童門冬二のレビュー一覧

  • 全一冊 小説 新撰組

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    継父遺品。自分初の新撰組作品。『北の王国』同様 生粋の東人が描く日本各地の人物 とりわけ京の人間の気質には独特の解釈が見え隠れする中を 概ね(新撰組側に立った場合の)定説に沿って物語は展開 渦中に “車一心” という架空人物を配す。この「時代の腰巾着」とでも称ぶべき卑屈な浪人は 徹底して近藤ら旧試衛館員と対立する側に身を泳がせつつ ほぼ全編に暗躍する。愛すべき人物では在り得ないながら 勝ち負けや損得とは無縁の処で士道を貫かんとする新撰組とは絶好の対比を為して 効果的/印象的な登場人物ではあった。

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    2012年06月26日
  • 黒田如水(小学館文庫)

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    元々 黒田官兵衛孝高については詳しくない。増して隠居後の如水となると 号の名くらいは知っていても そもそも一体どうして急に隠居を決め込んだのかについてさえ 何の知識ももたずに過ごしてきた。あんなに明晰な頭脳をもった人が まだ充分働けそうなのに……と その「明晰な頭脳」こそが彼の宿痾だったことを知ったのは 竹中半兵衛を学ぶようになってからである。この物語は私が初めて特に触れる官兵衛であり 題名通り隠居後の姿を描いたものだから その現役時代については未だ疎いということになる。

    物語は 新本拠地となった筑前(福岡県)福崎の地名を 一族の故地:備前(岡山県)福岡の再興をかけて「福岡」に改めたい如水と それに伴い博多の地名までもが失われるのを嫌う博多商人:島井宗室との対立で幕を開ける。細々と詳細が語られる訳ではないが この豪毅な商人気質と 処世から離れること叶わない武士の鋭い眼光とは 時に反撥し時に共鳴し合いながら 作品の根底に終章まで横たわって存在する。一風変わったメインテーマではあるが 私は素直に如水の足跡として読み進めた。
    処世術で言うなら きっと細川藤孝(幽斎)や藤堂高虎の方が巧みだっただろう。勿論いつの時代でも世渡り上手な人というのは 半ばやっかみを含んだ冷たい視線を世間から浴びるものだけれど 如水の場合は常に自ら蒔いた種で窮地に追い込まれて居たように映る。だが 同時に彼は打たれ強い。現役時代の一年近い獄中体験は 彼の身から健康を奪った代わり 魂には強靱な生命力を授けたに違いない。そこから生まれる不屈の精神 それが無かったら たとえ有り余る知謀があっても生きて活かすことは出来ない。官兵衛を真に支えてきたのは この不屈の精神だったように想う。
    隠居後の官兵衛 すなわち如水の最大の山場は やはり関ヶ原合戦の混乱に乗じて目論んだ九州征服だろう。不屈の精神が見せた乾坤一擲である。中央で悶着している間に 東軍として九州の西軍勢力を成敗し 勢いを駆って中国地方に上陸 毛利領を平らげ 天下人への餞としようというのだから 殆ど “空き巣狙い” だ。何しろ加藤清正の勢力以外 九州は悉く西軍に与して主力不在なのである。更には「天下人への餞」などと言うのは建前で 如水の本心は西軍勝利を願っている。西軍が勝てば 大将の石田三成に合戦後の各家を統べる力量は無い。その時こそ 己が天下を目指すのだ と。
    が 残すは島津家の薩摩のみとなったところで 呆気なく関ヶ原合戦は終わってしまう。二度とは巡らぬだろう如水最大の好機も そして野望も共に潰える。たったの一日で天下分目の大決戦が東軍勝利で終わったことに落胆したのは 我らが上田城の眞田昌幸公だけではなかった訳である。冒頭にて如水と激論を交わした博多商人:宗室も 戦乱の波の内に気骨と気概とを失い やがて逝く。
    だが 総てを悟った如水は寧ろ爽やかで在る。宗室とその精神の死によって勝負がつかず終いとなっていた地名についても 福崎は福岡に・博多は博多のまま という謂わば妥協案が採られる。如水にしてみれば 相手(に気概)無くしては勝負も何もあったものではないという処だが 私の眼には漸く宿痾を克服したかのように潔かった。そんな眼差しを支持するかのように 如水辞世の句が作品の幕を引く:
    「おもいおく 言の葉なくてついに行く 道はまよわじ なるにまかせて」
    ――大往生だと思う。

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    2012年06月25日
  • 上杉鷹山の師 細井平洲

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    上杉鷹山は、私の最も尊敬する改革者の一人。その師である細井平洲の本ということで、非常に期待して読んだ。米沢改革に一歩突っ込んんだストーリーになっている。
    ただ、残念なことに、著者の童門冬二さん、相変わらずの同じ話の繰り返し。でくれば、もっとコンパクトにして、ストーリーのポイントを表現するか、米沢以外のストーリーも加えてほしい。

