細川重男のレビュー一覧
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洋泉社歴史新書y版を改訂・増補し、
“付編 頼朝の後、後の頼朝”を加えて、大幅パワーアップ。
親分・源頼朝と御家人たちが集い、築いた鎌倉幕府。
彼らの人間関係と武士という存在、彼らを率いた頼朝の器量を
分かり易く、楽しく?描く。そして頼朝後の御家人抗争時代と
北条氏の義時・政子・泰時のその後が加わる。
・プロローグ――物騒な主従漫才
一 流人の生活 二 ドキュメント・鎌倉入り
三 「オレたちの町」鎌倉
四 御家人たちの「溜まり場」鎌倉幕府
五 御家人たちのハートを掴んだ頼朝
六 故郷としての都市鎌倉
・エピローグ――鎌倉幕府の青春時代
・洋泉社歴史新書y版あとがき
付編 頼朝の後、後の頼朝
一 頼朝の後 二 後の頼朝
・朝日新書版のあとがき
・洋泉社歴史新書y版参考文献 ・朝日新書版参考文献
・参考系図 コラム①~⑥
「吾妻鏡」を中心に語られる、源頼朝と御家人たちの姿。
快適な流人生活、妻・政子を得ての幸福な日々は、
以仁王の令旨到来で一変する。
思わぬ?挙兵、敗戦、房総に渡り、様々な武士たちの思惑の
中で、ついには大軍勢を率いて、共に鎌倉の地へ。そして、
鎌倉は頼朝と御家人たちの手で作った「オレたちの町」に。
御家人たちが暮らす鎌倉での彼らの交流の様子。
幕府(頼朝邸)が溜まり場に。だって頼朝が居るんだもの♪
当時の武士は勇士であり野蛮人。
なんたって人殺しは日常茶飯事。
そんな物騒な彼らと接し、まとめ上げた頼朝の個性。
大御所から下っ端まで、一人ひとりを覚え、
心遣いと気遣いを忘れない。
喜怒哀楽は激しいし、女性関係は困ったちゃんだけど、
相手の心を的確に掴む言動と態度。
大親分気質の頼朝に率いられた御家人たちが面白かった。
だが頼朝の突然の死は御家人抗争時代へ。
“付編 頼朝の後、後の頼朝”は「鎌倉幕府抗争史」光文社新書へ
繋がる内容。頼朝の死での御家人間抗争と承久の乱までを
十三人合議制と北条家の動きを中心に、詳しく描いている。
専権まっしぐらの時政。頼朝の「家子専一」に選ばれた
ばっかりに、律儀に行動して抗争を凌ぎ、仕方なく戦った
承久の乱で勝ってしまった義時。そして事実上の鎌倉殿の政子。
特に承久の乱を前にしての政子演説の意訳が良かったです。
ダンナが作った鎌倉幕府を守るための決意が御家人たちに響く! -
ネタバレ 購入済み
北条家って、つくづく…。
2023年8月読了。
昔から「鎌倉好き」だったのだが、昨年の大河ドラマで久々に〝燃え上がる程の鎌倉愛〟が甦り、最近の研究成果を踏まえた研究書を漁り出したのだが、やはりNHKの力はスゴいもの。
本書と出逢えて、非常にラッキーだった。
『「執権」で有り続けた北条家は、何故〝将軍〟を欲しなかったのか?』をメインテーマとして、歴代執権の中でも対称的なイメージの有る北条義時と時宗を徹底的に“深掘り”した、とても興味深い本だった。
大河ドラマでもそうだったが、あれだけ血腥い事をやり尽くした感の有る義時が、後の時代では『頼朝と並ぶ卓越した得宗(政治家)』として、室町幕府やその後の武家政権からこんなに高い評価と尊敬を集めていたとは…、全然知らなかった。
時宗も、「外交音痴で、闘争的で、後の幕府崩壊の端緒を作った人」ぐらいの認識だったのだが、ここでも「義時」を御手本として、北条(得宗)家の独裁政治を〝ほぼ完成させた〟立役者だった、と云うのには驚きました。それと、「攻められる前に攻めちゃえ!」って本気で考えていたなんて、誇大妄想狂的な可愛らしさ(?)も垣間見れて、本当に「目からウロコ」本でした。
読後、大河ドラマをまた最初から見直したくなった。一般の方々にも理解しやすく書かれているので、興味を持たれた方には是非是非、お奨めします!良かったね、小四郎!!
