ドン・ウィンズロウのレビュー一覧

  • ザ・ボーダー 上

    Posted by ブクログ

     平置きされているこの文庫本を手に取ると、どの本よりも厚い感触に、まず手が驚く。765ページだ。『犬の力』、『ザ・カルテル』に続くこの3部作は、ボリュームだけでも作者の執念を感じる。

     主人公は今や麻薬取締局DEAの局長になっており、上巻では彼の直接的な活躍より、麻薬を取り巻く周辺(すなわち主人公の人生なのだが)の人物を描いていく。
     麻薬カルテルの首領の首をすげ変えてもすぐに次の顔が現れるように、麻薬の売人から中毒者まで、次から次へと登場人物に不足はしない。また、登場人物にトランプ大統領のモデルが登場するように、この物語は現実社会に基づいている。作者の執念はジャーナリズムに根差していると強

    0
    2021年09月29日
  • ザ・ボーダー 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    米国の麻薬捜査官による執念の追跡の物語
    政治任用により高官となり、メキシコからの麻薬流入を食い止めるために囮捜査を指揮。米国大統領候補の娘婿の運用するファンドが、麻薬マネーを受け入れ、マネーロンダリングに手を貸しているとの情報が入る。
    政治的圧力を受ける中、追求しきれるか。
    同時並行で、ニカラグアから少年が脱出し、米国密入国を目指す。マフィアを逃れてきたものの、結局はその一味になってしまうのか。
    ドラマ仕立てで面白い。上下巻

    0
    2021年09月12日
  • ザ・ボーダー 下

    Posted by ブクログ

    終わった。膨大な3部作。ここに書かれていたのはメキシコの麻薬の歴史であり、アメリカの麻薬の歴史でもある。

    アメリカが買い続ける限り、メキシコのマフィアが儲かる。

    取締を強化すれば、価格が高騰して結局マフィアが儲かる。
    儲かるからマフィアはもっと儲けようとする。
    効率良く運べるように、もっと効き目の強い常習性の高い製品を開発する。
    設けは膨大でマフィアの規模は大きくなる。
    また、取締を強化する。
    ずっとそれの繰り返し。いたちごっこ。

    善と悪のボーダー、アメリカとメキシコのボーダー、主人公ケラーはそのボーダーのどちら側にも存在することで物語はついに完結する。


    この上下巻で、トリステーサの

    0
    2021年07月20日
  • ザ・ボーダー 上

    Posted by ブクログ

    前作で、悪の化身を倒した。しかし地獄は地獄のままで、いや悪化していく。
    実際のメキシコで発生した醜悪な事件が取り入れられており、人間の恐ろしさ、おぞましさが、これでもかと描かれている。


    1作めの「犬の力」で唯一の希望の光だった、あの二人が登場する。

    0
    2021年07月20日
  • ザ・ボーダー 上

    Posted by ブクログ

    やっと上巻を読破。次の下巻は文庫本なのに800ページ以上。このシリーズを最初から読んでいるがとにかく登場するメキシカンの名前が覚えられない。しかも3シリーズ上下巻ずつでどんどん登場人物が累積される。しかもあだ名も出てくるしなぜかファーストネーム、ファミリーネーム入り乱れ。でもなぜかこのメキシコ麻薬戦争に引き付けられる。

    0
    2021年07月20日
  • 壊れた世界の者たちよ

    Posted by ブクログ

    表題作『壊れた世界の者たちよ』は映画さながらの疾走感があり、刺激的なエンタメとしてぐんぐん読み進めてしまった。
    他の短編も、個人的に好きな伊坂幸太郎作品と通ずるような小洒落た表現やクールなキャラクターがとても魅力的でありながら、なおかつ現代アメリカ社会の闇をリアルに描き出しており、クライムサスペンスとしても社会派小説としても読み応えがある。
    とりわけ『ラスト・ライド』については別格。
    根強い国境問題/移民問題を鋭く抉り出しながら、その前線に立つ人々の感情と哀愁に心を揺さぶられ、読後しばらく動けなかった。
    ただのエンタメではない。

