戸塚啓のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
2011年、東日本大震災の被害を受けながらも宮城、東北のために戦い、当時チーム史上最高となるJ1リーグ4位となったベガルタ仙台のシーズンを、手倉森誠監督の言葉を中心に綴ったノンフィクション。
インタビューが主なので、8年ぶりに読み返してみると、自分の視点も変わり、この本の印象に残る部分も変わった気がしました。
2011年、そして翌2012年は最高順位の2位となったベガルタは、自分にとってはJリーグで一番「負ける気がしない」チームでした。
華やかさはないけど、ピッチの11人、ベンチが緩やかだけど固い連帯感で結ばれ、持てる力を100%近く出して勝ち点を積み上げていた。「絆」という言葉が安っぽくならない姿がこの時期のベガルタにあったなぁと思いました。
<心に残った言葉>
・このクラブには絆があって、その絆が強い。メンバーに入らなくて腐っているような、自分のことしか考えられないような選手はひとりもいない。
・人生はうまくいくことばかりじゃない。うまくいかなかったときにどんな行動をとるのかが重要だぞ。
・勝ったゲームに浮かれるな。負けたゲームを引きずるな。
思い通りにいかず苦しい世の中ですが、いま一度自分が他者のために何ができるか、そしてどんな行動をとれるか、考え直す機会になりました。 -
Posted by ブクログ
日本語では”狡猾”や”狡賢さ”と訳されるポルトガル語「マリーシア」。日本では忌み嫌われやすい意味ではあるが、サッカーにとっては切っても切り離せない技術であり戦略であり、サッカーを構成する大事な一部である。
日本人に足りない部分でもあるこの「マリーシア」について、さまざまな立場の目線で考察しています。この本を読んだあとだと、たぶん国際試合の見方が変わると思います。
いつも真面目に試合に臨むだけじゃダメ。試合に勝つ、という渇望にも近い思いがあるからこそ生まれる技術。それがマリーシア。ルールの範囲内でなんとしても勝つ、その気概が日本選手にも「マリーシア」として出てきて欲しい。
真面目で素直な日本人にはなかなか受け入れられないかもしれないけど。 -
Posted by ブクログ
地震発生からたったの9日で甲子園にやってきた宮城県代表・東北高校。
被災、避難所での現実、そして甲子園での生活・マスコミ対応を通して、「自分たちは野球をやってもいいのだろうか?」という葛藤を乗り越えていく(あるいは、自分なりの折り合いのつけ方を模索していく)選手たちの姿に胸を打たれた。
震災から1年以上経った今でも、当時日本全体を包んだ「自粛ムード」のことを思い出す。
東北が壊滅的な被害を受けたというのに、花見なんかやってていいのか?
そんな議論が各地で持ち上がったと記憶している。実際に中止になった、中止せざるを得なかった催しも数多くあった。
たとえ知己でなくとも、自分と同じ国に住む大勢の人たちが不幸に見舞われた。
その時、「不謹慎だと思われたくないから」ではなく、衷心から「喪に服したい」と感じた人がたくさんいた。経済活動を停滞させないためにも自粛なんてしないで欲しい、それは解る。でもイヤなものはイヤなんだ。悲しいんだ。今はまだ悲しみをしっかりと受け止めていたいんだ。
これこそが、私の考える「絆」の姿だ。彼らの物語を読み、それを再認識した。
それと同時に、震災直後のセンバツ開催を、そして東北高校の出場を後押しした方々に敬服する。
先に述べた「服喪」とは矛盾するかもしれないが、歯を食いしばって恐怖や不安と戦う年若い者たちを慈しむ気持ち、子どもたちまで絶望に囚われさせる訳にはいかないんだという大人の意地に、復興の原動力を見た思いだ。(高校生だって、避難所で余震に脅える子どもたちにビビッた姿は見せられねえって頑張るのだ。)
私も「大人」の末席を汚す者として、本書で紹介されていた指導者の方々の言葉を心に刻んでおこうと思う。 -
