中勘助のレビュー一覧

  • 銀の匙

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    これは自伝なのか小説なのか。
    多分小説だな。

    美しい言葉選びに昔ながらの情景を容易に想像できる。子供の純粋な心情を、格好つけることなく有りのままに綴る。夏目漱石も褒めたらしいですね。

    少し癖に育ったように感じる主人公であるが、出会い別れを通して逞しく育っていく未来も感じる。

    ケイちゃんが可愛らしかった。

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    2020年01月04日
  • 銀の匙

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    今で言えば足りない世界だけど、わたしはその足りない世界が好きだ。

    この世界と、人の想いがこもった言葉を愛する人に、読んでもらいたい本。

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    2019年11月29日
  • 銀の匙

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    "灘高で1年間かけて読み費やす授業"
    このフレーズだけにとらわれて読みました。
    昔と呼べる時代の話で、背景・文化・言葉など現代とは大きく違うものの、少年の核なる心がしっかりと存在するままでの心情的変化と成長は、懐かしくも心苦しくもあった。
    この作品を題材に1年間学ぶというのを素晴らしいと感じた。

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    2019年08月09日
  • 銀の匙

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    主に明治後半の東京を舞台にした、著者の幼少期を基にした物語。幼少期の子供の思うことやら友達や家族との関係などが詳細に描かれていて自分の幼少期を思い起こさせるが、内容がどうのこうのというより、いろいろな描写の文章の見事さが、巧みな俳句のように、詩のようであり惹きつけられる。子供の目を通した明治期の東京の様子が歳時記のように語られるのも面白い。ネットや辞書を片手に読みながら日本の伝統的な風俗の意味を知るのに打って付け。この本を題材に国語の授業をするのと言うのは確かに素晴らしい発想だと思った。

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    2017年10月29日
  • 銀の匙

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    誰もが持っている記憶の中の少年時代を、美しい文章で蘇らせてくれる一冊。何度か読み返しているが、その度に、ある種の清涼感を心に与えてくれる。
    銀の匙によって呼び起こされる情景は、波の音や、炎の揺らめきのような、気持ちを落ち着かせてくれる不思議な力を持っているように感じた。

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    2019年12月04日
  • 銀の匙

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    以前新聞で、灘高校の教師が国語の時間にこの本だけを使って授業をしていたことを知った。尋常小学校までの前篇と、少し大きくなってからの後篇の二部構成。かつての日本の美しい風景が目に浮かぶような心地よい文で綴られている。

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    2016年02月02日
  • 母の死

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    表題作「母の死」友人の娘妙子さんとの交流を描いた「郊外そのニ」など、八篇を収めた作品集。
    親子ほど年が離れている妙子さんと中勘助の関係は、見てはいけないもののような気がしてしまう。こっちが邪な目で見ているせいなのかなんなのか。妙子さんかわいいです。
    「母の死」に描かれている悲しみは、誰でも経験するかなしみなのだろうなあ、たぶん。
    「覚醒して苦しんでるのよりは麻酔した寝顔のほうが見たい。」「意識は確だが目をあかなくなった。母よ。母よ。私はもっと見てほしいのに。」

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    2009年10月04日
  • 銀の匙

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    風景描写がすごい。後編の十四の冒頭「地上の花を暖い夢につつんでとろとろとほほえましめる銀色の陽炎のなかにその夢の国の女王のごとく花にはここかしこに牡丹がさく」なんか、難しい単語は使ってないのにどうしたらこんなうつくしい文章が書けるんだ…

    ただ四三のお蕙さんと仲直りした場面の

    「長いまつ毛が濡れて大きな眼が美しく染まっていた。そののち二人の友情は、いま咲くばかり薫をふくんでふくらんでる牡丹の蕾がこそぐるほどの蝶の羽風にさえほころびるように、ふたりの友情はやがてうちとけてむつびあうようになった」

    とか、終盤の友達のお姉さんが出てくるとことか、女性が関わる場面の文章が他より甘い(?)気がして分

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    2025年09月06日
  • 銀の匙

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    時代は全然ちがうのに
    そういう子居たなぁとか、そんなこと考えてたことあるなぁーとか、なんか懐かしい気持ちになった

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    2023年11月19日
  • 銀の匙

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    子供の頃の記憶って、案外何気ないことほど覚えてたりする。でもいくら記憶はあっても、それをこの本のようにあの頃のみずみずしさのまま物語として伝えるのは難しいと思う。
    おぶられたときの背中の温かさ、その背中から下ろされたときの不安、友達と別れる時に、寂しいのに意地を張ってしまうことも…
    人が皆持っている"原体験"みたいなものが宝物のように詰まってたな。
    個人的には主人公とお蕙ちゃんのお別れのシーンが一番印象的だった。
    幼稚園の頃に引っ越しちゃった友達、どうしてるかな。主人公と一緒にあの頃の気持ちを追体験した気分でした。