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Posted by ブクログ
北条氏はなぜ将軍にならなかったのか、得宗専制とはそもそも何なのかなど素朴な疑問の提起から始まる本書は、「北条氏の鎌倉幕府支配を支えた論理」の解明を課題としている。
フォーカスされるのは、承久の乱で執権の権力集中を成し遂げた義時と、蒙古襲来という未曾有の危機に際して得宗専制体制を構築した時宗である。あえて北条氏の歴史ではなく、この二人に絞ったことで「支配を支えた論理」とその政治史的意味を明確にすることに成功していると言って良いであろう。初出は『北条氏と鎌倉幕府』(講談社メチエ、2011)。
きわめて真面目な内容なのだが、資料の解釈など現代的な大胆に噛み砕いている部分が多く、初学者にもわかりやすいように配慮がされている。
本書の構成は以下の通り。
はじめにー素朴な疑問
第1章 北条氏という家
第2章 江間小四郎義時の軌跡ー伝説が意味するもの
第3章 相模太郎時宗の自画像ー内戦が意味するもの
第4章 辺境の独裁者ー四人目の源氏将軍が意味するもの
第5章 カリスマ去って後
おわりにー胎蔵せしもの
素朴だが重要な問題の回答については、ネタバレになるので書かないが、第4章後半の全体のまとめ的な部分を読めば、諒とされるであろう。また現在放映中の大河ドラマも面白く観ることができるように思う。 -
購入済み
わかりやすい記述
なぜ北条氏は将軍にならなかったのか、あるいはならなかったのか。そのことがテーマで執筆されたものです。取り上げられている人物は、2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主役北条義時、蒙古襲来時の執権北条時宗の二人。著者である細川重男氏は、わかりやすい記述で理解しやすいのが特徴です。
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ネタバレ 購入済み
面白い
この著者の別の書物を読み、あまりにわかりやすく面白かったので、読んでみましたが、こちらも大変面白かったです。
承久の乱の最後に、藤原・三浦に放ったと言われる後鳥羽院の言葉の意訳は、なんだかものすごく府に落ちたというか、ああきっと、こういう意味で言った言葉だったんじゃないかなと思えました。
倫理観も不揃いの、田舎武士たちをまとめる頼朝の、人間味も感じられて、鎌倉時代が面白く思えてきました -
Posted by ブクログ
やー、おもしろいわぁ。これはいい。わかりやすい。現代の私たちに置き換えて説明してくれるから、頭での理解はもちろん、感覚としてわかる。遠い鎌倉時代の武士たちが、実際に生きた人間としてすごく身近に感じられる。『吾妻鏡』などの史書に書かれているセリフも、〈直訳だと雰囲気が伝わらないので〉と、現代の言葉づかいに意訳されているので、笑えるし、リアル。
鎌倉幕府に関する本は、1180(治承四)年の源頼朝の挙兵あたりから始まることが多いようだけど、本書は、頼朝の出自、ひいては源氏のルーツから書かれており、さらに貴族の説明にいたっては710年の大宝律令までさかのぼるので、物事の根本から知ることができます。
そして、この朝日新書版には「付編 頼朝の後・後の頼朝」が128ページにわたって書き下ろされていて、これがものすごく良かった。ついこの間まで仲間としていっしょに戦っていた御家人たちが頼朝の死後に繰り広げる抗争と、承久の乱の経過記録は、臨場感と緊張感で手に汗握ったし、何度も涙ぐんでしまった。
いい本を読みました。頼朝と鎌倉時代について知りたい人には、本書をまずおすすめしたい。執権北条氏、また北条政子のイメージが、だいぶ変わりました。政子、かなり好きになりました。
歴史を知るって、ほんっっとに楽しい!
