大隅良典のレビュー一覧

  • 基礎研究者 真理を探究する生き方

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    現代の科学者が直面してる問題、役に立つという利益性を求め、知的好奇心を満たすための学術研究が窮地に追いやられているという状況への痛烈な批判。永田先生の文章は言わずもがな、大隈先生の文章も読みやすくて引き込まれた。
    大隈先生の最後の章で日本は「科学技術」という言葉で代表されるように「科学」と「技術」を並列に扱ってしまい、科学を技術的な発明と同じように役立つことを求められてしまう。偉人の言葉を知っていれば日々の出来事の解釈に深みが出るようにある科学的知識を知っていれば日々の生活の見え方が変わってくるという科学の文化的側面を大事にしたい。いやー大当たりの新書。研究意欲が落ちてきたらまた読もう。

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    2025年11月03日
  • 「役に立たない」研究の未来

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    文系の存在意義を考えるために読んだ。理系の学問でも、研究資金獲得競争に邁進せざるを得ずに有用性という観点に合致する分野に研究領域が収束しているという指摘になるほどと思わされた。ノーベル賞受賞者の、「楽しいと思える研究をする研究者が増え、研究の多様性があることが大切」という言葉は「それって何の役に立つんですか?」という社会における日常的な問いかけを見直すという示唆を与えてくれる。科学史の専門家から提示された、貴族的な国家と民主主義国家での学問・芸術保護のスタンスの違いは斬新な視点であり、歴史上繰り返される衆愚政治や近代の大衆社会における孤独・閉塞感などの民主主義国家のマイナスな特質を考えさせられ

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    2025年06月10日
  • 基礎研究者 真理を探究する生き方

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    曖昧な理解でもやり過ごしてしまう人は、一旦この本の第2部だけでも読んで欲しい。

    3部構成で、第1部は筆者たちがひたすら基礎研究の魅力や何が楽しいか、どんな基礎研究をどう行なってきたか、など基礎研究についてとことん語る。もちろん基礎研究を知らない自分からしたら、ついていけない話題もあった。が筆者たちの楽しそうな語り口のおかげで、楽しく読めた。

    第2部以降は、自分自身胸にグサリと刺さる言葉が多く出てきた。

    役に立つかどうか、効率的かどうか、みたいな観点で現代は物事を判断しがち、と筆者は指摘する。
    また、インターネットも普及して、得たい情報がすぐに手に入ることから、知りたい、という欲求がすぐに

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    2024年11月24日
  • 基礎研究者 真理を探究する生き方

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    会社で研究に携わるとどうしても役に立つかどうかを考えてしまいます。自分の好奇心を大切にしたいと思いました。

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    2024年09月22日
  • 「役に立たない」研究の未来

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    ネタバレ

     「研究」に対して、役に立つ・立たない、といった場合、その話している人の頭の中がそれぞれ違うので、話自体が噛み合っていないことも多い。そんな中で、異なる分野の研究者、ここでは数理学、生物学(ノーベル賞の大隅先生!)、人文学の3名の研究者が講演後、座談会形式で課題と具体的な取り組みを話し合っている本。
     ナビゲーターは、研究者を応援するクラウドファンディングを経営しているとのこと。基礎研究は、選択と集中と相性が悪く、説明責任を果たす上でも相性が悪い。一方で、説明責任自体は、果たすべきだが、何を説明すべきか、まったく関心がない人にどのように説明するかの工夫や方向性をしっかり議論すべきというのは、と

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    2021年10月17日
  • 「役に立たない」研究の未来

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    人を動かす原動力はいろいろあると思うんですけど、研究については、「好奇心」とか「探求心・探究心」とか「興味・関心」であることが望ましいのだと思います。
    ただ、世界的に、また、とくに日本では、それらを支えられるだけの土壌や理解、文化が乏しくなってきているように思いますし、その状態を危惧しているのが、本書の関係者だと思います。

    一方で、その危惧を払拭するための動きがあるのも事実。
    たとえば、この本においてナビゲーターを務めている柴藤氏は、そのような動きを支えている人の一人。

    自分もいつかは、柴藤氏のような活動をしたいな、と思っていますので、そこに向けて、いろいろと作戦を考えていきたいと思います

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    2021年06月18日
  • 「役に立たない」研究の未来

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    3人の異なる分野の研究者が、それぞれ微妙に異なる立場から「役に立たない」研究について論じている。
    3人それぞれの講演等の中から印象に残ったことを書き記しておく。

    まず、理論物理学者の初田さんは、基礎科学の重要性を一般社会や政府に対して理解してもらうためには、科学者自身のアウトリーチ活動をより多様に、効果的に展開していくべきだと主張している。ADKと組んだ独自のアウトリーチの取組み(クリエイターと協力してプロトタイプを作っていくというもの)も紹介していて、興味深い。

    次に、分子細胞生物学者の大隅さんは、自身が、当初全く引用されない分野だったオートファジーの研究を続けてきた経験から、安易に「役

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    2021年05月03日
  • 続・僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

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    やはり面白かったのは池田理代子先生。
    まさか 47歳で音大声楽科に入学していたとは知りませんでした!それも40歳で思い立ち 45歳まで悩んで
    2年かかって合格!!受かることが天才だとは思うのですが
    やりぬく力は素晴らしいです 見習いたい

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    2018年08月28日
  • 続・僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

