谷口克広のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
信義なき戦国時代であっても数多くの同盟が結ばれている。そして、そのほとんどが数年後に破棄されているのだ。事情が変われば信義などない。それが戦国の常識だった。ところがその常識がくつがえされる現象が一つだけある。
なぜこのような奇跡と呼べる現象は起こったのか。いったいこの二人の間にはなにがあったというのか。信長と家康、真の清須同盟の実態に迫る。
副題は清須同盟の実体とありますが、信長と家康の出会いから本能寺の変後までを俯瞰的に取り扱っています。目新しい内容はあまりないですが、丹念に纏められており、堅実な内容となっています。
著者は、織田信長について「大魔王」、「革命児」といった先入観にとら -
Posted by ブクログ
タイトルが示すように、織田信長から粛正・リストラされた武将たち。
彼らの眼を通して見えてくる、織田信長像。
独善的・不寛容・執念深さ、などなど期待を裏切らない性格の悪さ。
それと過酷さを極める信長の独善的要求のオンパレード。
我々は400年の時間を隔てて信長を見つめるから、英雄視するのであって、リアルタイムにいたら、とても近づきたくない人間であることは確か。
同時代に生きた武将達に対する威圧的な振る舞いは多くの反発を招き、一度根に持ったら決して許さない執念深さからは、信長家中に疑心暗鬼が生またのが、多くのエピソードからわかります。
信長は生涯を通して様々な武将から裏切りつづけられ、最後 -
Posted by ブクログ
戦国に終止符を打ち新時代の扉を開けた魅力あふれる
生き様。信長・秀吉を中心とする安土桃山時代は画期
的な時代だった。戦国を終わらせ江戸へと橋渡しする
この時代は主役2人の個性がきわだっているが脇役達
にも魅力あふれる人物が揃っている。
著者は「信長・秀吉の安土桃山時代というのは、かな
り誤解されている」という。
本書は研究者として、正確な歴史的事実を伝えるため、
できるだけ良質な史料を用いて史実に沿いながら記し
たものである。
新書一冊で安土桃山時代を描いているため、駆け足で
はあるが、人物像が公正に描かれていてる。
参考文献一覧が無いのが惜しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレただ羅列。そう言われるかもしれないけど、これが文献史学。それで日本史専攻の大学生の多くは脱落してくんだよね。思ってたのと違う! って。
・天正10年の暦について、当時主流の三島暦と、暦博士がつくる京暦とで閏月の配置が異なり、元旦が1ヶ月違うという事態が生じた。信長は領内を同じ暦で統一させることを目論み、両者の討論を行なわせた(結果、京暦が採用された)。京暦が権威といえど、考証を経てからでないと採用できないという信長の合理性が見られる。
→『信長の棺』の核心部分も、暦に関することであったことを思い出した。やはり合理性を第一に追求したのだろう。