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いやぁ〜、面白かった。
なんと言っても文体が面白かった!
かなり砕けた文体で、分かりやすく書いてくれています。たとえば頼朝が伊豆に配流されたあたりのところでは、
>頼朝は四月生まれなので(『武家年代記』治承四年条)、この時、数え年では十四歳だが、満年齢なら十三歳になる直前、もうすぐ卒業式を控えた小学六年生である。
「頼朝の武士団」より
このように、初心者でも非常に分かりやすく書かれています。
他にも、面白くて分かりやすくたとえたり、「ちびまる子ちゃん」のナレーションのようなツッコミが入っていたりと、とても楽しく読み進められました。
特に、史料に残っている頼朝や政子などが話したことの”意訳”が面白いんです。承久の乱においての政子の演説の”意訳”は、
>「みんな。心を一つにして、きいて。あたしの最後の言葉よ。あたしの佐殿(頼朝)が、悪いヤツらを全部やっつけて、この関東(鎌倉幕府)を作ってくれてから、官位(官職と位階)でも、シノギ(収入)でも、佐殿が、みんなにしてくれたことの恩は、山よりも高くて海よりも深いでしょ?(後略)」
「頼朝の武士団」より
このような感じです。
初心者でも本当に読みやすいので、鎌倉時代が苦手で「鎌倉殿の13人」の予習をしたいけど…という方はぜひぜひ公式サイトの人物相関図を見ながら、この「頼朝の武士団」を読んでみて下さい。 -
ネタバレ 購入済み
執権・得宗
あとがきに引用されているギタリスト真島昌利氏の言葉「難しいことはわかりやすく、わかりやすいことは面白く、面白いことは深く。」を実践されている本です。
専門用語の意味を説明してくれていて、昔の文書などを親しみやすい言葉で意訳してくれています。
元寇のタイミングが得宗権力の極みと一致していたことは、もう一つの神風だったのかもしれないと思いました。 -
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超絶わかりにくい鎌倉幕府、超絶わかりにくい「何故、執権が実権を握るのに、わざわざ将軍が必要なのか」についての書籍なのに、超絶読みやすい。本論を理解するために必要な最低限(といっても多々ある)時代背景についての説明が、超絶わかりやすい口語で説明していて、とても助かる。
初めて知った「絵馬小四朗義時」この人(承久の乱の主役)と「相模太郎時宗」(元寇の時の主役)この二人が理解するためのキーマン(というか、前者の例を後者が最大限に活用した/心の支えにした)という論の組み立ては、とてもわかりやすかった。
北条時宗って、日本史上最大最強の独裁者(の役を真摯に演じ続けた人)だったのね。
それにしても、前例の無い武家による政権、「試行錯誤」の代償が全て人命による支払いという時代か…… -
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平家打倒後、朝廷とは一線を引く新しい組織の確立を模索する投獄武士団。その試行錯誤の中で血で血を洗う権力闘争があり、本人も意識しない中で権力の頂点に上り詰めた北条義時。東国の事実上の頂点に上り詰めた時に、これまでの権威である朝廷は後鳥羽上皇の命により承久の乱に踏み切った。しかし義時は見事にそれを乗り切ったー
この、鎌倉将軍とその補佐役である「執権」の二頭構造が承久の乱を乗り切った、という構図が、元寇という未曾有の国難に立ち向かわざるを得なかった時宗にとって模範となり、形式として惟康親王を源惟康として頼朝になぞらえ、自らは肉親を排除してでも完全な独裁者として君臨し、いわば承久の乱にも等しい国難を乗り切る模範となったという説は非常に面白かった。同時に、時宗がなしえたことが子孫にとって仇となり、鎌倉幕府滅亡の遠因となったことも非常にうなづける。