Posted by ブクログ
この本を読むのに半年ぐらいかかった。
トイレに置いておき、気分が向いたら読む。
本好きな私がなぜこんなに時間がかかったかというと、たぶん、3つ。
サッカーという興味のない話だったから。
専門用語が入ってくるから。
文章が面白くない部分が多かったから。
でも全体を通すと暖かい、羽中田昌さんという人間性を通して自分も頑張らなくちゃ!と思える良書です。
最後まで読み切れたのは面白い部分もちょいちょい挟まっていたから。
ただ長い。中だるみする部分も沢山。
かなり分厚いので持ち歩いて読む気力はなかった。
男の人にはとても楽しい本なのかもしれない。
女性からすると奥さんがとても素敵。私も、料理上手な奥さんとして家族を支えられる人になりたい。(絶賛旦那募集中)
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「自分が諦めなければ夢は逃げない」
羽中田が言うからこそ説得力がある。きっと気持ちはグラウンドを走り回っていた高校生のままなんじゃないかな。いやもっとピュアになっているのかも。ボールを蹴れなくてもサッカーのそばにいたいというのは本当に好きに違いない。そして自分に対して真っ直ぐだ。嘘は言えない人なんだと思う。「夢」っていう言葉は、聞こえがよくてイメージもいい。連発すると偽善ぽく感じるから、日常はあまり使わない。でも、夢に向かって本気に取り組む人が使うと、まわりに勇気を与えてくれる言葉だ。ホントは誰だってそういう夢中になれるものを見つけて全力を出したいんだと思う。そうすれば毎日が充実して一日一日を無駄にしないで大切にするだろう。時間つぶしに悩んだり浪費することなんてこともしないだろう。
五体満足なオイラはその身体を使い切ってるだろうか?身体も頭も使わなければ衰退していく、鍛えればさらに上の次元の働きをしてくれる。健常者だからそうするべきとは思わない。人それぞれの価値観だ。羽中田の生き様には、夢を追いかける人の迫力や躍動、若々しさを感じる。多分この人は生涯がずっと青春なんじゃないだろうか。
タイトルは「愛は勝つ」、奥さんの名前は「まゆみ」、KANが喜びそうだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ足りなかった「勇気」。
戦術でもフィジカルでもなく。
僕も同じように感じた疑問。
だが考えてみると納得した。勇気。それは経験に裏打ちされた覚悟。「勝者のメンタリティ」も同義だと思う。
それの獲得には、甘えの余地のない場で闘いの蓄積しかない。それが文化になる。その文化が世界との差。
文化の違いといわれ続けてきたし、そう言ってしまうのは安易かもしれない。
でも、やり続けるしかないんだと思う。
地道でも、進んだり後退したり、きっとどこも同じなんだろう。
正解はない。だから面白い。
そして、初戦を落としたリオ五輪代表。
このタイミングで読み終わったことに運命を勝手に感じる僕。
ここが、勇気の見せどころ。 -
Posted by ブクログ
ジュビロJ1時代の好敵手であり
男気太田吉彰の在籍したチーム。
あの震災があった2011年のベガルタ仙台の戦いの軌跡を追った本ですが
この本を読むとさらに仙台や手倉森監督の熱さを感じます。
人情に熱く、それでいて戦略家であり、
さらにどんなことも自分の経験として積み上げられる素敵な人だと思いました。
この人なら、オリンピックの代表も楽しみだ。
大震災が起き、サッカーなんてやっていていいのか、と自問しながら
それでも被災地のために、団結してがんばったベガルタ仙台。
あの戦いは、同じJを戦うチームのサポーターでも
心打たれました。
そんな1年を綴ったこの本を懐かしい気持ちで読ませてもらいました。
今年もJ1での試合、ベガルタの戦いを楽しみにしたいと思います。