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    2023年06月18日
  • 銀の匙

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    やっとこさ読む事が出来た。
    某進学校では3年間でこの本一冊を読む授業があったとか。
    とにかく日本語の表現が独特。
    嫌みのない表現と言えばいいのだろうか。
    物語自体はどこか物悲しさを感じさせるラストではあるが、育ての親である叔母の優しさを事細かに、思い出すように描いている。

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    2022年09月12日
  • 銀の匙

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    主人公と叔母の話
    国語の教科書にのってそうな、綺麗な表現ってかんじ。ひらがなっていいなってなる。

    内容はあんまり面白くなかったかなぁ、。
    恋実らずずっと泣いてたしな

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    2022年03月11日
  • 銀の匙

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    書斎の引き出しに昔からしまってある一つの小箱。子安貝や椿の実・・・こまごましたものがいっぱい詰めてあるが、そのうちに一つの珍しい形の銀の匙のあることを、かつて忘たことはない。
    病弱で臆病だった幼少期から、多感な青年に成長する日常を、細やかに描写した自伝的小説。

    創作ではあるのだろうが、かなり著者の人生が投影されている小説なのだろう。
    とくに起伏もなく、この主人公、特に幼少期はぐずぐずと泣いてばかりだし、時代的なこともあるかもしれないが、青年期の女性への態度も自意識が高すぎて、どうも好きになれない。
    でも、情景描写はとても微細で、特に『お恵ちゃん』との件などは面白く読めた。

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    2022年01月14日
  • 銀の匙

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    久しぶりに「味わう」小説に出会った。
    言葉を味わい、文章を味わう。
    樋口一葉のたけくらべを思い出した。
    昔の遊びや迷信、唄などは、自分の世代がギリギリだろうな、とは思う。

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    2021年06月14日
  • 銀の匙

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    ネタバレ

    そもそもこの小説に興味を持ったのは、ある私立難関校で教材として使用されており、3年間で1冊を読むという名物授業があるというのを知ったからだった。
    3年間で読むような本とはどんなものなのだろうという興味があった。

    購入したのはもうはるか昔のことで、それからまったく読む気にならず、ずっと積読状態だったが、ふと読んでみようという気が起こり購入から約10年経ってやっと手に取った。
    なお、私が読んだのは本当は角川文庫から出ているものなのだが、検索したところ電子書籍版しかヒットしなかったので、仕方なくこちらに感想を書く。

    何せ大正時代に書かれたものであるから、言葉も今とは異なっており、非常に読みづらい

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    2021年02月05日
  • 銀の匙

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    灘校で中学3年間をかけて『銀の匙』1冊を読みこむという授業

    ということで読んだのだが正直よく分からなかった私には
    きれいな日本語ということだろうなのだろうけど
    昔の日本の風景ということ以外入ってこなかった

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    2020年11月29日
  • 銀の匙

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    中勘助の幼少期からの回顧録。物語を読めば分かるが、様々なことを経験し成長していく姿が美しい日本語で描かれている作品。

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    2020年07月19日
  • 銀の匙

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    著者の明治初期の幼少期から青年期にかけての思い出話なんかな。
    時代は違えど、身の回りにあるもので何やかんやと趣向を凝らし遊ぶさまはどの時代もおんなし。
    すごくちっちゃなもん、すごくおっきなもん、全然とどかへんもん、行ったことないとこ、子供はいろんな角度で世界を見つめ遊びを発掘するんやと、感心するし、自分もそうやったのに、どんだけ平べったくなってしもたんやとおちこむ。
    ただまだ、ちょっとは感じれて、時々「ふふっ」と笑える。

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    2020年04月26日
  • 銀の匙

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    確かに起伏はない自伝であるが、観察眼描写力が素晴らしい。今の時代の生徒に1年かけて学ばせるものがあるかといえば疑問だが、これは、声に出して詠むと良さがわかると思う。

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    2020年01月23日
  • 銀の匙

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    明治から大正にかけて没落したとはいえ、士族の子供であった作者は、彼だけを愛してくれる叔母に庇護されながら、いじめられても、不登校になりながらも、表現手段を獲得するまでに成長できていた。そのことを肯定的にとらえられる物語だった。

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    2019年08月08日