    0
    2021年05月24日
  • 壊れた世界の者たちよ

    Posted by ブクログ

    ドン・ウィンズロウは期待に応えてくれる。
    ・壊れた世界の者たちよ
    ・犯罪心得一の一(クライム101)
    ・サンディエゴ動物園
    ・サンセット
    ・パラダイス――ベンとチョンとOの幕間的冒険
    ・ラスト・ライド
    の中編6作。
    最期のラスト・ライドが良かったと思う。

    0
    2021年03月13日
  • ダ・フォース 上

    Posted by ブクログ

    ドン・ウィンズロウを初めて読みました。
    話の中に入るのに少し時間がかかってこのまま読み続けようかどうしようか考えたのですが、だんだんと話に引き込まれました。
    ただ、舞台がニューヨークだから?なのか、言葉遣いのひどさには閉口しました。
    久しぶりに長編の一気読みをしたような気がします。

    0
    2020年09月28日
  • 壊れた世界の者たちよ

    Posted by ブクログ

    犬の力から始まるメキシコ麻薬戦争3部作しか読んでないので、サンディエゴを舞台にした3作品は意外だったな。こういうゆったりとした作品もあったのか。。。
    解説を読むと関連作品が多くあるみたいなので少しずつ手を出してみよう。
    でも一番好きなのは表題作かな。もうめちゃくちゃなんだけど狂気に触れさせてくれる、ドン・ウィンズロウとして読みたかったものでもある。やはりこういうヒリヒリした感じを読みたいんだ!
    ダ・フォースも読もっと。

    0
    2020年09月21日
  • ダ・フォース 下

    Posted by ブクログ

    人種差別による暴動が小説の中で起こり、現実にアメリカで暴動が発生し、ちょっとこのシンクロ感は不思議な感じがした。
    報道されている内容に捕捉するようにこの小説の内容が思い浮かぶ。
    警察にも殉職者は多くいて、白人以外の人種もいて、街にはドラッグと銃があふれ。

    この物語からは、緊迫した世界でギリギリの精神状態のまま毎日をやりくりする人物が見事に描かれている。

    0
    2020年06月14日
  • ダ・フォース 上

    Posted by ブクログ

    最初はどんな物語かのみ込めなかった。警察対マフィア?ではなかった。汚職、正義、人種差別に王とネズミの話し。
    後半に向けて物語は急展開し、加速していく。

    0
    2020年06月14日
  • ザ・ボーダー 上

    Posted by ブクログ

    「犬の力」「カルテル」に続く3作目。最近は後から追加されて全3部作、という作品が多い・・・

    主人公ケラーが主人公なのは同じだが、前2作目とは趣が違う。今まではバレーラという強大な敵がいたわけだが、今回はバレーラ亡き後の跡目争いと乱立した組織同士の闘い、そしてDEAとの戦いとまさに三つ巴、四つ巴の闘いとなっていて、登場人物が今までにも増して多い。

    それぞれの視点で描かれるので話の展開も目まぐるしいため、今一つ感情移入しにくい。
    果たして後半、このドラッグウォーズはどんな展開に、そしてどんな決着を迎えるのか?

    0
    2020年02月12日
  • ダ・フォース 下

    Posted by ブクログ

    ダーティヒーローを書かせたら、
    この人の筆力に勝るものはないなぁ。

    裏切り者として追い込まれていく主人公。
    市警本部長、警部、判事、弁護士、そして市長。
    誰もが、金と保身のために他人を蹴落とす。
    ニューヨーク市警はカルテルだ、と言い切るマローン刑事部長。
    正義と悪は、人を裁く剣の表裏。

    0
    2020年02月12日
  • ザ・ボーダー 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ケラーの戦争が終わった。

    最後は合衆国大統領まで敵に回し、孤独になり、そして独白して終わる。

    良い小説を読むと、読後も予熱みたいなものが続くが、読み終わって一週間以上経つというのに、その熱が冷めない。

    正義とは何か?
    常にその問いを突きつけられているような気がしてならない。

    ケラーのように自らの正義を貫き通すことができるのか。
    それとも生きるため、正義に目をつぶるのか。
    人は人の弱みにつけ込み、ビジネスは弱い人を飲み込んでいく。
    現実はケラーのようには生きられない。
    命が大事だし、生きていくことに精一杯だからだ。

