川口俊和のレビュー一覧
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心暖まる喫茶店の物語
明治に建てられた建物の地下にある「フニクリフニクラ」という喫茶店を舞台にした小説です。この喫茶店には、過去未来に行ける、すなわちタイムトラベルができる特別の座席があり、その座席を通じて4つの心暖まる物語が展開されます。小説はオムニバス形式と考えました。
第2話の「夫婦では、若年性アルツハイマーを患った夫とその妻の物語が中心です。夫の記憶障害が進行する中、妻は離婚を考えますが決断出来ません。妻は、夫の行きつけのこの喫茶店で、夫が妻宛に手紙を書いていたことを知らされた。そして特別な座席を利用して過去の戻り、夫が書いた手紙を読むことで夫の覚悟を知ります。その結果、妻は夫とともに病気を乗り越える決意 -
Posted by ブクログ
この作品では死について描かれている部分が多かった。でも、そのひとつ一つが温かくそして優しかった。「よく、あきらめないでがんばったわね。よくがんばった。魔法じゃないんだから、あの日私があなたに声をかけたからって現実が一変したわけじゃないでしょ?苦しい状況は何一つ変わらなかったじゃない?でも、未来に向かってがんばろうって幸せにならなきゃってがんばったから、今のあなたがあるんでしょ?」という言葉は特に好き。辛い時、悲しい時に手を差し伸べてくれる人、話を聴いてくれる人は私の周りにもたくさんいる。でも、それで辛い現実が変わるわけではない。それらの優しさを受けて自分で言動していくこと、あきらめないで向き合
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Posted by ブクログ
過去や未来に行ける不思議な喫茶店。そのルールはたくさんあるけれど、滞在時間のルールはコーヒーが冷めない間だけ。
背負いきれない後悔を前に進む力に変えるために、どんな想いを抱えてその短い時間に託そうとするんだろう。
人は皆んな自分勝手だから自分の望む結果を思い描くものだけど、そうならなかった現実があるからこそ未来に行く、過去に行くことを決断する。
私なら怖くてできないと思う。
変えられない現実はあっても、その事実を受け止めながらも自分は幸せだと感じる時間があって欲しい。
このシリーズはほんわかじんわり心に刺さります。
苦しい想いを抱えない人なんていないから、皆んなに幸せになってほしい。