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    2012年04月10日
  • 小説 千利休 秀吉との命を賭けた闘い

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    茶道を習い始めたので
    興味深く読めた。

    若干話が前後したりするのだけど、
    読みかすかった。

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    2012年02月19日
  • 坂本龍馬に学ぶ

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    ネタバレ

    ■太陽系における一個の彗星たり

    書籍「坂本龍馬に学ぶ」(新人物文庫・堂門冬二・287頁)から。
    以前から、堂門冬二さんの歴史人物作品が好きで
    機会あるごとに、彼の作品は読んでいたが、
    今回は、NHK大河ドラマ「龍馬伝」にあわせて、
    この作品を読んでみた。
    龍馬を、ワンフレーズで表現したい、と考えていた私には
    「坂本龍馬は、太陽系における一個の彗星たり」が心に残った。
    「維新土佐勤王史」に書かれている、
    龍馬と武市半平太との関係らしい。
    「坂本龍馬は、太陽系における一個の彗星たり。
    故に必ずしも瑞山(武市半平太)を中心とする軌道を
    回転するものにあらずして、時には遠ざかり、時には近づく。
    又この彗星に吸引される一、二の遊星をも有せり。」
    この彗星の動きは、龍馬像として、捉えることもできる。
    彼の元に、多くの人が集まったのは、
    彼がアウトサイダーであっても、反社会的ではないという
    信頼感があったのではないか、と堂門氏はいう。
    なるほど、彗星も太陽系を外れるわけではない。
    私も、こんな生き方をしたいなぁ。

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    2012年01月30日
  • 本多作左衛門(ほんださくざえもん) 「信念」を貫く男の生き方

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    時代の流れを読まない・・・というより読めない男の美学とは。
    男なら一度はこのような「頑固一徹」な生き方に憧れる、しかしその頑固一徹を続けて生きていけるのは残念ながらごく一部の者に限られる。
    職人、アーティストなどの人種がそうだ。
    というわけで、私的には家康などの生き方のほうが役に立ちました。
    でも、作左衛門カッコいいですw

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    2012年01月24日
  • 小説 河井継之助【完全版】

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    2011年12月公開の映画「山本五十六」の出身でもある越後長岡藩。
    そ長岡藩の家老が河井継之助。彼の身分は高くなかったがその先見性と政治能力はずば抜けていたために、どんどん出世していき、最後は主席家老となり、武装中立を画策し藩兵を洋式に変え藩士の給料を百石に近づけることなどの改革もした。徹底した現場主義だったとも書かれていた。過去の政治家から学ぶことって多いなぁ。

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    2012年01月08日
  • 戦国武将の人間学(小学館文庫)

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     下克上が横行し、近隣の国々との熾烈な争いが行われていた戦国時代。現代の社会よりも、ずっと組織の運営に厳しさが求められていたはず。そこで発揮されていた武将たちのリーダーシップは現代でも通用するに違いない。

     信長や秀吉、家康など超有名な武将たちのエピソードのほか、ここで始めてみる名前も。 
     ボリュームに欠ける気が多少するが、ここで知った武将をまた別な方面から調べるのも楽しいかも。

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    2017年08月16日
  • 小説 米沢藩の経営学 直江兼続・上杉鷹山・上杉茂憲――改革者の系譜

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    直江兼続、上杉鷹山、そして上杉茂憲と、上杉家の困難とそれに立ち向かった改革の歴史についてまとめられた本。藩の財政が困窮する中で、どのような手を打って領内を団結させ建て直していったのか。フランス革命にも先立つような民主主義の姿がそこにはあった。

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    2011年10月18日
  • 上杉鷹山の経営学 危機を乗り切るリーダーの条件

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    『小説 上杉鷹山』のエッセンシャル版という感じ。小説は分厚いので、こちらからだと入りやすい。小説を先に読んでいれば、重要な要素を整理して振り返ることができる一冊。

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    2011年10月16日
  • 戦国武将の危機突破学

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    著名な戦国武将のそれぞれの思想や知恵や言動をいかに駆使して乱世を生き抜いたかを紹介している。今まで知らなかったエピソードを確認できたが、今一つ人物探求の深みが感じられなかった。ただ、前田利家の物事の是非を人で判断する日本人的な思想と妻のまつとの関係等が興味深く読めた。

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    2011年08月17日
  • 小説 千利休 秀吉との命を賭けた闘い

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    江をみて千利休切腹したことに興味を持って読んだ。

    「まちびと」という当時の日本としては先進的な考えをもった人物が千利休であったのだ。

    この考えは日本を改革したい信長には理解されたが
    成り上がることが人生の目標としていた秀吉とは
    考え方の違いが生まれたのではないか?