政治体制でも芸術でも、完成された瞬間に崩壊へと向かう。崩壊の兆しを感じ取っている後継者たちも、完成された姿が強力すぎて、完成されたスタイルを容易に否定できない。このパラドックスを非常に感じさせる好著だった。 -
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大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の余韻に浸りたくて、御家人抗争に特化したこの本を選んだ。ドラマと史実の違いも面白く読めたし、かつての仲間同士が殺し合うバトルロイヤルをもう一度楽しむことができた。
記述は『吾妻鏡』と、より信頼できる他の史料に依っているが、ところどころ北条時政の性格を「人のいい田舎のおじさん」のように評しており、史料からは個々の性格はほとんどわからないと思うので著者の主観及びドラマのイメージではないかと思われる部分もあった。
最後のまとめに27年にわたる御家人抗争の原因は「源頼朝が死んだことに尽きる」、「武士は戦闘員であり殺人に対するハードルが低い、というよりも無い」という指摘があり、まさにシンプルなこの「殺るか殺られるか」という思考回路が数々の悲劇を招いた結論としてとても納得した。 -
Posted by ブクログ
源頼朝の薨去から承久の乱までの27年間の、
鎌倉幕府における御家人間での抗争を詳細に描く。
・旧国名図
序 殺し合いの時代
第一章 十三人合議制の成立と抗争の開始
第二章 梶原景時事件と広域武士団
第三章 比企の乱と北条時政の独裁
第四章 北条義時の台頭と和田合戦
第五章 源実朝暗殺と承久の乱への道程
第六章 承久の乱
第七章 伊賀氏の変と御家人間抗争の終焉
結 兵の道の虚実 あとがき 参考系図、参考文献有り。
――解説編――古代・中世日本の基礎知識
かつて頼朝の下で共に戦った者たちは、彼の死により、
殺し合う抗争時代を生きることになった。
現代語訳『吾妻鏡』を読んだとき抗争があちこちに
見られて、すごい世だなぁと思っていましたが、
その中から御家人の抗争を中心に集め、
他の資料で補完すると、それはそれは壮絶なものでした。
「兵の道」の倫理観と「勇者」たちの現実。
古代・中世武家社会の常識の凄まじさ。
主人の命が下れば、肉親であろうと親友であろうと、殺す。
政権上位の争いは、即、御家人たちにも影響してくる。
合戦になったら勝ち組と成り、恩賞を得ることは大事。
なんたって「私的武力集団」だから殺すも殺されるも当たり前。
まさに殺られる前に殺るの時代。
そんな「殺し合いの時代」を終わらせるとした北条泰時。
確かに彼の治世18年間は、平和な時代だったらしい。
でも彼の卒去後、再び「兵たちの戦い」が起こり出す。
ここまで興味深い内容だったから、その後の宝治合戦や
二月騒動、霜月騒動なども書いて欲しかったなぁ。
それでも、北条政子のゴッドマザーぶりがなかなか凄かったし、
当事者たちや一族の血筋、殺され滅ぼされたその後の
血筋の行方が書かれているのも良かったです。 -
Posted by ブクログ
実に、微に入り細に入り、鎌倉時代の頼朝が挙兵したところから義時が亡くなり政子も亡くなるところくらいまでを書いてあって、いや、その後も述べられてはいるのだが、個人的にはそこら辺までが面白かったなと。
義経の話がほぼ触れられず終わっているのは何故なのかわからないのだが、それを除けば、2年前の大河のストーリーを思い出させてくれるかのような書き方で、意外にあのドラマ覚えてたんだなと気づいた。
あの時代だからこそ許された殺戮もやった人ではあるけれど、普通そんな人だと分かってたら俺なんかは絶対信用しないけど、あの時代の御家人さんたちはオイラの大将!てな感じで本当に慕われていたんだろうな。
親子で、兄弟で戦っていざ成敗するときされる時、幼き日々の記憶が邪魔をすることがあったろうに、それをも上回る頼朝への憧れ、なんだろうか。俺には絶対できないな、そんな真似。