草野たきのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
誰にでも弱さがある
ソフトボール部のカズ。
ゆるーくゆるーく活動しているこの部活は、彼女たち部員にとっては憩いの場であり心の拠り所だった。
ハチミツドロップスとかつての先輩たちが名づけたように、甘い部分だけ。
しかしその甘い場所はカズの妹が入部したことで変わってしまうのだ。
そして、上手くいくはずだった彼氏との関係も変化する。
全然平気!問題なし!気にしてないし!
空元気だけが虚しく響く。
大人になってみれば、(自分を客観視してみれば)それは随分と馬鹿げていて、すぐに見破れる程度のものなのだ。
が、周りにそれを気づかせまいと必死になるのは痛々しいを通り越してけなげにすら見える。
もちろん自分でもわかっているのに、それを見ないフリをして毎日を過ごす。
そんな無理はいつかは壊れる。
それでもいいのだ。
周りはこんなにかっこいいのに、私はこんなにかっこわるい......それは自分だけではないのだ。
弱さを見つめ認めることで、少女は成長する。
いたずら電話のエピソードが置いてけぼりになってしまっているのは残念。
少女から成長した母もまた、カズと同じように自分に言い聞かせているのだ、ということを言わんとしているのだろうが、いたずら電話に対して母と父は打開策を見つけられるのだろうか?
三田村のことをバカだバカだといいながら、羨ましく、まぶしく感じているのは確かだ。
変に意地を張らずに、しかし自分の信念のままつき進む。
すてきじゃないか。
甘いドロップスはいつか消え、そして残るは......。
変わりゆく状況に立ちむかうには新しいドロップスを食べることではない。
強く見せかけた自分ではなく、弱いままの自分を受入れること、そんな思いがわいてくる作品だ。 -
Posted by ブクログ
亡くなった父の「遺志」を継ぐようにと、生まれたときから言い聞かされ続け、親戚の中での「末っ子」として、期待を裏切らないように生きてきた中2の明良。言われたとおりに父の得意だったバスケをやり、父のような医師になるために勉強してきたが、自分の本当にやりたいことに気づいてしまう。
自分のことでいっぱいいっぱいの少年の、思春期の葛藤が描かれている。自分だけが仮面をかぶってムリをしているつもりだった彼が、周囲の人たちの「素顔」に気づくようになる成長の様子が、ほほえましい。(当人にこんな言い方をすると怒られるだろうけど。) 母親のずるさは生きていくための知恵でもあるし。腹の据わり方は見事。 -
Posted by ブクログ
草野たきさんの作品はちょいちょい読んでます。
これも草野さんらしい作品でした。
なんか、ほとんどの主人公がひねくれてる気がします
性格が悪かったり、なんかとっつきにくかったり。。。
医者になれ、という遺言どおりに医者を目指す明良。
若くして夫を亡くし、良き妻であろうとする母。
家事をなんでもこなす兄、和也。
の、三人家族。そして絡んでくる親戚。
弱小バスケ部のキャプテンとして奮闘する明良だが、心の中ではよわっちい部員を、ださい仲間を嘲笑う明良。
そこでとてつもなくバスケのうまい小杉がやってきて、嬉々とする明良。コーチに小杉とともに見出され、ひいきされているのがうれしい。だけどそのうれしい気持ちを悟られたくなくて、ださい仲間である部員と一緒になって小杉を影で笑う明良。
そんななか兄ちゃんの悪事を隣のクラスのカワイイ女の子に目撃され、おばあちゃんから仰天告白され、家族崩壊、部員崩壊の危機!
だけど家族から優しい言葉をかけられ、ださい仲間は自分を待っていてくれている。女の子ともちょっとずついい感じになり、ハッピーエンド、って感じ。
性格わるいです明良くん。自分でも言ってたけどかなりの勘違いヤローです。 -
Posted by ブクログ
中2の男子バスケ部キャプテンの明良が主人公。 周囲の医者になれという期待を受け、いい息子、いいキャプテンを演じているが、女子から、兄が万引きをしていると聞かされてショックを受ける。部活の方も型破りな転校生が入部したことからギクシャクし始め、いろいろなことがうまくいかなくなってくる。 明良が尊敬していた兄、把握していると軽んじていた仲間は思っていたようではなかった。戸惑いと困惑、そして苛立ち。 そんな明良に変わるきっかけをくれたのは意外にも… 今回、さわやかな成長話で、ポプラ社の本らしいなぁという感じ。 でも、草野たきさん、やっぱり一度大人、せめて大学生主人公で読んでみたい。届かないかなぁ、この気持ち。
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Posted by ブクログ
******引用******
ふと思った。ヒトは好きな人のために何かしてあげたいと思う生き物だ。だから「求められているから、会いに行く」も「彼女のために付き合ってあげる」も決して間違ってはいない感情で愛情のはずなのに、こう文字にしてみるとそれがいかに恩着せがましく、本人の感情がそこにないかがあからさまになってしまうのだ。
(中略)
この物語の主人公、佳苗には「自分がない」のだ。あるのは「誰かに愛されたい」という淡い思いと、その餓えを凌ぐ為に必要なヒトたち。でも彼女はそれに気づいていない。なぜなら彼女にとって、一緒に過ごすヒトは親友であり、自分を必要とするヒトが親友になるからだ。
―― 『猫の名前 解説』(伊藤さとり) p.204,205