工藤幸雄のレビュー一覧

  • ハザール事典[男性版]――夢の狩人たちの物語
    読むのに1ヶ月近くかかってしまいましたが,なんか,すごいものを読んでしまった.
    「事典」のタイトルの通り,五十音順で見出しが並べられているのだが,それぞれは幻想短編で,全部読むと全容がわかるという構成.しかも事典なので,各国版で並びが違うはずなのだが,それでも全体が一冊の書として成り立つ,という不思...続きを読む
  • ハザール事典[女性版]――夢の狩人たちの物語
    再読。一気読みするとミステリーとしての構造がはっきりと見え、初読時よりエンタメ小説らしく思えた。読み終えてからも各項目の読み直すのがまた楽しい。
    前回はあまりに東欧について無知だったが、マイリンクの『ゴーレム』やストーカー『ドラキュラ』の想像力が生まれてくる風土を頭に入れて読み返せば、惜しげも無く詰...続きを読む
  • 完全な真空
    レムの生誕100年の年だとのことなので、レム祭り再開。
    とはいうものの、レムを読むには知力、気力、体力が必要でお酒を飲みながら気楽に流して読むことはできないのです。仕事で疲弊していたころは気力がなくて読めなかった作品群も今ならば!と取り組んだ次第。いや〜、さすがレム。架空の本の批評を作ってそれをまと...続きを読む
  • 完全な真空
    やっと読み終わった…たいへんだった。
    「生の不可能性について/予知の不可能性について」のふざけぶりは印象的。
  • 完全な真空
     非常に新鮮な読書体験だった。周知の通り、本書は「存在しない本に対する書評集」という、一風変わった内容である。そのコンセプトに惹かれて手に取ったが、架空の書評というアイデアのみならず、一編一編の書評も読み物として大変興味深かった。物語を書くということに対して、「そういうアプローチがあったか!」と膝を...続きを読む
  • ハザール事典[男性版]――夢の狩人たちの物語
    一ヵ月ほどかけてじっくり読み切った。
    「石蹴り遊び」は子供の頃に読んだ本遊びだが、本書は事典の体裁。
    ただし単なる思い付きや目くらましではない。
    同じ唯一神を源流とする三つの宗教がいわば視点を成すので、並列することで大いなる相対主義を宣言するもの、
    といえば仰々しいが、対立を笑い飛ばしてしまえる機構...続きを読む
  • ハザール事典[女性版]――夢の狩人たちの物語
    これまでの読書体験とは一味違う新鮮な感動が味わえる。いくつものストーリーが複雑に絡み合っているので多方面から全体像を探る必要がある。これから読み返すたびに新たな発見がありそうで楽しみ。
  • ハザール事典[男性版]――夢の狩人たちの物語
    ハードカバーで女性版持ってるんだけど、何となく文庫も買ってしまった。今改めて読むと、これは電子書籍向きよね。ハイパーリンク貼りまくってたらナンボでも時間潰せる。それが原書刊行1984年ってなぁ、パヴィチスゴすぎるというか、パヴィチといいレムといい、東欧の突き抜け方ってなんだろうね。
  • 完全な真空
    短編集
    SFらしく、学者のこころに満ちている

    ● 「新しい宇宙創造説」

    “教養のある人ならばこの著作の題名くらいは知っているでしょうし、著者の名前も聞いたことくらいはあるでしょう。しかし、それだけのことです。
  • 完全な真空
    いやー、脳みそ疲れたー。(※鴨注:心地よい疲れヽ( ´ー`)ノ)
    「架空の書籍を対象とした書評集」という、何をどうしたらそんな発想が出るのかというぐらいメッタメタにメタな作品なわけですが、ボルヘスが先鞭を付けているそうですね。文学の世界は奥深いよ・・・。

    架空の書籍の構成を考え、さらにそれを評価す...続きを読む
  • 完全な真空
    文庫化されて飛びついた、
    架空の本の書評群という体裁のメタフィクション短編集
    『完全な真空』(1971年)。
    順序が逆で、後から刊行されていた《実在しない未来の本の序文集》
    『虚数』(1973年)を先に読んだので、
    多分ついていけるだろうと思って(笑)。
    収録は全16題。

    ■完全な真空
     ワルシャ...続きを読む