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    僕が僕である事を認めてもらえる環境に身を投じること。
    それが僕が何者であるのかを知る手がかりになるのかもしれないと感じた。

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    2018年07月07日
  • 続・僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

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    このシリーズ良い。今回のメンバーはどうかな?と思ったけど、そこそこ。漫画家としての名声が他分野への挑戦に効いたのか、切り込んで欲しいところではあった。皇族に対しても同じく。

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    2018年03月16日
  • 基礎研究者 真理を探究する生き方

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    効率を求められる現代こそ回り道を楽しむ心意気が大事だと気付かされる本だった。

    大学教育が基礎研究より応用研究(実用的な研究)を推進する風潮にも警鐘を鳴らしている。
    言葉だけでなく行動で示されている(実際に基礎研究を応援する財団を試験的に作られている)ことが凄いと思った。

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    2025年01月01日
  • 基礎研究者 真理を探究する生き方

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    両氏の文章力の高さに驚く。対談形式の本で、とうぜん編集者の力も大きいであろうが、この両氏の場合は、自分自身で文章と紡ぎ出すことにこだわっていそうであり、ゴーストや秘書や弟子任せにはあまりしていないと思うので。

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    2024年10月26日
  • 続・僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

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    続・僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

    チャレンジをテーマとして各氏の講演と主催者である永田和宏氏との対談が収められている。何者でもなかった頃の話かと言われるとそうでもない感じもするが、基本的には若者向けのメッセージになっている。学びは多いと思う。

    池田理代子
    漫画家を中断してまでも声楽家を目指すために47歳で音大に入り直す。やらないで後悔したくないというのがモチベーション。

    平田オリザ
    コミュニケーション能力について。相手のコンテクストを読み取ることができる医師を育成するために阪大は劇作家である氏を招聘した。劇の役割は解答を与えることではなく議論を喚起するものであるという意見も興味

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    2024年05月06日
  • 続・僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

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    池田理代子さん、平田さん、大隅先生のパートが良かった。

    池田理代子は成功した漫画家の地位を捨てて47歳で音楽家を目指し大学に入りなおしたことで有名だが、"私にとって一番怖い後悔は、あの時やろうと思えばできたのにどうしてやらなかったのかというものです。"というところに共感した。やって失敗したらしょうがないがそもそもやらなかったことは非常に引きずるものである。

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    2022年11月27日
  • 「役に立たない」研究の未来

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    研究にはお金がかかり、資金は足りないけど、根本的な解決には見えない壁があるんだーというもやもやがリアルに伝わってきました
    わたしは研究とか、そういうのは難しくて途中の大隈さんのお話とかもついていけなくなりそうなくらい縁遠いと思いました
    でも、プレスリリースとかみてみよ!って思いました、本文にも合った通り「思い立ったら行動」ですね
    あと、知識は唯一、使えば使うほど増える資源という表現は知らなかったので、とても良い言葉だなと思いました

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    2022年03月31日
  • 「役に立たない」研究の未来

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    ネタバレ

    役に立たないとされがちな基礎研究について議論された座談会のまとめ。
    そもそも役に立つとは何かということ(線引きは不明瞭・恣意的 と理解した)、基礎研究は多様性を認めてこそ将来応用につながるような研究が生まれること(選択と集中はそぐわない)、研究内容に加えて研究者の人となりや生活ぶりを紹介するようなサイエンスコミュニケーションもあるといいこと、市民のニーズにあった研究という視点(シチズンサイエンスや当事者研究)など、盛りだくさんだった。

    子供への理科教育は等しく必要としても、大人に対しては、研究にそれほど興味のない層に無理に届けなくてもいいのでは、という提案もあった。そういう視点は大事なように

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    2022年03月06日
  • 「役に立たない」研究の未来

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    「何の役に立つの?」「勉強して何の意味があるの?」世間、政府にとどまらず、この流れが子供達にも起こって来ていると感じる。自分の頭で考える「楽しむ」ことの大切さを伝えられる人に私はなりたい。

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    2022年02月13日
  • 「役に立たない」研究の未来

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    役に立つ立たない、お金になるならない、そんな物差しで研究を測るな!そんな当たり前なことが当たり前でなくなっている世の中を嘆く。お金有り余っているところは有り余ってるみたいなのに。

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    2022年02月05日
  • 「役に立たない」研究の未来

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    基礎研究を「役に立つもの」と思う風潮がおかしい、興味があるものをそのまま突き進めれば良いではないか。面白いから研究をやりました で良いではないか。 研究は芸術と同様に文化であって目的がうんぬんではない。研究者は世間に面白さをアピールするのも仕事である。

    刺さった。自分の研究に悩んだ時にまた読みたい。

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    2021年06月19日
  • 「役に立たない」研究の未来

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    この本から学んだこと
    ・日本の科学技術における方針は「選択と集中」であるが、これによって基礎研究がおろそかになっている。
    ・基礎研究は役に立つかが先行するのもではない。研究者が好奇心をもってやっていたことが、後で役立つものだった、という順番。
    ・研究者が自分から研究を発信していき、それを面白いと思った人がお金を出す仕組みが重要。
    ・基礎研究は「0から1」を作り出すこと。技術開発や応用研究など、目標地点のあるものでは効果を発揮するが、基礎研究においては目標を立てられないので効果を発揮しない。

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    2021年05月08日