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    2011年07月31日
  • 人生の醍醐味を落語で味わう

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    落語は思わずぐっとくる“ヒューマニズム”に溢れてます。
    嫌な人間関係に困った時、落語の知恵が活かせます。
    家族に感謝したくなった時、落語の名場面に共感できます。
    「こんな人いないよ」と、呆れ返る噺もあります。
    童門流「落語的生き方のすすめ」、一席どうぞおつきあいを。

    [ 目次 ]
    第1章 困った人付き合いに効く落語の一言(おハズカシウございます―理不尽な上司に;ケガしなかったかい?―リーダーの器量を示す ほか)
    第2章 イヤな仕事を楽しむ落語の知恵(“堪忍袋”のすすめ―ストレスを解消したいとき;“職場バー”のすすめ―やる気を引き出す ほか)
    第3章 家族の人情を描く落語の名場面(子離れのさびしさに耐える;可愛い子には旅をさせる ほか)
    第4章 憧れる?呆れ返る?落語的生き方のすすめ(男は放浪に憧れる;女は定住に憧れる ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

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    2011年04月23日
  • 上杉鷹山の経営学 危機を乗り切るリーダーの条件

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    上杉鷹山がいかに米沢藩を改革したか、概要がわかる。その施策は現代からすると違和感の無いものだが、当時の世相からするとかなり先進的・革命的なものであったようだ。鷹山がそのような考えに至った経緯に興味が湧くところだが、本書ではあまり触れられていないので、同じ筆者の「小説 上杉鷹山」も読んでみたい。

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    2011年01月13日
  • 小説 太田道灌

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    道灌を北条早雲との対比という視点で描いた歴史小説。
    道灌をあくまでも清さを貫く武士として描いている。

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    2011年01月03日
  • 龍馬と弥太郎

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    今の日本と幕末ってちょっと似てるかもって思った。

    政府には継続性が必要だって。確かに。

    歴史に『もし』はない。
    もし、あそこに誰々がいたらって考えてしまうことはあるだろうけど、その『もし』がなかったから今の私たちの時代があるんだな。

    それを考えるとすべての偶然が必然に思えてくる。

    龍馬の意志が、弥太郎に移りゆく過程もよかったな。ドラマ程ベタベタしてなくて!

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    2010年10月11日
  • 戦国武将の宣伝術 隠された名将のコミュニケーション戦略

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    ネタバレ

    戦国武将の自分PRの方法を紹介した本で、22人の戦国武将の様々なエピソードを取り上げて宣伝術として紹介している。
    童門氏らしい平易な書き方で武将のエピソードがよく分かる。

    帯に「プレゼンの極意」って書いてあったんですが、ビジネスシーンのプレゼンに役立つかどうかは微妙ですね。自分アピールの仕方としてヒントを得るというのにはそれなりに使えるかも知れませんが、戦国時代の出来事なので、応用力は求められますね。
    歴史に興味のある若手ビジネスマン向けですかねえ。でも、歴史大好きな人には物足りないかもしれません。

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    2012年03月29日
  • 全一冊 小説 直江兼続

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    良くも悪くも歴史小説。大河を見る前に読んでおきたかった、というのが実感です。
    テレビで伝わりきらなかった直江兼続の人となりがよくわかり、またドラマでは描けないその時代ならではの話もよく伝わりました。
    まぁそれでもいろいろ美化されてる気もしますが・・・

    もうちょっと歴史上では地味なところ(徳川幕府後)の話も読みたかったかな、と思います。

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    2010年07月28日
  • 本多作左衛門(ほんださくざえもん) 「信念」を貫く男の生き方

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    本多作左衛門は、日本一短い手紙として有名な「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」を書いた武将として知られている。彼が生きた時代は、戦国の世から泰平の世へと、価値観が激変した時代。時代が変れば、時代が求める価値観に沿うように生きるのが常識的な考え方だが、いつの世にもその器用さに欠ける人物はいるものである。本書の主人公、本多作左衛門が、まさにそれに当る人物だった。▼「一筆啓上云々」の手紙でもわかるように、簡にして要を得る言動こそ武将の生き方と信じて疑うことを知らなかった「気骨の男」。是を是とし、非を非とする作左衛門の生き方は、いつしか「頑固者」として周囲の者の目に映るようになっていった。「聞き分けのよさ」が幅をきかす時代に、「君(主人)、君たらざれば、臣(部下)、臣たらず」の精神を貫いたのである。▼その場の空気、周囲の目を気にしがちな現代人にっとて、自分の真実を考えさせられる一冊である。

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    2010年07月15日
  • 小説 太田道灌

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    室町幕府の権威失墜とともに、関東は長い戦乱状態に入っていた。江戸城を築城し、軍事と歌に秀でた武将・太田道潅は、上杉家の滅亡を阻止するため獅子奮迅の活躍をしていた。しかしその才気はあらぬ誤解を招き、ついに謀略の魔の手に倒れた。道徳と秩序が乱れに乱れた世の中で、己れの美学を貫き通したその爽やかな生きざまを余すところなく描く。

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    2010年07月15日