってしまうと、テロ行為によって最愛の妻子を殺された男の復讐劇。目には眼を。
    その報復作戦を実行するために集められたプロの傭兵たち。さながら「特攻野郎Aチーム」か「オーシャンズ11」か。そこにはユーモアの欠片もないが。
    報復は正義なのか。
    どうしても、やはりこういった、やられたらやり返すという...続きを読む