    だからケラーの生き方が物語になる。

    ラスト、ケラーに安息の地を用意し

    0
    2020年02月11日
  • ザ・ボーダー 下

    Posted by ブクログ

    麻薬戦争に絡む群像劇がくりひろげられ、これはあとこれくらいで収集するのだろうか?とおもいますが、見事に終わっています。
    ドラマ化の話しかあるようなので、楽しみです、

    0
    2020年01月16日
  • ザ・ボーダー 下

    Posted by ブクログ

    まぁ、一応、“正義は勝った”感じにはなりますが、スカッとスッキリという感じでも無いですねぇ。最終的に、アート・ケラーは、自爆したわけでもありますから。

    劇中に出てくる、大統領がなんとも・・・。かの大統領にも、様々な疑惑があるので、この作品で描かれている事も、途中まで「マジか・・・」と思っていました。モチーフ的には、ロシア疑惑だったみたいですが、これも無い事でも無いかな。

    『ザ・ボーダー』と言うタイトルですが、色んな意味がありますね。文字通りのボーダーであり、アート・ケラーのやっている事だったり、彼の立っている立場であったり。

    上巻は中々読みにくかったのですが、下巻に入ると面白くて一気に読

    0
    2019年12月23日
  • ザ・ボーダー 上

    Posted by ブクログ

    多数の登場人物があり、それぞれの立場での視点で各種シーンが次々と描かれるので、シーンの切替わりが早く、最初は取っつき難い印象です。

    ですが、物語が進むにつれ、画が返れている内容は、徐々に重みを増やしていき、読み手のこちらは話に引き込まれていきます。

    某第45代アメリカ合衆国大統領みたいな登場人物がいるような気がしますが、たぶん、気のせいだと思います。

    下巻で、どの様に話が進むのか期待です。たぶん、ハッピーエンディングじゃないんだろうなと思いながら。

    0
    2019年12月21日
  • ダ・フォース 上

    Posted by ブクログ

    ウインズロウらしい。まさに清濁併せ吞む?リアルティのある正義とはこういうものか。
    マローンが最後までカッコ良くいて欲しいけど・・

    0
    2019年09月18日
  • ザ・ボーダー 下

    Posted by ブクログ

    『犬の力』は麻薬カルテルが第一世代から第二世代に引き継がれるまで。『ザ・カルテル』はその後日談で、前作のような二項対立ではなく、闘争劇を掘り下げる。そして完結編となる本作品は、第三世代が主役となる話ではあるが、領土の奪い合いに終始するわけではなく、第一世代と第三世代の対立の構図が重要な意味を持つ。そこに闘いを挑むケラーはついにDEA長官となり、その権力をフルに発揮し、自己否定ともとれる大胆な作戦でアメリカ側からカルテルを追いつめていく。

    ストーリーは、メキシコ側とアメリカ側に分かれ、場面展開を繰り返しながら並走していく。ケラーが長官になったことで、政治的色合いの濃い完結編となったが、熾烈な

    0
    2019年09月15日
  • ダ・フォース 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    等身大の登場人物たちが、正義の境界線を徐々に超え、戻れなくなる。

    俺たちはやってる。平和に貢献している。
    毎日命を張り、悪いやつらを刑務所に送り込んでいる。
    だから、多少のことは、少しぐらいの小遣い稼ぎぐらいはいいだろう。
    家族のためだから。

    一線を超えると次は正義ではなく家族のためになる。
    そして元に戻れなくなり、何でもやるようになる。
    本来であれば正義のために行わなければならない行為も。。

    警官としてかっこよく生きたかったのに。
    正義のために命を張っているからこそ超えてしまう境界線。

    主人公デニーを通し人の弱さと正義について叙事詩のように歌い上げるウィンズロウの手腕に脱帽。

    0
    2019年03月09日